DS - ダイアグラナル・ストラトス -   作:飯テロ魔王(罰ゲーム中)

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遅筆過ぎて月1ペースになりつつあります。
毎日更新とか毎週更新してる人はどういう方法で投稿してるのやら……

時系列的には少し戻って00-07からの分岐――の前に、肝心な束パートを入れ忘れていたので、ここで投下。前回で疑問になっていたアレとかフラグっぽいソレとか入れてみましたが、単純な考察回なのでちょっと短め。

試しに堅い話と固くなる話をやってみます。ギリギリでギャグになるよう配慮しましたが、忌避感のある方はご注意を。

あと、今更ですが活動報告に各キャラのテーマみたいなものを投稿しています。興味のある方は参考程度にでも。


00-11 篠ノ之 束とマジェスタと

 鬱蒼(うっそう)とした森の中を、1機のISが駆け抜ける。

 薄紅色の機体は大きく、中量より、ともすれば重量級に分類されそうなサイズながら、両サイドと背面にある非固定部位(アンロック・ユニット)に設置された数基の大型スラスターにより、重量寄りの中量という、鈍重ともいえる機体ではありえない(かろ)やかさをもって森の中を疾駆(しっく)する。

 その手に握られた試作ライフルは、既存のISでは考えられない結果を生み出し、相対する敵勢力が可哀想になる程の勢いで蹂躙していく。

 

『クソッ、あれが例の未確認かよ!』

『泣き言はいいから撃て、とにかく近づけ――』

『そっちに行ったぞ! 撃ち落――』

 

 徐々にこちらに近付きつつあり、受ける連絡は全て途絶していく。

 

「おい、大丈夫か? 誰でもいいから返事しろ!」

 

 相対する戦力は全て殲滅されているようで、こちらから通信しても一向に返事がない。

 数日前から、何かと騒ぎになっていた未確認IS。

 つい先日は亡国機業(ファントム・タスク)のアジトの一つが襲撃されたという情報があり、実行部隊最強とも言われていた、()()スコール・ミューゼルが手も足も出ないままやられたという話すらある。

 

「ここが最終防衛ラインだ。抜かれるなよ」

「了解――標的が射程内に入った!」

 

 彼我の距離は既に2kmを切り、射程内に入ったのを確認しつつ、複数の装甲車に設置された重機関銃(HMG)が銃弾をばら撒く。

 

「撃て、撃ちまくれ!!」

 

 対IS用にカスタマイズされ、ともすれば肥大したキャリコにも見える重機関銃は、近代化改修によって小型化した20mmHEAT弾を吐き出し、襲来する謎のISを撃墜しようとその牙を剥く。が、未確認ISは慣性の存在を忘れたかの様に直進から直上へと機動をシフト。

 無数の銃弾は森の木々へ着弾。その爆炎は20mmというサイズではありえない威力を生み出し、ともすれば主力戦車(MBT)の主砲に迫る爆風と炎の壁が(むな)しく撒き散らされる。

 

「な――バカな!?」

「ボサッとするな、とにかく撃ちまくって動きを止めろ!」

 

 ISのありえない動きに驚き、慌てて銃口を上に向けるより早く、バレルロールによる横の動きから直角に下降。慣性の法則すら無視する動きに翻弄(ほんろう)されながらも、なんとか照準を合わせつつ弾幕を張るが、全く追いつけない。

 

「く、来るな……来るなァ!」

「くそ――ッたれがぁァァ!!」

 

 照準が追い付かない事に焦り、射手達は狂ったように彼方此方(あちこち)に弾をばら撒いて弾幕を生み出し、近づけまいと奮闘。

 それでも未確認ISには一発も当たらず、弾幕の隙をついて未確認が持つライフルから光のようなものが照射される。

 瞬間、重機関銃含めた装甲車があっという間に砂に変わり、座席を失った射手と運転手が無様に尻餅をつく。何が起きたのかも理解できず、戦場のど真ん中で呆気(あっけ)にとられた。

