イナズマイレブン 〜サッカーやりたくないのか?〜   作:S・G・E

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 人脈システムとか最初の一人は雷門家の黒服に隅々まで調べられてんだろうなーと考えながら展開を無理やり捻りだしました。

なかたには犠牲になったのだ
オリ主のストーリー介入…その犠牲にな
そもそもは二次創作の概念が生まれた時からある大きな問題だ
それがなかたにの生き様(未登場)を決めた


2話 エイリア学園との邂逅

「ああやっと来たか!心配したよ二人共!」

「遅くなってすいません叔父さん。見ての通り二人共無事です」

「うむ、善哉善哉。二人共優等生らしいが、こうして元気ならそれで良い!」

「あぁはい」

 

 シカ公園を去り、創良と日天が向かったのは奈良シカTV局。両親を失った二人の後見人である叔父、はこの放送局の重役として勤めている。

 

「取り敢えずここで待っていてくれ。もう少しで帰ることが出来るから」

「ああその話ですが…「専務大変です!」」

 

 叔父に今後の予定を話そうとした時、若い男が血相を変えて駆け込んで来た。

 

「こんな時になんだ‼」

「エイリア学園ですよ!」

「な、何だと!?」

 

 よほど火急の用件らしい。いやそうでなくても現状エイリア学園に関する情報については些細なことでも重要案件だろう。

 

「……散歩でもするか」

「ホント!?はい、はい!日天買い食いしたい!」

「分かった分かった。行こう」

 

 日天の要望もあってスタジオを出て街の散策を始める。入れ違いになった集団に気付くことは無かった。

 

 

