DS - ダイアグラナル・ストラトス -   作:飯テロ魔王(罰ゲーム中)

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前回に引き続き、今回は女性陣の話+後半戦(裏)その1。
今回の説明で一夏のいるファストというクラスがどれだけハイスペックか、またこの事件がどれだけ大きい規模なのかが見えてくると思います。

書き溜めあるってスバラシイ!
でも今回だけなのよね(´;ω;`)

あ、活動報告にDSOのランクを上げました。いい加減DSOの設定書き上げないと……


00-19 泥沼と最強の帰還

 弾達が目的地に向かっている頃、箒達女性陣は詩乃(シノン)の案内で弾達と同じ場所を目指していた。が、今の所テロリストと一切遭遇していない。というのも――

 

「次の曲がり角を左に曲がってすぐ右に。21秒後に反対方向から敵が来ますので、早めの行動を」

「わかったわ」

 

 クロエがISのハイパーセンサーのみを部分展開し、ARマップとリンク。リアルタイムで敵の位置情報を把握・回避しつつ行動しているためだ。

 その精度は恐ろしいほど精密で、後一歩というニアミスまで利用し、テロリストに全く発見されずに移動できている。この間に箒達は自分達の状況と一夏が飛び出していった理由を聞くことができていた。

 

「つまり、一夏は街を守る為、自分を囮にしてISをこの場から追い出した、という事ですか?」

「そう。全部一人で解決する気でね」

 

 箒は詩乃の説明から、ある程度だが状況を理解する。それでも話を聞けば聞くほど一夏の行動が理解できず、鈴に至っては思う所があるのか、無言のまま顎に手を当て俯いている。

 

「一夏さん、なんで一人で解決しようなんて――」

「周りが頼りなかったからですよ」

 

 そこを右、と呟きつつ、赤い髪の少女――五反田 蘭の質問にクロエが答えた。その声音はどこか呆れが混じっているが、蘭は釈然としない。

 ここには例の一件で一夏の護衛を申し出てきた政府の人間もいるし、それこそ話を通せば姉である織斑千冬や箒の姉の篠ノ之博士だって動き出すはずだ。

 

「詳しい説明は時間がないので後ほど。イチカが一人で動いたのは、敵の動きに対して政府を始めとした大人達が全く行動を起こさなかった為です」

「あれだけ啖呵切ったのに、どうして……」

「大方、利権問題とかで足の引っ張り合いをしているのでしょう。束様が掴んだ情報では、この騒動が起きている今も、閣僚(かくりょう)達は会議室から出てこないようです」

 

 蘭はその答えに、呆れとも諦めともつかない溜息をついた。2年前といい今回といい、日本政府は平和ボケというだけでは済まない優柔不断さがある。

 

「それでも、せめて千冬さんに――」

「相談しなかったんじゃなくて、できなかったのよ」

 

 なお食い下がろうとする蘭に詩乃が簡潔に答え、その一言で全てを理解した蘭は口を(つぐ)んだ。

 千冬はIS競技の元日本国家代表にしてIS学園の教師だが、2年前のモンド・グロッソに起きた事件で、経緯はどうあれ彼女は一夏に負い目がある以上、必ず動く。

 もし彼女がこの状況を知ったとして、学園に要請をかけたとしても、IS学園は国家機関に属さない中立を(よう)している。いくら世界唯一の男性IS適正者とはいえ、おいそれと事態に介入するのは難しい。そうなれば、彼女は学園に辞表を出してでもここに駆けつけて来るだろう。

 仮に学園が先んじて動いてしまえば、ISを軍事利用させるのを助長させるだけでなく、場合によっては生徒を兵士徴用(ちょうよう)される口実にもされかねない。

 確かに彼女がこの場に現れればこの騒動は鎮圧できるだろう。だが終わった後は混乱に首を突っ込んだ千冬の教師生命は終わり、新たな火種が残る。

 