 未確認はこちらを一瞥(いちべつ)すると、興味を失ったかの様にその奥にある本部を目指し飛んでいく。

 せめてもの抵抗にと懐にある銃を探すが、そこから出てくるのは一掴(ひとつか)みの砂だけ。

 太腿に装備していたコンバットナイフも、ホルスターに入れていた予備マガジンすらない。

 

「何が、起きた……?」

「さ、さぁ……?」

 

 何が起きたのかも理解できず、武器という武器が全て砂に変わった現実を受け入れる事ができず、皆キョトンとした顔でお互いを見る。

 

 判っているのは、自分達が何故か殺されなかった事と、本部から聞こえる一方的な銃声。それでこの場所はもう終わりだという事ぐらい。

 遠くから軍用ヘリのローター音が聞こえるが、どこか別の出来事のように思えた。

 

 

 

***

 

 

 

『束様。非合法組織の基地、制圧完了しました』

「クーちゃん、そこにあったデータは?」

『ある程度の証拠は残していますが、回収が済んだものから順次破棄を』

「現地の軍がやってきてるから、あと60秒で脱出してね。主要なデータだけ抜いたら、細かいのは残しといてもいいから」

 

 了解しました、という返事を残して通信が切れる。

 世界中の目から逃れる為に作成した自身の研究所(ラボ)、『吾輩は猫である(名前はまだ無い)』で、束はモニタの明かりと複数展開された仮想キーボードの光を光源に、今回の襲撃事件を意図的にネットに流す。

 マッチポンプではあるが、表舞台にいない自分達が動けば情勢をコントロールしつつ、こういったバカ共をあぶり出せる。

 

「まったく、凡人は学習しない事を学習する、とはよく言ったものだね。これじゃバカの一つ覚えじゃないか」

 

 軽口を叩きつつモニタを注視しているが、腹の中は相当煮えくり返っていた。

 モンド・グロッソの悲劇――2年前、彼女が表舞台から消えた本当の理由。

 それを考えもせず、それぞれが都合のいい正義を掲げ、ISは本来の目的から外れた運用をされ続けている。

 ISを世に出す際、『兵器として扱うのであればコアの提供はできない』と明言したにも関わらず、世界は(みずか)らが締結したアラスカ条約の穴をつき、ISを軍事利用した。

 それについては彼女も再三注意をしたが、世界はのらりくらりと玉虫色の返事をするばかり。

 挙句、扱う個々人の意識が低いが故に、あんな悲劇を起こしても尚、世界は同じ事をまた繰り返そうとしている。

 事の大小は関係なく、過去の遺物すら巻き込んで。

 

「まったく、少しはいっくんを見習ったらどうだい?」

 

 そうぼやいたが、ある意味世界は一夏を見習っていたなと思い出し苦笑。

 彼が生み出した論文や理論は、束をもってしても“その発想はなかった”と言わしめるものが結構ある。

 実際、クーちゃんことクロエ・クロニクルが提示してきたイチカ達の機体構成理論を元に、束は1機のISを作り上げた。

 それが現在クロエの纏っている()()()()()IS・“桂秋(けいしゅう)”。

 DSOでクロエ自身が使用するDSを冠し、束の手によってISとして再現したものだが、この機体は『ありえない』のオンパレードだ。

 

 鈍重になりがちな重量級の機体を、既存のものとは一線を(かく)す強化PICで保持。機体の装甲そのものを兵装パーツの一部とし、それらを組み合わせてエネルギーバイパスの組み換えを行い、兵装と装甲、機動力を()()()()()()()変更する事で全局面展開能力の獲得をするなど、誰が思いつくものか。

 その上、その図体(ずうたい)に見合わない機動力、常識外れの燃費の良さから生まれる戦闘時間は、第2世代ISの運用時間にすらに匹敵し、疑似的な領域支配(エリア・ドミナンス)すら展開できるという理不尽(チート)

