ハイスクールDevil×Ex-aid   作:不知火新夜

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92話_Powerとは

「という訳で皆様、本日から此処でお世話になりますわ」

「いや、あの、レイヴェル?大体の事情はイッセーから聞いているから分かるけどいきなり、という訳で、と言われても」

 

レイヴェルが己の想いを打ち明け、見事それが叶って程なく、彼女がかなりの荷物を抱えながら一誠達が住む屋敷へとやって来た。

余りにも唐突な展開に戸惑うしかないリアス達だったが、彼女の言い分からしてこの屋敷で住む事になった様だ。

フェニックス家支援者のごり押しによって、一誠に嫁入りするという目的から人間界に来たレイヴェルだったが、裏の目的がどうあれ転校して来た頃の彼女は、リアスの眷属でもなければ一誠と恋人同士だった訳でもない、勿論一誠が生み出したバグスターでも無いので、リアス達と深い関わりがある訳では無い彼女を同居させるのはどうかという意見から、当初はこの街のとあるマンションで生活していた。

しかし今は一誠とも結ばれた以上、別居する理由も無い、よって今日この屋敷に引っ越す事となった訳だが…

 

「何ですか、これが小説なのを良い事に重要な事まで省略するんですかこの焼き鳥姫は」

「あらメタ発言ですか、ぺちゃパイな白猫さん?」

「そのおっぱいをもいで唐揚げにして食べてやりましょうか?」

「し、白音落ち着いて!俺は白音のちっぱいも好きだから!あの掌に伝わるくりくりとした感触とか最っ高だから!」

「それとこれとは話が別です!何で私以外巨乳なんですか!?皆して見せつけているんですか!?」

 

メタい発言でレイヴェルに毒を吐いた白音、だが「焼き鳥」と言われてカチンと来たのか、レイヴェルも負けじと白音のオンリーワンに対して毒を吐いた。

毒舌の応酬に険悪な雰囲気が漂う中、一誠が(セクハラ丸出しな発言で)割って入ろうとするが、まるで意味が無く、結局宥めるのに数分は掛かったとか。

尚、此処最近一誠は白音の事を呼び捨てにしているが、これは夏休み中にガシャットギアデュアルαを白音に渡した後、白音に心境の変化があったのか「ちゃん付けは止めて欲しい」と言われた為であるが、これは余談である。

 

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「流石は天才ゲーマー『L』として名を馳せたレイヴェル、といった所か。全ジャンルにおいて高いレベルの適性を示すとは」

「すげーな親父、ライダー適性の総合力で言ったら親父やギャスパーを遥かに上回っているぜ」

 

その日の夜、自室にて一誠はパラドと共にデータを整理していた。

例によってバグスターウィルスに対する免疫の付加処置を施されたレイヴェルは、やはりと言うべきかライダーに変身出来る程の適性が判明、しかも此れまでにない高いレベルでの適性がある事が分かった。

 

「このまま其々のジャンル適性に合ったライダーに変身させても、それはそれで十分な力を発揮してはくれる。だがこのまま既存の、今後生み出す予定のライダーにレイヴェルを変身させて良い物かどうか」

「確かにな、今出来ているライダーガシャットの殆どは特定のジャンルに特化した物、『アレ』も例外じゃない。レイヴェル・フェニックスに変身させるとなると、他の適性を犠牲にしなきゃあならないな」

 

想像はしていたがそれでもこれまでにない才を有したレイヴェルの存在に興奮を隠せない2人、だが一方でその才を十分に引き出せる術が無い事に悩むという複雑な心境だった。

 

「待てよ?今も近い未来も、特化型のガシャットしか無い、か…

 

 

 

ならば作るか、今までの様な『完成した』内容をプレイするゲームじゃない、1からゲームを『作り出す』内容のゲームを!それを搭載したライダーガシャットなら、レイヴェルの適性を十全に引き出せる筈!」