 一夏は状況に配慮した為、千冬に相談しなかったのではなく、できなかった。

 同時に、篠ノ之博士に相談したとしても、彼女が動けば必ず騒動になっていずれ事件は千冬の耳に入り、結果は同じ。

 一夏が一人で動いたのも、政府関係に相談してからでは被害が出る(手遅れだ)と判断して。

 それに気づいた箒達も閉口し、無言で歩を進めていく。

 

「……相変わらず、一夏は優しすぎるのだな」

「そして強すぎます。DSOでは私達はイチカを相手にしても、誰も勝てないんです」

 

 箒がポツリと呟き、クロエはイチカの実力を話しつつ周囲を警戒。

 驚く箒に詩乃が説明を始めた。

 

「ここにいるメンバーだと、蘭は最弱でブラストの3、鈴はこの中では中間とも言えるドミナントの72、わたしから一気にランクが上がってエキスパートの4、クロエちゃんに至っては一夏くんに迫るエキスパートの2。

 対して一夏くんはファストの9。世界ランクでもトップクラスにいる一人よ。仮にここにいる皆でチームを組んで挑んだとしても、一夏くん一人に勝てないどころか、何もできないまま負ける可能性すらあるの」

 

 DSOのランクを知らない箒でも、世界ランクと言われればそれがどれだけすごい事なのかは理解できる。

 

「そ、そこまで強いのですか!?」

「単純にメインで使ってる機体との相性がいい、ってのもあるけど、それ以上にファストってクラスにいる連中の技量が軒並み人外とか異能生存体疑惑があるマジキチレベルなのよ」

「あれはどうやっても勝ち筋が見えてこないわね」

「全力で削りにいってもダメコンされて、漁夫狙いで挑んでも余裕で返り討ちするような相手に、どうやって勝てと?」

「あの立ち回り、私たちでは絶対真似できません!」

 

 疲れるような鈴の言葉に箒は絶句し、詩乃やクロエに至っては嫌な事を思い出すかのようにゲンナリしている。唯一、蘭だけは目をキラキラさせていたが、彼女だけがイチカと直接対峙していないので憧れの方が強いのだろう。

 とりあえず蘭を無視して詩乃は箒に説明する。

 

「箒ちゃんは、何かレベル制ゲームをやったことは?」

「RPGなら幾つかやった事はありますが――」

「なら話は早いわ。例えばだけど、こっちのレベルが70だとして、相手がレベル80だったら勝てると思う?」

「……立ち回りと、大きくダメージを与えられる武器かスキルなどがあれば、勝てないことはないと思います」

 

 箒は少し考え、なんとかなるという答えを出した。

 いくらレベル差があるとはいっても、たかだか10程度だ。ある程度技量かゴリ押しでカバーできるのであれば、誤差といっても差し支えない。

 

「そうよね。ならこっちがレベル700だとして、相手がレベル800だったらどう?」

「それは――」

 

 そこまで来ると、レベルインフレが酷すぎて逆に予想できない。

 普通に考えればレベル差100だ。ダメージ差は歴然だろうし、技量差でカバーするにしても苦しすぎる。どうあがいても一対一ではまず勝ち目はないように思えるし、数を揃えたとしても、どれだけの人数が必要になるかわからない。

 

「DSOってゲームはね、基本的にレベルや熟練度なんてシステムが存在しないの。それだけにプレイヤーの地力(じりき)がモノを言うんだけど、一夏くんはその中で最前線に立っていながら世界のトップ10に入っている実力者。見えているモノも動き方も、わたし達とは全然違うのよ」

 

 最初から例え話をせず、そこだけ言えばとも思ったが、詩乃の言わんとしている事はなんとなく理解できた。

 一夏はそれだけ強くて負けることがない、と言いたいのだろう。

 

「一夏のゲームの腕前は相当だとは聞いてましたが、そこまでとは。でもそれと今回動いたのと何の関係が――」

「DSOというのはISとほぼ同じ操作環境でプレイできるのも魅力の一つで、当然イチカはその設定でプレイしています。つまりイチカは3年近くの間、ISのシミュレーターに触れていたのと同義なんですよ」

