インフィニット・ネクサス   作:憲彦

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サブタイトルを見て、「2組の代表は闇一夏こと溝呂木信也だろ!?」と思われた方、今日登場するキャラを見れば理由は分かります。


2組 クラス代表決定戦

白式が第1次形体移行した次の日の事。この日はやたらとクラスが賑わっていた。

 

「朝からこんなに盛り上がって。一体何があったの?」

 

朝食を食べていたのか、少し遅れて教室に入ってきた。因みに口許には米粒が少し付いている。SHRまで後少しだったから急いで食べてきた様だ。

 

「あ、一夏か。隣のクラスに転校生が来たそうだ。後、口元に弁当付いてるぞ」

 

「おっと。これは失礼。しかしこの時期に転校生とな?ついこの前入学式やったばかりでしょ?」

 

「まぁ、それを言われればそうだが……私も詳しくは知らんが、恐らく代表候補生だろう。この学園、転入の条件はかなり厳しいからな」

 

確かにそうなる。この学園はただでさえレベルが高い。転入の試験も相当のものだ。余程の実力でない限り、受かるのは不可能だろう。

 

「代表候補生か~。と言うことはクラス代表変わるのかな~?」

 

だがこのクラスに入るわけではないので、騒ぐほどの事でもない気もする。

 

「気になるのか?」

 

「そりゃ~ね。戦うとなれば気にならない訳が無いよ」

 

「確かにそうだが、気にしてる余裕はあるのか?来月にはクラス対抗戦あるんだぞ?」

 

「大丈夫大丈夫。放課後にはいつも白式と訓練してるよ」

 

実際に最近は放課後を白式との訓練に使っている。理由はあれだ。ダークメフィスト。あの時惨敗した。次はあんな風になるわけには行かない。まだ誰も知らない事だが、これが知られれば大変なことになる。混乱の一言では済まされないだろう。何としても、今は気付かれるわけにはいかない。出来ることなら一生気付かれたくはないからな。

 

「でも専用機を持ってるのは1組と4組だけだから、織斑くんには余裕だよ!」

 

「そうそう。織斑くんには勝って貰わないとね!」

 

「織斑くんが勝つとクラスの皆が幸せになるからね!」

 

皆が幸せ。とは、優勝クラスの商品が半年間のデザートフリーパスだからだ。一夏本人もこれは狙っている。一夏自身相当の甘党だからだ。まぁ貯金があるから別にとる必要は無いのだがな。

 

「その情報、古いよ」

 

教室の入り口からそんな声が聞こえてきた。どの情報の事だろうか。

 

「2組も専用機持ちがクラス代表になるのよ!そう簡単に優勝出来ないから!」

 

「およ?鈴ちゃん?だよね」

 

「そうよ。久し振りね。一夏」

 

入り口に立っている生徒は、身長的に言うと今の一夏と対して変わらない大きさのツインテールの少女だ。転入生と言うのは彼女だな。会話の流れから、一夏の知り合いのようだ。

 

「そうだね。中学2年生の時以来だっけ?」

 

「そうよ。……まだ戻ってないんだね(ボソ」

 

「ん?なんか言った?」

 

「うんん。何でもないわ。そろそろ時間だから戻るね。また後で」

 

そう言うと、鈴は自分の教室へと戻っていった。まだ一夏が元に戻っていない事が少し気にかかっている様だ。

 

そして2組ではと言うと、

 

「今日のシートだ。じゃぁな」

 

「まて。今日は転校生が来る。SHRまでは居てくれ」

 

渋々だが、SHRが終わるまでここにいる様だ。そして香華の言うように、SHRで転校生の紹介になった。

 

「中国の代表候補生、凰鈴音です。早速ですが、このクラスの代表は?」

 

何故か急にクラス代表を聞き始めた。一体何をやるつもりだろうか。

 

「俺だ」

 

「ふ~ん。アンタが……なら、単刀直入に言うわ。クラス代表を私と代わって」

 

「何故だ?」

 

「私は専用機を持ってる。それに代表候補生。アンタよりは実力はあると思ってるわ。これが理由よ」

 

「はぁ……断る」

 

「何で?私ならこのクラスを優勝させられるのよ」

 

「言葉でならいくらでも言える。専用機?代表候補生?そんなもんあるだけなら意味は無い。話は終わりだ。俺はサボらせてもらうぞ」

 

