インフィニット・ネクサス   作:憲彦

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最近どうも小説を書くと言うことに集中できなくて書けませんでした。でももう大丈夫です。ネクサスの音楽聞いてモチベーション上げてきたので。

あ、更新期間に間が開いてしまったので、前回の内容を忘れたと言う方、軽~く前回の話に目を通して見てください。

銀魂、最終回(笑)を迎えましたね。ジャンプ土曜日発売を忘れ昨日買ったんですが、見事にこの先も続くと言う事で。読み終わってこれはツッコミを入れなくてはと反射的に思ってしまい、「結局いつもの終わる終わる詐欺かよ!予想通りだったよ!つーかギガじゃなくていつも通りこっちでやれよ!」と、ジャンプを自室の床に叩き付けながら盛大にツッコミました。銀魂、まだ終わらないよ~!


再編集9

何の前触れもなく現れた第3の男性IS操縦者。それを聞いた瞬間に溝呂木は1日の授業全てを欠席して、その人物についてに調べることにした。

 

「……ほとんど情報がないだと?なにやってんだこの学園は」

 

最初に行ったのは学園のサーバーへの侵入。溝呂木からしたら簡単な仕事だ。しかし、肝心の転入生に関する情報があまりにも少なかった。まるで誰かに隠されているように。本来なら如何に重要な情報であろうとも、学園上層部には伝えられ、必ずデータとして保存する。しかしそれが全く無い。

 

「名前と写真だけか……伏せられてる?だがそれができるのは学園長か理事長。隠すほどの物なのか?たかが転校生だぞ」

 

現状から手に入れられる限られた情報。ここから割り出される答えは、学園の扱うそれではない。重要な情報には何重ものロックがかけられ、中に入っているのは偽と言っていい意味の無い情報。やり方が国家や軍と似ている。これでは容易に手に入れるのは不可能。だと思っていたが、突然溝呂木のパソコンに1通のメールが届いた。差出人は不明だが、転入生についてと題名が打たれている。攻撃の類と言う可能性もあるが、同じデータの入ったパソコンがもう1台あり、データが抜き取られる前に抹消するように設定してある。問題は全く無い。

 

「欲しい情報を全部送るとは……誰だかは知らんが、ありがたく使わせて貰うぞ」

 

開いたメールに書かれていた情報。それは今正に溝呂木が欲しがっていた物。余計な情報がいくつか混じっているが、1番必要に思っていた第3の男性IS操縦者のプロフィールやその他情報が事細かに記されている。

 

シャルル・デュノア

国籍、所属国家 フランス

専用機 ラファール・リヴァイブ・カスタムⅡ

製造国 フランス

クラス 1年1組

転入理由 男性操縦者と言うことで保護を目的として転入。父親の会社であるデュノア社からデータ収集を目的として専用機を与えられる。同時に他国から手を出されない為にフランス代表候補生の立場にある

 

「どこまでが本当でどこまでが嘘なんだ?つーかボロ出てんじゃねーかよ。デュノア社。またか。一応こっちも確認しとくか」

 

ラウラ・ボーデヴィッヒ

国籍、所属国家 ドイツ

専用機 シュヴァルツェア・レーゲン

製造国 ドイツ

クラス 1年1組

転入理由 ドイツ軍IS部隊隊長と言う立場故に、より実践的な能力を身につける為に織斑千冬の指導するクラスに転入。軍と国からは男性IS操縦者の監視も目的に入っている。

 

「ドイツ軍IS部隊……しかもこの銀髪。確か試験管ベビーとか言うのがドイツ軍で研究されてたな。戦闘に特化した人間。生まれながらの軍人……俺の劣化版か。可哀想なこった」

 

戦争で戦うために生まれたラウラ・ボーデヴィッヒ。そして殺すために生まれた自分と言う存在。どこか重ねて考えてしまったのだろう。だが自分とは決定的に違うところが多々存在するため、すぐにラウラについて考えるのは止めた。

 