「ゲームを作るゲームって事か!流石は親父、凄い発想だぜ!」

 

其処でふと新しいゲームのアイデアが閃いた一誠、それはゲームを『作る』ゲーム、という今までと全く違うアプローチの物だった。

このゲームを作るゲームの力を有したライダーガシャットを用いる事で、様々な状況に応じてゲームを作成、その力を行使する、というのが一誠の考えだ。

これなら全ジャンルに満遍なく高い適性を有するレイヴェルの力を最大限引き出せる、パラドもその発想に至った一誠に賛同した。

 

「とは言え今から、どういうアプローチでゲームを『作る』のか、考えるだけでも時間が掛かる。搭載したガシャットのレベルも分からない。今から少しずつでもバグスターウィルスに、ライダーへの変身に身体を馴染ませておかないといざと言う時に危険かも知れない。其処までの『繋ぎ』は…

 

 

 

丁度良い、レイヴェルの適性ならレベルXの力にも十分対応できる。今一度、お前には頑張ってもらいたい、カイデン」

 

然しまだそのゲームは構想の段階にすら入っていない代物、それまでの『繋ぎ』としてどんなライダーに変身させるかを決めた一誠、その手にはゼノヴィアが使用していた黒いガシャットが握られていた。

 

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「ラヴリカさん。1つ、お聞きしたい事があるのですが」

「なんなりと、アーシア母様」

 

同じ頃、アーシアは何か気になる事があったのか、ラヴリカを呼び出していた。

 

「リアスお姉様は、バグルドライバーを用いる事で更なる高み(レベル)に至りました。その基となるガシャコンバグヴァイザーはギャスパー君も、私も使用しています。ギャスパー君が変身するクロノスは仮面ライダーの王、きっとバグルドライバーを使ってその王としての力を得るんだと思います。もしかして、私も…?」

「お察しの通りです、アーシア母様。実を言うとこのラヴリカのレベルはカイデンやゲノムス等と同等のX。ですが私の媒介であるときめきクライシスガシャットは、ゲーマドライバーとの相性が良くなく、それを用いての変身となるとレベル2、他のガシャットを用いてもレベル7がやっとなのです。ですが母様が持っているガシャコンバグヴァイザーⅢをバグルドライバーⅢにし、それを用いて変身する事で母様は仮面ライダーポッピーの真なる姿――ときめきクライシスゲーマーとなるのです。そのレベルはX、ガシャットギアデュアルやマイティブラザーズXXガシャット、デンジャラスゾンビガシャットにも匹敵する力を得られます」

 

その疑問は、自らが変身するポッピーに隠された力が残っているのではないかという物、それに対するラヴリカの答えは『YES』だった。

現状は皆と比べて大きく劣る力しか持たない(とはいえ上級悪魔でも指折りと言って良い実力を有してはいるが)ポッピーだが、それはまだ本領を発揮していないだけ、バグルドライバーを用いる事で皆と肩を並べられる程の強さを得られる。

そんな話を聞いたアーシアは然し、何処か不安な表情だった。

 

「強大過ぎる力を振るう事で誰かを傷つけてしまうのではないか、苦しませてしまうのではないか、いやもしかしたら殺してしまうのではないか、その不安は分かります。その力を使うか否かは、母様次第です。ですがその力はきっと、母様にとって心強い物となる筈です。大丈夫、母様はお一人ではありませんよ。私やポッピーピポパポが付いています。何より、

 

 

 

母様にはお父様が、皆様がおられるでしょう?」

「は、はい。そう、ですよね!」

 

その不安の訳を察し、言葉を掛けるラヴリカ、それに笑顔で応じたアーシアだったが、それでも不安が全て解消された訳では無かった。

何時も愛用しているときめきクライシスガシャットも、ガシャコンバグヴァイザーⅢも、この時は何時と比べ物にならない重量で、アーシアの手を押しつぶさんとしていた様に彼女は感じた。


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