ハイスクールDevil×Ex-aid   作:不知火新夜

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この対決はかなりの長丁場となるので、前後編に分けて投稿します。



119話_第四試合、ノックスVSヘレナPart1

「第四試合、塔城白音、仮面ライダーノックスVS鬼町夏煉、仮面ライダーヘレナ!」

 

両者決め手なしという状況の末にドローとなったエグゼイドと隷汽の試合から少し経ち、ゲンムが最後の試合開始を宣言した。

最後の試合は白音――ノックスと夏煉――ヘレナ、しつこい様だが、これまた其々の陣営において妹的なポジションに位置する者同士の対決となった。

尤も申し込んだ当人である夏煉にとっては、それ以上に意味のある組み合わせではあるのだが。

 

「白音さん、宜しくお願いします」

「はい。負けませんよ、夏煉さん」

『バクレツファイター!』

『ジャングルオーズ!』

『アーイ!バッチリミトケー!バッチリミトケー!』

 

互いに戦意充分な2人は、挨拶を交わしつつ其々のライダーに変身する準備を始めた両者。

だが白音が取り出したのはガシャットギアデュアルαではなくバクレツファイターガシャットとジャングルオーズガシャット、先に戦った他の3人がレベルXで臨んだのに対して白音はレベル7で臨む事となったが、これは先程戦った一誠同様、スペックを犠牲にしてでも選ぶ理由があったのだ。

一方の夏煉が自身のベルト部辺りに両手を翳すと、黒い霧がその部分に発生、目の形をしたクリアグレーのベルト――ゴーストドライバーが出現した。

その後、懐から黒紫色の目玉みたいなアイテム――ヘレナ眼魂を取り出し、横に取り付けられたスイッチを押すと、目を模した絵柄がアルファベットの『H』に変わった。

そしてドライバーのカバーを開き、内部のスロットにヘレナ眼魂をセットしてカバーを閉じ、右側のレバーを引くと目の部分から黒字に紫の縁取りが施されたパーカーを着用した幽霊――パーカーゴーストが出現すると共にポップな待機音声が流れ出した。

 

「ラウンド7!」

「「変身!」」

『ガシャット!ガッチャーン!レベルアップ!ぶち込め正拳!バクレツファイター!アガッチャ!タトバ!ガタキリバ!シャウタ!サゴーゾ!ラトラーター!プトティラ!タジャドルオーズ!』

『カイガン!ヘレナ!デッドゴー!覚悟!キ・ラ・メ・キ!ゴースト!』

 

準備を終えた両者が掛け声と共に変身動作を終えた、白音が何時も通りの手順で仮面ライダーノックス・オーズファイターゲーマーレベル7に変身した(最初に変身した時とは、装着されるメダルが胸部のみの1枚、そのメダルも赤い鷹、黄色い虎、緑色のバッタのレリーフを組み合わせた物、両腕が黄色、両脚が緑色に染まっているという違いはあるが)のに対し、夏煉が引いていたレバーを押し戻すと、周囲に黒い霧が発生すると共に、その身が黒地に紫のラインが入ったボディースーツに包まれ、周りを回っていたパーカーゴーストが纏われ、紫色で鬼の様な顔らしき模様が描かれ、額に2本の炎らしき紫色の角が付いた仮面が装着された戦士――仮面ライダーヘレナとなった。

 

「仮面ライダーヘレナ、鬼町夏煉!渾沌の定めに舞い殉じます!」

「仮面ライダーノックス、塔城白音!欲望のままにぶっ潰します!」

「それでは…試合、開始!」

 

変身を終えた2人が名乗りを上げたのを受け、試合開始を宣言したゲンム、こうして最終試合は始まった…!

