ハイスクールDevil×Ex-aid   作:不知火新夜

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1章『旧校舎のMIGHTY ACTION X』
1話_Disortotionを抱えた世界


真夜中、とある街の一角にそびえる廃墟…

其処には、

 

『マイティアクションエックス!』

「く、空間転移だと!?何なんだ貴様は!?ただの人間では無かったのか!?」

 

何とも名状しがたい姿をした怪物と、

 

「貴様に教える必要などない。変身!」

『ガシャット!レッツゲーム!メッチャゲーム!ムッチャゲーム!ワッチャネーム!?アイムア仮面ライダー!』

「この街の運命は、俺が変える!」

『ガシャコンブレイカー!』

「ノーコンティニューで、クリアして見せる!」

 

1人の戦士が、対峙していた。

 

------------

 

「よし。マイティブラザーズXXの大まかな挙動は、これでOKだな」

 

翌朝、とある街の中心部に位置する学園『駒王学園』、その高等部のある教室にて、1人の少年が目前のノートパソコンで行っていた作業を終え、そう呟いていた。

彼の名は兵藤(ひょうどう)一誠(いっせい)、駒王学園高等部の2年生で、一見すると龍を思わせる茶髪、理性味と野性味が混在した整っている顔立ち以外は、何処にでもいる普通の男子高校生に思える。

尤も彼の正体を知れば、普通の男子高校生だとは到底言えないのだが…

 

「待ちなさい!この変態2人組!」

「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」」

「やれやれ、またあのコンビか」

 

そんな一誠が作業に用いていたパソコンを鞄にしまい、授業の準備を進めていた所、とある女子生徒が男子生徒2人組を追いかけ回していると思しき騒々しさが、彼の耳に入って来た。

その騒々しさを毎回引き起こしているであろう存在を思い出し、またかと嘆息した一誠、様子でも見ようと考えたのか、廊下に繋がるドアを開けた。

 

「あべし!?」

「ひでぶ!?」

 

その際に足払いを掛けるかの様に右脚を突き出すと案の定というべきか、その2人組が突き出された脚に引っ掛かり、ド派手にすっ転んだ。

 

「松田に元浜。性懲りも無くまた覗きか?全く…」

「く、くそぉ!離しやがれ、兵藤!」

「いつもいつも邪魔しやがって!」

 

そんな2人に近づき、何処からともなく手にした結束バンドで2人の両腕を縛り上げる一誠、その2人組は一誠の予想通り、駒王学園の2大変態として悪い意味で有名な、松田と元浜という男子生徒だった。

 

「毎度毎度懲りもしないでって、兵藤君!また捕まえてくれたの?ありがとう!」

「俺は己の欲望のままに誰かを傷つけ、それを何とも思わない奴が大嫌いなだけだ。毎度言っているが、気にするな」

「それでもありがとうね、兵藤君!さあ変態2人組、覚悟しなさい!」

「「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」」

 

其処に2人組を追って来た女子生徒が到着、既に一誠が2人を捕まえていたのを把握した彼女は彼にお礼を言いつつ、拘束されている2人を連行して行った。

 

「本当に、嫌な奴等だ。『アイツ』と言い、松田や元浜といい、何故俺の周りには人の迷惑を顧みない奴が多いんだか…」

 

何時もの光景を見届け、そんな言葉を呟きながら教室に戻る一誠。

その表情からは、松田達の様な存在に対する軽蔑の色が浮かんでいた。

 

------------

 

「うん、旨い!やはりアイツが作るハンバーガーは最高だ!それでいて、良い意味でブレがあるからいつも食べていても飽きが来ない、アイツこそハンバーガーの『神』だ!そうだろう、白音(しろね)ちゃん!」

「はい、一誠先輩!絶妙な味付けのソースに、シャキシャキの野菜!それにジューシーで風味豊かなハンバーグに、ふわふわのパン!全てが最高です!いつもありがとうございます、一誠先輩!」

 

そんな朝に起こった何時も通りの出来事の後に授業は開始、それも滞りなく進んで今は昼休みの時間、一誠は屋上で、隣に座る銀髪が特徴的な後輩の女子生徒と共に『家族』の手作りであるハンバーガーに舌鼓を打っていた。

一誠の隣に座る彼女の名は塔城(とうじょう)白音、高校生とはとても思えない小柄な体躯と、それに見合った幼さが出ながらも端正な顔立ちから『駒王学園のマスコット』として学園内では知られている。

 

「どういたしまして、っと俺が作った訳では無いけどね。俺からもアイツに伝えておくよ、白音ちゃんが何時も大喜びしている、と」

「あの、何時も気になっているんですが、このハンバーガーを作ってくれた方ってどなた何ですか?一誠先輩のご家族だと思いますけど…」

「その認識で合っているよ。ああ、直接会ってお礼が言いたい、というのは少し待って欲しい。アイツ何時も忙しいから、白音ちゃんと会える時間を取れるかどうか…」

「そうですか、いつも美味しいハンバーガーをご馳走になっているので、お礼が言いたいのですが…」

 

そんな学園の有名人である白音と一誠がこうして何時も昼食を共にしているのは、一誠が何時も食べているハンバーガーの匂いに白音が引き寄せられたのが切っ掛けなのは、言うまでも無い。

 

「ご馳走様でした、一誠先輩!」

「お粗末様、っと俺が作った訳では無いけど。さて、作業の続きを、ん?」

「どうしたんですか、先輩?」

 

そのハンバーガーを作った『家族』とはどんな存在かという疑問をぶつける白音と一誠の会話もそこそこに、2人共ハンバーガーを食べ終え、一誠が朝行っていた作業を再開しようとしたその時だった。

 

「ほら、あそこにいる制服着た女の子。見た感じからして他校の高校生っぽいけどさ、この近くにあんな感じの制服を採用した学校ってあったっけか?」

「そういえば、あんなカラーリングの制服、この近くの学校ではありませんね…」

 

校門前に見慣れない制服を着た女子が立っているのをふと見かけた一誠、彼に言われて気付いた白音と共に、その光景がどういう事かを気にしていた。

 

「学生の身分で白昼堂々と、遠くの学校に出向くとは好ましい事ではないな。確か白音ちゃんは、生徒会の人達と浅からぬ仲だそうだね?」

「はい、うちの部長と生徒会長が幼馴染だそうで」

「そしたら生徒会に、校門前に不審者がいるって伝えて来てはくれないかな?俺が言っても構わないけど、とある一件で一部の生徒会員から睨まれていてね。無用に事を荒立てたくはない」

「とある一件…?

まあ、それなら仕方ありません、伝えて来ますね。それじゃあ一誠先輩、また明日」

「ああ、またね」

 

その女子がどういう意図で此処に来ているかは分からないが、何であれ放っておいて良い問題ではない、そう判断した一誠は、この件を生徒会に伝える様頼んだ。

自分が行けば良いのでは?と考えなくも無かった白音だったが、行きづらい理由が一誠にはあった様で、それならと承諾し、屋上を後にした。

 

「まったく『はぐれ悪魔』の次は『堕天使』と来たか。一体この街を、この街に住む人達を何だと思っているのか…」

 

そう一誠が呟いた事に気付かず…


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