 

 ~~~

 

 

 

「まっちあっるきー、ふったりたび~!」

 

 海隣学園が規律が厳しい校風だったこともあり優等生らしく振る舞っていた頃から一転はっちゃけて奈良を満喫しようとしている。1件目はGマート、つまるところ全国区展開のコンビニだ。

 

「コンビニエンスストア奈良店!コンビニエンスストア奈良店だよお兄ちゃん!日天初めて入る!」

「略してコンビニな。あと奈良店はここだけじゃないぞ」

 

 兄とつないだ手をぶんぶんと振りながら意気揚々と自動ドアを通る。

 

『いらっしゃいませー』

 

 定型文として放たれる店員の挨拶にすら日天は目を光らせて感激する。

 

「キャー!いらっしゃいませだって!日天達VIP待遇!?はっ!ドレスコードとか大じょうみゃっ!?」

「すいませんこいつミーハーで」

 

 興奮しきりの日天の頭に軽く拳骨を入れる。

 

「迷惑だからこれ以上騒ぐなよ」

「はーい!」

 

 それでもまだ落ち着きがなくなりそうになかったのでアイスクリームを買い強引に店から引っ張り出す。葦川創良誕生より15年。コンビニに対して初めて申し訳なさを覚えた瞬間だった。

 店を出て早々にアイスを取り出す日天。その姿で和もうと思っていた矢先に携帯に見覚えのない番号から電話がかかってきた。

 

「もしもし」

『市街地の大きな階段に来てほしい』

「……おい、誰だアンタ」

 

 名前も名乗らず、ある場所に来いとだけ言って電話を切る。まともな神経を持っているなら付きあうわけがない。

 だが先のテレビ局でのエイリア学園が云々。自分の知識ですべて正しい決断ができるとは言い切れなかった。しばらく考えた末に、創良は日天を連れて指定された場所に向かうことを決めた。

 

「日天」

「待ってお兄ちゃん、日天は今チョーワルの世界に踏み出しているんだよ」

 

 どうやら日天の中では道の隅で三角座りをしながらアイスに舌鼓を打つのは極悪人になるらしい。では巷で話題のエイリア学園はどうなるのか。そう考えて連中は宇宙人だったと思いだした。

 

「ちょっと用事が出来たから早目に食い終わってくれるか?」

 

 腕を組みながら足をコンコンと鳴らす。日天は創良のその癖を知っていた。何か大事な時、急いでいる時に無意識に出てしまう苛立ちのしるし。それを見て日天は慌ててカップ型のアイスを完食し、しっかりとごみ箱に捨てる。よい子の見本である。

 

「うー頭にキーンとくる~名付けてアイスクリーム頭痛……」

 

 日天の冷めないテンションにはいはいとそっけなく付き合いながら目的の会談にただりつくその先には――

 

『あー!お前は!』

「……成る程ね。そう言う訳か」

 

 見覚えのあるジャージ姿が十人。雷門中学のメンバーだった。

 

「それで、FF優勝校の君たちが俺に何か用かな?」

「俺たちに力を貸してくれ!」

 

 円堂が言うにはついさっきSPフィクサーズとの試合を終え和解してすぐに公園のビジョンにエイリア学園ジェミニストームが映し出され、逆探知の結果、奈良シカTV局に現れたと判明した。時間は創良達が局を出る少し前。つまりあの男はエイリア学園の情報が入ったからあわてていたのではなく、本人が登場したので顔色を変えていたということ。

 

「まったくまぎらわしいな……」

「でも間違いないんだ!塔子やSPの人達もTV局に入っていったし俺たちも行かなきゃ!」

 

 円堂達はFF優勝チームだが世間一般から見れば大人のSPの方が頼りになるように感じるだろう。彼らが先にTV局に入って行ったことで雷門中は門前払いを受ける羽目になる。

だが諦めることはなかった。現実として、どうやって情報を得たかは知らないがTV局の専務とコネを持つ創良に接触しているのだから。『熱血バカで直情的』。円堂の内面はほぼこれで完璧に説明できる。一度決めたら絶対に曲がらないタイプだと理解した創良は早々に折れた。

 

「ついて来い」

「あ、おい!」

 

 それだけ言うと手持ちの二人分のカバンを投げ渡し、日天を背負って走り出す。当然目的地は奈良シカTV局なので円堂たちも後ろに続いていく。

 

「また君たちか。何度言っても、ん?そこの私服の君は確か……」

 

 SPチームが居るから子供はお払いという守衛が居た。判断は正しいが雷門イレブンの実力を自身の目で見た創良にしてみればそれは間違いだと言える。そのため、創良は躊躇いなく最高の手札を切った。

 

「もしもし叔父さんですか?今局の前にいます」

『何!?いかん!今はいかんぞ危険すぎる』

「エイリアでしょう?映像は見ました。もうここまでくると足元の局の方が安全です」

『むむむむむ…………仕方ない。守衛が居るんだろう?変わりなさい』

 

 怪訝そうに携帯を受け取る守衛。

 

「……ええっ!?いいんですか?はい。はい。わ、分かりました」

 

 複雑そうな顔をしながらも指示通りに全員を通してもらうことが出来た。

 