 

「たぁっ!」

「ふっ!」

 

開始の宣言を受けて先に動いたのはノックス、緑色に染まった両脚、その踵から脹脛までの部分にバッタの脚を模したジャッキを生成、左脚のそれを伸縮させる事でヘレナへと大ジャンプ、そのまま右脚を突き出し、飛び蹴りを叩き込もうとしたが、それを見越してドライバーの目の部分から大剣型の武器――ガンガンセイバーを取り出したヘレナがそれを刀身でブロック、右脚のジャッキが伸縮した事による衝撃も難なく受け流した。

 

「しゃっ!」

「甘いですよ!」

 

開始早々の強襲が防がれ、ジャッキの伸縮による衝撃で後退したノックスは再び仕掛ける。

ジャッキの力でジャンプするのは一緒だが、今度は先程よりも低い軌道で突進、同時に黄色く染まった右手から虎の爪を模した3本の爪型武器を生成、それをヘレナに突き出したが、ヘレナもガンガンセイバーで受け流し、更に勢い余って後方へと身体が流れるノックスの身に振り下ろした。

だがまるで後頭部に眼があるかの様に(実際、背中に顔を模した装甲があるにはあるが)爪型武器を生成した左腕を回して斬撃をブロックしたノックス、そのままの勢いを活かして距離を取った。

 

「やりますね、白音さん」

「そちらこそ、夏煉さん」

「此処はお願い、ノーヴェ!」

『任せな、夏煉!』

 

戦況は互角、それを打開すべくヘレナは動いた。

懐から青紫の眼魂――ノーヴェ眼魂を取り出してスイッチを押し、絵柄を09という数字に変えると、ドライバーのカバーを開き、セットされていたヘレナ眼魂と取り換え、カバーを閉じた。

 

『アーイ!バッチリミトケー!』

 

すると纏っていたパーカーが消滅して素の状態――トランジェントになると共に、ドライバーの目の部分から青と紫の薄手の生地、胸元にIXのマーク、両腕らしき部分が籠手の形となったパーカーゴーストが飛び出した。

 

「ゴツい両腕、打撃主体の様ですね。なら!」

『サイ!ゴリラ!ゾウ!サゴーゾ、サゴーゾ!』

『カイガン!ノーヴェ!格闘!疾走!敵を討つ!』

 

それを見たノックスも動いた。

両腕の籠手からしてパンチをメインとした打撃戦を得意とする姿だと見たノックス、次の瞬間彼女の周囲に大量のメダルが飛び回り、その中から犀を模した白っぽい物と、ゴリラを模した灰色の物、そして象を模した黒い物が出現、それらが合体して1つの巨大なメダルとなりノックスの胸部に装着、その身は白銀やガンメタリック等のモノトーンカラーに染まり、新たなる姿――仮面ライダーノックス・オーズファイターゲーマーレベル7サゴーゾコンボとなった。

同時にヘレナもドライバーのレバーを引き押しする事で、飛び出したパーカーゴーストが装着、2本の角とIXのマークが入った仮面、両腕に籠手型の装備――ガンナックルを装着した姿――仮面ライダーヘレナ・ノーヴェ魂となった。

 

「アァタタタタタタタタタタ!」

 

新たなる姿となった両者、此処でも先に動いたのはノックスだった。

パンチンググローブらしき装甲で覆われた両腕、それをまるでスタンドによるパンチラッシュか、或いは何処ぞの暗殺拳法の代名詞とも言える奥義かと言わんばかりに連続でパンチを繰り出し、そのパンチ1発1発を放つ際に装甲部分から拳型のエネルギー弾らしき物が発射、多数のエネルギー弾がヘレナへと飛来したが、

 

「はっ!やぁっ!」

 

ヘレナはローラースケートを装着しているかの如くステージを疾走、ノックスが放ったエネルギー弾の嵐を避けたり、避けられそうに無い物は此方もガンナックルからエネルギー弾を発射して相殺したり、両脚による蹴りで弾き飛ばす事で命中する事は無く、その間にも距離を詰め、

 

「大足払い!」

「きゃぁ!?」

 

打撃が届く距離となり、更に後方を取ったヘレナはノックスの足を払って態勢を崩し、回し蹴りで追撃しようとしたが、咄嗟にエネルギー弾を放ったノックスの迎撃に対して追撃を止め、後退した。