 

 部分的な技術は世代差を越えて応用が利き、全く違う運用方法まで模索できる量産性すらある。

 まさにパンドラの箱ともいうべき設計理論だが、これ以外にも全く違うアプローチから生まれた機体がまだ幾つもあるというのだから、彼らはどれだけ未来(さき)を見ているのか。

 多少の齟齬(そご)はあれど、その技術をISに転用できた事に驚き、世界が暗躍してでも一夏を獲得したくなるのも(うなず)ける。

 

 束自身、展開装甲という特殊機構を模索していたが、これは全く違うアプローチから同様の結果を得るという発想。

 IS自身に兵装という“鎧”を(まと)わせる――そんな概念と発想は彼女にもなく、あの機体の完成が2年近く短縮できた。

 同時に兵装の発想も普通ではない。

 

「兵器をを分解する兵器、か」

 

 対象にパルス照射して機体構造を瞬時にスキャン。物質の構造情報と共鳴する振動エネルギーをぶつける事で分子結合を崩壊させるという、通常兵器に対する鬼札(ジョーカー)

 本来はDSのオーバードウェポンで、DSコアを使って生み出された膨大なエネルギーを動力源に、都市区画一つを砂漠に変えるような変態兵器だったが、イチカはそれを現実の理論に当てはめる事で通常兵装にオミットする技術を提示。

 DSOで第5世代のEN兵器として開発・実装され、世代差が関係なく運用できる反面、拡張領域(バススロット)を圧迫するというデメリットこそあるものの、威力に対してEN消費が低く、桂秋(けいしゅう)と同様、兵装をパーツ化して本体に取り込んでしまえば、そのデメリットも本体のウェイトとしてカウントする事が可能。拡張領域(バススロット)に若干の余裕が生まれ、逆にメリットにさえなりうる。

 便宜(べんぎ)上、彼女はこの兵装に分解銃(ディスパージョン・ライフル)という名を与えたが、これがある限りクロエは通常兵器に対して絶対的な優位性がある反面、生物に対してほぼ無力というデメリットがあり、結果として人を殺すことができない。それは束にとっても大きなアドバンテージとなる。

 これがある限り、クロエは身綺麗なまま戦場を駆け抜け、大手を振ってこの功績を一夏に報告できるだろう。

 

 束が気まぐれに作ったDSOのアカウント『マジェスタ』で長くDSOに触れていたせいか、クロエも一夏に対して恋愛感情がある。

 現実世界ではないという解放感からか、仮想世界の方が年頃の少女らしさと、隠す気すらない恋愛感情は見ている束も好ましくあったが、同時に一夏がISを起動させた仮説も確信へと変わった。

 

 

――IS適性の高い女性は、IS適性のある男性に強く惹かれる。

 

 

 凰 鈴音(ファン・リンイン)といったか、一夏の世話を焼いている少女のIS適性がAと判明した時、束の中では核心に近い推論だと考えている。

 それは『優秀な遺伝子を後世に残す』という、種の保存という本能に由来する恋愛感情。

 

 千冬が一夏に総合学園案内を紹介したのも。

 凰 鈴音がIS学園への推薦をあっさり蹴って一夏の元を離れなかったのも。

 ドイツ娘が一夏の利になる行動を自国に進言したのも。

 箒が一夏と再会し、その思いが再燃した事も。

 クロエが自発的に行動するのも――それで全て説明できる。

 

 本能的に一夏の遺伝子が自身の系譜にとって最良だと認識し、それを得ようと気を引き、護り、求め、支える。狙いこそ様々だが、生物学的に見れば全てそこに帰結する。

 時代が時代ゆえ、ハーレムの形成すら可能な反面、IS適性が高い者、もしくは成長しやすい者などは一夏と相対した場合、精神よりも肉体の性衝動に動かされやすくなる。妊娠適齢期に近いものであればあるほど、その傾向は強くなるだろうと束は考えている。

