良かった。深夜放送じゃなくて……。ネクサスを見てなかったら、今ほどウルトラマン好きにはなってなかったでしょうね。見事にウルトラ好きの気持ちを大爆発させてくれたことに感謝です。
2体の死神。溝呂木と織斑天十郎の2人だ。溝呂木は最初にダークメフィストに変身し、天十郎に殴りかかったのだが、透明なシールドの様な物に止められた。それの存在は溝呂木が1番知っている。メフィストになったときに攻撃を受け止める時に使っているシールドだ。それに拳を止められたのだ。
溝呂木は天十郎の手を見ると、その手にはダークエボルバーが握られていた。天十郎はそれを引き伸ばし、目の赤いもう1人の死神、ダークメフィストツヴァイへと変身したのだ。
「ハァアア!!」
「グッ!……ウワァ!!」
拳と蹴りがぶつかる音が辺りに響いているが、溝呂木が若干押されている。
「言っただろ?このメフィストには勝つことが出来ないと。お前の使っているのは、この私が作り出したプロトタイプ……この新型に勝てると思うのか?」
確かに、天十郎が言うように攻撃力もスピードも溝呂木と全く違う。ツヴァイの方が速く、攻撃も強く重たい。ギリギリ溝呂木が付いていっている感じだ。
「ウワァァァ!!」
ツヴァイがメフィストクローを展開し、溝呂木を斬りつけた。斬りつけられた胸からは血のように光が噴き出す。かなり大きなダメージを負った様だ。
「チッ……」
「ハハハ……どうだ?私のこの力は?私と来い。その方が、お前にとっては特だぞ?」
受けたダメージ、ツヴァイとの力の差。それに舌打ちをする。溝呂木が勝てないことを悟ったのか、天十郎は自分の元に来いと言う。だが、
「お喋りは終わりだ」
「っ!?」
天十郎の目の前から消え、次の瞬間背後に現れた。振り返った天十郎の首を掴んだ。そして、掴んでいるのとは逆の手に、闇のエネルギーを集中させた。
「確かに性能は上だな……だが、強さは俺の方が上だったな」
エネルギーが溜まると、全力でツヴァイを殴り、どこかへと飛ばした。そのタイミングで、後から入ってきた専用機持ちのメンバーが現れた。デュノア以外メフィストの事を知らないため、攻撃の体勢を取ったが、相手にするのは面倒なので変身を解いて姿を見せた。
「溝呂木……何でここに」
「付いてこい。本体はこの先だ」
溝呂木と一夏の素性を知っている為、ここで言う本体とは誰の事なのかを分かっている。全員素直に溝呂木に付いていき、一夏の元へと向かっていく。
「この部屋だ」
溝呂木に案内され約5分。妙な部屋に着いた。厳重な部屋。と言う感じはなく、普通のドアが付いているだけだった。鍵もかけられていないので、普通に入ることが出来る。中では、壁に縛られた一夏が居るだけだった。
「一夏!大丈夫だったか?」
「長い間同じ体勢だったから、少し凝ったかな?」
と言いつつ、拘束を箒達に解いてもらうと、体をならしつつ立ち上がった。どうやってここに来たのかを皆に聞くと、鈴から溝呂木に案内してもらったと聞かされ、心底驚いた顔をしていた。
「まさか君に助けられる日が来るとは……。助けてくれてありがと―グパァ!?」
礼を言うために溝呂木に近寄ったが、礼を言い終わる直前に殴られた。
「っ!?溝呂木アンタ!どう言うつもりよ!!」
「そうですわ!何故、先程は助けるために動いていましたのに!!」
「勘違いするな。俺は端から本体を助ける為に動いてた訳じゃない。さぁ立て。俺とお前の因縁……ここでケリをつけるぞ」
「な、何で!?もう2人には戦う必要は無いでしょ!?」
「そうだ!溝呂木、一夏、もう止めてくれ。他に方法はあるはずだ!」
溝呂木はここで一夏との因縁に決着を付けようとしていたが、もう戦う必要は無いと言って止めようとしている。
「お前たちは何を言ってるんだ?俺たちは戦うことでしか分かり会えない。片方が死に、片方が本体として体を得る。それが俺達だ」
「何の為にそこまで!何の為に、お前たちがそこまでする必要があるんだ!!」
「この世界を支配する。もう二度と、俺の様な存在が生まれないために。俺が世界の頂点に君臨し、全てを支配して統治する。その目的を達成するために。その為に多少の犠牲はやむを得ない。俺と言う闇と光、どちらかの犠牲を皮切りに、新たな世界を造り上げる」
