アーラシュに憑依したオリ主がネギま!の修学旅行中にステラする話   作:偽馬鹿

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他者視点が多めなので、少しずつ進めていく感じです


拾われっ子の戦争事情

「聖杯……戦争?」

「ああ」

 

ある日の夜のこと。

具体的にはネギ先生の訓練初日。

アーラシュがスピカ達に対して言った。

 

「なんだそれは?」

「簡単に言うと俺みたいなのが7人で殺し合いする」

「なんだそれは???」

 

ただし致命的に説明不足。

余りに説明が適当なのでエヴァが「なんだこいつ……」みたいな目でアーラシュを見る。

 

「……で、貴様みたいな奴っていうのは何だ?」

「英霊……過去の英雄って奴だ」

「ふん……アーラシュ・カマンガーと名乗っていたのは伊達ではなかったということか」

 

合点がいった様子のエヴァと、目をキラキラさせるネギ先生。

どうやらネギ先生はアーラシュ・カマンガーを知っているらしい。

スピカは全く知らなかったので、あんまり知名度的に高くないだろうと思ったスピカだった。

別に一緒にいる分には有名だろうが無銘だろうが関係ないとも思っていたわけだが。

 

 

 

「実は聖杯戦争が始まるのが()()()

 

アーラシュが深刻そうに話すので、スピカも耳を傾ける。

そもそも()()()とはなんなのか。

スピカはアーラシュの千里眼のことを知らなかったりする。

 

「この麻帆良学園でか?」

 

エヴァはあり得ないとでも言いたげな表情。

それもそうだ。

こんな学園のど真ん中で戦争を始める馬鹿がどこにいるのか。

 

()()()()()()()()()()()()だな。聖杯も令呪もある。大量の魔力も存在する」

 

ここにな、とスピカの頭に手を載せるアーラシュ。

そういえばザジが聖杯云々言ってた気がする。

ついでに令呪はエヴァがつけてくれた奴だ。

あの状況下で無駄にいい記憶力を発揮するスピカだった。

 

「それで膨大な魔力の方は?」

「ん、あの樹だ」

 

アーラシュが指差したのは麻帆良学園のど真ん中にある世界樹。

その説明を聞いて、なるほどと納得するエヴァ。

 

「聖杯に令呪を直接刻んだ結果、麻帆良中に令呪がばら撒かれた感じだな」

 

細かい原因は分からないが、と一言。

そして、その内1つがネギ先生に現れるということも()()()という。

 

「ぼ、僕にですか!?」

「ああ」

 

間違いないと断言するアーラシュ。

そもそもどうやって知ったのか。

スピカにはにわかに信じがたいことだった。

 

 

 

 

 

 

 

「――――告げる」

 

神楽坂明日奈の全裸召喚事件でたんこぶを作ったが、ネギ先生はその日の内にサーヴァントの召喚をするつもりらしい。

早く謝った方がいいのに。

スピカはそう思ってるが、口には出さなかった。

 

 

「汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に」

 

呪文と専用の魔法陣はアーラシュが知っていた。

呼び出された側なのに何故知っているのかと問い詰めたがスルーされた。

 

「聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」

 

魔力が奔る。

魔法が発動してる証拠だ。

どうやらアーラシュの言うことは真実らしい。

 

「誓いを此処に。我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者」

 

魔力が収束していく。

呪文が完成に向かってる証拠だ。

 

「汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」

 

 

 

魔力の本流が止み、中からは1人の男が現れた。

跪き、首を垂れる騎士が1人佇んでいた。

 

 

 

「サーヴァントランサー、召喚に従い参上した」

「……っ」

 

 

 

その雰囲気に気圧される。

これが英霊。

これがサーヴァント。

 

 

 

 

「―――――問おう。お前が俺のマスターか」

 

 

 

声が響く。

太く、強い声だ。

 

「は、はい! 僕があなたを呼びました!」

 

ネギ先生はいち早く立ち直り、声の主に応える。

すると男――ランサーは顔を上げ、ネギ先生の顔を見た。

 

威圧感が消える。

具体的にはいつものアーラシュから感じる感じに。

 

カシャンと鎧を鳴らし、立ち上がる。

手には武骨な槍と赤い盾。

アーラシュ並みに大きい身長。

鍛え上げられた肉体。

 

「……まだ子供ではないか」

「む」

 

ネギ先生を改めて見たランサーが、見下しながら言う。

見た目からしてプライドが高そうだ。

ネギ先生は見下されてるのがわかったのか、ムカッとした表情。

 

「子供だからなんですか!」

「いや、いかなるマスターであっても勝つのがサーヴァントの務め。失言であった」

「むむむむ!」

 

何やら喧嘩腰。

アーラシュと顔を見合わせて、改めて様子を見る。

 

睨みあっているというか、額と額をぶつけあっているというか。

争いは同レベルの者同士でしか発生しないというか。

 

「似てるわ……」

「同族嫌悪か」

 

そうなのだ。

なんというかそっくりなのだ。

怒り方というかなんというか。

 

「どちらも秩序・善っぽいからな」

「秩序……何?」

「いや、忘れてくれ」

 

 

 

とにかく。

 

暫く喧嘩した後で、2人がこちらに気付いた。

険悪なムードだけど、スピカ的にはあんまり関係なかった。

 

「貴方達がマスターの協力者ですか」

 

ランサーが少し疑わしい目をスピカに向ける。

協力者と言ったつもりはないのだけど、とアーラシュを見るがアーラシュはそっぽを向いていた。

事後承諾って奴か、怒るわよ。

 

「ああ。俺はアーチャーだ」

「あーちゃー?」

 

どうして名前を隠すのか。

スピカは不思議だったが、アーラシュは説明してくれた。

 

「サーヴァントは真名……つまり本名を隠すものなんだ」

「どうして?」

「死因とか弱点を知られないように、だな」

「ふーん」

 

アーラシュの死因は自爆なのに。

図書館島で少し調べたのである。

 

まあ、そういうものだから合わせてくれとアーラシュ。

仕方ないか、とスピカ。

 

 

 

「というわけで、ランサーの真名は内緒な」

「えー」

 

スピカは不満であった。

折角サーヴァントのことも教えたのに。

なんだか扱いが雑な気がする。

 

すると頭にぽん、と掌が乗る。

アーラシュの手だった。

わしゃわしゃと頭を撫でられた。

 

 

 

……まあ、許してやるか。

スピカはそれで満足してやることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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