アーラシュに憑依したオリ主がネギま!の修学旅行中にステラする話   作:偽馬鹿

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自分が死なないからと割と無茶してるスピカです
夕映のこと言えないですね


拾われっ子の冒険事情

「……」

 

ふらふらになっているネギ先生を見て、スピカは自分がどれだけ甘やかされていたか何となくわかった。

本気で訓練するとああなるのか、と他人事のように見つめるスピカ。

 

「ねえスピカ……」

「何? 神楽坂明日菜」

「明日奈でいいわよ」

 

じゃあ明日菜、とスピカは言う。

ネギ先生が教室を出るまでひそひそ声だった明日菜が、出て行ってすぐに普通の声で話しかけてきた。

 

「ねえ、エヴァちゃんの特訓ってそんなに厳しいの?」

「ん?」

 

明日菜が心配そうな顔で聞いてくる。

スピカはいつもの自分の特訓の様子を思い浮かべるが、そんなに厳しくないと思った。

 

「そんなことないと思うけど……どうして?」

「どうしてって……ネギがあんなにふらふらになってるし……」

 

確かにそうだ。

エヴァのことだ、のめり込むと周りが見えなくなるようなところがある。

きっとそれが原因と思う。

 

「というわけで、暫くしたら落ち着くと思うけど」

「そうかなぁ……?」

 

それでも明日菜は納得しないようで、ネギ先生を追いかけることにしたらしい。

それに呼応されるように何人かのクラスメイトが一緒に向かう。

 

「心配性ね……」

 

スピカはぼーっとしながら、辺りを見渡した。

最近はエヴァもネギ先生の特訓で忙しいので一緒にいられないし、アーラシュは今日学園長に呼ばれている。

要するに暇なのである。

 

 

 

「……ん?」

 

ふと、視界の端でこそこそと動く影を見つけた。

スピカはそれが気になり、すーっと視線を向けた。

すると、その先にいたのは長谷川千雨だった。

 

暇なスピカはその後ろをつけていくことにした。

最近友人の枠を広げようと頑張っているスピカであった。

アーラシュに心配かけないようにという配慮でもある。

随分素直になったものである。

 

 

 

とことこ歩きながら物陰に隠れつつ尾行するスピカ。

ちょうど明日菜達も尾行してるころだろうかと思いながら、気配を消そうと頑張るスピカ。

周りからは丸わかりなのだが。

 

すると、長谷川千雨が誰かと合流した。

ふわりとしたスカートを靡かせ、ローブを纏い、胸元に大きなリボンをした少女。

しかも金髪ゆるふわウェーブ。

なんだあれ可愛い。

 

「俺様を待たせるとはどういう了見だ! 沈めるぞ!」

「そればっかりだなお前!」

 

なんと、俺様系女子。

キャラクターまで濃いとは恐ろしい子……!(最近読んだ)

自分も何かするべきだろうかと思うスピカだった。

 

「ん……?」

「どうした()()()()?」

「っ!」

 

長谷川千雨の台詞に、即座に身を隠すスピカ。

今、長谷川千雨は()()()()と口にした。

 

つまりあの少女はライダー。

そして、そのライダーと一緒にいる長谷川千雨はライダーのマスターだということになる。

 

となると、あの長谷川千雨は敵ということになる。

いや、敵になるかはわからないのだが、スピカは極端なのでそう思い込んでいるだけ。

基本的に人を信じてないスピカらしい判断である。

 

 

 

「……いや、何でもねぇ。気のせいだろ」

 

危機一髪。

スピカは一息吐きながらそっと2人の様子を見る。

 

スピカはどうするべきか考える。

このまま追いかけるか、アーラシュと合流するか。

 

 

 

 

「ふん、相変わらずクソ平和そうな町だな」

「騒動は絶えないけどな」

 

結局、スピカは2人を追跡することにした。

まあアーラシュなら見つけてくれるでしょ。

割と楽観的なのもスピカである。

 

それに、放置するわけにもいかないなと思ったのも理由の1つである。

なんだかライダーからはアーラシュとは違う雰囲気を感じたからだ。

いや、性別とかじゃなく。

 

 

 

しかし、スピカが見てる限り危険なことはしなかった。

見る限りはウィンドウショッピングしているだけ。

危ないことはしていなかった。

 

「おい、娼館はないのか娼館は。発散できねぇじゃねぇか」

「やめろ! そういう発言はやめろ!」

「俺様は皇帝だぞ!」

 

……危ない発言はしていたが。

 

とにかく。

スピカが尾行していると。2人は人気のないところへと歩いていく。

まさか……と思ったがどうやらそういう感じでもなさそう。

 

「今日はこの辺りに出るっていうのか?」

「ああ。俺様の()()がそう言ってる」

 

()()か。

スピカは何となくアーラシュのことを思い出しつつ2人の動向を見守る。

もし何かするようならアーラシュにどうにかしてもらう。

他力本願なスピカであった。

 

 

 

「ほら、出てきたぞ」

 