「どっちも裏しか無さそうだな。犯罪者が、じゃなくて国や企業がテロを起こす時代か……片っ端からそれを潰して組織が動きやすい様にしてた俺が言えたことじゃないか」

 

どこか悲し気な表情を浮かべながら言うが、すぐにその考えを凪ぎ払いデュノアの事に専念する。さっきメールで届いた転入時に提出する書類には、確かにデュノアの性別の欄は男と記載されていたが、遠目で見てもすぐに分かる。ましてやISスーツと言う体に密着するタイプの物を身に付けていれば、骨格などから相手の性別が容易に分かってしまう。今の1組と2組の合同授業、そこに出席しているデュノアの性別は完全に女だ。

 

「デュノア社、ねぇ……あの会社は昔から良い噂は聞かないな。それに公式のデュノア社長婦人には子供がいない。ちょっとばかし調べてみるか」

 

パソコンを開いて繋いだ先はデュノア社のサイト。そこから会社のファイルにアクセスする。亡国にいた時から使ってるハッキングソフト。これは亡国が作り上げたソフトで非常に使い勝手が良い。使い手にもよるが、大体数十分で企業程度の情報なら簡単に閲覧できる。そして等々見付けた。社長室のパソコンの中に入っていたデータを。

 

「成る程。面白いほどに真っ黒だ。やってることは殆んどテロリストのそれだな。麻薬の密売に密造、兵器やISのデータに軍の情報の横流し、政府から支給された研究費の私的利用。こっちはお互いの浮気相手の情報。社長は子供ができたら相手を殺すのか。婦人は中絶だけど、養育費や治療費を払いたくなかったんだな。これは娘の客の情報か。フランスの大物政治家や大統領候補、他国の大臣、官僚、自分の会社の社員まで。娘を使いたい放題だな。しかもその映像や画像を高値で売り払う。見事なもんだなぁ。道理でラファール開発直前から企業が急成長したわけだ。仲良くなれる気はしないが」

 

ISの研究資金。それは国から援助を受けている分で十分と思われるが、実際の所そうではない。むしろ足りないくらいだ。しかし成功すれば赤字分を一気に取り返せる。文字通りの一攫千金を狙える。しかし細々と研究を行うしかない。ISの時代に入って約10年の時間が流れたのに未だ第3世代の機体を量産できない理由はここにある。絶望的なまでの資金不足。国によって様々だが、フランスは一部を除いてIS至上主義を望んでいない為、企業に出される費用は少な目。IS後進国と言っても差し支えない。

 

しかしラファールと言う機体を作り上げた。しかもそれを量産している。当然政府は不正な金銭を疑ったが、打鉄に変わる使い勝手の良い量産機を世界中が求め、それの対応にデュノア社の捜査に手を回せなかった。恐らくフランス政府は今も手を拱いている状態だろう。

 

「目的は……成る程。本体の機体、生体サンプル。そして俺の身柄か。どこでこんな情報を手にいれたんだか」

 

画面に映っていたもの。それは自分が死神に変身している姿だ。別にこれが誰かの手に渡っても特に問題はない。しかし今の自分の置かれている状況的に、今これを世界中に公表されるのは面倒。だが、そんなことでこの男を支配するのは不可能。笑い話にも冗談にもならない。むしろこれを利用しないわけがない。

 

得るだけの情報を入手したあと、侵入の痕跡を消して相手が仕掛けてくるのを待つ。目的はメフィストである溝呂木。ダークエボルバーの事も事細かに書いていた。それをわざと見える場所にしまい眠りにつき、相手が来るのを待った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼になった。午後の授業が始まる直前。本来なら教室に入って授業の準備を始める頃だが、1人の生徒が屋上に続く扉を開けて入っていった。溝呂木がさっきまで調べていたシャルル・デュノアだ。

 

「確かいつもここに居るって……ッ!見付けた。寝てるのかな?」

 

屋上に入ってすぐに溝呂木を見付けた。寝そべって目を瞑っているからなのか、寝ていると思い近付いていく。そして内ポケットから飛び出している黒い道具に気が付いた。目的の1つであるダークエボルバーだ。

