ハイスクールDevil×Ex-aid   作:不知火新夜

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今回で各ライダーの戦闘パートは終わり、次回は後日談です。



82話_破壊と創造の神、その名はDecade!

「あ、あら?此処は何処かしら?」

 

同刻、リアスも見知らぬ場所で目覚め、己が眼に映る光景に戸惑いを隠せなかった。

リアスが目覚めた場所、それは荒涼とした平原だった。

 

「何か私に仕掛けられた、という訳ね。グレモリー家の次期当主たる私に随分な真似をしてくれるわ…

不味いわね、デンジャラスゾンビガシャットも、シャカリキスポーツガシャットも無いわ。あるのはマイティアクションXガシャットと、あら?何かしらこのガシャットは?」

 

若くして管理者に選ばれたその素質故か、或いは一誠達と共に仮面ライダーとして戦い続けた中で成長して来た故か、自らの身に何か仕掛けられたと判断したリアスは、この状況を打開すべく、所有しているガシャットを確認したが、自らを超越者と同等の存在に昇華させる白いガシャットも、レベルアップさせるライムグリーンのガシャットも無い。

あるのは変身に用いる紫のガシャットと、何時の間にかホルダーに差さっていた、マゼンタカラーのラベルが貼られていないガシャットだけだった。

 

「よぉ。お前がリアス・グレモリーか」

「あ、貴方は?」

 

手に入れた覚えのないガシャットの存在に疑問を覚えるリアス、だがそれを考える暇は彼女に与えられなかった。

リアスの背後からの呼びかけに振り向いた彼女、其処には某嘗ては凄腕の魔戒騎士だったがとある一件で闇落ちしたホラーとそっくりな青年がいた。

 

「通りすがりの仮面ライダーだ、覚えなくて結構だ。お前、魔王になりたいんだってな」

 

何時の間にか背後にいた青年に驚くリアス、そんな彼女の咄嗟に出た問いかけに、青年は暈しながらも律義に答えながら、そう問い掛け、

 

「それを叶えられる程の力があるか、試させて貰う。変身!」

『KAMEN RIDE!DECADE!』

 

戦意をむき出しにしながら、マゼンタカラーのカメラを思わせるバックルらしき機構を開き、其処に左腰のカードファイルらしき装備から取り出したカードを装填、鬼ごっこ番組のナレーションで有名なナレーターの声による読み上げに応じる様にバックルを閉じた。

 

「仮面ライダーディケイド、世界の破壊者だ」

『ATTACK RIDE!SLASH!』

 

すると、複数もの銀色の幻影が重なると共に青年の姿が変貌、顔の部分に7枚の板らしき物が刺さり、マゼンタカラーを基調とした戦士――仮面ライダーディケイドとなり、更にカードを読み込ませ、左腰のカードファイルを長剣に変形させ、構えた。

 

「どうやら、戦いは避けられそうに無いって訳ね」

『マイティアクションエックス!』

「グレード2、変身!」

『ガシャット!ガッチャーン!レベルアップ!マイティジャンプ!マイティキック!マイティアクショォォォォン!エックス!』

 

その様子からしてディケイドが戦う気満々なのを理解したリアスは覚悟を決め、何時も通りの手順でゲンムに変身した。

 

「仮面ライダーゲンム、か。そういえば此処はエグゼイドの世界だったな。なら、コイツだ」

『KAMEN RIDE!EX-AID!』

『マイティジャンプ!マイティキック!マイティマイティアクション、エックス!』

「え、エグゼイドになった!?」

 

その姿を見たディケイドは、何処か意味深な事を呟きながら新たなカードをバックルに装填、するとその姿が、驚くべき姿に変貌した。

リアスが狼狽えるのも無理はない、その姿は彼女の恋人である一誠が変身する仮面ライダー、エグゼイドだったのだから。

とはいえ、手に持っている武器はガシャコンブレイカーでは無いし、腰に巻いているベルトもゲーマドライバーではないという違いはあるが。

ゲンムもそういった目に見える違いがあったが故か直ぐに落ち着きを取り戻し、飛び掛かって来たディケイドの剣撃を受け止めた。

 