「それに、DSO(ゲーム)内で展開されるミッションは現実よりも濃密で過酷よ。今起きている事件も、DSOで同じ条件でやれと言われたら、あたし達でも勝つことは出来なくても、生き残るぐらいならなんとかなるわ」

 

 鈴やクロエにそこまで言われて、ようやく理解する。

 一夏が動いたのは勝ち目があるから動いたのではなく、自身を囮にするぐらいでないと()()()()()()動いた。

 理解すればするほど、箒の中で不安がどんどん膨れ上がっていく。

 

「わ、私達も一夏を助けるために何か行動をすべきでは!?」

「してるでしょ。今あたし達ができるのは、大怪我をしない、敵に捕まらない、死なない事よ」

「だが、彼女(クロエ)がISを持っているのなら――」

「既に事が起こっている今の状況では、私たちが出来る事はそれぐらいが限度です。仮に何か行動を起こすにしても、今のあなた達が()()だという事を理解してください」

 

 鈴やクロエに事実を指摘され、箒も反論できない。

 自分達は事情を理解しても、何もできない。そして現状は、力ある護衛(もの)に守られている足手纏いの何者でもない。

 それでもあれこれ言い続けるようなら、自分達は足手纏いどころか邪魔者でしかない。

 

「一夏……」

 

 このまま事態が進んでいけば、一夏とは二度と会えなくなるような気がする。

 自分にも“力”があれば何か出来たのではないか、とも思うが、安易に得た力は自らを滅ぼすだけでなく、周りも不幸にし、守るべきものまで危険に晒してしまう。

 あの時、痛みと共に理解したからこそ、迂闊(うかつ)に動くことができない。

 

(一夏……どうか、無事で……)

 

 無理だと理解していても、そう願わずにはいられない。

 

 

 

***

 

 

 

 同時刻、千冬が乗る第4世代IS『白桜(はくおう)』の一時移行(ファースト・シフト)がようやく終わり、現在は束と別れて一夏の所へ向かおうとしていた。

 どういうわけか一時移行の時間が伸びに伸び、千冬は焦燥を隠せずイラつきを誤魔化すように千冬は機体スペックを一通り確認していたが、その性能を理解していく毎に、()らされた頭が冷めていった。

 第2世代の近接最高傑作と(うた)われた愛機『暮桜(くれざくら)』には想いも愛着もあったが、この機体はその性能を遥かに凌駕(りょうが)し、千冬でさえ見たこともない性能を有している。

 単純な戦闘力のみでいえば、現行の量産機ぐらいであれば中隊規模を相手にしても、秒とかからず無力化できる自信がある。

 

 量産機の3倍近いエネルギー量という規格外さに加え、エネルギーの消費効率は第2世代の専用機より40%ダウンという破格さ。加えて桂秋(けいしゅう)に搭載されたものと同型の強化PICを8基搭載し、通常機動でも別次元の性能を有する。

 本体も基礎フレームそのものから見直され、試作展開機構という特殊なフレームを軸とした機体構成で、状況に応じて機体を変化。性能を特化させることで狙撃戦から防衛戦、高機動格闘戦まで幅広く即応。その特性を特化できるだけでなく、イメージインターフェイスとリンクさせることで装甲を自由に動かせるので、ステータスを細かく割り振る事が可能だ。

 それに(あわ)せ、鉢金型のハイパーセンサーも既存のものとは一線を画し、倍以上の索敵範囲と情報の取捨選択(しゅしゃせんたく)もより容易となり、パイロットに余計な負担をかけず、より最適な情報を得られる。

 背面の非固定部位(アンロック・ユニット)は展開翼となり、通常時でもラファールの2倍近い性能だが、内部に『ハニカムスラスター』という新規格の多重展開型スラスターを装備。展開すれば瞬間最大速度は時速6500キロ(マッハ5.5)という狂気の加速力を誇るだけでなく、機構を組み替えてエネルギーバイパスを換えれば広域戦術(MAP)兵器にも変更できる。