 

「イカちゃん!」

『了解でゲソ!』

 

互いに姿を変えはしたが戦況を優位にするには至らず、打開すべくヘレナはまた動いた。

懐から白と青の眼魂――イカムスメ眼魂を取り出してスイッチを押し、絵柄を03という数字に変えると、ドライバーのカバーを開き、セットされていたノーヴェ眼魂と取り換え、カバーを閉じた。

 

『アーイ!バッチリミトケー!』

 

トランジェント態になると共にドライバーの目の部分から白を基調としたワンピース、袖から2本、裾から8本、合計10本の青い触手が生えたパーカーゴーストが飛び出した。

 

「10本の触手、正にイカですね。そっちがイカなら、こっちはタコです!」

『シャチ!ウナギ!タコ!シャッシャッシャウタ!シャッシャッシャウタ!』

『カイガン!イカムスメ!侵略!征服!海の使者!』

 

それを見たノックスもまた動いた。

10本の触手を見て対処法を編み出したノックス、次の瞬間彼女の周囲に大量のメダルが飛び回り、その中から鯱を模した藍色の物と、鰻を模した青い物、そして蛸を模した水色の物が出現、それらが合体して1つの巨大なメダルとなりノックスの胸部に装着、その身は青系統の色に染まり、新たなる姿――仮面ライダーノックス・オーズファイターゲーマーレベル7シャウタコンボとなった。

同時にヘレナもドライバーのレバーを引き押しする事で、飛び出したパーカーゴーストが装着、イカをデフォルメした模様の仮面を装備し、袖と裾から計10本の触手――カラメルショクシュを生やした姿――仮面ライダーヘレナ・イカムスメ魂となった。

 

「はぁっ!」

『あの鞭、電気を纏っているでゲソ!』

「そうみたいだね。まともに打ち合うのは不利、なら手数で!」

 

新たな姿になったのと同時に、ヘレナは袖のカラメルショクシュを、ノックスは両腕にマウントされている2本の鞭を駆使して打ち合い始めたが、ヘレナは直ぐに戦術を切り替えた。

その理由はノックスの鞭、それには電気が纏われており、今でこそ直撃はしていないが、1回でもヒットしてしまったら最後、電気ショックによって戦闘に支障をきたす、そうなったら戦況は劣勢となってしまうからだ。

更に飛び交うノックスの鞭を後退して避けたヘレナ、今度は裾から生やした8本のカラメルショクシュも伸ばしてノックスに攻撃を仕掛けるが、

 

「あばばばばばばばば!」

 

ノックスも黙って受ける積りは無い、上空へジャンプしたかと思ったら、蛸の吸盤を模した両脚が其々4本、計8本の触手に分裂し、両腕の鞭と合わせて再び打ち合いを始めた。

これでは何も変わっていない、そう思ったヘレナは打ち合いの間隙を縫って触手からイカ墨らしき弾丸を何発か発射するも、其処で不思議な事が起こった。

その弾丸はノックスの頭部や胸部へと飛んで行ったが、その部分だけが液状化し、弾丸が通り抜けてしまったのだ。

 

「このままじゃジリ貧、なら!お願い、澪ちゃん!」

『任せなさい、夏煉!』

 

今はまだ戦況は互角だが、電撃というアドバンテージが向こうにある以上、何時向こうの優位になるか分からない、そう思ったヘレナは更なる手を打った。

懐から黒い眼魂――ミオ眼魂を取り出してスイッチを押し、絵柄を04という数字に変えると、ドライバーのカバーを開き、セットされていたイカムスメ眼魂と取り換え、カバーを閉じた。

 

『アーイ!バッチリミトケー!』

 

トランジェント態になると共にドライバーの目の部分から黒いレザー地の、タンクトップと言うしかない程丈の短いパーカーゴーストが飛び出した。

 

「此処はそうですね、物量で攻めます!」

『クワガタ!カマキリ!バッタ!ガータ、ガタガタキリ、バ、ガタキリバ!』

『カイガン!ミオ!過激な転移!三人に分身!』

 

