ハイスクールDevil×Ex-aid   作:不知火新夜

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皆さん、お待たせしました。
別の意味でお待ちかねであろう、誠次郎の登場です。


108話_Heroesの襲撃!

「あの時と同じじゃ。此処へと飛ばされる前に妾やロスヴァイセ殿を覆うかの如く霧が出た。間違いない、この前と同じ、禍の団の襲撃じゃ」

「ええ、八坂さん。案の定仕掛けてきましたね。それにしても俺達が飛ばされる直前に覆った霧…

ロスヴァイセ、確か神滅具の1つに『絶霧(ディメンション・ロスト)』という物があったな?」

「はい、イッセーさん。覆ったものを別の場所へと飛ばす霧を放つ能力を有した、神滅具の中でも強力な部類の神器ですね。間違いなく、その力で私達は此処へと飛ばされたのでしょう。まさか上位神滅具の使い手がテロリストにまで落ちぶれるとは…!」

 

既にやられた経験がある八坂も、その八坂から話を聞いていた一誠とロスヴァイセも、真っ白な空間に飛ばされてから状況を把握するのに時間はかからなかった。

予測していた、というより此方の望み通りとなった状況で直ぐに話し合う3人、その中で一誠とロスヴァイセはこの空間へと飛ばした力の正体に気付いた。

 

「八坂さんと、側にいたロスヴァイセだけを狙って転移させようとした、という事は…

やはり向こうは、俺達仮面ライダーに対抗する術を持っていない。その状況下で目的を完遂すべく、標的である八坂さんを狙い撃ちしたか。ロスヴァイセはまだ仮面ライダーに変身した事も無ければ、現状は出来る状況でもないから巻き込んでも構わないと判断し、その分だけ狙いをアバウトにしたという事か。だが…」

「イッセー殿が咄嗟に飛び移ってくれた事で、奴らの目論見も崩されたな。イッセー殿。我が身、お預け致す」

「勿論です、八坂さん。ノーコンティニューで、御守りします!」

『マイティブラザーズダブルエックス!』

 

ヴァーリが持つ白龍皇の光翼と同等以上の力を有した神滅具の使い手が禍の団にいる状況にいら立ちを隠せないロスヴァイセだったが、そんな存在がいながらも、八坂を狙い撃ちにしなければ目的を達せないのであろう敵の状況から、仮面ライダーの力なら切り抜けられると見た一誠が懐からガシャットを取り出し、変身しようとした。

 

 

 

 

 

「くたばれやクソ兄貴ぃぃぃぃ!」

『Explosion!』

「っちぃ!」

『ガシャコンキースラッシャー!』

 

その時、そうはさせないと言わんばかりに渡月橋の向こう側から、何者かが物騒な事を叫びながら一誠へと襲い掛かって来た。

咄嗟にガシャコンキースラッシャーを装備した事で襲撃を防いだ一誠だったが、

 

「誠次郎…!

お前、刑務所から脱獄して来たのか!」

「あぁ!今の仲間が俺をスカウトして来た時に、有難くな!会いたかったぜ、クソ兄貴!」

「俺は会いたくなかったよ、クズが…!」

 

一誠に襲い掛かったのは思いがけない存在だった。

双子であるが故に一誠と瓜二つな顔立ちだがその表情は憎しみを剥き出しにした凶悪その物な少年――現在は少年刑務所に収監されている筈の一誠の弟、兵藤誠次郎が今まさに、一誠死すべしと言わんばかりに襲い掛かって来たのだ。

飛び掛かりながら左ストレートパンチを放った誠次郎、ガシャコンキースラッシャーで受け止められたその左腕は赤をベースカラーとし、手の甲部分に宝玉が嵌め込まれた、龍を模したデザインの籠手が装着されていた。

 

「ふっ!」

「おっと、ドラゴンショット!」

「はぁっ!」

 

一誠に対して憎悪むき出しで襲い掛かった誠次郎だが、一誠にとっても誠次郎は蛇蝎の如く嫌う存在、目障りだと言わんばかりに前蹴りを繰り出すもそれを読んでいた誠次郎が後ろに跳んで回避、同時に左腕の籠手から球型のエネルギー弾を放つも一誠の斬撃で両断、消滅した。

 

「イッセー殿が2人、いや、イッセー殿とは似ても似つかぬ邪悪な気配をしたあの男は…!」

「あの男が、イッセーさんの双子の弟『だった』、兵藤誠次郎…!

