アーラシュに憑依したオリ主がネギま!の修学旅行中にステラする話   作:偽馬鹿

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夕映のことがやたらと引っかかっていたのか一気に筆が進みました。
あとステラも近いので


拾われっ子攻めに転ず

スピカは今まで下っていた山を登り、アーラシュがいるであろう総本山へと辿り着いた。

未だに平原へと流星が降り注ぐ中、アーラシュは総本山の風呂場だったところに立っていた。

 

「ん……スピカか」

「アーラシュ……」

 

スピカのことを見もせずに矢を放ち続けるアーラシュ。

放たれる矢は無尽蔵に湧いてくる鬼やら何やらを穿ち続けている。

 

スピカは不満だった。

先程攻撃された時、千里眼であれば腕が拉げる前に助けられたはずである。

すぐ治るとか慣れてるとかいうのは関係ない。

後回しにするとか許すまじ。

 

「悪いな。手が回らなくて」

「痛かったわ」

「悪かったって」

 

困ったような笑顔を浮かべ、アーラシュはスピカの頭に手を伸ばす。

それを甘んじて受け止めるスピカ。

まあ許してやるかのポーズ。

ちょろいとか言わない。

 

 

 

「お」

「ん?」

 

暫く矢を放ち続けているとアーラシュがスピカを抱えて跳躍した。

スピカはまたかと思いつつ身を任せていると、今まで立っていた場所に石柱がいくつも直撃した。

 

着地すると、アーラシュはスピカを抱えたまま走り出す。

目標は恐らく先程まで矢を放っていた場所。

抱え方が米俵担ぎなのが若干不満。

 

 

 

ではなく。

今の攻撃はなんだったのかである。

スピカの知っている中で攻撃してきたと思われる相手は一人しかいない。

そう、観光中に襲ってきた人影だ。

 

どうしてそんなことをするのか。

決まっている、悪い奴らだからだ。

スピカの思考は割と極端である。

 

 

 

「ッスピカ!? どうしてここに!?」

「スピカさん!?」

 

開けた場所に出ると、そこで鬼と戦っている明日菜と刹那に声をかけられた。

それはむしろこちらの台詞なんだけど。

スピカがそう口にしようとしたところで森の向こう側から轟音。

 

振り向くと、その方向には巨大な光の柱が立っていた。

そして根元の方からは咆哮。

 

―――――何かが現れようとしていた。

 

 

 

「2人とも、行った方がいいな」

「痛っ」

 

アーラシュが言うとスピカをその場に落とす。

顔面から落ちたスピカはつい呻くが、それをスルーしてアーラシュは弓を構える。

 

即座に矢を連射。

辺りの鬼達を一掃する。

的確に急所を貫いたその攻撃に、見事と零す鬼もいた。

 

 

 

「ここは任せろ」

 

 

 

自信に満ち溢れた声。

それはまさに英雄のそれ。

有無を言わさぬ威圧感に、明日菜と刹那は気圧される。

 

「お、お願いします!」

「頼んだわっ!」

 

少し動けなくなったものの、気を取り直したかのように2人は走り出す。

2人を追う影はない。

アーラシュの矢に射抜かれたからだ。

 

「そこの子は動かないように」

「えーそんな殺生なー」

 

アーラシュが草むらに向けて矢を放つ。

するとそこから少女が顔を出した。

ゴシックロリータの衣装に眼鏡。

可愛らしいという言葉が似合うその姿とは裏腹に、2振りの小刀を持っていた。

 

 

 

「死ぬのは嫌だろ? 引いてくれないか?」

「んー……」

 

ギリギリと弓を引き絞るアーラシュからはいつもと違う雰囲気。

嫌な感じがするが、スピカは我慢してアーラシュの服の端を握った。

 

「ではー給料分働いたということでー」

 

軽く一礼。

少女はすぐにいなくなった。

未だにスピカが練習中の瞬動だろうか。

いつも顔面で滑るように着地するからあんまり好きではないのだが。

 

 

 

アーラシュの雰囲気が元に戻り、スピカは一安心して手を離す。

するとアーラシュは振り返り、手招きをした。

 

「アイヤー。出番なかたアルヨー」

「流石に、働かずに報酬をもらうわけにはいかないな」

 

なんと、背後からは古菲と龍宮が現れた。

全く気配を感じなかったスピカは戦慄した。

いや、スピカに気配察知能力とかないのだけれど。

 

 

 

「いや、まだ仕事をしてもらいたい」

「ん?」

「んぇ?」

 

アーラシュはスピカを持ち上げると、ふわっと龍宮に投げた。

見事にキャッチされたスピカはそのまま綺麗に抱きかかえられた。

しかし米俵担ぎ。

 

「スピカの護衛として、クラスメイトと合流して欲しい」

「ふむ……」

「あんみつ3つ」

「引き受けよう」

 

私の身柄があんみつ3つか。

スピカは戦慄した。

 

とか考えてる間にアーラシュはいなくなっていた。

どうやら瞬動をマスターしていたらしい。

ずるい。

 

 

 

「で、どうする? このまま帰るか?」

「嫌ヨ。暴れ足りないアル」

 

シュッシュッとシャドーボクシングをする古菲。

暴れられると思ってこれでは不完全燃焼だろう。

 

「スピカはどうだ?」

 

龍宮がスピカに聞いてくる。

というか降ろしてくれないのね。

身長が足りないから自力で降りれないスピカ。

 

「別に。クラスメイトと合流するわ」

「ほう」

 

 

スピカはぶっきらぼうにそう言う。

アーラシュめ、見てろ

スピカは燃えていた。

 

 

 

そう。

別に裏切るわけじゃない。

ちょっと勘違いするだけだ。

 

 

 

「明日菜や刹那に合流する」

 

 

 

龍宮がニヤリと笑った気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 


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