それだけではその眼魂がどんな力を有しているか分からなかったノックスだが、合わせて動いた。

彼女の周囲に飛び回る大量のメダル、その中からクワガタムシを模した深緑の物と、蟷螂虫を模した黄緑の物、そしてバッタを模した緑色の物が出現、それらが合体して1つの巨大なメダルとなりノックスの胸部に装着、その身は緑系統の色に染まり、新たなる姿――仮面ライダーノックス・オーズファイターゲーマーレベル7ガタキリバコンボとなった。

同時にヘレナもドライバーのレバーを引き押しする事で、飛び出したパーカーゴーストが装着、北条氏の紋所である三つ鱗紋を逆さにした様な模様の仮面を装備した姿――仮面ライダーヘレナ・ミオ魂となった。

 

「行きますよ!」

 

新たな姿となったヘレナはその直後、ノックスの視界から消え去った。

 

「消えた…まさか、っ!?」

 

余りにも唐突な事態に戸惑いを隠せないノックスだったが突如として危険を察知、何処かへと振り向きつつ腕をクロスさせる形で防御の態勢をとった。

すると次の瞬間、ノックスの両腕、そのクロスしていた部分に殴られた様な衝撃が走った。

と思ったらまた危険を察知、今度は左脚を上げる形で何処かへ振り向きながらガードすると、またもその上げた片脚に同じ様な衝撃が走った。

かと思えば更に危険を察知、流石に片脚上げた不安定な態勢ではガードの態勢を取れなかったか、残った右脚に生成したジャッキを伸縮、その衝撃で横へと飛ぶ、その直後、先程までいた場所に何か風切り音がした。

 

「転移能力ですか。姉様の相手をした薫さんが、序盤ボコボコにされていたのも分かります。相手にするとこんなにもチートじみた能力なんですね」

「いや、それを凌ぎ切る貴方も大概だと思うんですけど…」

 

横へと飛んだ際、先程まで視界にいなかったヘレナの姿を、さっきまでいた場所から数メートル離れた、自分を挟んで反対側である場所に立つ姿を確認したノックスはその能力を察知、その強さは反則級だとこぼしたが、それによる連撃を凌ぎ切ったノックスも、ヘレナがツッコむ通り大概である。

そんな会話もそこそこに、再び転移能力を駆使して奇襲を仕掛けようとノックスの背後に回ったヘレナだったが、其処で予想外の事態が起こった。

 

「「「其処です、触覚ビーム!」」」

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

『ちょ、それアタシの中の人ネタ!』

 

ヘレナが転移したのと同じ時、3人に分裂、頭から生えたクワガタムシの顎らしき機構に電流を溜めたノックスは次の瞬間、何とその場所に来る事を読んでいたかの様に一斉に放電、それらは寸分の狂い無くヘレナへと襲い掛かったのだ。

…尚その際、パーカーゴーストの意識らしき声が、某ツンデレの代名詞として名高い存在と思しき声がメタい発言をしていたが余談である。

 

「此処は空中戦で行こうかな、ウェンディ!」

『了解っス、夏煉!』

 

電撃が直撃しつつも転移能力を駆使して態勢を立て直したヘレナ、状況を持ち直すべく更なる手を打った。

懐から青と紫の眼魂――ウェンディ眼魂を取り出してスイッチを押し、絵柄を11という数字に変えると、ドライバーのカバーを開き、セットされていたミオ眼魂と取り換え、カバーを閉じた。

 

『アーイ!バッチリミトケー!』

 

トランジェント態になると共にドライバーの目の部分から青と紫の薄手の生地、胸元にXIのマーク、両肩に何かのボードらしき装甲が装着されたパーカーゴーストが飛び出した。

 

「空中戦と言っていましたね。それにあのボードが怪しい、ならコレです!」

『タカ!クジャク!コンドル!タージャードルー!』

『カイガン!ウェンディ!攻防一体!敵を粉砕!』

 