 

「あった!ダークエボルバー!」

 

小さい声で喜ぶと、ゆっくりとそれを抜き取る。そして足音を立てないように慎重に屋上から出ていこうとした。だが、

 

「それは俺以外に使えないぞ」

 

「ッ!?」

 

声をかけられすぐに後ろを振り返った。しかしそこには誰も居らず首を傾げたのだが、突然手の中から何かを引き抜かれる様な感覚がした。

 

「コイツはお前ら普通の人間が使った所で、死神の力を行使することはできない。最悪死神に精神を食われて廃人になるぞ?」

 

「いつの間に……」

 

一瞬にして入り口付近に回り込んで、奪われたダークエボルバーを取り返す。一連の並外れた動きにデュノアは腰を抜かしてその場に座り込んでしまった。

 

「さてと、シャルル・デュノア。いや、シャルロット・デュノア。悪いが俺はお前とデュノア社の目的を既に把握している。ここでお前を教師につき出すのも、殺して俺にとって都合の悪いな情報をばら蒔かせない為の口封じもできる。が、無益な殺しはしたくない。どうする?自分から教師に自首するか?」

 

「な、何の事かな~?僕は確かにデュノア社の人間だけど、性別は男だよ?それにほら、その道具は織斑先生に頼まれて―」

 

「コイツをこの学園で俺が持っていると知っている人間は誰もいない。性別の偽りも、バカな連中ならその容姿で騙すことができるが、生憎この学園には勘の良い元暗部の教師がいる。そいつも気付いてるぜ?」

 

「か、勘違いじゃないのかな?確かに僕は中性的な容姿だけど、女らしい所なんてないじゃん」

 

あくまでしらを切り続けるようだ。なら、決定的な言い逃れができない証拠を目の前に出せば良い。少し手荒なやり方だが、やむを得ないだろう。

 

「うっ……!?」

 

「シャルル・デュノア。それがお前の名前か?」

 

「そ、そうだよ。さっきからそう言ってるじゃん」

 

溝呂木はデュノアの首筋付近に手を伸ばして、人差し指と中指を当てる。脈を取っているようだ。結果は言わずとも分かっていた。質問に答えたとき脈拍が僅かにだが速くなった。これで嘘と言うことが分かる。そして溝呂木は次に証拠を出す。制服の襟を掴んで力一杯腕を降ろした。ブレザーのボタンは全て外れ、中のYシャツも破れてしまう。そして

 

「そんな胸してるヤツが男な訳ねーだろ。午後は2年が大規模なIS訓練を行う。1年は午後から基本ISを使った訓練が無くなる。だからお前、気を抜いてただろ」

 

「は、ははは……まさかこんなことまでやるなんて。これじゃあ言い逃れは出来ないか……いつから気付いてたの?」

 

「最初からだ。男性IS操縦者は貴重。ニュースで報道されなくては万が一の時に国が対処できない。つまり拐われれば国は大切なサンプルを失うことになる。しかしここ最近のニュースではそんなこと報道されていなかった。もう1人の男がここに転入するって聞いたときから怪しいと思ったよ。後はお前のプロフィール。完全にデュノア社の名前が出てる。ここから調べられない馬鹿はいないさ」

 

言い逃れをするつもりは無くなったようだ。溝呂木の言っていたこと全てを肯定した。そして目的も溝呂木の予想と同じ、白式の奪取と溝呂木信也、ダークメフィストをデュノア社の所有物にすることだった。ダークエボルバーとメフィストの写真をチラ付かせれば、自分達に従うと思っていたようだ。

 

「さてと。情報は貰った。お前にもお前の今後にも興味は無いが、特別にチャンスをくれてやろう」

 

そう言ってパソコンを差し出した。画面にはデュノア社が絶対に知られたくない情報の数々が記されている。しかもこれはコピーした物ではなく、話している途中に入り込んだもの。それをデュノアに見せているのだ。

 

