ハイスクールDevil×Ex-aid   作:不知火新夜

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122話_次なるGameの相手

「いやぁこのミスマッチな感じ、寧ろ良いね。まるで川崎にあった廃墟風ゲームセンターみたいだ」

「おい馬鹿止めろ木場、その話題は」

 

駒王学園の旧校舎。

此処では10月下旬に開催される文化祭に向けての、ハード面での準備が一通り進んでいた所である。

旧校舎を拠点としていたリアス眷属、もといオカルト研究部はこれまでその占有面積の広さに物を言わせて、お化け屋敷に占い館、カフェ等と様々な出し物を行っていた(部名の通りオカルトに関する研究報告も行っている)。

それが今回は天才ゲームクリエイター『IS』として知られる一誠に、天才ゲーマー『L』として名を轟かせるレイヴェルもいる事を活かし、旧校舎の大部分(残った地点で研究報告)をゲームセンターとする事にした。

バンバンタンクやジェットコンバットといったシューティング、バクレツファイターやメタリックフィストといった格ゲー、ギリギリチャンバラやゲキトツロボッツといった対戦アクション、ハテサテパズルやメテオブロッカーといったパズルに、ドレビーシリーズやバンバンシューティングといった専用モジュールを用いたゲーム等を用意している。

ただそれだけでは幾ら業界において有名な一誠とレイヴェルがいる事を踏まえてもその辺りのゲームセンターと変わらない、其処で一誠が現在開発している(ライダーガシャットは既に存在している)、3Dアクションアドベンチャー『マキシマムマイティX』、サバイバルホラーアクション『デンジャラスゾンビ』、新感覚パズルゲーム『パーフェクトパズル』、エクストリーム格闘『ノックアウトファイター』、弾幕シューティングゲーム『バンバンバースター』、タドルクエストのスピンオフRPG『タドルファンタジー』と『タドルレガシー』、ハイスピード暗殺アクション『ハリケーンライジング』、ハイウェイカーレーシング『バクソウターボ』のテスト版も設置し、そのテストプレイ及びレビューを行える事にしたのだ。

尚その為に使用する筐体について、ゲームその物を動作させるPCは学園の備品を借りる事で話はついたが、筐体の外装やコントローラー等のモジュール、特にドレビーシリーズやバンバンシューティングで用いられる専用モジュールは部長であるリアスの意見で、出来る限り手作りで作成する事となった。

今や何処の職場や施設にも身近にあるPCやキーボード等をそのまま置くというのは味気ないし、ゲームセンターに置いてある様な筐体をそのまま持って来るのは部の予算的に無理がある、という事で手作り出来る物は手作りで作成し、出来る限り出費を抑えようという方針となったのだ。

現在はゲームを動作させるPCの設置と専用モジュールの作成、プレイするゲームのインストールと簡単な動作テストを一通り終え、筐体の外装をそれっぽくする為の飾りつけ作業に移っていた。

 

「まあ文化祭の準備は順調だから良いとして。イッセー君、今気を引き締めて臨むべきはサイラオーグ氏とのレーティング・ゲームだね」

「ああ。Zに負けた事が影響してかその実力を酷評されてはいるが、それでも強敵である事は間違いない。特にサイラオーグ氏本人の実力は、レベルX相手でも互角以上と言って良いからな。増して対戦ルールがプロで行われるそれとなれば猶更だ」

 

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遡る事1日位、

 

「皆。若手悪魔同士のレーティング・ゲーム、その次の対戦相手と日程が決まったわ」

 

若手悪魔によるレーティング・ゲーム、その第三試合の日程が決まったという連絡がリアスに齎された。

当初の予定であれば第三試合どころか全試合終わらせる筈だったこのレーティング・ゲームだが、その参加メンバーの一角であるディオドラが禍の団と内通していた事によって起こった襲撃事件、それで浮き彫りとなったテロ対策の不備への対応と、そもそもディオドラが襲撃事件の折に眷属もろとも消滅させられた事でメンバーが奇数になった為の組み合わせ見直しがあり、第三試合以降の日程は無期限延期となっていたのだ。

そんな事情もあって延びに延びた末に実施される運びとなった第三試合、

 

「その対戦相手はサイラオーグ、

 

 

 

ルールはプロでも度々適用されている『ダイス・フィギュア』よ」

 

その相手はリアスの従兄弟であるサイラオーグで、プロルールが適用される形式となった。

ダイス・フィギュア。

対戦する双方の王が其々1つの6面ダイスを振り、出た目の合計で出場出来る眷属の大枠が決定、出した眷属同士による小試合、という一連の流れを繰り返した末に王を倒した方が勝ちというルールである。

この際其々の小試合に出せる眷属だが、その眷属が持つイーヴィル・ピースの価値(兵士であれば転生に使用した駒の数そのまま、騎士及び僧侶なら1つにつき3、戦車であれば1つにつき5、女王であれば9、王の場合は審査委員会が事前に定めた評価によって変動する)の合計が、出た目の合計を下回らなければならない(片方だけでも無理であれば振り直し)。

例えば自分側の目が『1』、相手側の目が『4』であれば合計は『5』となり、出せる眷属の価値の合計は『5』、この場合は戦車1人、または騎士or僧侶と兵士2人まで、または兵士5人まで出せる、という訳である(ただし、同じ眷属を連続出場させる事は出来ない)。

この制約から駒の価値が高い戦車と女王(と高評価を得た王)は中々出せない、または出せても袋叩きにされやすく、よってこのルールで活躍しやすいのは駒の価値が低く出しやすい兵士や僧侶、騎士である。

 

「サイラオーグと、プロルールでのレーティング・ゲーム…

マスコミが何と言おうと、気を引き締めて行かないとね。油断なく臨むわよ、皆!」

『はい!』

 

今までとは勝手の違うルールでのレーティング・ゲーム、増してや相手は(最近は落ち目だが)若手No.1との前評判を誇った程の強者であるサイラオーグとあって、引き締まった表情をしたリアスの言葉に、一同も応じた。

 

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「ダイス・フィギュアとなれば、駒の価値が低い上にレベルX以上である僕やイッセー君、イリナさんやゼノヴィアさん、黒歌先生やアーシアさんの出番が必然的に多くなる。殊にイッセー君はこの前の修学旅行でレベル99に至ったし、イリナさんは悪魔にとって天敵中の天敵である黄昏の聖槍を手にした。キーマンはイッセー君達2人と言って良いね」

「そうだな。とは言え連続出場出来ないというルールの関係上、ただ俺達を出せば良いという訳では無い、リアスが俺達を出すタイミングが重要になるな」

 

こうして決まったレーティング・ゲームに向けて、作業を続けながらも話し合う2人だった。

 

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「…あと少しだ、あと少しで、俺の夢の結晶が完成する」

 

その夜遅く、自室で1人ライダーガシャットの開発作業に勤しむ一誠。

その眼はまるで何よりも欲しい物に手が届きそうだと言うべきか、何処か爛々と輝いていた。

 

「ゲムデウス。いよいよお前をこの現実世界に顕現させる時が来た。俺の、俺達の夢の第一歩を、遂に踏み出す。今から心が躍るな」

『いよいよか、我が父よ。我が力をこの世に振るう時が、我らが想いを成し遂げるその瞬間が遂に…!』

 

そんな一誠はPCの画面、正確には其処に映っていた神々しい姿のバグスター――ゲムデウスと言葉を交わしていた。


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