ハイスクールDevil×Ex-aid   作:不知火新夜

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39話_Solution?

「聖剣の気配を辿って見れば…

もう、残りの1つを、夢幻の聖剣をイリナが回収していたのか」

 

イリナが祐斗とカイデンに己の決意を明かした直後、協力関係を結んでいた一誠とゼノヴィアが、聖剣の気配を感じ取ったのか合流してきたが、戦いは既に終わり、盗まれた残り1つである夢幻の聖剣もイリナが回収した後だった。

が、一誠にとって其処は気にならなかった、というか、ちょっと前まで自分の家で休んでいた筈のイリナがこの場にいる事、彼女が腰に装着しているゲーマドライバーが気になってそれどころではなかった。

 

「い、イリナ?その、腰に巻いているのは、ゲーマドライバー、か?」

「うん。パラドから仮面ライダーになる為の適合術式を受けないかって、誘われてね。色々と考えた末に、その誘いを受ける事にしたの。やっぱり、イッセー君と一緒にいたかったから」

「パラドォォォォォォォォォ!?おま、俺に黙って一体何をしているかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

まさか自分に黙って誰かに、それも幼馴染であるイリナにパラドが適合術式を施していたとは思わなかった一誠は思わず、この場にいないパラドに何やってんだと言う意味を込めて叫んでいた、が、

 

「いや、君がそれを言うのかい?『悪魔の手を借りるのが駄目なら、仮面ライダーの手を借りる事にすれば良い』と先程私に提案したのは、ほかならぬ君だろう?それも王であるリアス・グレモリーに黙って。まあ、そんな提案を受けた私も私だが…」

「え、イッセー君、そんな事していたのかい?僕が言えた話じゃないけど、流石にそれは…」

「父上。恐れながら、まことに恐れながら、それは屁理屈としか言えぬ物では…?」

 

ゼノヴィアから協力関係を結んだ背景を(聞かれてもいないのに)暴露され、今度は自分が、祐斗とカイデンから何やってんだと言う意味が込められたツッコミを入れられる事になった。

 

「これが屁理屈なのは分かっている、無理があり過ぎるのも承知の上だ。それでも、3つの理由から、介入せずにはいられなかった。1つ、眷属仲間として木場を放って置けなかった。2つ、仮面ライダーとしてこの街に、この街に住まう人々に危害が及ぶのを黙って見ていられなかった。3つ、3つ目は…」

「3つ目は、何だい?」

 

然しながらそれは一誠自身が分かっていた事、それでも介入せずにはいられなかった理由を明かすが、その3つ目を明かそうという所で、急にもじもじとした様子を見せる。

その理由が何なのか察知した祐斗、それでも一誠の口から直接聞きたいと考えたのか、煽るかの様に聞き直し、

 

「い、イリナを危ない目に合わせたくなかった。イリナは俺にとって大事な存在だから」

「い、イッセー君///」

 

そんな祐斗を後で〆ると決めつつ、その理由を、イリナへの想いを一誠は打ち明けた。

 

「ま、まあ、それはともかく。あのどす黒い狂気は晴れた様だな。以前の様な、いや今まで以上のイケメンフェイスではないか」

「そうかな?まあでも、色々な物と向き合えたから、というのはあるかな」

「そうか。なら、ガシャットを再び託しても良さそうだ。そうだろうアランブラ、グラファイト」

『はっ!お父様、今一度我らのガシャットを木場祐斗に!』

『木場祐斗よ、もう一度我らの力を授けよう!今のお前なら、今まで以上の力を得られるだろう!』

「イッセー君、アランブラ、グラファイト…!

ありがとう!僕はもう迷わない、この剣は皆を、大切な存在を守る為に!」

 

そんな一誠の気恥ずかしい告白を何処か微笑ましい様子で見ていた祐斗、そんな彼の様子から聖剣への憎悪が微塵も感じられなかったのを見抜いた一誠は、この場所での出来事が切っ掛けで立ち直れたのだろうと推測、取り上げていたガシャットを再び彼に渡しつつ、言葉を投げかけた。

それを受け取った祐斗は改めて、己の決意を示し、帰っていった。

 

「そちらの諍いは解けた様だな。此方も、盗まれた聖剣を全て取り返す事が出来た。ありがとう、君達のお陰で滞りなく任務を成し遂げる事が出来た。さて、帰り支度でもするとしよう。イリナについては上層部に話を通しておく、まあ上もイリナの素行には思う所があった様だし、問題ないだろう」

 

一誠達のやりとりを見守っていたゼノヴィアも、一誠達の尽力もあって任務を達成出来た事に礼を言い、帰り支度の為に泊まっていたホテルへと戻っていった。

 

「俺達も帰ろうか、イリナ。俺達の家へ」

「うん、イッセー君!これからも宜しくね!」

 

そして、教会を抜けて一誠と添い遂げる事を宣言、想いを通じ合わせた一誠とイリナも、家路についた。

 

------------

 

「イッセー、貴方が何をしていたか分かっているの!?血の気が引いたかと思ったんだから!」

「祐斗先輩を失いたくないのは私も一緒ですが、それでイッセー先輩までいなくなったら、私、私…!」

「イッセー君が強いのは分かります、ですが絶対は無いんです!イッセー君がもしいなくなったりしたら、私は、どうすれば…!」

「イッセーさん、イッセーさんの命はもうイッセーさんだけの物じゃないんです!どうか、たった一人で無茶する事はもう止めてください…!」

 

だがそのまま何事もなく一件落着、という訳にはいかなかった。

祐斗達と別れ、イリナと共に家へと帰った一誠を待っていたのは、目に涙を貯めていた己の恋人達。

何処からか一誠の行動を聞いていたらしい彼女達は、一誠の安否が気になり気が気ではなかった様で、無事に帰って来た彼の姿を見るや否や抱き着き、涙ながらに一誠を叱っていた。

 

「イッセー君。勝手に仮面ライダーになった私が言えた事じゃ無いけど、皆の言う通りだよ。イッセー君には、こんなにも愛し、慕ってくれる存在が大勢いるんだから。勿論、私も含めてね」

「本当にそうだな、イリナ。皆、心配かけて本当に済まない」

 

一誠も自分がとんでもない事をやらかしていたのは自覚していた為に言い訳せず、素直に謝っていた。

 

------------

 

「奪ったエクスカリバーをまんまと奪い返されおって。全く、どいつもこいつも使えん奴らだ。まあいい、最初から1人でも事は起こせたのだ。俺のやる事に何の変わりもない」

 

然し、この騒動はまだまだ終わってなどいなかった。


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