その言葉をノックスは見逃さなかった。

空中戦を仕掛けるヘレナの意図と2つのボードの存在に着目したノックス、次の瞬間彼女の周囲に大量のメダルが飛び回り、その中から鷹を模した赤い物と、孔雀を模した朱色の物、そしてコンドルを模した緋色の物が出現、それらが合体して1つの、鳳凰を模した巨大なメダルとなり、更に2つに分裂して1つはノックスの胸部に、もう1つはノックスの左腕に装着、その身は赤に染まり、嘗てジャングルオーズガシャットを手にした時と同じ姿――仮面ライダーノックス・オーズファイターゲーマーレベル7タジャドルコンボとなった。

同時にヘレナもドライバーのレバーを引き押しする事で、飛び出したパーカーゴーストが装着、XIのマークが入った仮面、両肩にボードらしき装甲――ライディングが装着された姿――仮面ライダーヘレナ・ウェンディ魂となった。

 

「はっ!」

「こっちも行きます!」

 

空中戦に適しているであろう姿となった両者、先に空へと飛び立ったのはノックスだ。

背中から何対もの翼を展開したノックスは空へと飛び立ち、左腕に装着されたメダルらしき武装――タジャスピナーからの火炎放射でヘレナに襲い掛かった。

ヘレナもそれをライディングで凌ぎつつ、分割されていた2つを合体させてボード状にして飛び乗り、浮遊させる事で同じく空へと飛び立った。

こうして戦いの場を空中に移してリスタートした試合、ヘレナは小銃の様な形態にしたガンガンセイバーからの銃撃で牽制するが、幼い頃に転生悪魔となった事から翼を用いての飛行に慣れている上、自分の身体での飛行である為に手足の自由が利くノックスは曲芸飛行の如き動きで難なく回避、ヘレナに対してタジャスピナーでの火炎放射や、足から鎌形の爪を生成してのキックを繰り出す。

ヘレナもライディングを盾にしてガードしたり、ガンガンセイバーを装着しての砲撃に用いたりして立ち回るも、自由自在に飛び回るノックスを捉えられない。

 

「地上戦に持ち込んだ方が良かったね…日影!」

『任せとき』

 

空中戦では不利だと悟ったヘレナは、状況を変えるべく動く。

懐から黄色と黒の眼魂――ヒカゲ眼魂を取り出してスイッチを押し、絵柄を12という数字に変えると、ドライバーのカバーを開き、セットされていたウェンディ眼魂と取り換え、カバーを閉じた。

 

『アーイ!バッチリミトケー!』

 

トランジェント態になると共にドライバーの目の部分から黄色と黒の所々破れた布地、両袖にナイフケースが装着されたパーカーゴーストが飛び出した。

 

「多そうなナイフですね、斬撃勝負なら!」

『ライオン!トラ!チーター!ラタラーター、ラトラーター!』

『カイガン!ヒカゲ!皆無な感情!容赦は無用!』

 

その姿から刃物による白兵戦を仕掛けて来ると察したノックス、次の瞬間彼女の周囲に大量のメダルが飛び回り、その中からライオンを模したオレンジ色の物と、虎を模した黄色い物、そしてチーターを模したレモンカラーの物が出現、それらが合体して1つの巨大なメダルとなりノックスの胸部に装着、その身は黄色系統の色に染まり、新たなる姿――仮面ライダーノックス・オーズファイターゲーマーレベル7ラトラーターコンボとなった。

同時にヘレナもドライバーのレバーを引き押しする事で、飛び出したパーカーゴーストが装着、クロスした2本のナイフが描かれた仮面、両袖にナイフケース――喚蛇が装着された姿――仮面ライダーヘレナ・ヒカゲ魂となった。

 

「はぁっ!」

「く、は、速い!」

 