皆さんから色々聞いてはいましたが、まさか禍の団に入っていたとは…!」

 

そんな一連の戦闘を見ていた八坂とロスヴァイセ、2人は、特にリアス達からその所業を聞いていたロスヴァイセは、誠次郎に対して敵意を剥き出しにし、臨戦態勢をとる。

だがその時、ロスヴァイセが懐に入れていた『何か』を取り出していた事に、前方を警戒する一誠は勿論、隣にいた八坂も気付かなかった。

 

「誠次郎、勝手な行動をしては困るんだけどね」

「大目に見なさいよ、ジーク。憎くて憎くて仕方ない相手を目の当たりにしたんだもの、身体が勝手に動いたりするもんでしょ。ね、セージ」

「そう言う事だ、わりぃなジーク、今度は上手くやるからさ」

「ジャンヌ、お前は誠次郎に甘すぎだ」

 

それは兎も角として、後方へと飛び退いた誠次郎と並び立つ様に、彼が着るそれと同じ物らしき学生服を着た若い男女の集団が現れた。

その中でジークと呼ばれた、腰に何本もの剣をさした白髪の青年が誠次郎の行動を注意するが、ジャンヌと呼ばれた金髪の少女が逆にジークの苦言を咎めた。

 

「まあまあ2人とも、誠次郎の件は後で話し合えばいい。さて、初めましてと言うべきかな、八坂殿、そして兵藤一誠。俺の名は、まあ曹操とでも呼んでくれ。貴方達が良く知る曹操の末裔さ」

 

誠次郎の行動に関して言い争う2人を宥める様に声を上げた、曹操と名乗る神々しいオーラを放つ槍を手にした黒髪の青年が前に出て、自己紹介を始めた。

 

「魏王の末裔と名乗る、神滅具の代名詞たる『黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)』の使い手…

成る程、貴様が英雄派を仕切る者か」

「ああ。その代表として、単刀直入に言おう。八坂殿、我々と共に来て頂こうか」

 

その出自に加えて、神をも貫く絶対の槍として神滅具の中でも最強と称される黄昏の聖槍を持っている事から、英雄派のリーダーであると見た八坂の指摘をあっさりと認めた曹操。

 

「フン、答えは決まっておる、否じゃ。それに、妾が断るとして、易々と従う貴様らでもあるまい」

「ああ、分かっているじゃないか。兵藤一誠がいたのは想定外だが、大した問題じゃない。仮面ライダーが1人いた所で、この大軍を如何にか出来る訳でもあるまい!」

 

自らに付いて来いとの要求に拒絶の意志を示した八坂に対し、ならば力づくでと言わんばかりに、背後に控えていた魔獣達に攻撃の指示を飛ばす曹操。

指示を受けた魔獣達は、口から眩い光を生成し、それを砲撃として一誠達に放つ。

一誠もそうはさせないと言わんばかりに回避の態勢を取りながら、今一度変身しようとした。

 

「イッセーさんを如何にかするだけで事は上手く行くと?甘く見ないで下さい!」

『タドrル、レガsシー!』

「何!?」

 

が、その攻撃は突如として現れたスクリーンに阻まれた。

 

「タドルレガシーだと!?ま、まさか!?駄目だロスヴァイセ、そのガシャットは破損している!今変身したらお前の身に何が起きるか」

「変身!」

『ガシャット!ガッチャーン!レベルアップ!辿る歴史!目覚める騎士!タドォォォルレガシー!』

 

その正体に、それを用いてロスヴァイセがやろうとしている事に気付き、焦りの感情を隠しもせず彼女を止めようとする一誠だったが、その言葉が届く事は無かった。

腰に装着していたゲーマドライバーにガシャットを装填し、レバーを開いて変身動作を終えたロスヴァイセ、直後に登場した白いパネルが彼女の身体を通過するとその姿は、祐斗が変身する仮面ライダーブレイブと似たライダーとなった。

とはいえその姿がブレイブと殆ど同じかと言うとそうでは無く、水色に染められていた部分はまるで錆び付いたかの様なくすんだ赤茶色と化し、眼の色もまるで血が混じったかの如き暗いオレンジ色に変色、ガシャットの破損を物語っているかの様な色合いに染まってしまっていた。

一方で身に着けている鎧は『魔王』を体現したブレイブのファンタジーゲーマーとは対照的に『聖騎士』を体現した、白をベースとした物であり、マントも真っ白な物になっていた。

 

『ガシャコンソードツヴァイ!』

「これより、禍の団切除手術を開始します!」

 

そんな騎士姿のライダー――仮面ライダートゥルーブレイブ・レガシーゲーマーレベルXに変身したロスヴァイセは、聖剣の如きオーラを放つ長剣型のガシャコンウェポン――ガシャコンソードツヴァイを装備し、その切っ先を前方にいる英雄派メンバー達に向けながら、そう宣言した。


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