ハイスクールDevil×Ex-aid   作:不知火新夜

80 / 143
67話_誇り高きBeast&Twins

そして時刻は現在に戻り、

 

『ソーナ・シトリー様の兵士2名、リタイア』

「どうやら、予想通りの展開になりましたね。さて、俺達も続くとしよう、木場」

「ああ!行くよ、イッセー君!」

『タドルクエスト!』

『ナイトオブサファリ!』

『マイティブラザーズダブルエックス!』

 

一誠が言っていた通り元士郎と留流子がリタイアした事を伝えるアナウンスが流れた為に、動揺が広がる椿姫達を他所に、2人は変身すべく、其々のガシャットを取り出した。

祐斗は何時も使用している水色のそれに加えて、グラファイトから託されたらしいベージュのガシャットを、一誠は夏休み前に完成させたオレンジと水色のツートンカラーで、ドクターマイティXXガシャットと同じ大型のガシャットを起動させ、

 

「行くぞ、ゲノムス!ライダー!」

「術式レベル5!」

「「変身!」」

『ガシャット!』

『ダブル・ガシャット!』

『『ガッチャーン!レベルアップ!』』

『辿る巡る!辿る巡る!タドルクエストォォォォ!アガッチャ!ライオン!シマウマ!キリン!真夜中のジャングル!ナイトオブサファリ!』

『マイティブラザーズ!二人で一人!マイティブラザーズ!二人でビクトリー、エックス!』

 

何時もの手順で変身する。

まずは祐斗、出現した水色のパネルを潜ると、何時もの様に異空間へと転移する事無く、頭にはライオンを模した兜、身体にはヒョウ柄の装甲、右手には装甲と同じくヒョウ柄の剣、左手にはこれまたヒョウ柄の鉤爪を装着した姿――仮面ライダーブレイブ・サファリクエストゲーマーレベル5に変身が完了した。

一方の一誠は、レベル1に変身するかの様な演出が繰り広げられる中、何時もの様に出現したパネルの中から、右半分がオレンジ、左半分が水色と、髪と眼の色が変色したエグゼイドらしきパネルを選択、『Select!』の文字と共に、エグゼイドのレベル1としてのそれに、髪と眼の色以外が酷似した姿に変身した。

勿論、全く同じという訳ではない。

 

「イッセー君、胸のコントローラーが随分と様変わりしているね。それに体力ゲージが何倍にも増えている様な…」

「様な、ではなく、実際に増えている。マイティブラザーズXXガシャットを用いて変身したこの仮面ライダーエグゼイド・ダブルアクションゲーマーのレベルはX。Xはローマ数字で10を表す他、未知な物に対してとりあえず付けて置く名としても使用される。そう、レベルXは2桁の壁を越え、尚も計り知れぬスペックを有する形態に与えた、強大なる力の証だ!」

 

ブレイブが言う通り、ダブルアクションゲーマーレベルXの姿となったエグゼイド、その胸のディスプレイに表示される体力ゲージは3本もある他、コントローラー状の機構も、オレンジ、黄色、水色のボタンがテンキー状に3個ずつ計9個配置され、その外周にも其々の色の、円の外周らしき形状のボタンが1つずつ配備されていた。

体力もそうではあるが、レベル1と思しき姿とは裏腹に、そのスペックが今までとは比べ物にならない程強化されているのは、その機構が物語っていたが、

 

「くっ!ですが私達だって負けられません!翼紗、巴柄!行きますよ!」

「「はい!」」

「これより、序列十二眷属の切除手術を開始する」

「木場!お前は巡を頼む!俺は、いや」

『ガッチャンガッチャーン!ダブルアップ!』

「「俺(僕)達は残る2人を相手する!」」

『俺がお前で!お前が俺で!ウィーアー!マイティマイティブラザーズ!ヘイ!ダブルエェェェェックス!』

「ひょ、兵藤君が2人になった!?」

 

これで終わらなかった。

突撃を仕掛けて来た椿姫達に応ずるかの如くブレイブに指示を飛ばすと共にゲーマドライバーのレバーを開閉すると、ドライバーからの音声と共にエグゼイドの身体が何と分裂、其々が椿姫と翼紗を迎撃したのだ。

 

「マイティブラザーズXXは、協力プレイをウリにしたアクションゲームだ。故に変身者である俺と、ゲーム中に登場するパートナーキャラを模したバグスター、ゲノムスとの2人で協力して戦う。それがこのダブルアクションゲーマーの真骨頂、レベルXXだ!」

『ガシャコンキースラッシャー!ズ・キュ・キュ・キューン!』

「ああ、僕がそのゲノムスさ!僕とファザー、2人の超強力プレイで、クリアしてやるぜ!」

『ガシャコンブレイカー!』

 

まさかの事態で驚きが更に広がる立体駐車場エリア、そんな中で、一誠が変身していると思しき、オレンジを基調とした色合い、某女子プロレス業界に様々な革命を起こした後にアメリカのプロレス王座にまで上り詰めたヒールレスラーの様な髪型となったエグゼイド――ダブルアクションゲーマーレベルXXRが、胸部のコントローラーと酷似したコンソールを持つ剣とも銃とも斧とも断言出来ないガシャコンウェポン――ガシャコンキースラッシャーを装備しながら説明をし、ゲノムス――マイティブラザーズXXでの2Pキャラで、様々な姿に変身出来る力を有した主人公のパートナーキャラを模したバグスターが変身していると思しき、水色を基調とした色合い、オレンジ色のエグゼイドのそれが反転したかの様な髪型となったエグゼイド――ダブルアクションゲーマーレベルXXLがそれを受けて、決めセリフを言い放ちながらガシャコンブレイカーを装備、翼紗に反撃を開始した。