キッパリと断った。そして、何時ものようにサボりに行った。サボると言う言葉に鈴が反応したが、これは彼が勝ち取った正当な権利なので、全て無視して教室を出ていった。

 

「あ、放課後にお前たち2人で試合するから、空けとけよ!」

 

出ていく溝呂木に何とか伝えることが出来た。こんな人間が何故クラス代表なのか。それに不満を抱いているが、放課後には全てが決まる。それならばと鈴は黙って席に着いた。一応この後にサボりシートの説明を受けたが、無理と判断して香華にシートを返した。

 

そして時間は流れて昼休み。高校生からしたらこの時間ほど尊いものは無いだろう。午前中の授業で疲れた体を休めるための時間。少し短くも思えるがな。

 

「待ってたわよ!一夏!」

 

「鈴ちゃん。そこ邪魔。麺伸びるよ」

 

「分かってるわよ!てかそこは敢えて言わないところでしょ!」

 

「あぁそう。席とっておいて。君の分も入れて4つ」

 

「了~解。速く来なさいよ~」

 

席の確保は鈴に任せて、一夏と箒、オルコットの3人は昼食を買いに行った。オルコットはあの1件以降、半分クラスから孤立した状態だったので、一夏が食事に誘った。

 

「ん!……後、少し……!もう、ちょっと!!」

 

「あぁ……一夏、これで良いか?」

 

「あ、ありがとう。身長小さいと不便だね~」

 

券売機の1番上にあるメニューを買いたかったそうだが、身長が足りずに苦労していた。箒に取って貰い、何とかなったが、後少しで脚をツルところだった。料理を受け取ると、3人で鈴の確保した席に向かって行った。

 

「ようやく来たわn……一夏。そんなに食べるの?」

 

少し一夏の食事の量に引いている。まぁ仕方無いだろう。現にかなりの量が器に盛られている。ご飯に関しては多い何てものじゃない。昔話かとツッコみたくなる。

 

「まぁね。それよりも、まずは自己紹介からだね」

 

「そうね。中国の代表候補生、凰鈴音よ。鈴で良いわ。そっちの2人は?」

 

「一夏の幼馴染みの篠ノ之箒だ。よろしく頼む」

 

「イギリスの代表候補生のセシリア・オルコットですわ。よろしくお願いします」

 

軽い自己紹介が終わると、一夏が気になっていることを鈴に尋ねた。今朝のクラス代表の件だ。

 

「鈴。クラス代表ってどうなったの?2組は決まってたでしょ?」

 

「うん。代わってもらおうとしたんだけど、断られちゃってね。放課後に試合をして決めることになったわ。応援に来てね!」

 

「うん。行かせて貰うよ。2人も来る?」

 

「あぁ。行かせて貰う」

 

「わたくしもですわ」

 

鈴の試合は3人とも見るようだ。このあとは一夏と鈴が離れていた時の事などを話した。鈴のかつて一夏に言ったプロポーズ的な言葉に一瞬ザワツイたがな。

 

「あぁ、その事なんだけど、あの後鈴ちゃんすぐに転校したでしょ?だから聞けなかったんだけど、それって、プロポーズじゃないよね?」

 

「な!何言ってんのよ!!違うに決まってるでしょ!?バカなの!?(やっちゃった~……死にたい……)」

 

顔を真っ赤にしている辺り、プロポーズだったようだ。この事には一夏も気付いているが、それを言うとかえって傷つけそうなので、言わないことにした。

 

「だよね~。僕なんかを好きになる人は居ないからね~それに、もしそうだったとしても、僕にはやることがある。必ず成し遂げるべき事が。それが終わるまでは恋愛なんて出来ないしね」

 

「やること?何?」

 

鈴も箒もオルコットも、一夏のやるべき事に興味があるようだ!珍しく真剣な眼差しで言っているからだろう。

 

「それは言えないな~僕個人の事だから」

 

が、一夏本人は言う気が無いようだ。こうなれば絶対に言わないので、これ以上は聞かないことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして時間は流れて放課後。試合は第1アリーナで行われる。この為に、今日は放課後の練習は第2以降のアリーナで行うことになった。だがこれも注目の試合。放課後と言う事もあってか、たくさんの生徒が訪れた。

 

「さぁ~てと!行きますか!!」

 

昼休みの事からは切り換えているようだ。まぁ、一夏本人に今は恋愛なんてする気は無いと言われたのだ。他に好きな人がいると言われるよりは救われるのだろう。それに鈴の元々の性格もある。今は目の前の試合に集中している。