「驚くのはまだ早いぜ」

『FORM RIDE!EX-AID!ROBOT!』

『ぶっ飛ばせ!突撃!激突パンチ!ゲキトツロボッツ!』

「ロボットアクションゲーマーにまでなった…!」

 

だが驚く事はまだあった、新たなカードを装填すると、何処からともなくロボットゲーマが出現、それはそのままエグゼイドに変身していたディケイド――ディケイドエグゼイドに鎧として装着、ロボットアクションゲーマーレベル3にレベルアップしたのだ。

その姿に驚きを隠せないながらも、どういう形態なのか理解していたゲンムは即座に飛び退き、数瞬遅れて繰り出されてきた左腕によるパンチを難なく回避していく。

 

「流石に大振りな攻撃は通じないか、なら」

『FORM RIDE!EX-AID!SPORT!』

『シャカリキシャカリキ!バッドバッド!シャカットリキット!シャカリキスポーツ』

「そらっ!」

「くっ!流石にスポーツアクションゲーマー相手にこれではキツいわね…!」

 

だが、新たなカードによってスポーツアクションゲーマーレベル3となったディケイドエグゼイドの変幻自在な立ち回りには苦戦、両肩に付けられた車輪パーツによる攻撃を食らい、胸のディスプレイが示す体力が少しずつ減って行った。

 

「次は、コイツだ」

『FORM RIDE!EX-AID!FULL DRAGON!』

『ド・ド・ドラゴ!ナーナナナーイト!ドラ・ドラ・ドラゴナイトハンター、ゼェット!』

「な、何なのその姿は!?」

「コイツを知らないのか、エグゼイドの世界にいながら?なら、その身で思い知れ!」

 

更に、新たなカードによって呼び出したドラゴンみたいな姿のロボット――ドラゴンゲーマと合体した姿――ドラゴンアクションゲーマーレベル5・フルドラゴンの姿に驚き、その驚異的な戦闘スペックに追い詰められていった。

 

「どうしたリアス・グレモリー!お前の魔王になりたいと言う想いはそんな物か!?」

 

頭に装着されたドラゴンの頭を思わせる装甲から放たれる火球、左腕に装着された小銃からのエネルギー弾、右腕に装着された剣による斬撃…

多種多様な攻撃を、罵倒しながら繰り出すディケイドエグゼイドの勢いを捌ききれずに食らっていくゲンム、その体力ゲージがみるみる減って行き、遂には危険域であるレッドゾーンに達し、吹っ飛ばされてしまった。

 

「そんな訳、無いでしょ…!」

 

圧倒的な力の差を見せつけられるゲンム、状況は絶望的と言っても過言では無かったが、それでもあきらめる事無く立ち上がろうとする。

 

「私は魔王になる。魔王になって、悪魔社会を、世界をより良い方向に導いて見せるわ。

 

 

 

私は忌むべき物を破壊し、輝かしき未来を繋いで見せる!それが私の、イッセー達の主たる私の想いよ!」

 

魔王になるという夢への想いの丈を打ち明けながら立ち上がったゲンム、それに呼応するかの様にマゼンタカラーのガシャットが発光、それに気づいたリアスが取り出すと、

 

「『BARCODE WARRIER DECADE』…

この力、何だか行ける気がする!」

『バーコードウォーリアーディケイド!』

 

そのガシャットには既にラベリングが施され、『BARCODE WARRIER DECADE』のタイトルと、ディケイドらしき存在がデカデカと描かれたラベルが貼られていた。

それを起動すると、ゲンムの背後に『BARCODE WARRIER DECADE』のタイトル、ディケイドが決めポーズを取る姿がデカデカと描かれたスクリーンが出現、

 

