「ん、デジャヴ。 超デジャヴですね。」
目を覚ましたら知ってる天井でした。
体を起こそうとした所で腹部に軽く痛みが走る。
「当て身、ですかね。」
さっきボガードさんにやられた攻撃を思い浮かべます。
鞘での攻撃でしたが、峰打ちの鞘バージョンと言うよりは当て身の間合いを鞘で無理やり伸ばした感じでしょうか。
善戦出来ていたからと言って調子に乗っていましたね、私。
反省しなければ。
それにしても最後のあの移動は六式の剃、でしょうか。
動体視力は良い方だと思ってたのですが、まったく目で捉えられませんでした。
いえ、捉えられなかったのは完全に予想外だったからでしょうか。
どちらにせよ、実力が足りてないのは事実ですが。
ベッドから弾みを付けて起き上がり、壁に立てかけてあった二本の刀を手に取ります。
「では、鍛錬、」
ぐうぅぅ〜〜
「の前にご飯にしましょうか。」
何ですかね、このタイミングの良さ。
腹ペコキャラになった覚えはありませんよ?
とは言ったものの、食堂の場所なんて知りませんし、近くに人のいる気配もありません。
何ともタイミングの悪い時に目を覚ましたものですね。
「おお、起きとったか。 思ったより体も頑丈そうじゃのう。」
「あ、ガープさん。 どうもです。 それで、入隊の件はどうなりました?」
「慌てるな。 キッチリ、センゴクに話してやったわい。 期待の新人だとな。 決断はまだじゃが、ほぼ確定じゃろ。」
あれ、意外ですね。
最初の奇襲以外は完全にやられっぱなしだったと思うのですが。
「ん? 意外そうな顔じゃな。 当たり前じゃろ。 奇襲とは言え、真正面からボガードのような実力者を慌てさせた上、ボガードの攻撃も一回は回避し、あまつさえ能力をもう自由に使い始めておる。 どれか一つでも相当な事じゃぞ?」
へぇ〜〜、そうなんですか。
まあ、勝てなきゃ意味ないんですけどね。
この世の殆どは結果が全てですから。
「それに、お主の言っとった本心。 儂はそれを気に入った。」
「ありがとうございます。 あの、ところでなんですが、、、」
「ん? なんじゃい。 遠慮はいらんぞ。 言ってみい。」
「ご飯食べたいので、食堂とかに案内して貰えませんか?」
エヘヘ、と照れ笑いをしながらお願いします。
「おお! そうじゃのう。 こっちじゃ、ついて来い。」
そしてガープさんの大っきな背中について行くこと数分。
食堂につきました。
までは良かったのですが、
「あの、何で皆さん私を見てるんですか?」
視線集まりすぎです。
お願いですからもうちょっとバラけてくれません?
「期待の新人なんじゃから当たり前じゃろう。」
そうでした。
皆さん見てましたもんね。
・・・・・今からこの中で食事ですか?
メチャクチャ食べ辛かったです。
気のいい人は声をかけてくれましたけど、時折混じる妬み嫉みの視線が、、、視線がぁ・・・!
「何で食事程度でこんなに疲れなきゃいけないんですか。」
本当に疲れました、精神的に。
「夜なのに眠くありませんし。」
・・・・・軽く能力の練習でもしますか。
そう考えて掌の上で小さな竜巻を作り出します。
それを崩さないように掌から腕、肩、そして反対の腕、掌、と移動させていきます。
遊んでいるようにも見えるでしょうが、このように繊細なコントロールも必要になる時が来るかもしれません。
備えあれば憂い無し。
毎日少しでもトレーニングをするのが重要なのです。
そういえばお風呂入れてないぃ〜〜。