魔法科高校の魔術使い   作:快晴

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第16話

スタジアムは本来ある筈の熱気を忘れ、観客たちはただただ黙ってモニターを見ることしか出来なかった。

 

「すごく地味」

「まあ〜、こうもモニターが真っ白じゃね。ミキの魔法だろうけど、作戦は達也くん考案だろうね」

 

雫の感想はおそらく、このスタジアムにいるほとんどの観客が抱いている感想だった。

 

モノリス・コードではルール違反監視用のカメラが選手を追跡しており、それがスタジアムの大型ディスプレイに映し出される。

 

今、モニターに映し出されているのは全体の八割を占める白い霧と、二割の選手と渓谷ステージ特有の岩や崖の色だけだ。

 

この霧はもちろん自然に発生したものではない。エリカが言った通り、幹比古が「結界」の古式魔法を用いて人為的に作り出したものだ。

 

試合状況が全くわからなくなるため、初めは観客からブーイングが生じたが、それもすぐに静まった。

 

観客たちも魔法競技を見にくるだけあって、広範囲に魔法を及ぼし維持させることの難易度を理解していたからだ。

 

雫が地味と言ったのもこれが理由だ。

 

「ルール違反監視用のカメラもこうなったら無意味よね。森崎の時は先に瓦礫にぶつかって壊れてたし」

「エリカの言いたいことはわかるけれど、視界が奪われてしまったら結局それは人間でもいっしょだわ」

「そうなんだけどさ。あれ、美月?どうしたの?」

 

大型ディスプレイを凝視する美月。

 

「あ、いえ、いま一瞬なんですが何か暗いものが映った気がして」

「黒いものですか?私は見えませんでしたけど」

 

他の観客も特に気にした様子もない。

これだけ白が支配する中で黒が映ったというのであればそれなりに目立つ筈だ。

 

「何かゴミと見間違えたんじゃない?」

「うん、そうかもしれない」

 

でもゴミというより、いつもの光の球みたいな感じだったんだけど……、何か違和感が……

 

言葉で上手く伝えられない。

結局その場は見間違えたということで話が流れたが、別の場所、渓谷ステージにいる者はこの違和感を美月より明確に捉えていた。

 

 

 

(やっぱりおかしい)

 

モノリスの近くで霧の結界を維持することに専念している幹比古は、精霊を通して結界の中に存在する異物をいち早く感知していた。

 

僕の結界の中にいる反応が二つが多い!それに、二つともかなりの速さで移動してる!

 

すぐにリンクしている精霊と『視覚同調』を行いその異物を確認する。

 

何もいない?いや、でも間違いなく何かいる。僕が視えないだけで確かに精霊はこの存在を追っている。もう一つも……同じだ。捉えてはいるけど視えない。

 

一つは自分たちのモノリス側、もう一つは相手のモノリス側。自陣側はまだ距離があったが、相手側の反応は九高選手と目視できてもおかしくない距離まで接近している。

 

「達也聞こえる」

『どうした?』

「まずい。正体不明の反応が二つ、それぞれがかなりの速さで達也と僕たち側に向かって進んでる」

『……姿の確認はできないのか?』

「だめだ。どういう魔法か分からないけど、感知はできても視覚では捉えられないんだ」

 

お出ましか……

 

第一高校の勝利を妨害するための工作員。そして、達也の予想では今回はただの工作員ではない。

 

……サーヴァント。

 

光振動系統の魔法で姿を隠した魔法師という可能性もあったが、この霧の中で光を利用し姿を消すというのはかなり高度な技術が必要になる。幹比古の言う通りそれが移動しているともなればなおさら高い技術が必要だ。

 

達也としてはそんな高度な技術を持つ魔法師をこんな場に投入してくるとは考えられなかった。

 

他の系統の魔法で精霊を欺き姿を消しているように見せている可能性も考えたが、いずれにしてもそれは魔法師として高い技術が必要なため、士郎からの情報でサーヴァントの霊体化を知っていた達也は相手がこれで姿を消していると考えた。

 

