アーラシュに憑依したオリ主がネギま!の修学旅行中にステラする話   作:偽馬鹿

15 / 34
番外編の番外編扱いなので、読まなくても何とかなるようにしたいです(願望)


綾瀬夕映の聖杯戦争ラグナロク1

 

「はぁ……」

 

綾瀬夕映は憂鬱だった。

 

今朝はネギ先生が先走り、勝手に1人で出かけようとしたところを先回りして一緒に行動した。

その先でドラゴンに出会い襲われたのだが、その際にスピカに怒られたのだ。

 

「覚悟も実力もない人が()()()に関わらないで」

 

全くの正論であった。

しかし、綾瀬夕映はムキになって反論してしまったのだった。

今思えばどう考えても自分が悪かったと分かるのだが。

 

 

 

「はぁ……」

 

綾瀬夕映は憂鬱だった。

 

 

 

 

夜の話。

 

綾瀬夕映は走っていた。

 

「どうして……こんな……!」

 

走りながらも思考を巡らせる。

そう、どうしてこのようなことになったのか。

 

やはり悲鳴を聞いて裏路地へと向かってしまったからか。

それとも倒れていた被害者らしき人に声をかけてしまったからか。

それとも、それとも、それとも……。

 

 

 

「ああ」

 

 

 

こんなことなら、さっさとスピカに謝ればよかった。

 

 

 

「あっ」

 

足がもつれて倒れ込む。

痛い、擦りむいた。

 

辺りには人影はない。

後ろからは全く正体のわからない黒い何か。

 

 

 

「助けて……!」

 

 

 

 

 

 

 

「―――――僕にお任せ!」

 

 

ふわりと、黒い何かと綾瀬夕映の間に誰かが降り立つ。

 

それは神秘だった。

艶やかな長髪をなびかせ、ふわりとスカートをはためかせる。

ズンと一歩踏み出し、黒い何かに立ち向かう。

 

手には剣。

その剣は七色に輝く炎のような剣だった。

 

 

 

「あっ……っ!」

 

ジリッ……と綾瀬夕映の右手に痛みが走る。

身体から何かが削られるような感覚がしてその場から動けなくなる。

右手を見ると、スピカの背中に描かれていた文様に酷似した何かが浮かんでいた。

 

「これは……?」

「それは令呪。僕達を縛る絶対命令権」

 

ふと口にしたそれに応える誰か。

その誰かは少女のようであり、それでいて少年のようでもあった。

服装は完全に女性のソレだが。

 

その誰かに襲い掛かろうとする黒い何か。

危ないと声をかける暇もなく。

誰かは黒い何かをまるで紙のように引き裂いた。

 

「え……?」

「低級霊レベルの存在の薄さ。分身でもしてるのかな?」

 

誰かは血を払うかのように剣を振り、一瞬で消し去る。

まるで魔法のような様子に、綾瀬夕映は目を丸くする。

 

「あなたは一体……?」

 

その台詞に、誰かはニヤリと笑う。

その台詞を待っていた、言いたくて仕方がなかったといった様子。

 

 

 

「―――――ロキ。僕はロキだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――――さて、何から話そうか」

 

パラパラと本をめくりながら、ロキは綾瀬夕映と向かい合う。

題名は『北欧神話大全集』。

 

「一体、何がどうなってるです?」

「そうだね。まずは現状を教えようか」

 

パタリと本を閉じ、新しい本を取り出す。

題名は『聖杯探索』。

パラパラとめくってとあるページを綾瀬夕映に見せた。

 

「聖杯……?」

「そう、聖杯。君はそれを奪い合う争いに巻き込まれた」

 

聖杯戦争だ、とロキは言う。

 

「7騎のサーヴァントと7人のマスターが殺し合うバトルロイヤル。君はそのマスターの1人に選ばれたのさ」

 

おめでとう、とロキは言う。

 

「そんなの……!」

 

ごめんです、という言葉は飲み込んだ。

もはや取り返しのつかないところまできている、ということが分かったからだ。

 

右手の令呪から流れる何かが目の前のロキへとつながっている。

これが魔力というものか。

憧れていた魔法の世界に片足どころか全身どっぷりつかってしまい、戸惑っている。

 

「楽しんだ方が楽だと思うよ。真面目な子は嫌いじゃないけどね」

 

説明が途中だったね。

話を戻そう。

 

「サーヴァントっていうのは簡単に言っちゃうと英霊の劣化版。英霊っていうのは」

「……過去の英雄、ですか」

「うん、大体合ってるね」

 

何となくではあるが、綾瀬夕映はアーラシュを思い浮かべた。

過去の英雄、アーラシュ・カマンガー。

むしろこれだけの要素があって気付けないわけがなかった。

 

「うう……」

「? サーヴァントにはクラスっていうのがあってね」

 

ロキはどこからともなくカードを取り出し、7枚を並べ始めた。

セイバー、アーチャー、ランサー、ライダー、キャスター、アサシン、バーサーカー。

恐らくはサーヴァントの種類だろうと綾瀬夕映は当りを付けた。

 

「その中でも僕はセイバー。剣士として謳われる英雄が収まる最優と言われるクラスさ」

「ロキがセイバー……?」

 

ドヤ顔のロキに剣士としての逸話があっただろうか。

考えを巡らせると、ふと1つの逸話に辿り着く。

そう、冥界の門で作り上げたとされる1振りの剣。

 

 

 

「―――――レーヴァテイン」

「正解。その創造主として僕はセイバーとしての資格を得た」

 

一瞬で剣を取り出すロキ。

七色に輝く炎のようなそれは、不思議な魅力があるように感じられる。

まるで禁忌のそれ。

 

「……っ」

 

意識を保つ。

スピカの傷を思い出し、急速に思考が冷える。

綾瀬夕映はまだ破滅するわけにはいかないのだ。

 

「刺激が強かったね」

 

ぱっと手を開いて剣を消すロキ。

先程までの吸引力は消え、綾瀬夕映は一息吐く。

 

「まあ今のはレヴァンティンの即席品だからランクCくらいかな」

 

綾瀬夕映にはよく分からなかったが、本来のレヴァンティンには遠く及ばないということだけは分かった。

本来の実力を発揮されることのないことを祈る。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ところで、なんで女なんです?」

「こっちの方が親しみやすいかなって思って。君、男嫌いでしょ?」

「まあ確かに」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




誤訳修正

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。