「グレード7!」

『ガッチャーン!ガシャット!』

「はっ、一丁前に破壊者を語りやがって。悪いが、花を持たせる積りは一切無いぜ」

『KUUGA!AGITO!RYUKI!FAIZ!BLADE!HIBIKI!KABUTO!DEN-O!KIVA!』

 

それをゲーマドライバーに装填、している最中、ディケイドエグゼイドも動いた。

何処からともなく、携帯ゲーム機を思わせるアイテムを取り出して操作すると、電話の呼び出し音らしき音声が流れ、ディケイドエグゼイドの姿がブレると共に元のディケイドの姿に戻った。

 

『ガッチャーン!レベルアップ!マイティジャンプ!マイティキック!マイティアクショォォォォン!エックス!アガッチャ!通りすがる!世界巡る!おのれディケイドォォォ!』

『FINAL KAMEN RIDE!DECADE!』

「通りすがりの仮面ライダーよ。覚えておくと良いわ!」

「人の台詞を取りやがって」

 

そしてゲンムはレバーを開き、エグゼイドはアイテムを更に操作すると、まずゲンムの頭部にディケイドのそれらしき7枚のプレートが刺さる。

此処から、額にディケイドらしき仮面ライダーの絵が描かれたカードが装着され、両肩及び胸にカードホルダーらしき装甲が展開、其処に9人の仮面ライダーらしき存在の絵が描かれたカードが装填、そして目が赤紫色に変色、という一連の流れが双方同時に行われ、其々新たなる姿――仮面ライダーゲンム・ディケイドアクションゲーマーレベル7と、仮面ライダーディケイド・コンプリートフォームとなった。

新たな姿となってテンションが上がったのか決め台詞を叫ぶゲンム、その決め台詞が自分のそれだったのかディケイドがツッコんだのを皮切りに、再び戦いは始まった。

チェーンソーモードとなっているガシャコンバグヴァイザーを持つゲンムと、カードファイルが変形した長剣を持つディケイド、両者の立ち回りは先程とは打って変わって互角の物となった。

 

『ガッシューン!ガシャット!クウガ!クリティカル・キック!』

『KUUGA!KAMEN RIDE!ULTIMATE!FINAL ATTACK RIDE!KU-KU-KU-KUUGA!』

 

それを受けてかゲーマドライバーに装填していたマゼンタカラーのガシャットをガシャコンバグヴァイザーに装填するゲンム、すると画面に9個のアイコンが出現、その中から『ク』『ウ』『ガ』を組み合わせたアイコンを選ぶ、と同時にディケイドもまた、バックル部分に装填していた携帯ゲーム機型のアイテムを取り出し、同じアイコンを選ぶと、両者の側にクワガタ虫を思わせる黒と金色の仮面ライダーが出現、更なる操作と共に双方右足にエネルギーを纏って飛び蹴りを放ったが、これは威力が互角だったのか相殺され、双方吹っ飛ぶ結果に終わった。

 

『アギト!クリティカル・クラッシュ!』

『AGITO!KAMEN RIDE!SHINING!FINAL ATTACK RIDE!A-A-A-AGITO!』

『ブレイド!クリティカル・フラッシュ!』

『BLADE!KAMEN RIDE!KING!FINAL ATTACK RIDE!B-B-B-BLADE!』

『響鬼!クリティカル・セイバー!』

『HIBIKI!KAMEN RIDE!ARMED!FINAL ATTACK RIDE!HI-HI-HI-HIBIKI!』

『カブト!クリティカル・サイクロン!』

『KABUTO!KAMEN RIDE!HYPER!FINAK ATTACK RIDE!KA-KA-KA-KABUTO!』

『キバ!クリティカル・ブレイク!』

『KIVA!KAMEN RIDE!EMPEROR!FINAL ATTACK RIDE!KI-KI-KI-KIVA!』

 