新たな姿となった両者だったが、此処でノックスが先程の仕返しとばかりにヘレナの視界から消えた。

と思えば切り裂くような轟音――ソニックブームが響き渡りながら、ヘレナに数多の衝撃が襲い掛かった。

その正体はチーターの力を得た両脚による超音速機動をしながら攻撃を繰り出すノックス、ヘレナもそれに気づいて、刀型と小太刀型、2振りに分割したガンガンセイバーに、換蛇に納められているナイフを駆使して何とか捌き切るも、防戦一方であった。

 

『ダイカイガン!ガンガンミイヤー!ガンガンミイヤー!』

『ダイカイガン!ヒカゲ!オメガドライブ!』

『オメガスラッシュ!』

「『超秘伝忍法…【おおよろこび】!』」

 

今は捌けているが何時までも出来る筈が無い、そう思ったヘレナは秘策に出た。

刀の方のガンガンセイバーをドライバーの目の部分に翳し、更にドライバーのレバーを引き押しした後にガンガンセイバーの柄についたボタンを押す。すると其々の動作の後に何かしらの強力な行動を行うと言わんばかりのボイスが流れ出し、2回目のそれが流れた直後、ヘレナの身体から禍々しい紫のオーラが纏われ、

 

「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!」

「なっ!?追いついて来た…!?」

 

超音速で動くノックスにすら追いつく程のスピードを、

 

「スピードだけじゃない、パワーも強大になっている…!」

 

自らの攻撃を捌いて来た時とは比べ物にならない程のパワーを、そして、

 

「あぐっ!?防御の上から切り裂いて来るとは…」

 

防御などすり抜けると言わんばかりの斬撃を得、ノックスに強烈なダメージを与えた。

だが其々の力を急激に上げて何のリスクも無いのかと言われればそうでもなく、

 

「くっ!?はぁ、はぁ…

やっぱりこの力、制御が厳しい…!」

 

ノックスへの突撃を終えたヘレナが突如、何かを抑え込むかの様な、苦悶の声を上げていた。

そう、スピードとパワー、そして強烈な斬撃を得られる反動として性格が豹変し、敵味方の区別なく攻撃を行うリスクがあったのだ。

 

「ライダーゲージが、かなり減って来ましたね…

此処は回復しましょう」

 

一方、今の攻防でライダーゲージを大幅に減らされたノックスは、減ったゲージを回復すべく新たな姿になろうとする。

此れまでとは逆に、ノックスの方が戦況を打開すべく動いたこの状況、

 

「させません!狂ちゃん、一気にカタをつけるよ!」

『お任せください、夏煉お姉様!』

「リ、リアスお姉様?」

「いや、今の声は私じゃないわよ?」

 

それを見逃さないヘレナでは無い。

この試合で初めて優位に立ったと言って良いヘレナ、そのまま勝負を決めるべく、懐から桃色と紫と白の眼魂――キョウコツ眼魂を取り出してスイッチを押し、絵柄を14という数字に変えると、ドライバーのカバーを開き、セットされていたヒカゲ眼魂と取り換え、カバーを閉じた。

…尚その際、パーカーゴーストの意識らしき声を聞いたノックスが、思わずゲンムの方を向き、ゲンムが自分の発言では無いと否定していたのは余談である。

 

『アーイ!バッチリミトケー!』

 

トランジェント態になると共にドライバーの目の部分から桃色と白のベースカラー、紫の掛け衿に『狂骨』と刻まれた着物、フードの後頭部から紅い蝶結びの髪止めをつけた長い黒髪を伸ばしたパーカーゴーストが飛び出した。

 

『コブラ!カメ!ワニ!ブラカーワニ!』

『カイガン!キョウコツ!骸の畏れ!貰うは眼球!』

 

そんなヘレナの行動を他所に新たなる姿へと変わる準備を進めるノックス、彼女の周囲に飛び回る大量のメダル、その中からコブラを模した茶色の物と、亀を模したライトブラウンの物、そして鰐を模したダークブラウンの物が出現、それらが合体して1つの巨大なメダルとなりノックスの胸部に装着、その身は茶色系統の色に染まり、右手には縦笛型の装備――ブラーンギーを持った新たなる姿――仮面ライダーノックス・オーズファイターゲーマーレベル7ブラカワニコンボとなった。