だが、達也には一つ気になることがあった。

幹比古の、反応が二つあると言う言葉だ。

 

士郎の話では今確認できているサーヴァントは一体。霊体化で姿を消しているとすれば反応のどちらか一つのはず。なら残りの一つはなんなのか。可能性は三つ。二体目のサーヴァント。魔法師。そして手段はわからないが姿を消してもう一つの反応を追ってきた士郎。

 

魔法師であればまだいいがサーヴァントだとするとまずい。

 

『……わかった。俺はこのままモノリスに向かう」

「本気か達也?君はこの反応が一連の事故に関係してると考えてるんじゃないのか?」

 

だからこそ幹比古はここは一度合流して体制を整えるべきだと考えていた。

 

『ああ。だが、今何かしらのアクションを起こしてもほとんど意味がない。効果があるとすればサレンダーするか、勝って早く試合を終わらせるかだ』

『サレンダーって、どういうこどだよ?』

 

今まで無線を聞くだけだったレオが達也に尋ねる。

 

『レオ、俺たちはこの反応を証明できない』

『証明できないって…、幹比古の魔法で感知できてるなら証明できるだろ。これを大会委員会に報告すれば終わりじゃないのか?』

「……いや、……達也の言う通りだ」

 

幹比古の答えに思わずレオは『はぁ?』と間の抜けた声を出した。

 

「その魔法で感知していることが問題なんだ。

優秀な魔法師なら感知も欺ける。

僕はありえないと考えてるけど、今把握してる数も九高選手の魔法で騙されてるだけなのかもしれない」

『だから大会委員会に報告しても意味ないってか。だったら俺たちは少なくともその見えない相手の場所まで行って、目視までしなきゃならないってことじゃないか』

『いや、それだけじゃ甘い。ルール違反監視用のカメラに映すでもしないとだめだ』

 

しかも仮に、この不可視の反応に近づいだとしても、それが九高の選手ではなく本当に工作員だった場合は間違いなく怪我では済まない。

高すぎるハードルにようやく達也がサレンダーという言葉を出した理由が分かってきた。

 

『何か手はないのか?』

『こちらから相手に直接手を出す手段はない』

 

即答した達也だが、本当は何も手が無いわけじゃない。いくつか効果的であろう策は思い浮かんではいたが、なによりも反応が二つあることが気になった。もし反応の両方がサーヴァントだった場合のリスクが高すぎる。

 

「……」

『……』

『サレンダーするか?はっきり言って、これが一番何事もなく試合を終わらせる方法だ』

『絶対いやだ』

「そうだね、達也の言う通り賢い選択はそっちだと思う。でも……ここまで来てるんだ。やれるところまで僕もやりたい」

 

二人の返事はNO。

 

『わかった。なら俺はこのまま敵モノリスに進む』

「了解。なら僕はこの結界の維持と達也のサポートに集中する。この霧を消すわけにはいかない。そうすれば見えない相手が感知すらできなくなるからね」

 

自分の魔法が相手にうまく利用されていること、その魔法があるからこそ早期に相手を発見できたこと、その二つで幹比古はなんとも言えない表情をしていた。

 

「……達也、悪いけど一度通信を切る。こっちの反応がかなり近づいてきた。レオは僕と無線なしで会話できる距離まで防衛線を下げて」

『……了解。気をつけろよ』

『わかった。今戻る』

「もちろん。達也も気をつけて。

反応はまだ君を見つけられてないみたいだけど、もう達也のすぐそばまで迫ってるからね」

『ああ』

 

通信を切った幹比古は一度大きく息を吸うと、見えない敵への不安と共に息を吐き出した。

 

 

 

達也は足を早めるとともに存在認識の視力を発動する。

 

数分ほど進んだところで達也の視覚が相手を捉えた。

 

………見つけた。

 

モノリスとその前で警戒をする九高のディフェンダー。そこから離れた崖の上。靄がかかったエイドスが移動している。

 

しばらくそのまま観察を続けると、モノリスを中心に一定距離を索敵しては移動。索敵しては移動を繰り返していることが分かった。

 

