インフィニット・ネクサス   作:憲彦

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更新が開いてすいません。忘れてた訳じゃないですよ。新しいの書いてただけです。

オリジナルの「人間やろうと思えばどんな環境でも生きていける」と、新IS二次創作「牙狼〈GARO〉~インフィニット・ストラトス」もよろしくお願いします。


再編集11

死を直感した人間が見るもの。一般的には自分の生まれた場所や家族、そして友人や今までの人生。しかしそれは一般的で所謂善人が見るもの。故に、善人ではない2人が見ているものは全く別の恐ろしいものだ。

 

社長の方は、生暖かい液体に流されている感覚に襲われている。そして首には何重にも長い髪の毛が絡み付き、自分の体に人の形を成していない歪な子供の様な生物が足から這い上がってくる幻覚で、沢山の女性の笑い声と子供の声が聞こえている。婦人の方は磔にされ身動きの取れない状態で何十人、何百人の男女に体を刃物で貫かれる幻覚に、各々襲われていた。

 

その余りにもおぞましく恐ろしい幻覚に2人は硬直。ただただ冷や汗を滝のように流し、呼吸を荒くしていた。ヒューヒューと喉から声にもならない声が流れてくる。そんな様子を上空から溝呂木が眺めていた。

 

「(どんな人間でも死に際は醜いな)ハァッ!」

 

2人の存在をこの世から消すため、光弾を放ちデュノア社もろとも消し去ろうとした。だが、そこに銀色の巨人に変身した一夏が割って入りシールドを張って溝呂木の攻撃からデュノア社を守った。

 

「溝呂木!どう言うつもりだ!」

 

「何のことだ?」

 

「ふざけるな!この会社には、大勢の人が居るんだぞ!何故殺すような真似を!!」

 

「お前に関係あるか?殺したいから殺す。ただそれだけだ。問題でもあるか?」

 

「お前は……命をなんだと……!!」

 

「命?人間と言えない、命を持っているとも言い難い俺達が命と言うか?そもそも、命を奪うことなんて誰でもやってる。お前は過剰に反応しすぎなんだよ」

 

「命を奪うことを肯定するな!人が人を殺して良いと思ってるのか!?」

 

「なら人間以外の物を殺すのは良いのか?自分勝手な理由で山を切り開き、邪魔だからと言ってそこに住む動物を殺す。有史以前から繰り返されてきた事だ」

 

「だとしても!僕たちはその命を繋いできている!生きるために!でもお前は!」

 

「でも何だ?所詮お前が気に入らないだけだろ?お前の言っていることは綺麗事でしかないんだよ。自分の信念を貫きたいなら、拳で話せ!!」 

 

「いくら言っても無駄なら……そうさせて貰う!シュワ!」

 

2人の巨人の戦いが始まった。しかし一夏は防戦一方で押されている。理由は簡単だ。一夏は感情が先走ってしまい勢いで溝呂木に挑んでいる。多少の実力の差ならば勢いでも押しきれるかもしれない。だが持っている実力が到底及ばない様なら、勢いだけで覆す事はできる筈もない。

 

「少しは腕を上げたようだな!!」

 

「僕はお前を倒す!誰も犠牲にさせないために!!」

 

「そうか。殊勝な心掛けだ。だが無意味だ!!」

 

「グワッ!?」

 

溝呂木を倒すためにジュネッスの力を使い空中で戦っていたのだが、力及ばず地面に叩き落とされてしまった。決して小さくないダメージを受け、周りにも多少の被害を出してしまう。

 

「その程度の実力でここにいる人間を守れると思ったのか?周りを見てみろ。メタフィールドも展開せず戦った結果がこれだ。それに、ここの連中を守る必要があると本当に思っているのか?」

 

「なに?どう言う事だ!」

 

「こう言う事だよ」

 

腕を空に向けて上げると、デュノア社の実情が全て公に晒された。データの横流し、研究資金の横領、社長夫婦の不倫、薬の取引、殺人の様子、シャルロットへの暴力や強姦等の映像が。周りで見ていた野次馬や臨時ニュースの放送で来ていたリポーター、そして一夏は言葉を失ってしまった。

 

「これがデュノア社の真実だ。さて、これを見た上でもう一度聞こう」

 

メフィストクローを展開。最上階の社長室を破壊して2人を取り出す。

 

「コイツらに生きる価値が、守る価値があるのか?俺は無いと思うけどな」

 

掌から空中に放り投げて光弾を放ち塵に変えた。

 

「今助けるのを躊躇しただろ。本当に助ける価値があるのかと疑問に思わなかったか?」

 

「……思ったさ。助けるべきなのか、見捨てるべきなのかを」

 

「だろうな。絵に描いた様なゴミクズだったろ」

 

「あぁ。でも!それでも僕は人を助ける!」

 

「正義の味方ごっこか?下らん」

 

「違う!僕は正義の為になんか戦っていない。むしろ正義とは程遠い、自分の為に戦っている。さっきは助けることができなかった。でも!もう誰も死なせない!僕が僕である為に!」

 

「そうか……なら!俺を殺して証明してみろ!!」

 

猛スピードで溝呂木が突っ込んでくるが、それを空めがけて殴り飛ばす。空中に飛ばした溝呂木を追いかけて、一夏も空に飛ぶ。飛んですぐに溝呂木の背後にメタフィールドの入り口を作り、一緒に突入した。