其処からの戦いは、火を見るよりも明らかな展開だった。

 

「ふっはっやぁっ!」

「は、速い!?きゃぁ!?」

 

巴柄との騎士対決となったブレイブは、レベルアップによって得られた、シマウマの如きスタミナ故に息を乱す事無く、ライオンの如きパワフルさ、チーターの如き瞬発力、ヒョウの如き柔軟さで相手を圧倒していた。

レベルアップに使用したガシャットの元となったゲーム、ナイトオブサファリは、これもまた一誠が開発したゲームの1つで、様々な動物になりきり、大自然の中で狩るか狩られるかのサバイバルライフを送るサバイバルアクションゲームである。

 

「せいはぁぁぁぁ!」

「な、何てパワー!?これが、レベルXの力…!」

 

一方、翼紗と戦っていた水色のエグゼイドは、迎撃の際に食らったボディブローの影響などないと言わんばかりの立ち回りで、戦車である翼紗をも軽々と捻じ伏せるパワーを見せつけていた。

 

「ふっ!はっ!」

「くっ!まさか聖剣と同じ力を持った武器とは…!」

 

そしてオレンジのエグゼイドは、ガシャコンキースラッシャーの(恐らく)銃口から光の弾丸を連射、それ反射しようと神器による鏡を展開しようとする椿姫を事も無げに制圧していた。

実を言うと椿姫の神器『追憶の鏡』の効果は、攻撃その物を跳ね返すのではなく、展開した鏡が破壊された衝撃を倍加して跳ね返す物であり、それも破壊されてから瞬時に相手へ攻撃が届くわけではなく、CQBを想定した間合いよりも距離があると避けられる可能性があるのだ。

こうして立体駐車場エリアでの戦闘はエグゼイドとブレイブによる蹂躙劇と化し、

 

『ソーナ・シトリー様の女王、戦車、騎士、リタイア』

 

呆気なく終結した。

 

「ゲノムス、だっけ?さっき由良さんからボディブローをまともに食らっていたけど大丈夫なのかい?幾らレベルXとは言え、戦車である由良さんからの一撃が直撃したらタダじゃあ済まない筈…

あれ、ゲージが減っていない?どういう事だい?」

「木場、お前は新世紀エヴァンジェリオンに出て来る第七使徒は知っているか?」

「第七使徒?ああ、何か二体に分裂する使徒で、同時にコアを破壊しないと倒せないんだっけ?」

「ああ。このダブルアクションゲーマーレベルXXには、その第七使徒の特徴を基に、お互いの身体のあらゆる部分を常時比較し、良い状態の方を採用してコピペするシステム『SeventhMirroringSystem』、通称SMSを搭載している。どちらかのある部分に攻撃されても、もう片方の同じ部分が無傷ならノーダメージ、となる。俺達にダメージを与えたいならば、同じ部分に同じタイミングでダメージを与えるしかないという訳だ」

「そういう事、だから全然問題ないさ!まあ同じ部分に同じタイミングで攻撃が通れば良いから、全く同じ攻撃をする必要は無いけどね」

 

とはいえ全くのノーダメージでは無く、由良から一撃貰った水色のエグゼイドを心配するブレイブ、だが水色のエグゼイドの体力ゲージは全く減っていなかった、予想外の状況に疑問符を浮かべるブレイブにオレンジのエグゼイドは種明かしをした。

新世紀エヴァンジェリオン、大災害によって環境が大きく変わってしまった近未来の日本を舞台に、主人公の猪狩(いかり)シュウジが巨大ロボット『エヴァンジェリオン』に乗り込み『使徒』と呼ばれる敵と戦うアニメであり、其処に登場する第七使徒は、今祐斗が言った様な特徴を有していた事もあってシュウジ達も一度は敗北を喫してしまった強敵であった。

そんな第七使徒の特徴を再現したシステムを搭載したダブルアクションゲーマーが弱い筈は無かった。

 

「な、成る程、敵に回したら厄介極まりないシステムだね…

それとイッセー君、さっき副会長が言っていたけど、そのガシャコンウェポンは一体?何だか聖剣の気配を感じるんだけど…」

「ガシャコンキースラッシャーか。これ、

 

 

 

実を言うとアスカロンだ」

「ゑ?」

 

そんな反則級のシステムに、仮面の下で苦笑いを浮かべるブレイブ、話題は聖剣の力を有するガシャコンキースラッシャーにうつった。

 

「三大勢力の首脳同士による会談の前に、俺がミカエルさんからアスカロンを託されたのは知っているな。ミカエルさんは俺を、リアスや朱乃、イリナやゼノヴィア、アーシアや黒歌、そして白音と恋仲である俺を、三大勢力の架け橋となるであろうと見込んで、このアスカロンを託してくれた。

 

だがそれも、仮面ライダーの、バグスターの存在無くしては起こりえなかった。バグスターがいなければ、俺は今頃戦う力を持たない普通の高校生だっただろうし、リアス達と出会い、恋人となる事は無かっただろう。つまり三大勢力の架け橋は、バグスター達が苦労して懸架したという事だ。

 

ミカエルさんが俺を三大勢力の和平を象徴する存在として、願を掛ける意味でアスカロンを託すのならば、そのアスカロンはバグスターの力を取り入れた姿でなければならない、そう思ってアスカロンをガシャコンウェポン化したのがこのガシャコンキースラッシャーだ」

 

ブレイブの疑問に答えるオレンジのエグゼイド、その口調は何処か、己の子供達を誇らしく思う父親の様であった。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。