 加えて、左右にある縦に長い変則五角形の非固定部位には、白い桜の花弁を(かたど)ったシンボルが透かし彫りされ、その両サイドには直刀型のブレードを銃身に収めたライフルが2丁、サイドスカートには居合を想定した柄の長い打刀(うちがたな)型のブレードが左右に1本ずつ懸架(けんか)

 後スカート部にはかつて愛用していた雪片(ゆきひら)の後継武装『雪片弐型(ゆきひらにがた)』(※1)が格納(マウント)され、展開すれば機械式で再現された零落白夜(れいらくびゃくや)が発動可能だが、能力据え置きで発動消費エネルギーは6割近くがカット。第2世代の必殺武器が通常兵器として使用可能になり、次世代兵装の名に恥じない性能を有している。

 この他にも随所に武装が内蔵されていたが、反面、拡張領域(バススロット)は極端に狭く、せいぜい1回リロードできる分の弾薬と、工兵用の特殊装備(※2)が1セットでいっぱいになっている。

 並のパイロットであれば持て余すようなハイスペックだが、千冬だからこそ扱うことが可能で、継戦能力は並の専用機以上という理不尽の体現。

 こんなのが表沙汰になれば、世界が黙ってはいないだろう。が、今は状況が状況だ。この力を使うことに躊躇(ためら)いはない。

 

『ちーちゃん、いっくんは現在地から東北東50キロの地点で本格的に戦闘を開始してる!』

「了解した。――無事でいてくれよ、一夏」

 

 束は念の為にと、海上で待機してもらっている。

 この騒動の中で篠ノ之博士なんて極上の獲物、顔を出せば政府どころかテロリストの行動も予測できなくなる。

 市街地の方も気になるが、あちらにはラウラ達がいるし、束が送った援軍が既に箒達と合流したらしい。状況的には一人で動いている一夏の方が危険だ。

 

「たった50キロの距離、30秒もあれば到達できる!」

 

 最速で動くべく、背面の非固定部位を展開。早速新装備のハニカムスラスターが顔を出し、名前通りのハニカム構造のスラスターがコンマ数秒で火を吹いた。

 片翼で12門、全部で24門というスラスターは、一門一門が第2世代のスラスターと同等の性能を持ち、それら全てで個別に瞬時加速(イグニッション・ブースト)が可能というイカレ仕様。巡航(クルーズ)から戦闘(コンバット)速度(スピード)まで移行するのに0.5秒、最大速度(マックス)に至るまで1.2秒という狂気的な加速に、いかな千冬でも一瞬背筋に冷たいものが(はし)ったが、すぐに体勢を整え、五角錐に展開したシールドバリアが赤熱化。

 急激な温度差が発生して地表付近で雲を引いて行く。が、20秒も経過しないうちに横合いから高エネルギー反応を感知して急停止する。

 

「なにッ!?」

 

 殺人的な加速の中でありながら、現役でもなかなか見られない、芸術的とすらいえる一零(イチゼロ)停止を発動。その目の前を直径2メートル近い巨大なビームが通り抜けた。

 千冬は自身どころか機体にも負荷をかけずに停止し、同時にハイパーセンサーで周囲をサーチ。

 11時の方向、約1キロ先の地点に見たこともない異形(IS)を見つけた。

 

 両サイドに巨大な球状の非固定部位(アンロック・ユニット)、そこから冗談のように巨大な腕が各2本ずつの計4本が球体の表面を縦横無尽に動き、本体には腕がないどころか肩の部分からすっぱり切り落とされている。

 胴体は一般的なISよりふた回りほど大きく、イカやエイを彷彿(ほうふつ)とさせる寸胴(ずんどう)型。下半身に至っては足がなく、海棲甲殻類のような多節の尻尾(テール)と、下部も同様に甲殻類に似た節足らしきものがついている。

 

「なんだ、こいつは――」

『ちーちゃん、気をつけて。そいつは()()だ!』

 

 束の情報網でも見つからなかった新勢力の出現。

 見たこともない機体だが、エネルギー反応はISだと示している。一夏の方に向かっているようで、途中で千冬を見つけたから妨害を仕掛けてきたのか。

 