モノリスに到着するのが少し遅かったみたいだな……

 

待ち伏せ。達也たちより先に目的地に到着した反応は、こちらにに対して実に効果的な手段をとってきた。

 

しっかりと策を練りたいところだが幹比古たちの方も気になる。反応が士郎ならいいが残りの二つの可能性であるとすればもうあまり時間をかけていられない。

 

ここは一気に切り抜ける。

 

靄のかかったエイドスがモノリスから最大まで遠ざかるタイミングに合わせ、達也はディフェンダーの背後を取り、モノリスに「鍵」を撃ち込むとコードを記憶。加速系統魔法で一気にその場を離脱した。

 

コードを隠していた蓋が剥がれた轟音が響き、ディフェンダーが慌てて振り返るがもうそこに達也の姿はない。辺りを慌てて見渡すディフェンダー。

 

だがもう一つの存在。靄のかかったエイドスは違う。その俊敏さ、ステータスで表すならAランクと称されるそのスピードでモノリスまで戻ったそれは、生前が視界の悪い環境で活動していたこともあり、常人なら捉えられないだろう消えかかる達也の影を捉えた。

 

この距離を捉えるか……

 

存在認識で後方から追ってくる相手を捉える達也。

 

圧迫感はない。背後からの気配も感じない。だが、逆にそれが達也に不気味さを感じさせる。

 

「っつ!」

 

後方から飛んできた三本の投擲剣(ダーク)

追いつかれないためにも最小限の動きでそれをかわした達也だったが、投擲剣(ダーク)の一本が綺麗に監視用のカメラを貫く。

 

こっちが本命か。

 

自衛のためにもカメラの存在は重要だったが、スピードを落として相手に脚を止めさせられる方がリスクがある。そう判断した達也は、存在認識でカメラを狙った一投があることを理解しながらそれを無視した。

 

それに、カメラが破壊されたことでデメリットだけが生じたわけではない。少なくとも大会運営側にはカメラが壊れるような事態が起きたことが伝わった筈だ。

 

すでに九高のモノリスが開かれたことは知られているこの状況で、九高の選手が達也を捕捉できていないにも関わらずいつまで経ってもコードが入力されず、その選手のカメラが壊れているともなれば大会運営側もこれまでの事件もあるため流石に不審に思うだろう。

 

『達也!聞こえる!』

 

無線から声が聞こえた。

 

「幹比古!そっちは無事か?」

『なんとかね。こっちの反応は僕たちに気づかず通り過ぎた。それより達也、君の方が大変じゃないか‼︎』

 

『視覚同調』で達也の状況を確認した幹比古は落ち着いてはいられなかった。

 

「ああ。相手に待ち伏せされた。それより幹比古、こちらの状況がわかるってことは相手の姿が見えてるのか?」

『うん。さっきと違ってしっかり。身体をマントで覆って骸骨の仮面を被ってる。間違いなく選手じゃない』

 

士郎から聞いていた特徴と違う。新しいサーヴァント……

 

「……幹比古、しばらくの間、この霧を一掃濃くすることはできないか?それこそ一寸先も見えないほどに」

『できるけど、精霊をかなり活性化させなきゃいけないから『視覚同調』も探知も一度切る必要がある。どうしてそんなことを?』

「賭けにでる」

 

達也が考えた賭け。

それは、一時的に霧を濃くして完全に視界を遮断。その間に記憶したコードを打ち込むというものだった。

 

『危険だ‼︎視界がダメでもタイプ音で位置がバレる!』

「だがこのまま逃げ続けられる相手じゃない。

幹比古たちから離れた反応もある。やるなら今しかない」

『………っ、やめる気はないんだね』

「ああ」

『わかった。三分だけ最大限まで霧を濃くする。三分経っても試合終了のブザーが鳴らなかったら』

「結界を解いてもらって構わない」

『……了解』

 

返事をしてすぐ周りの霧が濃くなり視界が完全に白で覆われる。

 

