海風に舞う桜   作:座右の銘は天衣無縫

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すまない。
遅れてしまってすまない。

エタっては居ないからそこだけは安心してくれ


第十話

 

「十時の方向に船! 海賊船です!」

 

「よぉし! 全員持ち場につきな! ボサッとしてんじゃないよ!」

 

こんにちは、沖田さんです。

 

今現在、おつるさんの船でグランドラインに出て、三十数日航海して海賊船と遭遇したところです。

 

「オキタ! 海賊船の方向に向かって風! 逆にあっちを風で引き寄せられるかい!?」

 

「まだ能力の範囲外です! 範囲に入り次第、引き寄せますか!?」

 

「ああ、それで構わないよ! 全員、揺れに気を付けな!」

 

私が能力で船の帆を目一杯膨らませると、ガクン!と一気に船が加速しました。

 

「よぉし! 砲撃手! 腕の見せ所だよ! いつもとは船の速度が違うんだ、外すんじゃないよ!」

 

砲塔が旋回し、角度を付けて海賊船を狙います。

 

「撃ち方始め!」

 

おつるさんの掛け声で砲弾が次々と放たれます。

そして私はそれに合わせてこっそりと風を操作。

 

放たれた砲弾が風によって受ける影響は割りと大きいのです。

そして私はその風を操ることが出来る。

 

つまり、上手くやれれば砲弾の軌道を修正し、当てさせることが可能なわけです。

 

そして放たれた砲弾の一つが完璧な軌道を描き、海賊船に直撃し爆発を起こしました。

 

しかし、爆発で生じた煙が晴れて、見えたのは無傷の船。

 

「む、無傷です!」

 

望遠鏡を持った観測手がそう伝えます。

 

え? 何で私が見えるのかって?

能力の応用ですよ。

 

風王結界(インビジブル・エア)』は物を風で物を透明にする。

即ち、風によって光の屈折率を変化させているということです。

 

そして望遠鏡のレンズも屈折率を変化させて遠くのものを見えるようにする。

 

それを再現しただけです。

 

まあ、時々目に風で飛んできたゴミが入ってしまうのが欠点ですが。

 

それにしても今のは、、

 

「おつるさん。 砲弾が当たる前に乗組員が迎撃してます。」

 

「! アンタ、見えるのかい?」

 

「はい。 能力の応用で。」

 

「・・・迎撃の方法は?」

 

「見たところでは斬撃を飛ばしてます。」

 

「そうかい。」

 

そう言うとおつるさんは少し考えて言いました。

 

「距離もかなり近付いてきたからね。 アンタ、月歩で制圧してきな。」

 

・・・what?

 

「え、私が?」

 

コクリ、と頷かれ、

 

「一人で?」

 

再度頷かれます。

 

「良いかい、オキタ。 あたしは出来ないと思った人間にやらせる気はこれっぽっちも無いよ。 アンタが出来ると思ってるから命令しているんだ。 分かるかい?」

 

「取り敢えず拒否権が無いのだけは分かりました。」

 

「なら良し! そら、行っておいで!」

 

「うわーーん! 行ってきますぅ!!」

 

若干、涙を流した私は悪くないと思います。

 

 

 

 

 

そして月歩で海賊船まで飛んだ私は八つ当たり気味に斬撃を放っていた乗組員にドロップキックを放ちます。

 

そして風で自分を見えなくしていた私にギリギリで気付いてガードしたようですが、当然のごとくふっ飛ばします。

 

まあ、強めのノックバック程度なのでダメージは殆ど無いでしょうが。

 

「海軍です。 大人しく投降するのであれば命は保証しましょう。 まあ、インペルダウンまでの、ですが。」

 

流石にインペルダウン内での死亡、及び処刑までは手出しできませんからね。

 

「ああ? やなこった。 むしろ、テメェを俺達が捕まえて色々ヤッてやろうか?」

 

周囲から笑い声が上がる。

 

「まあ、そうなるのは予想済みなので。」

 

刀を抜きながら『縮地』で目の前の男の背後に移動します。

 

「実力で無力化します。」

 

まず、両足のふくらはぎの筋肉を切り、倒れたところで両手の二の腕に刀を刺します。

 

これで、もう立ち上がることは出来ませんし、何かを持っても振り回すことはおろか、投げることすらも出来ません。

 

まあ、銃を撃つことくらいは出来ますが。

 

そして最後に即頭部を蹴って意識を奪って終わり。

 

「さて、次にこうなりたい方は?」

 

私がそう言うと海賊達は互いにアイコンタクトを交わし、頷いて、

 

「かかれぇーー!!!」

 

だと思いました。

 

そしてそこからは私の一方的な蹂躙劇でした。

筋肉を切り、関節を外し、峰打ちし、先程、下品な事を考えていた男に一夫多妻去勢拳を放ち。

 

ものの数十分で全員無力化完了。

 

そして風を動かしておつるさんの船へと近付けます。

 

「沖田さんが帰りましたよ〜っと。」

 

「何だい。 ぐずってた割には結構早く終わったね。」

 

「思ってたより大したことありませんでした。 旗上げしたばっかりですかね?」

 

「トータルで賞金1500万ベリーくらいだからね。 グランドラインではそう実力のある方では無かったんだろうさ。」

 

あら、その程度でしたか。

 

だとしたらちょっと悪い事しちゃいましたかね。

特に一夫多妻去勢拳とか。

まあ、後悔も反省もしてませんが。

 

世の中の女性の全員の代表としてやっただけですから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数十日後、私達は航海を終え、海軍本部に帰ってきました。

 

「ゼファー先生、何です、コレ?」

 

「ああ〜、いや、その、だな。」

 

そして私の目の前にはゼファー先生が正座してます。

 

「僅か三ヶ月程、家を空けただけでこの惨状ですか。 ゼファー先生? 私は先生が掃除も洗濯も出来るのは知ってるんですよ?」

 

ゴミや空の酒のビンが床の上に散らかっており、洗濯物は溜まりっぱなし。

 

挙句の果てには食器も重ねて水に浸かったまま放置。

 

「幾ら毎日、忙しいとは言えど限度があります。 そうですね、、、取り敢えず三週間程お酒禁止にしましょうか。 どうせ、酔っ払って家事をやるのが面倒になってこの状態になったんでしょうから。 勿論、外で飲んでくるのも禁止です。 破ったなら一週間追加です。 分かりました?」

 

「・・・・・分かった。」

 

「全くもう。 ほら、手伝いますから部屋を片付けましょう。」




アンケート結果発表!

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3番 21票

1番圧倒的ですね。
作者的には一番楽なので助かります。

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