「場所は最上階だったな。こっちだ」

「おう!」

 

 TV局だけあって高層、しかも危険性を考えればエレベーターも使えない。日頃から練習漬けの雷門中は勿論、日天を背負った創良も迷わず階段を選んだ。

 

「うっ、ぐうぅ!」

「スミス!みんな!くそぉ、よくも!」

 

 ようやく屋上にたどり着いた時、既にSPとジェニミストームとの試合は続行不可能なレベルに達していた。原因は言うまでもないがSPフィクサーズの選手のリタイア。唯一財前総理の娘、塔子が無事だったが最後のターゲットだったというだけ。

 

「そこまでだっ!レーゼ!」

 

 知人の窮地を前に円堂が様子見などする性格なはずがなく、勢いよく屋上へ飛び出していった。

 

「ほう、あの時の地球人か?それに……」

「……?」

 

 望んだわけではないが遂にエイリア学園と対面した創良。だが相手チームの主将、レーゼと呼ばれた男から奇妙な視線と共に奇妙な視線を向けられた。

 

「成る程、奴があの方の言っていた……」

「あれがエイリア学園の宇宙人か?」

「コンビニの抹茶ソフトみたいな人だね」

「まぁ残念な髪型ではあるな」

「んなっ!?」

 

 しかし創良はだからどうしたと言わんばかりにいつの間にか背から降りていた日天に合わせてレーゼを挑発する。

 

「フン!地球にはこんな言葉がある『藁苞に小金』とな」

「見た目がアウトなのは認めるのな君」

「……ハッ!今のうちにせいぜい吠えるがいい弱い犬め」

 

 言葉での応酬に飽きたかはたまた敵わないと思ったかは分からないがレーゼは話題を打ち切り円堂に向き直る。

 

「勝負だレーゼ!今日こそお前に勝つ‼︎」

「そっちの連中もまだ懲りないらしい、いいだろう。今回は少しだけ本気を出してやる」

 

 レーゼの最後の一言で周囲に動揺が走る。これまで全国各地であれだけの破壊活動を行ってこの試合が始めて本気を出すのだという。

 

「上等だよ!円堂!あたしも一緒に戦わせてくれ!」

「ああ。塔子がいるなら百人力だ!」

「公式戦でない以上選手の参加は可能。そして実力は間違いなく全国区レベルだ。俺たちも異存はない」

「よぉし!やってやろうぜ皆!」

『「「おおおぉっ!」」』

 

 円堂に次ぐチームの牽引役、染岡の発破でみんなが勢い付く。雷門のマネージャー3人も今回ならと期待の眼差しを向けている。

 

「えっとそれで……君は」

「……はい?俺?」

 

 何故このタイミングで自分に矛先が向くのか創良には分からなかった。

財前塔子が加わり打倒エイリア学園!で終わらないのが雷門ひいては空気を読まない円堂らしさの一端なのだが、巻き込まれたと感じる創良からは戸惑いしか出てこない。

 

「さっき公園でキック見せたじゃん!俺その時スゲー奴だって思ったんだ!サッカーやってるんだろ」

 

 周りの皆も『そう言えばあの時』『やんす』『すごかったよな』『やんす』と少しずつ期待を寄せ始めている。

 創良は瞬時に思考する。『これ断ったらあかん流れやん』と。

 

「お、お兄ちゃん?」

「え……と。まぁあれだけ挑発して俺は見てるだけなんて無責任か」

 

 ちらとエイリア学園を見るとレーゼが『フフ……抹茶ソフトなどと、後悔させてやる』などとブツブツ言いながら創良を射殺さんばかりに睨みつけている。

 

「それじゃあ!」

 

 ついさっきまでの戸惑いとは全く違う、90%満面の笑みを浮かべる。後の10%は引き攣った頬による減点だ。

 

「葦川創良だ。力を貸すよ雷門イレブン」

「くぅ~!そうこなくっちゃ!よろしくな葦川!」

 

 話はまとまり、円堂と創良は握手を交わそうとする。

 

「待ちなさい」

 

 その直前に間を割って一人の女性が現れる。水を差すように現れたその姿に全体の空気が引き締まる。

 

「瞳子監督!」

 

 イナズマキャラバンを率いる吉良瞳子。鉄仮面を被っているのかと見紛うほど冷たい表情で円堂と創良の交互を見据える。

 

「監督だって見てたでしょう。俺たちの必殺技を軽々と返して見せた!」

 

 瞳子が創良の参加に反対するのかと考えてチームのMF一之瀬一哉が反論しようとするが瞳子は首を振って否定する。

 

「私も彼が加わることに問題があるとは思わないわ。ただし指示が一つ」

 

 創良と日天以外の全員が息を飲む。瞳子は口数が少ないものの先のフィクサーズでただ一人メンバーの不調に気付き、勝利の為に戦術を組み立てた。

 今回の負けられない試合、どんな指示を出すのだろうかと

 

「葦川君。あなたには後半から出てもらいます」

「はいな~……………………え、それだけ?」

 

 いつまでも返事のない瞳子に創良は締まらない突っ込みを入れた。




初試合ベンチスタートはスポ根の王道やで!※ただし超次元サッカー

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