アーラシュに憑依したオリ主がネギま!の修学旅行中にステラする話   作:偽馬鹿

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これか次が連続更新的には最後になると思われます
風邪ひいて辛い


拾われっ子の囚われ事情

スピカが目を覚ますと、四肢を拘束された状態で立たされていた。

魔法で作られているのか、半透明な球体に封じ込められている。

 

指にはめられている魔法発動媒体の指輪はそのままだった。

ならばと身体に魔力を巡らせようとするが、違和感に気付いた。

 

「む」

 

そう、魔力が空だったのである。

なるほど、それなら脱出される心配はないということか。

スピカは納得して力を緩めるのだった。

 

 

 

それと同時に、更なる違和感にも気づく。

魔力が回復しないのである。

いや、回復すると同時に消費されていくというか。

 

この感覚はかつての記憶の中にあった。

魔力を強制的に吸い上げられている感覚と同じ。

別に痛くなかったのであんまり記憶に残ってないのだが。

 

 

 

「……! ……ピカさん!」

 

ぼーっとしていると、どこからともなく声が聞こえてきた。

おや知り合い。

ふと目を向けると、そこには綾瀬夕映がいたのだった。

 

「あら」

「あら、じゃないです! 逃げるですよ!」

 

ガンガン、とスピカを封じる球体を叩き割ろうとする綾瀬夕映。

しかしその程度ではビクともしない。

 

それは当然か。

恐らくこの球体はアサシンのサーヴァントが作ったものだからだ。

普通の人間の筋力ではどうしようもないだろう。

 

まあ、こういうことはアーラシュに教えてもらったわけなのだが。

 

 

 

それはともかく。

綾瀬夕映は胸元に手をやり、そこから何かを取り出した。

 

小石だろうか。

スピカにはよく分からなかったが、その小石には魔力が込められていた。

それも綾瀬夕映1人分。

 

それが勢いよく球体へと叩きつけられる。

そして爆発的に魔力が膨らむ。

この時点で漸くスピカも気付いたのだが、エヴァンジェリンに知られたら落第点を叩きつけられるだろう。

 

 

 

火のルーンよ(燃 え ろ) で す !」

 

 

 

瞬間、火炎が視界を覆いつくす。

魔力の量に対して、魔法の威力はけた違いだった。

まるで世界が魔法を強化しているのではないかと思うほど。

 

 

 

いつの間にこんな魔法を覚えたのか。

スピカは拘束が解かれたと同時に綾瀬夕映に駆け寄って今の魔法について問い質そうとした。

 

 

 

「カハッ……ゲホッ……!」

 

 

 

しかし、綾瀬夕映はそれどころではなかった。

喀血である。

スピカの診断では魔力の枯渇が原因としか思えなかった。

 

「ちょっと待って……」

 

喀血するほどの魔力消耗に至ったことはないスピカであるが、それでも大変なことは分かる。

即座に指の先を傷付け、綾瀬夕映の口に突っ込んだ。

 

「もがっ!?」

「えーっと、()()()

 

スピカは朧気な記憶の中から魔力を通すパスを作る魔法を引っ張り出し、即座に発動した。

スピカの魔力は既に回復を始めている。

この調子なら綾瀬夕映の魔力枯渇もすぐに解消されるだろう。

 

 

 

「は、あ……はぁ……」

 

綾瀬夕映の呼吸が落ち着いたので、スピカは漸く周囲の様子を見ることができた。

案外冷静である。

死なないから安全に無頓着なのかもしれないが。

 

上空を見ればネギ先生と見知らぬ少年が紳士風の男と殴りあっている。

周囲を見れば裸族の集団とその他のクラスメイトがいる。

 

 

 

そして眼前に振り降ろされるアサシンの剣。

 

 

 

「ッ!」

 

咄嗟に額を剣へと叩きつけた。

どうせ死なないのだ。

綾瀬夕映が死ぬ可能性を少しでも減らすべきだろう。

咄嗟にそう考える辺り、生死に無頓着過ぎると言わざるを得ない。

 

それに不意を打たれたのか、逆にアサシンの方が驚いているようだ。

そこへ飛び込んでくるライダーと、初見の誰かさん。

2人はスピカとアサシンの間に割って入るように立ちふさがった。

 

「螺旋・太陽鏡!」

 

紅白姿の誰かさんが古びた鏡を掲げると、一瞬で鏡から熱線が何本も放たれた。

威力は圧巻。

綺麗だったであろう舞台が瞬時に火の海へと変わっていく。

 

「ちょっ!?」

 

驚きの声を上げたのは近衛木乃香だろうか。

確かに、木製の舞台で炎は駄目だろう。

そういう問題ではないのだが。

 

 

 

しかしアサシンはそれを回避。

瞬間移動のように熱線の攻撃範囲から外れる。

 

「はぁっ!」

 

しかしそこへランサーの一撃が放たれる。

武骨な槍を体重乗せて叩きつけた。

 

威力は十全、完全に不意を突いた一撃。

それを更に回避しようとしたアサシンだが、その片足が茨で動けなくされていた。

 

()()()()()。そのままおっ死ね!」

「っ!」

 

そして粉砕。

剣を持っていた腕を残し、アサシンは消滅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後で聞いてみると、スピカはアサシンの魔力タンクとして使われていたらしい。

そのせいで魔力が十全になったアサシンが暴れていたとか。

スピカ的にはアーラシュが見当たらないことが不満だった。

 

「……ん? 何?」

「……………いえ、なんでも、ないです」

 

ふと視線を感じたスピカが振り返ると、そこには青い顔をした綾瀬夕映がいた。

やはり口に指を突っ込んだのは駄目だっただろうか。

 

「ゆえっ!」

 

そんなことを考えていると、いきなり綾瀬夕映が倒れた。

宮崎のどかが咄嗟に支えたが、ずるりと崩れる。

 

「夕映ちゃん!」

 

倒れると同時に近くにいたみんなが駆け寄ってくる。

暑苦しい。

いや、そうじゃなくて。

 

 

 

スピカは頭を振って綾瀬夕映をすぐに担ぎ上げた。

ここは場所が悪い。

先程まで炎が舞い上がっていた舞台の上である。

 

「エヴァンジェリンのところに行くわよ」

 

こういう時はエヴァンジェリンだ。

きっと何とかしてくれるだろう。

スピカの信頼は重かった。

 

 

 

 

 

 

 

 


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