 一夏が恋愛に対して鈍感なのは、男が少なくなってきた世界で女性達のアプローチが強すぎるが故に感覚が麻痺しているか、もしくは無意識に肉食系女子を敬遠して自身を護っているとすれば、一夏の行動にも説明がつき、周りがアレコレ助力してるのは単に一夏の人柄故(ひとがらゆえ)だろう。

 逆に一夏に対し敵対行動を取るのは、モテない事に嫉妬する男達、もしくはIS適性の低い女性や結婚適齢期を過ぎた老害などが最たるもの。他には利権問題などで敵対する勢力もいるのだろうが、背景を紐解(ひもと)けばそこに行きつくのではないかと考えている。

 

 それとクロエのIS操縦技術も目を(みは)る。

 イチカとその仲間達の協力により、ISに近い環境でDSOをプレイしていたのは知っていたが、ここまで親睦性(しんぼくせい)が高く、かつ柔軟性のある操縦ができていることにも驚いた。

 反面、体力的な部分に問題が出ていたが、この辺は経験を重ねていくことで解消されてきている。

 

 束はクロエにISに関する技術を全く教えてはいなかったが、操縦の基本である三次元躍動旋回(クロス・グリッド・ターン)瞬時加速(イグニッション・ブースト)円状制御飛翔(サークル・ロンド)のみならず、特殊機動である特殊無反動旋回(アブソリュート・ターン)無反動旋回(ゼロリアクト・ターン)、果ては高速切替(ラピッド・スイッチ)、一零停止も限定的ながら使える様になっていて、具現維持限界(リミット・ダウン)にも配慮する余裕がある。

 これらの技術はDSOにおいては基本技術らしく、聞けば企業のキャンペーン・ガールとして採用された現役IS操縦者が広めた技術に始まり、DSOプレイヤーがそれを昇華したものさえあった。

 よくよく考えれば現役をDSO(ゲーム)で起用する以上、ISに酷似した環境でDSを扱わせた方が当事者達も実力を発揮できるのだし、同じプレイヤーが使うのだ、教えたり模倣されたりして技術が昇華していくのは当たり前で、それだけ操縦技術が広まれば、新たな戦術や技術が生まれてもおかしくはない。

 

 最も、彼女はイチカと幾度となく勝負はしたが一度も勝ったことがなく、手も足も出ないどころか勝ち筋が全く見えない、らしい。

 マジェスタのランクはイチカに迫るエキスパートの2、しかもイチカ同様、ソロでかなりの数をクリアできる腕前と経験があってもだ。

 それだけイチカとマジェスタには隔絶(かくぜつ)した実力差があるという証左だが、束としては単純な実力のみでこの差が起きるとは思っていない。

 IS適性と同じく、VRにも適性があり、二人の適性に差がある為こういう結果があると思っている。

 実際、千冬がISでは世界最強でありながら、DSでは上級者とはいえそこそこの腕前まで落ちている。

 束からすると千冬は『IS適性が高い代わりにVR適性が低い』と考えれば、この異常ともいえる状況に説明がつき、贔屓目(ひいきめ)ではあるが、イチカとマジェスタの実力差もある程度納得できる。

 

 同時に、なぜ一夏がISを起動できたか、という謎もある。

 その要因(よういん)の一つはDSOだと考えているが、一夏自身が無意識下で“ISをDSの一種”と認識しているという考えは苦しいし、それだと他の男達もISが起動できないと辻褄(つじつま)が合わない。

 次点で考えられるのが、初めてISを起動させた千冬の存在。血縁者だからという理由でISが反応した、とも考えられるが、それだと逆にこれまで男性が起動できなかった理由に矛盾が生じるし、いくらモンド・グロッソの悲劇があったとはいえ、ある種男のロマンともいえる機動兵器(IS)に、男達の食指が向かない現実(リアル)に説明がつかない。