「味方か?」

『敵の敵だよ』

「了解。排除する!」

 

 ブレードを抜剣すると同時に瞬時加速(イグニッション・ブースト)

 新型機で初戦闘にも関わらず、最高速(トップスピード)まで0.2秒という加速を制御しきり、刹那にも満たない間に非固定部位を切り裂いて、つかず離れずの理想的な距離に位置する。

 全く新しい理論によって構成された、積層型の単分子構造の本体は、自己組織化して強度を維持しつつ、従来のブレードよりも軽量かつ取り回しやすさと切断力を高め、本体からのエネルギー供給によってプラズマコーティングされている上、その特徴的な構造は生物的な自己修復すら可能にした、物理的にも電子的にも強度を高めた高周波ブレード。

 元々はDSOプレイヤーが基礎を作り、一夏とランクスが理論を構築してDSの武装として完成。更にそれを束が昇華させた珠玉の逸品。

 第4世代の武装に恥じないだけの切れ味と性能は、千冬が想像している以上の効果を発揮し――発揮しすぎた。

 

 千冬が主に使用するブレードは葵を始めとした日本刀型。ブレード本来の切れ味で『断つ』のではなく、ブレードの長さを使った擦過(さっか)(摩擦)とパイロットの技術でもって『斬る』のが主流で、ブレードの使い方そのものが違う。しかし束はそんな違いを理解しないまま、名刀と呼ばれる切れ味を研究し『斬る』という一点のみを突き詰めたものを生み出した。

 結果、ブレードの性能が段違いに強すぎて、非固定部位のみならず、2本の左腕までも切り飛ばし、本体の一部まで到達する。

 

「おい束、切れすぎるぞ」

『斬れないよかマシなんだから、贅沢言わない』

 

 ISどころか相手まで斬りかねない名刀は、いかな千冬でも少々持て余した。今まで第2世代ぐらいしか扱ってこなかった千冬に、いきなりこんな高性能機を渡されても困る。機体の特性を理解していなければ、()()()()オーバーキルもありえる。

 せめてあと10分。それだけあればある程度この機体の特性を掴むことはできた。が、今は贅沢を言う暇も余裕もない。

 

「ちッ、ひとまず黙らせ――!?」

 

 千冬が勢い余って破壊した本体。その中に収められていた『モノ』を見て固まった。

 そこにはパイロットはおらず、代わりにあったのは胎児のような形をした奇妙なユニットと、そこから(つな)がる幾つものケーブル。

 

「……なんだ、あれは」

『ボサっとしない、見ての通り()()()()()()()()()()()だよ!』

「今更キワモノが出てきたところでッ!」

 

 千冬が意識を切り替え、突っ込む。

 無人機を完成させたという話を聞いた事はないが、今は考えるのは後回しだ。

 無人と(おぼ)しき敵機は片腕を失ったダメージをものともせず、残った腕を構えてエネルギーチャージ。先程の高エネルギー攻撃は腕部からのビーム攻撃らしく、慌てて射線から回避するとISの主砲クラスのビームが千冬の側を通り抜けた。それも1発ではなく、2発、3発と間断なく連射。 更には多節の尻尾(テール)が展開。背面からマイクロミサイルが射出され、側面からはパルスマシンガンが展開された。

 

「なんだそれは!?」

 

 チャージ時間の短さに加え、ISの常識では考えられない弾幕に慌てて回避行動を取る。が、攻撃は更に変化していき、片腕だけとはいえ侮れない火力の中に拡散型のビームも()()ぜ、千冬を翻弄してくる。

 

「ちッ、厄介な。――だが!」

 

 相手は二度も頂点に立った元世界最強(ブリュンヒルデ)。最初こそ驚いて回避に徹するしかなかったが、相手が加減なしに手札をひけらかしてくれるお陰で、早々にパーターンを見切り、両断。

 機体は爆発もせず、ただ静かに二つに割れて落ちていく。仰々しく出てきた割には、あっけない最後だった。

 

「ッ!?」

 