同時にヘレナもドライバーのレバーを引き押しする事で、飛び出したパーカーゴーストが装着、頭蓋骨と蛇が描かれた仮面を装着し、フードの後頭部から紅い蝶結びの髪止めをつけた長い黒髪を伸ばした姿――仮面ライダーヘレナ・キョウコツ魂となった。

 

「決めるよ、狂ちゃん!」

『はい、夏煉お姉様!』

 

先程の攻防によってノックスが弱っている今がチャンスとばかりに先制したのはヘレナ、ドライバーの目の部分からマジックハンドを彷彿とさせる武器――ガンガンハンドを出現させ、先端の手をグーにしつつ銃口を顕現させた銃モードにして装備、ノックスに向けて頭蓋骨や蛇の様な形状の弾丸を連射する一方、ステージ内に何の前触れも無く出現した頭蓋骨から無数の毒蛇を呼び出し、ノックスへと突撃させた。

とはいえそれを黙って食らうノックスでは無い、持っていたブラーンギーを吹くべく構える、すると両前腕に装着された亀の甲羅みたいな盾が重なり、それはノックスの全身を覆う巨大なエネルギーシールドとなり、正面や横方向から来る攻撃を防いでいた。

更にそのままブラーンギーを用いて演奏を始めると、

 

『シャシャシャシャーッ!』

 

ターバンを巻いた様な頭部からコブラが出現、まるでノックスには指一本触れさせないと言っているかの様に暴れ回り、シールドで防ぎ切れなかった後方などからの攻撃を捌いていたが、

 

「これって『Trip - Innocent of D』…」

「白音、何を選曲しているのにゃ…」

 

演奏している曲に、ある意味どストレートな選曲に外野からツッコミが入った。

そうこうしている内に、

 

「よし、回復完了!次はコレです!」

「くっむざむざと回復を許すなんて…」

 

ノックスの体力はブラカワニコンボの特殊能力によって完全回復、次なる行動に移った。

 

『娘よ、彼奴から強大なる力を感じる…妾を仕え』

「はい、羽衣狐さん!」

 

そのノックスから強烈な力の気配を感じ取ったのだろう、パーカーゴーストの意識らしき存在が発した警告を受け、懐から漆黒の眼魂――ハゴロモギツネ眼魂を取り出してスイッチを押し、絵柄を02という数字に変えると、ドライバーのカバーを開き、セットされていたキョウコツ眼魂と取り換え、カバーを閉じた。

 

『アーイ!バッチリミトケー!』

 

トランジェント態になると共にドライバーの目の部分から漆黒のセーラー服、裾から9つの、白銀に煌めく狐の尻尾が生えたパーカーゴーストが飛び出した。

 

『プテラ!トリケラ!ティラノ!プトティラーノザウルース!』

『カイガン!ハゴロモギツネ!魅惑の妖狐!統べるは漆黒!』

 

ノックスの周囲に飛び回る大量のメダル、その中からプテラノドンを模した赤紫の物と、トリケラトプスを模した桃色の物、そしてティラノサウルスを模した紫の物が出現、それらが合体して1つの巨大なメダルとなりノックスの胸部に装着、その身は紫系統の色に染まり、右手には斧型の武器――メダガブリューを装備した新たなる姿――仮面ライダーノックス・オーズファイターゲーマーレベル7プトティラコンボとなった。

同時にヘレナもドライバーのレバーを引き押しする事で、飛び出したパーカーゴーストが装着、九尾狐の後ろ姿が描かれた仮面、裾から9本の尻尾――ミスティックナインテールが飛び出た姿――仮面ライダーヘレナ・ハゴロモギツネ魂となった。

 

「しゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「くっ!何て重い攻撃…!」

 