 他にも要因があるのだろうが、現状ではその答えに辿(たど)り着く為の情報(ピース)が足りない。

 

 だが、ISで起きた事件を、DSOプレイヤーが経験した事で()()()()()()に近付いた。

 その当事者が織斑一夏など、誰が予想できる。

 むしろ周りにとっては()()()()()()()()()存在がISを起動させた為、これだけの騒ぎになったのだろうが、束からすれば計画の前倒しに過ぎず、やる事が分散したからこういうバカ共を潰せる余裕も出てきた。

 

「茅場は、こうなる事を予測していたんだろうね」

 

 それは間違いないだろう。自分が身内に甘いのは周知の事実だ。

 束がいずれ一夏を男性IS操縦者に仕立て上げる、というのは予測できていたはずだ。

 経済の一部という予防線、ダイアグラナル(対角線の)ストラトス(成層圏)という、束にしかわからないようなメッセージ。

 それを裏付ける様に、ゲームという先入観を利用し、ISを作った本来の目的からかけ離れたDSの運用方法、既存のVRゲームからかけ離れたシステムに成長方法。

 過酷(かこく)という言葉すら生温(なまぬる)い、大規模な人数が参加する事を前提とした広大な戦場。

 結果、生まれた社会的利便性は、凡人から見れば(てい)のいいカネ稼ぎにすらなる。

 それらを隠れ蓑に、茅場とその仲間達が、仮想というもう一つの世界で何かを画策(かくさく)しているのは解る。あの広大なマップもそうだが、これに宇宙空間が追加されれば、何を狙い、何を目指しているのか、束の中では確定的だ。

 

「ホント、あんなちっぽけな世界で満足していたのが、変われば変わるもんだ」

 

 茅場達の“目的”は、束の“手段”に使える。

 こちらを出し抜いたつもりだろうが、彼らは肝心な一歩が足りていない。

 

「君達からすれば意趣返しなのだろうが、せいぜい利用させてもらうよ」

 

 全ては自分の目的を果たす為。

 彼女自身、一夏を守る為に行動しているのは、彼の遺伝子に惹かれている、もしくはこの感情を理論づける為にこういう推測に至ったのか。

 今更その経緯はどうでもいい。彼女が目指すのはハッピーエンド、それも皆が納得する大団円。

 それに至れるのであれば、別の正義も、バッドエンドも、全て利用させてもらう。

 

 全てが終わった後のハッピーエンドを妄想し、ニタァ……と表現したくなるような妄想全開の笑みを浮かべる。

 それは哀れな子ウサギを前に舌なめずりする獣、もしくは崖っぷちの嫁き遅れがイケメンを前にして欲情したような表情。

 

 …………要するにアウトな表情だった。

 

 

「うぇ、うぇっへっへっへ……姉妹丼もいいけど、血のつながらない親子丼、他人丼、スリー(ピー)もいいけど、フォー(ピー)もアリだよね。もしくはちーちゃんも一緒に……ジュルリ」

 

 

 ――性倒錯症(パラフィリア)

 

 

 かつて世界を救うために作ったIS。しかし数多(あまた)の命を奪う事件が起きた事に耐え切れず、彼女は精神に異常を(きた)し、人を恐れるようになった。

 それでも人恋しさから人を求めるが(ゆえ)にクロエを養女として迎え、育てている。

 一夏への依存は自身が生み出したIS適性の理論によって、(いびつ)な性依存へと変化し、彼女の倫理観は減少する男性の出生率の低さから、やがては時代の変化と取られるだろう。

 

 

