アーラシュに憑依したオリ主がネギま!の修学旅行中にステラする話   作:偽馬鹿

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酷く遅れた上になんか短めで申し訳ない
次はもっと早くなるように頑張りたいと思います(願望)


綾瀬夕映の聖杯戦争ラグナロク3

綾瀬夕映の聖杯戦争ラグナロク3

 

 

「……っ」

 

集中する。

目の前にある小石がバチバチと紫電を走らせる。

 

その紫電が少しずつ文字を描いていく。

()()()()()だ。

それを綾瀬夕映自身の魔力で刻んでいるのである。

 

熱い。

苦しい。

身体がきしむ。

 

それでもやめない。

これは自分が始めたことだから。

 

 

 

「っ……で、きたです……!」

 

魔力が収束。

そして紫電がおさまった。

 

石に刻まれた火のルーン。

これでこの石は魔力を持ち、神秘を発する魔法具として機能する。

 

「できたですよ!」

「うんうん、おめでとう」

 

石を掲げてドヤ顔する綾瀬夕映と、ぱちぱちと拍手をするロキ。

数時間に及ぶ集中講座によって漸く形になったものが1つ。

 

初めて自分の力になった魔法。

それが嬉しくて、心が躍りそうになる。

 

しかし。

 

スピカの腕が拉げる光景が思い浮かぶ。

それだけで気持ちがぐちゃぐちゃになってしまう。

 

 

 

「まだ気にしてるのかな?」

「……な、なにがです?!」

 

不意にロキに声をかけられ、弾けるように顔を上げる綾瀬夕映。

図星だからだ。

 

しかし内容までは把握されてないだろう。

そう思うことで何とか平静を保つ。

保っているつもりである。

 

「まあこのトラウマは消さない方がいいよねー」

「? なんです?」

「なんでもないよー」

 

ニコニコと笑いながら空中を漂うロキに、怪訝そうな視線を向ける綾瀬夕映。

今の状況もそうだ。

なんと今までの数時間がたったの5分だというのだ。

 

半透明なテントのようなそれは、ロキの手によって作られた特殊な結界だという。

エヴァンジェリンの別荘を見てから即席で作り上げたというが、そんな簡単に同じ効果の物が作れるのだろうか。

 

「神話時代の魔じゅ……魔法使いを舐めないで欲しいね。()()()()()()()これくらい余裕さ」

 

ピースサインをしながら言うロキ。

そもそも彼女はセイバーだったはずなのだが、どういうことなのか。

 

「変容っていうスキルのおかげだね。これで()()()()()()()()()()()()()()()()()のさ」

「それって……」

 

反則ではないか。

と一瞬思ったが、そもそもルール自体が聖杯戦争に存在しているのかわからない。

綾瀬夕映はこの疑問を放り投げた。

 

 

 

「夕映ーお風呂行くよー」

「のどか……?」

 

そういえば。

エヴァンジェリンの別荘から帰って来てからお風呂に入っていない。

それに汗をかいたばかりだ。

 

「今行くですよー」

 

テントを専用の袋に入れると、即座に掌に乗るサイズになった。

便利過ぎる。

勉強机の中にしまい込むと、お風呂セットを手に部屋を出る。

 

「あーちょっと待ってね」

「なんです?」

 

綾瀬夕映が部屋の外に出ようとしたところで、ロキが机の上に置いてあるルーン石を手に取り、きゅっと握った。

するとルーン石を飾りにした見事なネックレスが出来上がった。

 

「……」

「僕からのプレゼントみたいなもんさ。折角弟子が作ったし、お守りに持てるようにってね」

 

弟子か、なんだかむずかゆい。

いやネギ先生の生徒なのであっちも弟子と言えば弟子なのですが。

なんだか誰に言い訳してるのか分からなくなってきた綾瀬夕映であった。

 

 

 

「……」

「……」

 

綾瀬夕映は宮崎のどかと共に女子寮の廊下を歩く。

2人は無言。

宮崎のどかはネギ先生の過去を知り、落ち込んでいるのである。

綾瀬夕映はそんな親友の様子に喋りかけることができずにいた。

 

「ネギ先生があんな大変な思いをしてただなんて思わなかった……」

「そう、ですね……」

 

ゆっくりと、宮崎のどかが切り出す。

綾瀬夕映もそれに同意した。

自分より年下の男の子が背負うには重過ぎる過去。

 

「引き返すなら、今だと思うですよ……?」

「夕映ー……?」

 

ふと、綾瀬夕映の口からそんな言葉が漏れる。

そう、今ならまだ間に合うかもしれない。

あんな酷く傷付く世界から、親友の宮崎のどかだけは解き放つことができるかもしれない。

 

自分はもう駄目だと綾瀬夕映は思う。

ロキの言動でわかる。

自分はどっぷりと魔法の世界に踏み入れてしまっている。

 

ぎゅっ、とルーン石を握る。

これは日常と非日常との境目。

このルーン石を使う時、きっと自分は―――――

 

 

 

―――――瞬間、世界が揺れる。

 

「っ!」

「な、なに?!」

 

何か良くないことが起こった。

そう思った瞬間、綾瀬夕映は宮崎のどかの手を取り駆け出した。

 

『ロキ……!』

『気付くのが早いね。どうやらサーヴァント同士の衝突みたいだ』

 

念話でロキに声をかけると、案の定大事だ。

すぐさま衝撃の伝わる方から逃げ出さなくてはならない。

 

幸い自分達のいる場所から衝突したという場所は遠い様子。

急いで避難しなければならない。

 

しかしどこに……?

綾瀬夕映は考え、即座に寮の出口へと向かう。

 

 

 

そう、ネギ先生のところだ。

 

 

 


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