「ENTERキーを押せば、これは世界中に発信される。勿論お前の事も含めてデュノア社の隠していたことの全てがな。いったい何人不幸のドン底に落とせることか。押すか、押さないか、決めるのも実行するのもお前だ」

 

押せば確実にデュノア社の悪事が露呈し全てを終わらせることができる。しかし、指は伸ばす物の押せないでいる。徐々に震えが大きくなっていき、顔が青ざめていった。

 

「お前と俺の違いを教えてやるよ。俺なら、チャンスを与えられ、方法を教えられた直後にそのボタンを押す。誰が不幸になろうと構わない。自分がどんな目で見られようと構わない。生きたままに地獄を味わわせる絶望に陥れられるなら、俺はとっくにそのボタンを押しているぞ」

 

様々な事がデュノアの頭の中を流れる。しかし、何故か押すことはできなかった。溝呂木の言葉を聞いて、少しは押してしまおうと感じたが、やはり押すまでには至らなかった。だが、等々意を決してENTERを押す。しかし何も起こらなかった。

 

「残念。時間切れだ。非常に残念だよ」

 

この手の隠し事をしている企業は、ハッキングや外部からの不正アクセスに関しては敏感になる。入られたと感じたらすぐに対抗策を打ってくる。デュノアは考えすぎたのだ。ENTERを押しても発信できない。時間がかかりすぎた。

 

「はぁ、後は消えるなり死ぬなり好きにしろ。3年間は身柄の安心は約束されるが、3年で企業や国が良い方に変わることはない。悪い方にはすぐに変わるがな。このまま何にもせずに生きてても、地獄しかないぞ?」

 

「待って……待って!!」

 

落胆した様子のデュノアを尻目に、溝呂木は屋上から出ていこうとする。しかし、何故かデュノアが声を出して溝呂木を止めた。

 

「お願い、します……デュノア社を潰してください!」

 

「……さっきそのチャンスは与えた筈だ」

 

「そう……でも、押せなかった。怖かったとか、自分の手を汚したくないとか、そんな事じゃなくて、唯一血の繋がったお父さんを裏切りたくなかった……僕が我慢してれば、いつか悪事を止めてくれると思った。嫌われたくなかった。そんな事を考えて、押せなかった!」

 

「お前、根本的に間違ってんだよ。アイツらは悪事を止めねーよ。一度悪事の快感を知ったら、そこから抜け出ることは容易にはできない。お前がいくら我慢した所で、デュノア社の人間が変わることはない。嫌われたくなかった?大勢いる愛人の中の1人の間にできた子供だ。愛してもいない欲望の捌け口にしてた女にできた子供を、愛するとでも思ったのか?悪いが悲劇のヒロイン気取ってるヤツを無償で助けるボランティアをするほど俺は暇じゃないし優しくないんでね。他を当たれ。それに俺が言うのもあれだが、あんなゴミクズが変わるわけ無いだろ。夢見すぎなんだよ」

 

溝呂木の答えは当然そのもの。冷静な物の見方をできる人間なら誰もが出す模範解答だ。情報や現状を見ればシャルロット・デュノアは根本的に考えが間違っている。そして溝呂木から同情を買って動かそうとすることも。これで助ける方が可笑しい。そう言っても間違いではないのだ。

 

「なら、死神としての、暗殺者としての貴方にお願いします!私を、デュノア社から解放してください!」

 

「その対価にお前は何を出す?何を俺に支払う?」

 

「全て!これから私が手にする物の全てを支払います!貴方が満足するまで!私の全てを貴方に捧げます!どうか!デュノア社から私を!」

 

「……良いだろう。デュノア社を潰し、悪事の全てを世界に公表し社長夫婦をこの世から消してやる。俺の仕事はそこまでだ。その後どうするか、それはお前が勝手に決めろ」

 

依頼。と言う形で受け取った。これがデュノア社を崩壊させる切っ掛けとなったのは言うまでもないだろう。




今回はここまで。次回もお楽しみに!感想や評価、お気に入り登録もよろしくお願いします!!

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