新たなる姿へと変化した両者だったが、ノックスの変化は殊に顕著だった。

普段なら上げないだろう、猫が威嚇するかの如き叫び声を上げながら、猛スピードでヘレナへと突進するノックス、ヘレナも回避しようと横へ跳ぶもそれを先読みするかの様に身体を回転させたノックス、次の瞬間、咄嗟にガードしたヘレナの両腕に鞭で、それも威力重視のそれで打たれた様な衝撃が走り、ノックスの正面に強引に押し戻され、

 

「にゃにゃぁぁぁぁぁぁ!」

「す、凄いパワーです…!」

 

そのままトリケラトプスの如き角を生やした左肩によるショルダータックルに襲われた。

これも瞬時の判断で、先端にある手をパーにして杖モードとしたガンガンハンドで防ぎ、同時にメダガブリューを持つ右腕に添える事でその刃が振るわれるのを何とか阻止したが、

 

「しぃっ!」

「あ痛!?」

 

ならばと額の、プテラノドンの嘴を模した部分を利用して頭突きを仕掛けた。

流石に両手が塞がっている状態では防げずに後退するも、追撃として振るわれたメダガブリューの攻撃は、ミスティックナインテールから取り出した槍――四尾の槍を用いて受け流した。

 

「此処は立て直しましょう!春花さん、お願いします!」

『任せて、夏煉ちゃん』

 

一連の攻防で少なくないダメージを負ったヘレナはそれを回復すべく、桃色と白の眼魂――ハルカ眼魂を取り出してスイッチを押し、絵柄を15という数字に変えると、ドライバーのカバーを開き、セットされていたハゴロモギツネ眼魂と取り換え、カバーを閉じた。

 

『アーイ!バッチリミトケー!』

 

トランジェント態になると共にドライバーの目の部分から桃色と白のベースカラーに黄色いラインが入ったレオタード、頭部には桃色の大きいリボンを付けたパーカーゴーストが飛び出したが、

 

「仕切り直し、ですか。なら第2ラウンドの初めに、ちょっと怖い目に遭って貰いましょうか…」

『夏煉ちゃん、何か向こうからどす黒い感じが伝わって来るわ』

「こ、この邪悪さ剥き出しの気配は一体…?」

 

準備を進めようとした所で何やら不穏な事を呟いたノックス、彼女から伝わって来た邪悪な気配を感じ、思わずその方へ向いたヘレナだが、自分のやる事は変わりない、意識はそちらに向けつつも作業は続けた。

 

『ショッカー!ゲルショッカー!デストロン!地獄!地獄!地獄!悪の化身!大!ショッカー!』

『カイガン!ハルカ!傀儡!薬物!開発王!』

 

そして第2ラウンドの始まりに相応しいと言える姿に両者は変化した。

まずはノックス、彼女の周囲に飛び回る大量のメダルの中から鷲を模した金色の物と、蛇を模した銀色の物、そして蠍を模した銅の様な赤茶色の物が出現、それらが合体して1つの巨大なメダルとなりノックスの胸部に装着、頭部は鳥を模した装甲を施されし金色に染まった、と此処までは今までと一緒だがその後が大きく変わった。

銀色に染まった両腕、其処には銀色の蛇の大軍が巻き付き、やがてそれは生物的な装甲と化した。

更に赤茶色に染まった両脚は、甲殻類の殻らしき物や腕に巻き付いているそれの様な物、機械的な物、と多岐にわたる装甲が取り付けられた。

そして一連の変化と共にどす黒いオーラを噴出、その身は悪の化身と呼ぶに相応しい姿――仮面ライダーノックス・オーズファイターゲーマーレベル7大ショッカーコンボとなった。

一方のヘレナ、ドライバーのレバーを引き押しする事で、飛び出したパーカーゴーストが装着、と同時に出現した白衣――クスリトゲボクノホワイトコートを纏った姿――仮面ライダーヘレナ・ハルカ魂となった。

新たなる姿となった両者、こうして本当の意味での第2ラウンドは始まった…!




因みに大ショッカーコンボの変身BGMですが、仮面ライダーウォズの変身BGMがベースとなっております。

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