暫くすると、2人を挟んで向こう側から何かが湧いて出てきた。

黒く、人のように見えて人には見えないような何かを感じるそれ。

それが現れるとすぐに、まるで獣のような叫び声をあげながらライダーへと襲い掛かった。

 

「ふんっ!」

 

ライダーは薔薇の花を纏って剣を振り払った。

その軌跡はちょうど黒い何かを斬り裂くように放たれ、両断した。

 

「今日の黒いのは弱いな。存在が薄い」

「そういうの分かるのか?」

「俺様を誰だと思ってる?」

 

凄い、と素直にそう思ったスピカ。

なんというか派手。

アーラシュのように堅実で地味な感じではない何かを感じた。

 

 

 

「―――――で、そこにいるお前は誰だ?」

「っ!」

 

バレた。

 

スピカは振り返ることなく全力で来た道を疾走する。

その最中に魔法の矢を上空に飛ばす。

いわゆる狼煙である。

アーラシュが見てたら向かってくれるだろうという期待である。

 

「痛っ!?」

 

全力で駆け出して逃げようとするが、その前に足を撃ち抜かれる。

足を見るとそれは薔薇の花。

深く刺さっていて抜けそうにないし、走れない。

 

「っ! 氷爆(ニウィス・カースス)!」

 

スピカは貰った魔法薬を投げ捨てるように放ち、魔法を撃つ。

これは護身用としてエヴァから渡されたもので、詠唱短縮できるから便利だと言われたのである。

 

「効かねぇなぁっ!」

 

しかし、ライダーには弾かれてしまった。

確かアーラシュも持っているとか言っていた対魔力だろうか。

なんかズルい。

 

 

 

キィン、と剣を突きつけられて動けなくなるスピカ。

薔薇のあしらわれたそれは綺麗で、人を殺すために存在していないかのようだった。

むしろ使われたことすらないのではないかと思えた。

 

「マスター。現場見られたぜ」

「何してるんだライダー!?」

 

どうやら絶体絶命のようだ。

現場とは今の黒い何かを倒したことだろうか。

どちらにせよ、生殺与奪権は相手にあるわけなのだが。

死なないが。

 

長谷川千雨は慌てているようだが、主従の意思疎通がとれていないのだろうか。

いや、自分もそういうのが取れているとは思えないが。

 

「どうする? 別に殺しても俺様はかまわねぇぜ」

 

ライダーの方は口封じに躊躇はないようだ。

しかし、長谷川千雨の方はどう見ても戸惑っている。

スピカ自身は死なないのでどっちでもよかったりする。

 

 

 

「……駄目だ。私が説得する」

「そうか。マスターがそういうなら仕方ないな」

 

剣が降ろされ、刺さっていた薔薇の花も消えた。

すぐに長谷川千雨が寄って来て物陰へと連れ込まれた。

 

「結局のところ何なの? あの黒いの?」

「知らねぇ。けど、誰にも言うな」

 

絶対だからな、と念押しする長谷川千雨。

そこまで言われたら仕方ない。

誰にも言わないわ、と返すスピカ。

 

実際のところ、誰かに言うメリットがスピカにはなかった。

ザジを巻き込むのは駄目だし、エヴァに話すのもなんか違う。

アーラシュなら何とかしてくれるかもしれないが、それはなんだか嫌だ。

 

というかアーラシュなら何か知ってるはず。

スピカは今日帰ったら問い詰めようと思った。

既に今の会話内容を忘れてる気がする。

 

 

 

「説得できたぞ。これで文句ないな!」

「……まあいいけどよ。後悔しても知らねーぞ」

 

どうやらこれで決着らしい。

スピカは既に傷の治った足を動かしながら歩いていく。

 

 

 

「またね」

「……おう、また明日」

 

 

 

スピカは長谷川千雨の新しい一面を見つけ、ちょっと満足した。

思ったより芯があるわね、と上から目線で思うスピカであった。

 

 

 

 

 

 




データが更新されました


【CLASS】ライダー
【マスター】長谷川千雨
【真名】???
【性別】男性
【身長・体重】158cm・47kg
【属性】秩序・悪
【ステータス】筋力C 耐久B 敏捷D 魔力C 幸運A 宝具C++

【クラス別スキル】

騎乗:C
 騎乗の才能。
 大抵の乗り物なら人並みに乗りこなせる。

対魔力:D
 無詠唱による魔法行使を無効化する。
 魔力避けのアミュレット程度の対魔力。


【固有スキル】

皇帝特権:D
 本来持ち得ないスキルも、本人が主張する事で短期間だけ獲得できる。
 該当するスキルは騎乗、剣術、芸術、カリスマ、軍略、等。
 傀儡として甘やかされていた為ランクが落ちている。

薔薇の皇帝:B
 薔薇を用いた処刑方法などで有名な為獲得したスキル。
 特定の判定に対してプラスの補正を与える。
 該当するスキルは芸術、カリスマ、軍略等。
 また、自身の宝具にも適応される。


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