……少しウルトラマン要素出さないとな……
『教えて!憲八先生!!』
今日の質問は鉄血のブリュンヒルデさんからです。
「なれるとしたらどの特撮ヒーローがいいですか?」
ん~。ヒーローですか。ぶっちゃけ自分には悪役が似合うと思うんですけどね笑。まぁ、なれるなら仮面ライダーカリスですかね。仮面ライダーブレイドと言う作品では、主人公以上に好きなキャラなので。他には、今使わせてもらってるネクサスとかですかね。
臨海学校2日目。この日は専用機持ちとそれ以外の生徒に別れて、1日中ISの訓練を行う。主な内容としては、専用機を持っていない一般生徒は海上の広い空間を使い、普段は出来ない訓練、連携などだ。それを行う。他には、訓練機の出せる最高速度での作戦実行。いずれ来るであろう宇宙開発の為の作業演習。作業演習は宇宙空間に近い状態である海中で行う。まぁ、海の中のため、場所によっては変な物が沈んでいる。例えば、脚に重しの付いた骸骨等。
そして専用機持ちは、それぞれの国より送られた追加パッケージや、アリーナ等の広さでは不可能な動きの訓練をする。今回は外。シールドも無ければ邪魔な建物なども少ない。海上に出てしまえば、訓練の邪魔になるものは無いと言っても良い。今回はそこまでの大規模な訓練はしないけどな。
「あの、織斑先生。何故私はこっちに居るのでしょうか?私は訓練機側ですよね?」
「まぁ、そうなんだが、事情があってな。お前は今日から専用機持ちになることになった」
「……それはどう言う事でしょうか?私は企業代表でも
無ければ代表候補生でもない。そもそも私には専用機を持つほどの実力は無いはずです」
「確かにそうだな。お前自身がそう思ってるなら、間違いは無いだろう。が、それを自覚して言えると言うなら、持つ資格は十分にある。それに、束が直々に来るんだ。顔ぐらい出してやれ」
箒は受けとる気は無かったそうだが、千冬に色々と丸め込まれて、結局受けとることになった。昨日の束からの電話で少し焦るべきと思ったのかもしれない。それに、一夏の事を全て知っている束がこのタイミングで専用機を持ってきたのだ。何か意図があるようにも思える。千冬はそう考えて、多少強引ではあるが箒を連れてきたのだろう。
専用機持ちが訓練する場所では、もう既にそれぞれが準備を始めていた。一夏も白式をまとって軽く体を解している。白式と喋りなからではあるがな。
「ねぇ、僕たちって追加パッケージとかあったっけ?」
『その様な話はありませんね。恐らく、私たちは通常訓練と変わらないので、あまり身構える必要はありません』
まぁ、実際白式には武装が1本しか無い。更に言えば、ワンオフ・アビリティーが拡張領域の全てを支配している。追加パッケージが来ること自体あり得ない。白式が操作すれば、拡張領域に幅を作ることは不可能では無い。だが、コアネットワークから外れている状態のコアの性能ではそれは難しいだろう。すると、そこに真耶が1人の客人を連れてきた。
「織斑先生、連れてきましたよ」
隣にいる人間のせいか、いつもは柔らかい真耶の表情が少し固まっている。それほどまでに緊張する相手なのだろう。
「やぁ!昨日の電話振りだね。ちーちゃん」
真耶の隣にいたのは、ISと今の世界を作った元凶である篠ノ之束。緊張するのに無理は無いだろう。そして束が来たと言うことは、箒の専用機となるISが到着したと言うことだ。
「姉さん……」
「久し振りだね。箒ちゃん」
「えぇ。ですが、何故専用機を持ってきたんですか?作ってくれと頼んだ覚えは無いのですが」
「ゴメンね……訳あって、君には与えざるを得ない状況になったんだ」
「訳?それは一体―」
「じゃあ話してても仕方無いし、早速作業に入っちゃおう!」
そう言うと、上からコンテナが降りてきた。中には紅色のISが入っており、これが箒の専用機となる様だ。見ただけでも分かる。あれは現存するどのISよりも性能が高いと。
「束、一応聞くが、常識の範疇だよな?」
「そこは大丈夫だよ。この子は皆が使ってる第3世代型。性能は確かに高いけど、いっくんの使ってる白式と同等の物だから大丈夫」
と言うことは、一夏の使ってる白式の性能は他よりも高いと言う事になる。そこに白式のコア人格。専用機持ちでも勝つのが難しい事に納得が行った。一夏自身も相当の実力者だが、実力以上の力が出ていたのはこれが原因だろう。
「姉さん、訳とは?」
「良いから。早く早く!」