 瞬間、背後からの攻撃。残心のままの千冬に奇襲など通用せず、攻撃をかわしつつ振り向いて相手を視界に収めた。

 そこにいたのは、たった今倒したのと同型のIS。それが周りに5機、千冬を囲う様に部隊を展開している。

 

「……どういうことだ?」

 

 いかに翻弄されたとはいえ、索敵を怠ってはいない。

 千冬とてDSOに触れて、あの世界の漁夫(せんれい)を受けた身だ。無意識下で索敵をする習慣はついていたし、実際警戒はしていた。なのにこいつらを()()()()()()()()

 

「まぁ、いい」

 

 左手にライフルを持ち、構えた。

 

「貴様らに割ける時間も少ない」

 

 その構えは右手を後ろに引き、左手のライフルは前に向けるが、銃身はやや斜め。

 国家代表時代から最も得意とした銃剣一体の構え。大元はDSOで最もイチカが得意とした戦闘スタイルを、千冬なりにアレンジしたもの。

 

「――蹂躙(じゅうりん)させてもらう」

 

 世界最強(ブリュンヒルデ)が再臨する。




Q:白桜ってどんぐらい強いの?
A:原作白式(二次移行)+原作初出段階の紅椿足した程度。第4世代と表記してますが、実際は機体の大半に第5世代の技術流用してるので、桂秋と同じ準第5世代。現状、幾つかの機能や武装が封印されている状態なので、千冬はまだこの事実に気づいていないです。
小規模(?)ながらMAP兵器も装備してて、スパロボで例えたらサイバスター並に扱い易い優良機。ぶっちゃけ今回の戦闘だけなら千冬と白桜だけで終わらせられるだけのポテンシャルあります。戦闘“だけ”なら。

白桜の機体イメージはクロスアンジュのヴィルキスにZero_G社(なんか中国の会社みたいです)のジャッジ(全体的なフォルムもだけど、バックパックのギミックがカッコイイ)を混ぜたような感じ。サイドの盾はコトブキヤのサポートグッズのエクシードバインダーの裏面にサムライマスターソードと日本刀マウントしてるイメージです。後ろの腰部分にライフルではなく雪片弐型を小型化(ビーム刃展開する直前の形態)してマウントしています。
絵心ないのでザックリしたイメージですが、一夏の専用機出るまではこいつが現状最強。クロエの桂秋とはタイプが違うので比較は難しいですが、相性の問題で桂秋が負けます。

現状では第4世代以上の機体が出てきていますが、第5世代以降のコンセプトは固まっていて、この辺も今後出てきます。
最終的には第8世代まで用意してます。用意しすぎ?

今回のオリジナル設定

白桜(はくおう)
武装とか設定作ったらメッチャ長いことになったので、別に機体紹介作るのが決定。更に自分の首を絞めることにw
クロエの桂秋(けいしゅう)も設定作らないと。その前に機体構想とか武装がまだ……

※1 雪片弐型

機構的には原作白式に装備されているものとほぼ同じ。ただし単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)ではなく、機械式で再現された特殊兵装という位置づけ。
この世界では一夏が基礎を考案・束監修により内部構造が強化され、中身は別物。完全な白桜専用のため、他機に渡せる(アンロック)機構そのものがないです。
本体からのエネルギー供給によって発動するのは原作と同じですが、最大出力は射程・威力共にACVDのヒュージブレードに準拠。
事実上の白桜最強兵装。フルパワーで使えば相手は死ぬ。ENも死ぬ。

アスピナ「こいつ頭大丈夫か?」
トーラス「変態化とかないわー」
アル○イン「機体ごとに再設計とかwww」
カ○サキ「お前の発想はおかしい」



※2 工兵用の特殊装備

IS用の特殊兵装ではなく、軍用の特殊兵装。
今回は捕縛用の兵装で、スーパーロープ、同材質のネットなど。
スーパーロープとは鋼の他にケプラーやザイロンなどをより合わせたもの。対人捕縛のみならず、危険箇所の補強などでも利用されているようで、特殊鋼性のロープより強度がある&軽量で柔軟というので、現在研究が進められているそうで。

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