この場合、元凶である織斑天十郎を殺せば良いと思うかもしれないが、それでは意味がない。これから先と第2第3の織斑天十郎が現れる可能性がある。そうならないため、溝呂木は体を求め、支配するために動いている。
「何を言ってるんだ!必要な犠牲なんか要らない!犠牲の先にある未来なんて意味がないはずだ!!」
「溝呂木……僕たちの片方を消すならまだしも、今まで沢山の人を殺しておいて、それも全部、お前の造る世界の為だと言うのか?」
「だとしたら、何か問題か?」
「お前の造る世界の為に、沢山の人が死んだのに、多くの人が悲しんだと言うのに……もういい加減にしろ!」
「そうやって自分の方が正しいかの様な物言い、それこそウンザリだ。闇に生まれたことが悪か?光に虐げられ、自分の存在意義を殺す。それが正しいのか?光が正義で闇が悪。そんな理由で俺を、俺の様な存在と持っている願いを否定する。それが正義だと言うのか?」
互いが互いの意見をぶつけ合い、受け入れることはなく反発し合う。一夏は溝呂木のやり方を受け入れられず、溝呂木は一夏の言うことが受け入れられず。それは2人の亀裂をどんどん深めていく事になった。箒達は一夏の言葉に賛同している。
「過去は変えられるか?闇1色になった俺の過去を。変えられる筈が無いだろ。俺には文字通り明るい未来はない。お前らの言っていること、望んでいることは綺麗事でしかない。そしてそれも事が始まる前に言うべきだ。実際目の前で闇でありながら自らを呪う存在が実在している。今ここにいる俺を、虐げる権利がお前らにはあるか?」
「そ、それは……」
溝呂木のその言葉に、全員何も言えなくなってしまう。確かに、溝呂木の過去を塗り替えることは出来ない。近い将来消滅してしまう限り、明るい未来もない。そんな彼の前では、どんな言葉もただの綺麗事となってしまうのだ。虐げる権利は誰にもない。溝呂木の望みを潰す権利は誰にもない。だが、それでも受け入れることは出来ない。
「さぁ、早く変身しろ。俺達の間に言葉は必要ない。決着を付けるぞ」
「……良いだろう。僕たちの因縁を終わらせよう」
溝呂木はダークメフィストへ、一夏はネクサスへとそれぞれ変身した。巨人のサイズでだ。
「あ、あれが……本当の2人……」
初めてこのメンバーの前で見せる姿。それを見た専用機持ち達は圧倒されていた。体の大きさもそうだが、何よりこれから起こるであろう、自分達の理解を超えた戦闘に、固まってしまったのだ。
「って!固まってる場合じゃない!早く2人を止めないと!!」
鈴のこの一言で、全員自分を取り戻した。自分達の攻撃がこの2人を止められるかは疑問だが、同じ人間の殺し合いなど見たくない。自分の中で大きな存在ならなおさらだ。
『なりません!止めてはなりません』
2人を止めるために動こうとした5人だが、飛んできた白式によって止められた。
「白式?アンタ何でここに?と言うか福音は?」
『先程、福音は操縦者と一緒に織斑先生達に渡しました。それよりも、皆さんはあの2人の戦いを止めてはなりません』
「なんでですか!?」
『最早あの2人の戦いは、外野である私たちが口出しをして良いレベルの場所にありません。私達には見守るしか無いんです』
白式にそこまで言われると、本当に見守るしか無くなってしまう。
「ハア!」
「シュワ!」
メフィストが三日月型の光弾を放つと、ネクサスも同じ技を出して相殺した。その攻撃を皮切りに、2人の戦いが始まった。メフィストが走り出し、さっき放った光弾よりも強力な物を連射している。その攻撃を赤い姿になって打ち消す。
「ディリャ!」
「ハァア!!」
2人の攻撃から出る打撃音、光弾や光線技の爆発音が響き渡る。この戦いには、手を出すことはまず出来ないだろう。
「消え失せろ。織斑一夏ァァァ!!!」
はい。今日はここまで。ネクサスのDVDBOXが欲しいですね。就職したら初任給で買おうかな。
次回もお楽しみに!感想と評価、『教えて!憲八先生!!』の活動報告もよろしくお願いします!!