何かが変だ。先程からなにも言わず、ただただ急かすように作業をしている。時間が無いのか。はたまた何かを知られないために質問させないようにしているのか。聞こうと思えばいつでも聞けるが、箒以外の専用機持ちは束の仕事の速さに圧倒され、口を開けずにいた。
「よし!完了!ちょっと動いてみて」
「は、はぁ……」
そう言われ、武装を展開して素振りをしてみる。確かに動きやすい。専用機と言うだけあって、体に馴染む動きをしている。それは、動けば動く程に馴染み、ぎこちない動きが無くなってきた。
「どう?」
「馴染む感じがします。訓練機以上に」
「それは良かった!これでいつも以上に頑張れるね!」
「えぇ。まぁ……」
腑に落ちない所があるが、もう設定されてしまったものは仕方無いし、受けとる気は無かったとは言え専用機だ。貰って悪い気はしない。だが、そのタイミングで、
「織斑先生!大変です!!」
さっきまで専用機持ち以外の場所に行っていた真耶が血相変えて戻ってきた。
「どうしました?」
「これを見てください!!」
「……他の教師への連絡は?」
「既に完了しています」
「生徒は?」
「専用機持ち以外は既に部屋に待機させています」
「仕方無い……専用機持ちに告ぐ!緊急事態が発生した為、これより特殊任務行動をとる!専用機持ちは集合しろ」
一気に周りの雰囲気が変わった。特殊任務行動、それはIS学園がISにおける非常事態に対処すること。主に教員部隊が動くが、事の大きさによっては専用機持ちにも行動に出てもらうことになる。今回は専用機持ちが動く為、相当事が大きいようだ。
「来たか……」
束は小さくそう呟いた。いつもの千冬なら気に留めたかもしれないが、今はそんな状況ではない。気付かずに専用機持ちを作戦室に使う部屋まで案内した。
「では現状を説明する。今から2時間前、ハワイ沖で稼働実験を行っていた軍用機、銀の福音が制御下を離れて暴走。監視領域から離脱した。その後、衛星による追跡の結果、福音はここから2キロ先の空域を通過する事が分かった。時間にして50分後、学園上層部からの通達により、我々が事態の対処に向かうこととなった」
ISの軍事的運用は国際条約にて禁止されているが、防衛、実験、データの収集、理由をつければいくらでも軍事運用が可能だ。国際条約とは言え、いくらでも抜け道がある。今回の事件はそれの良い例となった。
『このスピードで移動していると言うことは、並のISでは対処は難しいですね』
「そう。白式の言う通り、この機体を相手に、ここにいるISはほとんど対処が不可能。対処可能な機体は白式と、さっき篠ノ之が受け取った紅椿のみだ」
「じゃあ、僕と箒ちゃんの2人で行くってこと?」
「そうなる。オルコットのブルー・ティアーズの追加パッケージで音速飛行は可能だが、恐らくそれでも対処は不可能。持続的に超高速で動かなくてはならない。以上の事から、白式と紅椿に動いてもらう。良いな?」
「「はい!」」
そして、目的の場所を通過する数十分前、一夏と箒は出撃した。この2機ならば全速力で行けば、目的地まで物の数分で到着する。だが、出撃から数分後、箒の通信とレーダー上の情報から、全てが変わった。
「千冬さん!一夏が!一夏が!!」
「何があった!?報告しろ!!」
「一夏が、福音に連れ去られました……」
「なに!?」
箒の言うように、レーダーからは白式と一夏の反応はロストした。残っているのは箒と紅椿の反応のみ。福音は猛スピードでレーダーの範囲から消えた。
「分かった……篠ノ之、帰還しろ……」
「はい……」
箒が作戦室に戻ると、部屋全体が暗い雰囲気に包まれていた。箒も部屋に入ると、力なく膝から崩れて座り込んだ。
「ちーちゃん……いっくんは?」
「見ての通りだ。束、これは予想出来てたか?」
「うんん。……これは出来なかった……まさか、あの男の動きがここまで早いなんて……」
「あの男?……姉さん、貴女は何を知っているんですか?何を隠してるんですか!?教えてください!!」
束が部屋に入ってくると、千冬との会話やあの男と言う言葉に箒が反応し、束に問い詰めた。これに関しては、他の専用機持ちや、一夏について詳しく知らない真耶も気になっている様子だ。
「……分かった。話すよ。でも、いっくんの事はどうするの?ここにいる誰もが、福音に対抗する力を持っていない。唯一可能性があるとしたら……」
「溝呂木しかいない……」
「なら、彼にも協力してもらうしかない。話はそれからだよ」
今日はここまで。
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