その後も双方、龍を思わせる赤と銀の仮面ライダーと共に、光を纏った剣撃を繰り広げたり、カブト虫を思わせる金色と青の仮面ライダーと共に、前方に現れた5枚のトランプを思わせるエネルギーの板を潜り抜けながら斬撃を放ったり、鬼を思わせる真紅の仮面ライダーと共に、炎の様なエネルギーを纏った巨大な斬撃を振り下ろしたり、カブト虫を思わせる赤と銀の仮面ライダーと共に、強大なエネルギーの砲撃を放ったり、蝙蝠を思わせる赤と金の仮面ライダーと共に、刀身が真紅に輝く武器で斬り合ったり…

強力な攻撃をぶつけ合うが、見た目はおろかパワーも同じなのか、互いに決定打にならなかった。

とはいえ、全てが全て完全に同じという訳では無く、

 

『龍騎!クリティカル・ストーム!』

『RYUKI!KAMEN RIDE!SURVIVE!FINAL ATTACK RIDE!RYU-RYU-RYU-RYUKI!』

 

龍を思わせる赤い仮面ライダーと共に放った攻撃は、ゲンム達は同じく呼び出した、バイクらしき機構を取り入れたドラゴンに搭乗し、ドラゴンの口から火球を放ちながらディケイド達を轢き殺そうとしたのに対し、ディケイド達は炎を纏った斬撃を放って火球と相殺、爆発によって双方吹っ飛び、

 

『ファイズ!クリティカル・スマッシュ!』

『FAIZ!KAMEN RIDE!BLASTER!FINAL ATTACK RIDE!FA-FA-FA-FAIZ!』

 

機械的な姿の赤い仮面ライダーと共に放った攻撃は、ゲンム達は右足に真紅のエネルギーを纏いながら飛び蹴りを放ったのに対し、ディケイド達は大砲を思わせる武装から赤いエネルギー状の砲撃を放って相殺、

 

『電王!クリティカル・パンチ!』

『DEN-O!KAMEN RIDE!LINER!FINAL ATTACK RIDE!DE-DE-DE-DEN-O!』

 

電車を思わせる仮面ライダーと共に放った攻撃に関しては、ゲンムが呼び出した側は胸の装甲がターンテーブルを思わせるそれ、顔の仮面が桃を剥いたかの様なそれで、左腕に己を思わせる金色の物と龍を思わせる紫の物、亀を思わせる青色の物と計3つの装甲が装着された姿、ディケイドが呼び出した側は胸の装甲や顔の仮面が新幹線を思わせるそれで、仮面を組み合わせた装甲を有した奇妙な姿の剣らしき武器を構えた姿と、共に戦う仮面ライダーの姿まで違い、ゲンム側は左腕にエネルギーを纏った状態で飛び掛かりながらパンチを放ったのに対し、ディケイド側は新幹線を模したオーラに乗って突進して激突、双方吹っ飛んだ。

 

「これで決めて見せるわ!」

『ガッシューン!ガシャット!キメワザ!バーコードウォーリアー・クリティカル・ストライク!』

「世界の破壊者を舐めるな!」

『FINAL ATTACK RIDE!DE-DE-DE-DECADE!』

 

これでは埒が明かないと双方考えたのか、ゲンムは何時も通りの手順でマゼンタカラーのガシャットを左腰のスロットに装填、一方のディケイドも携帯ゲーム機型のアイテムを操作する事無く、右腰に据えたバックルにカードを装填、双方右足にエネルギーを纏って、

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」」

 

飛び蹴りを放った。

だがこれも結局、数瞬の拮抗の果てに相殺され、双方吹っ飛ぶ結果に終わった。

 

「中々の強さだな、魔王になると豪語するだけの事はある」

「なっ待ちなさい!」

 

このまま戦いは続くと思われたその時、立ち上がったディケイドがそう呟いたと思ったらいきなり背を向けて立ち去ろうとし、彼を守ると言わんばかりに銀色のオーロラを思わせるエネルギーがディケイドとゲンムの間に現れた。

 

「じゃあな、縁があったらまた会おう」

 

立ち去ろうとするディケイドを止めようとするゲンムの叫びも空しく、ディケイドはそのエネルギーに溶けていく様に消え去った。


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