 世界は少しずつ壊れてきている。

 誰にも気づかれる事なく、ゆっくりと。




束の考察&理論、使えるというのであれば利用されても構いません。というかn番煎じかも(^^ゞ

前に言っていた『束は完全な白ではない』という部分がこれで、最初から壊れているより少しずつ壊れていった方がより“らしい”と考え、こういう風になりました。冒頭で入れていた男性の減少という話も少しだけ絡んでいますが、見えない欝展開というのもなかなか……こういうお話はまだまだ出てきます。フロム脳の恐ろしさはこういうところにあると思うので。

性倒錯症というのはこの作品の造語で、正しくは性的倒錯とか性嗜好異常で、露出や盗撮、SMなどもこれに分類。浮気症やハーレム症候群なども入るようで、束の壊れ方をわかり易く、かつ話の流れに合わせる為にこういう症状を組み込んでいますが、本来の精神疾患とは違うのでご注意を。
詳しく知りたい方は独自に調べるのもいいかと。新しい発想があるかも知れません。

マジェスタの正体もある程度は考察できていた人はいたかも知れませんが、この展開を予想できた人はいるんだろうか?
しかし、クロエの性格がつかめなかったが為に少し蛋白な扱いになってしまった。要反省。
代わりにクロエ回は考えてあるので、そこで半オリキャラになってはっちゃける可能性大ですがw

束パートはどこで入れようか迷ったまま後回しにしてしまっていて、このタイミングで入れないとマズそうだったので。これで千冬がイチカに勝てなかった理由とか一夏がISを起動できた謎なんかも出てきました。
最も、前々からストーリー中に起動できたヒントを盛大にブッ込んであるので、気付いた人はいるかも知れません。気付いた人は今はヒミツでお願いしますw

今回出てきたクロエの専用機『桂秋』は準第5世代と表記していますが、実際は4.7世代、原作の紅椿(初期)は4.3世代ぐらいと位置付けています。この辺にもイチカ達の影をチラつかせたかったが故にこういう位置付けで、ちょっとした伏線としても使える様に出してます。
それと第2世代の運用時間とは戦闘時間を指すものではなく、展開して行動する時間を指し、ただ飛んだり浮いたりしている時間を指します。車でいえば高速道路をアクセルベタ踏みで走るか街中をノンビリ走っているかの違い、と考えてもらえれば。

あとオリジナル武器である分解銃(ディスパージョン・ライフル)ですが、発想の元ネタはヒュッケシリーズのグラビトンライフル。重力兵器だと中の人もクシャっと逝ってしまう可能性があり、束が失踪した原因である『ISによる大量殺戮』にひっかかっると思い、あれこれ考えて出来たのが司馬達也の雲散霧消(ミスト・ディスパージョン)の兵器転用。科学的に正しいのかどうかはわかりません。テスラ研、検証してくれ。
桂秋の元ネタはガンダムOOのヴァーチェ――ではなく、実はガオガファイナルとゲッターシリーズ。作者のフロム脳とスパロボ脳でこねくり回したら、こういうのが出来上がりました。まだ武装とかが全部思いついてないので、機体の外観とかが思いつかず……誰か汎用で全距離対応の太目な中量ってコンセプトで書いてくれんかな?



本編にあまり関係ないので桂秋(けいしゅう)の意味を紹介。

桂秋は銀木犀(ぎんもくせい)が咲く時期を指し、桂は木犀のこと。開花時期は9月~10月で、一夏の誕生日あたりに咲く花。
花言葉は『初恋』『高潔』『あなたの気を引く』『唯一の恋』などで、なんとなく陰で支えるクロエに合ってるなと思い、機体名に採用しています。
ちなみに待機状態は銀木犀の髪飾りという設定。誰かデザイン起こしてw

もう一つ裏設定というか、小耳に挟んだもので、好きな人の誕生花をアクセサリなどにして持っておくと、その恋が叶うという外国のジンクスがあるそうで、ちょっとした遊びでこの辺もかけてます。


後書きでこれだけ補足が必要という時点で、どんだけ自分が非才なのかがよく解るorz

追記:マジェスタのランクとクロエの機動に関して誤字見つかったので修正。

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