ハイスクールDevil×Ex-aid   作:不知火新夜

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51話_波乱含みのConference

一誠と朱乃、ミカエルとバラキエルとの会談が終わってから数日が経過したこの日、駒王学園。

いよいよ三大勢力のトップ同士による会談が行われる事となったこの日、リアスと彼女の眷属達もまた、コカビエルの一件を解決した事から参加する事となった。

 

「御免なさいね、ギャスパー。今日の会談は、三大勢力の首脳と言える方々を迎えた大事な物なの。封印が解除されたばかりで、神器が制御出来たかまだ判断が付かないという魔王様達の判断で、貴方は参加出来ない事になったの。本当に御免なさい」

「大丈夫です、リアスお姉様。クロトさん達もいますから、寂しくありません!」

 

だがギャスパーは、コカビエルの一件に関わっていなかったのもあるが、封印の理由となった神器の制御不安に関して、未だ悪魔勢力の上層部に懸念が残っていた事から、今回の会談を欠席する事となり、此処オカルト研究部の部室で留守番となった。

 

「パパ、ギャスパーの事は我らバグスターにお任せを。パパ達は会談の方に集中して欲しい」

「我が父よ、有事とあらば我ら直ぐに駆けつけよう」

「いってらっしゃい、親父。皆もな」

「偉い人達でいっぱいだろうけど、ピプペポパニックにならない様にね!何か話す前に人の字を3回書いて飲むと良いよ!」

「ポッピー、そのおまじないは舞台に出向く前にすべき事だろう…」

 

その部室にはギャスパーの他、クロト、マサムネ、パラド、ポッピーピポパポ、グラファイト、5体のバグスターが待機していた。

今回の会談は今まで敵対していた三大勢力の首脳会談、その重要度は計り知れない、故に校庭には天使や堕天使、悪魔の戦士達が周囲を警戒、というより互いが互いを警戒している状況、一誠達もなりふり構っていられないと、バグスター達の何体かを密かに配置、いざと言う時に学園内外から鎮圧に出向く準備を整えており、その指令本部としてオペレーター役の4人と、その護衛役であるグラファイトが待機しているという訳である。

 

「行って来る。皆、此処は頼むぞ」

「「「「「「了解!」」」」」」

 

いよいよ会談の時間が迫り、会場へと向かうべくギャスパー達に声を掛ける一誠、彼らの見送りを背に、部室を出た。

 

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「失礼します」

 

数分後、リアス達は新校舎の会議室前に到着、会談の場である部屋に、ひと声掛けノックをしつつ中へと入って行く。

其処には既に粗方到着したのか、今回の会談に参加する主だった存在が揃っていた。

悪魔側は四大魔王からサーゼクスとセラフォルーの2名、サーゼクスの妻で今回は給仕として来たらしいグレイフィア、それに会談の場である駒王学園を管理するソーナと、彼女とよく似た雰囲気の少女――ソーナの『女王』で駒王学園生徒会副会長である真羅(しんら)椿姫(つばき)が席に着いていた。

天使側はミカエルが、護衛として連れて来たらしい何体かの天使と共に着席している。

堕天使側は首脳の席である最前列中央に、黒髪に金のメッシュを入れたちょい悪オヤジ風の堕天使が座り、その脇をバラキエルと、一誠達と同い年位の、銀髪の少年が固めていた。

 

「紹介しよう、私の妹と、その眷属達だ。先日のコカビエル達による襲撃は、彼女達の活躍によって鎮圧された」

 

リアス達が入室したのを受けて、サーゼクスが他陣営に紹介をし、リアス達もそれに合わせて会釈した。

 

「存じております。コカビエルが首謀した一件について、本当にありがとうございました」

「悪かったな、俺んとこのコカビエルが迷惑かけ、あいだ!?何すんだよ、バラキエル!?」

 

その紹介に、ミカエルと、ちょい悪オヤジ風の姿の堕天使――グリゴリのトップであるアザゼルが対応したが、慇懃に応じたミカエルに対し、コカビエルによる騒動を止められなかった当事者である筈のアザゼルは悪びれる事無く、如何にもやる気無さそうな態度で返す。

が、それを許さない存在が背後にいた。

 

「お前は何時もそうだ、アザゼル。自分の不手際で周りに迷惑を掛けておいて悪びれる素振りもない…

常日頃シェムハザがどれだけ、副総督としてお前がサボった分をカバーしようと苦労しているか分かるか?本当に悪いと思っているのか?今後は状況が状況だ、今までみたいに見過ごされると思うな」

「うぐ…」

 

それは同じくグリゴリの最高幹部であるバラキエル、コカビエルの騒動に娘である朱乃も巻き込まれた事もあってか、或いは普段からアザゼルの振舞いに対して鬱屈が溜まっていたのか、アザゼルの謝罪になっていない対応にマジギレし『げ ん こ つ』というテロップが挟まれそうな鉄拳制裁を行った。