 

ピットから飛び立ち、アリーナに降りると、既にそこには打鉄をまとった溝呂木が待っていた。

 

「アンタには悪いけど、さっさと終わらせてもらうわ」

 

「弱いヤツ程よく吠えるってな……」

 

溝呂木は何気なく言ったつもりだろう。しかし、気の短い鈴を怒らせるには十分だ。一夏の半身と言うこともあって、その辺はよく分かっている。

 

『試合開始!』

 

「ハァァアア!!!」

 

試合開始の合図と共に、鈴が全力で溝呂木に突っ込んだ。しかし、そんなもの溝呂木には意味がない。短い間とは言え、銃弾の飛び交う環境を過ごしていたのだ。それに比べたら今の鈴の動きなどノロマすぎる。

 

「お前は猪か?フン!」

 

1歩横にずれて避けると、脚を掴んで地面に叩き付けた。そして、掴んだ脚を離さずに、勢いを付けて投げ飛ばした。

 

「ッ!?(白式!あの動き!)」

 

『検証中……マスター。あの時の巨人の動きと一致しています。97%あの巨人の正体だと思われます』

 

立ち回りや攻撃の方法、一つ一つの動きの鋭さ。どれもがダークメフィストの動きと一致していた。白式の検証でも一夏と同じ答えが出た。

 

『マスター。もう1つ報告が』

 

(何?)

 

『彼の使っているISから、コアの意識が感じられません』

 

「え?」

 

「ん?一夏、どうかしたか?」

 

「え?いや。ごめん。ちょっと席を外すね」

 

白式と話をするために、箒達から離れた。聞かれたくはないのだろう。

 

「コアの意識が感じられないって、どう言うこと?」

 

『言葉の通りです。彼の乗っているISからは、コアの意識が感じ取ることが出来ませんでした。恐らく、彼の支配下にあるのでしょう』

 

「そんなこと出来るの?」

 

『理論上は可能です。ですが、普通の人間では数秒で脳に大きなダメージを負ってしまいます』

 

どの道まともな事では無いようだ。実際に溝呂木は量産機で戦っているが、その動きは第3世代の専用機よりも鋭い動きをしている。実際にはあり得ない事だ。第2世代で第3世代と同等の動きが出来るなら兎も角、訓練機で越えるのは無理だ。

 

白式から一通りの説明を聞くと、顔にそれを出さないようにして観客席に戻った。試合は溝呂木のワンサイドゲーム。衝撃砲は全て破壊されている。鈴は最早気合いのみで立っている様な物だ。

 

「おいおい。専用機持ちの代表候補生で、俺よりも実力があるんだろ?どうした?ダウンにはまだ早いぞ」

 

「ま、まだまだ!ガァ!!」

 

「気合いで立っても!力の差は埋まらないぞ!」

 

全力で上に殴り上げると、瞬間加速で頭上に移動して殴り落とした。一方的にも程がある。

 

「チッ。まだシールドエネルギーが残ってたか……なら、これで楽にしてやる!」

 

トドメを刺すために、全速力で鈴に接近する。最後の攻撃にと、鈴は双天牙月を連結させて全力で溝呂木に投げ付けた。しかし、そんなもの簡単に避けられる。

 

(かかった!!)

 

牙月は溝呂木の後で反転して、ブーメランの様に帰ってきた。これで背後から攻撃を当てるつもりの様だ。が、

 

「ッ!?」

 

「考えが浅いんだよ」

 

溝呂木は腕を伸ばして鈴を掴むと、自分と鈴の位置を変えて、牙月が自分に当たるのではなく投げた鈴自身に当たるようにした。

 

溝呂木の考え通りに、牙月は鈴の背中を直撃。残りのシールドエネルギーを全部持っていった。

 

『試合終了!勝者、溝呂木信也!』




西村先生

IS学園、鬼の補修担当教師。はっきり言って、感想欄で見たいと言われるまで作る気は無かったキャラクターです。本作では名前だけの登場。教師としてのスキルが異常に高く、身体能力もおかしい。補修を受けた生徒は1回で体重が5キロ持っていかれる。学力は上がるが、出てくる頃には趣味が勉強、尊敬する人は二宮金次郎と言う理想的な生徒へと変身する。学園の教師を始め、様々な人に鬼教官と言われている。

次回もお楽しみに!感想と評価もついでによろしくお願いします!!

……うp主のゆっくりアイコンが欲しい……。描いてくれる方いませんか笑?

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