 

「ゼヤァア!!」

 

「ウワッ!」

 

メタフィールドに入ると同時に、一夏は溝呂木を近くの山に投げ付けた。更に、動けなくなっている溝呂木に蹴りを入れようとする。

 

「本当に、この前よりはマシになったな。この短期間でここまで強くなるとは……良いぞ!俺を楽しませろ!」

 

「いや!ここでお前を倒す!!」

 

攻撃は外れたが、すぐに竜巻を発生させそれを溝呂木に向けて竜巻を進ませる。溝呂木が竜巻に飲み込まれるのを確認すると、抜刀するような体制になり手と手の間をエネルギーでスパークさせ、溜まると十字に組んで光線を放った。

 

「ディヤ!!」

 

「ウワァァア!!」

 

竜巻に飲み込まれて無防備になっている所に光線技。流石の溝呂木もダメージを負った筈だろう。

 

「惜しい!だが今の攻撃は良かったぞ」

 

「ッ!?ならこれだ!」

 

アームドネクサスを前方で交差させ、V字に腕を伸し、L字に腕を組んでさっきよりも強力な光線技を放った。一夏の最大の必殺技であるオーバーレイ・シュトロームだ。

 

「ウッ!!グゥゥゥ!!」

 

「ハッ!?ハァァァ!!デリャア!!!」

 

「ウン!ウラァァア!!はぁ……今のは危なかったな」

 

後少しで消滅させられたが、力ずくでかき消されてしまった。これには一夏も驚いている。完全に決まったと思ったからだ。

 

「じゃあな。今日はこれで帰らせてもらう」

 

「あ!まて!グッ!」

 

オーバーレイ・シュトロームを撃ったせいか、力のほとんどを使ってしまい地面に膝を着いてしまった。メタフィールドも崩壊を始めている。

 

メタフィールドが消えると、ジュネッスから銀色のアンファンスに戻りサイズも人間と同じになった。そのままふらつきながらではあるが、IS学園に向かって飛んでいった。

 

「さてと。アイツは帰ったか。仕事の続きだ」

 

溝呂木は人間サイズのメフィストの状態で空へ飛ぶ。そして姿を消しながらあるものを回収して回る。デュノア社の不正で世界中に生まれた負のエネルギーと、公にするためとは言え晒してしまったシャルロット・デュノアの記憶だ。

 

「ふん。流石に闇の量は多いな。面白い程集められるな。記憶も回収済み。後はデータか……面倒だが全て消しといてやるか」

 

仕事に関しては完璧主義の性格。中途半端な事はするつもりはない。故に今後依頼主が何かしらの事で揺すられるネタを消さなくてはならない。様々な男に抱かれてきたなんて良い揺すりネタだ。自分の体をデータ化してネットの世界に侵入し、特定の情報だけを片っ端から消滅させていった。

 

「グッ!…うぁ…………」

 

最後のデータを消した直後、突然胸のエナジーコアが激しい音を上げて点滅を始めた。急いで地面に近付くが着陸する前に変身が解けて真下にあった使われていない倉庫の屋根をぶち抜いて落下してしまった。

 

「うっ……思ったよりも早かったな。残り1ヶ月か2ヶ月って所か……」

 

幸いなことに日本には着いており、なおかつ学園の近くだった。学園に侵入して自分の部屋に入れば妙な疑いをかけられずに済む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、学園は休校となった。デュノア社の不正の数々が公表されたからだ。当然、学園にはデュノア社関係者が多数いる。フランス政府が直接取り調べをするなどの事もあり、しばらくは学園の機能を停止させる様だ。

 

「中々の量が溜まったな」

 

学園が休みなのを良いことに、溝呂木はいつも通りに屋上で休んでいた。ダークエボルバーに溜まっている闇の量を見ながらだ。

 

「あ、やっぱりここに居た」

 

「ん?デュノアか。なんの用だ?」

 

「うん。まずはありがとう。デュノア社から僕を解放してくれて。お陰で気分が晴れたよ」

 

「そうかよ」

 

「でも……その、あの映像は流さなくても……」

 

「誰かにそれを聞かれたのか?」

 

「え?いや、でもそれって気を使ってるからじゃ」

 

「記憶とデータは全て消しておいた。お前の頭からも消してやろうか?」

 

「い、いいよ!なんか怖いし」

 

デュノアの頭にダークエボルバーを突き付ける溝呂木だが、怖いと言うことを理由に遠慮された。その後、デュノアは学園長室へと向かい溝呂木はそれを見送った。

 

「ゴハッ!!……昨日からどうも進みが早いな」

 

自分の吐き出した血を見て、疑問に思った。だがそれ以上は考えても時間の無駄になるため、暇を満喫することに専念した。




社長の幻覚の生暖かい液体とは羊水を、髪は今まで食い物にしてきた女を、歪な形をした子供は殺してきた生まれてくる筈だった子供達です。

そして婦人の幻覚は、同じく自分勝手に使ってきた男やその男の本来の恋人達に串刺しにされてる状態です。分かりやすいイメージはあれですね。NARUTOのイタチがカカシ先生にかけたあの幻術です。

次回もお楽しみに!感想や評価、お気に入り登録もよろしくお願いします!!

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