 

「うちのバカ総督が失礼した、サーゼクス殿。コカビエルの一件も含め、深くお詫び申し上げる」

「頭を上げて欲しい、バラキエル殿。アザゼルがそういう性分なのは此方も承知している、気を悪くはしていない。さて、皆揃った事だ、会談を始めるとしよう」

 

突如として降りかかった鉄拳に対するアザゼルの抗議を、普段の振舞いを盾に黙らせたバラキエル、そのままアザゼルの対応について謝罪したが、サーゼクスは気にした様子もなく、会談の開始を告げた。

 

「その前に確認事項を1つ。この会談の前提条件として、此処に集結している者達は皆、最重要禁則事項である『神の不在』を認識している…

では、それを認識している物として、会談を始めよう」

 

その際『神の不在』を認識しているかこの場にいる者に確認を求めたが、それには全員頷いた。

こうして始まった会談、とはいえ最初は嘗ての大戦及びその後の小競り合いを経た現状の確認であり、リアス達が口を挟む余地は無かった、その中でアザゼルが場を凍らせる様な事を口走って、バラキエルから鉄拳制裁を食らう場面が何度かあったが。

 

「それではリアス、コカビエルによる一件について、改めて報告を」

「了解しました、ルシファー様」

 

現状確認もひと段落し、サーゼクスがリアスに、コカビエルが起こした事件の説明を促した。

 

「数日前、教会本部から計3本のエクスカリバーを盗み出したコカビエル及び彼に協力するはぐれエクソシストの集団がこの街に侵入、それを用いて住人達を襲撃する事件を引き起こしました。はぐれエクソシストによる襲撃自体は我々の手の者によって未遂に終わり、その事に業を煮やしたコカビエルが此処駒王学園に襲来、何かしらの術式を発動させようとしましたが、これもまた我々と、当時教会のエクソシストであった紫藤イリナとゼノヴィア両名の協力によって鎮圧に成功しました。以上が、今回の事件の顛末です」

「ありがとう、リーアちゃん☆」

 

それを受けてリアスが説明を行ったが、其処でセラフォルーが何時もの調子で礼を言った事に、彼女の隣に座っていた、妹のソーナが窘める様な視線を向けていたのは余談である。

 

「さてアザゼル、この報告を受けて、堕天使総督である貴殿の意見を聞きたい」

 

その報告を聞いたサーゼクスが、アザゼルに弁明を促す。

 

「先日の事件は我ら堕天使の中枢組織、グリゴリの幹部コカビエルが単独で起こした物だ。本当なら組織の軍法会議によって『地獄の最下層(コキュートス)』での永久冷凍の刑に処する所だったが、まあ既に死んじまったからな。ともあれ、それで全部だ。というかこの辺の説明は、この間転送した資料に全て書いてあっただろ?俺説明する必要が、あべし!?」

「面倒臭がるな、アザゼル。お前は事の重大さを分かっているのか?」

 

それを受けてアザゼルが如何にも面倒臭そうに説明するが、案の定と言うべきかバラキエルからの鉄拳制裁を受けていた。

そんな光景にミカエルは苦笑いしながらも、

 

「全く、最低な部類の説明しか出来ない、身内からボコボコ殴られる、そんな様では、総督の名が廃りますよ。とはいえ、貴方個人、いや、貴方を含めた現在の幹部勢が我々と事を構えたくないという話は知っています。それは本当なのでしょう?」

「ああ。俺は戦争には否定的だ。コカビエルも俺やシェムハザの事をこきおろしていたと、そっちに報告が行っていたじゃねぇか」

「私もだ。というより戦争を行わない意志は、コカビエルを除いたグリゴリ最高幹部の総意である」

 

アザゼル達が戦争を望まない事を確認、アザゼルとバラキエルも応じた。

が、まだミカエルは何処か疑いを抱いていた様子で、

 

「バラキエル殿の意は、グリゴリの総意は分かりました。我らも今回の会談で三大勢力の和平を申し出る積りでした。サーゼクス、貴方もそうでしょう?」

「ああ、確かに私も和平の話を持ち掛けようと思っていた所だ」

「然しアザゼル、一方で貴方は神器所有者を集めているという報告もあります。それも『白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)』に『黒刃の狗神(ケイニス・リュカオン)』…

神滅具を筆頭に、強力な物ばかり。一体何を考えているのですか?」

 

アザゼルのとある行動の真意を問うた。

 

「ああ、それな。神器の研究は俺の趣味ってのもある。だが、強力な奴に絞っていたのはとある存在を危惧しての事だ」

「とある存在?それは一体」

 

それにアザゼルは苦笑いしながら答えようとしたその時、

 

『親父!』

「どうした、パラド?」

 

 

 

『敵襲だ!』

 

パラドからの火急の知らせが、一誠に届いた。


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