アーラシュに憑依したオリ主がネギま!の修学旅行中にステラする話 作:偽馬鹿
R15の原因はほぼこの人です
長谷川千雨は頭痛に苛まれていた。
いやネギ先生の暴走でいつも感じてはいるが、それとは原因が違った。
「おい、俺様を待たせるとはどういう了見だ。沈めるぞ」
ふわりとしたスカートを靡かせ、ローブを纏い、胸元に大きなリボンをした少女風の男が長谷川千雨を足蹴にしている。
そう、男である。
男が女装しているのである。
ちなみに金髪ゆるふわウェーブ。
クッソ可愛い(長谷川千雨視点)。
「うるせー! ちょっと待ってくれって言っただろ!」
長谷川千雨はフライパンを振りながら応える。
そう、彼女は料理中である。
畜生、料理とか久し振りで辛いわっ。
慣れない手つきでフライパンを操る長谷川千雨。
1人部屋だったので惣菜で済ませていたのがまずかったのか、と反省する。
「中々美味かったな。まあ満足してやる」
「はぁ……」
疲れた。
長谷川千雨の感想はそれであった。
ライダーと名乗る男が現れたのはつい最近のことである。
具体的には修学旅行が終わった次の土曜日。
南の島に誘われたが断ったのを覚えている。
帰宅した長谷川千雨の前に、家の中にいたのがこのライダーだったわけだ。
最初は不法侵入者かと思ったが、何やら呼んだのは自分だという。
そして、話を聞く内に魔法が関わってきているということが分かったのである。
そう、魔法である。
オカルトそのもののそれを理解するのに時間がかかったが、自分の周りの環境を思い出すと納得するところもないでもなかった。
霊体化された時には信じるしかなくなったわけだが。
「おい、出かけるぞ。支度しろ」
「はぁ!? もう夜中だぞ!」
食事も終わって一息吐こうと考えていたところで、ライダーが立ち上がる。
ふわりといい匂いがする。
じゃなくて。
玄関から出ていこうとするライダーについていく長谷川千雨。
放置すると大変なことになる。
そういう人間だと感じたからだ。
いや、幽霊だろうか。
「どこ行くつもりだ!」
「ふふん。いいもの見せてやるよ」
ずんずんと歩いていくライダーに駆け寄る長谷川千雨。
自分より小さいくっそ可愛い男に先導されつつ、彼女は辺りを見渡しながら歩く。
こんなところを指導員に見られたらたまったものではないからだ。
かといってこのまま放っておくのも違うだろう。
基本的に長谷川千雨はお人好しであった。
「きゃあああああああ!?」
「っ!」
悲鳴が聞こえた。
長谷川千雨がその方向へと向かおうと駆け出すよりも前に、ライダーが駆け出す。
その速度は彼にまるで追いつけないほど。
方向は彼女が向かおうとした先と同じだった。
「……なんだ、これ」
長谷川千雨が現場に辿り着くと、目の前では黒い何かが人間に襲い掛かっていた。
まるで全身に覆いかぶさるように乗りかかっているように見えた。
止めないと。
しかし、長谷川千雨には力がなかった。
あんな
だが。
「おいおい忘れたのか
「っ」
「命令しろよ
それはまるで誘惑だった。
ニヤリと笑うライダーの顔が、まるで悪魔のそれのようで。
しかし、それに抗っている場合ではなかった。
このままでは黒い何かが誰かをどうにかしてしまう。
下手をすれば、死人が出るかも知れない。
そう思うだけの予感がしたのである。
「……っあの人を助けろライダー!」
「了解マスター」
瞬間、薔薇が舞う。
ライダーを覆うように大量の薔薇の花が舞い、そのままライダーが走り出す。
早い。
まるでジェットのように瞬間的に加速し、黒い何かに突撃した。
それによって黒い何かは吹き飛び、壁に直撃した。
「え……」
「早く逃げてください!」
「は、はい!」
誰かは長谷川千雨の必死な声に応えて駆け出す。
怪我がある様子はなかった。
そのことに安堵しながら、長谷川千雨は改めてライダーの方を見た。
圧倒的だった。
薔薇を纏いながら薔薇をあしらった剣を振るい、黒い何かを斬り裂いていくライダー。
その身体には傷一つなく、美しい舞いを踊っているかのようにも見えた。
「はは……はははは!」
綺麗、だと思った。
自分とは違う存在なのだとも思った。
それだけ今の状況が非日常であり、異常だったのだ。
「とどめだ!」
一閃。
ライダーは黒い何かの首のように見えた位置を薙ぎ払い、剣をしまった。
すると、黒い何かはまるで空気に溶けるように消えていった。
「き、消えた……?」
「ふん、大方分身か何かだ。地道に潰していくしかねぇ」
気付けばライダーが纏っていた薔薇の花も消えていた。
綺麗だったのに、と思ったがそれよりも気になったことがあった。
「分身……?」
「ああ。自分を分割できるようなサーヴァントがいるみたいだ。この聖杯戦争、かなりきな臭いぞ」
ニヤリと笑いながら、ライダーは綺麗な顔を長谷川千雨に向けた。
やべぇ、やっぱり可愛い。
その思考を端に追いやりながら、彼女はため息をついた。
「まだ、あんなのが出るっていうのか?」
「ああ。だが今日は出ないだろうさ」
俺の直感だがな、とライダー。
直感のスキル持ってないって言ってたじゃねーかと長谷川千雨。
「俺様は皇帝だぞ。それくらいできる」
「皇帝って関係あるのか?」
「ふふん、教えないよ♪」
きゃるーんとSEが出たかのような表情で誤魔化そうとするライダー。
くそ、やっぱり可愛いな畜生。
誤魔化されることにした長谷川千雨だった。
データが更新されました
【CLASS】ライダー
【マスター】長谷川千雨
【真名】???
【性別】男性
【身長・体重】158cm・47kg
【属性】秩序・悪
【ステータス】筋力C 耐久B 敏捷D 魔力C 幸運A 宝具C++
【クラス別スキル】
騎乗:C
騎乗の才能。
大抵の乗り物なら人並みに乗りこなせる。
対魔力:D
無詠唱による魔法行使を無効化する。
魔力避けのアミュレット程度の対魔力。
【固有スキル】
皇帝特権:D
本来持ち得ないスキルも、本人が主張する事で短期間だけ獲得できる。
該当するスキルは騎乗、剣術、芸術、カリスマ、軍略、等。
傀儡として甘やかされていた為ランクが落ちている。