存在認識の視力を発動していなければ歩くこともままならないほどだ。完全に視界が途切れる前にアサシンの投擲剣(ダーク)が飛んできたが、達也は危なげなくこれをかわした。

 

よし。

 

存在認識で周りの情報を読み取り、こちらを追跡していたアサシンの足が一度完全に止まったことを確認した達也は、足音を殺して近くの岩陰に移動する。

 

「この程度で姿を見失うと思ったか?」

 

そしていざコードを入力しようとしたところで

最悪の言葉が聞こえた。

 

「たとえ視界が悪くとも、貴様と私しか近くにいないこの場なら、いくら息を殺そうとも容易に居場所を捉えられよう」

 

達也はすぐさま岩陰を飛び出すが遅い。一度脚を止めたのが運の尽き。素早さで勝るアサシンが距離を詰めて投擲剣(ダーク)を飛ばす。

 

「くっ」

 

先程と違い完全に投擲剣(ダーク)の射程圏に入ったこれはかわせない。達也はサーヴァントの能力が全く掴めない状態で攻撃を受けるのはまずいと判断し、この攻撃を咄嗟にフラッシュキャストからの雲散霧消(ミスト・ディスパーション)で無効化した。

 

「なに?」

 

消滅した投擲剣(ダーク)を見てアサシンが怪訝をあらわにする。

 

「シッ‼︎」

 

もう投擲剣(ダーク)を投げたアサシンだが同じように達也に無効化された。

 

一方で二度の攻撃をやり過ごした達也は、この隙を活かして相手に雲散霧消(ミスト・ディスパーション)を発動させようと試みる。

 

っつ、やはりダメか!

 

アサシンの持つ風除けの加護。現代の魔法とは異なる神秘が達也に構造情報を読み取らせなかった。

 

雲散霧消(ミスト・ディスパーション)の失敗を理解した達也はすぐさま距離を取る。

 

それを妨げるように投擲剣(ダーク)が飛んで来たがステップでかわし達也は油断なくアサシンと対峙した。

 

「貴様……」

 

背筋に悪寒が走り、咄嗟に半歩後ろに下がると目の前を刃が通りすぎた。

 

「魔法師風情が私とやり合うつもりか?」

 

高速で振り回される投擲剣(ダーク)

 

全てが急所、というわけではなく、まるで達也を痛めつけるかのように上下左右身体全体に振られていく。

 

全ては無理だ。急所だけ確実に捌く。

 

CADを盾代わりに投擲剣(ダーク)を捌く。捌ききれなかった投擲剣(ダーク)によって達也の身体に赤い線が作られるが気にしない。

 

「ほう。なかなかよく動く」

 

完全に遊ばれているが達也にとっては都合が良い。思考を加速させ次の一手を考える。

 

身体能力は相手が上。

あいつ自身に俺の魔法は通用しない。

……あのナイフを使うか。

 

アサシンの持つ投擲剣(ダーク)に目をつけた達也。

 

足元に魔法式を展開しその場で思い切り足を踏む。ズン、とその振動が増福され地面が揺れた。

 

「むっ⁉︎」

 

バランスを崩すアサシン。そこに追い討ちで腹に蹴りを打ち込み吹き飛ばす。

 

そして。

 

質量爆破(マテリアル・ブラスト)

 

アサシンの左手が焼かれた。

 

「ぐぁあ‼︎‼

 

質量爆破(マテリアル・ブラスト)。とある理由から使用することができない達也の魔法の一つを現段階で可能な限り再現したもの。

 

手間に対して相手を軽く負傷させる程の威力しかなかったせいで使う機会がなかったが………思わぬところで役にたった。

 

痛みに悶えるアサシンを置いて達也はその場を離脱する。

 

達也はすでにモノリスを打ち込むことを諦め逃走に撤するつもりだった。

 

「ぐぅ…、まさかこのような反撃をもらうとは、アサシンにあるまじき行動の報いか」

 

左手を見たアサシンが逃走する達也の背を見て自身を戒めるように呟いた。

 

「マスターの命は再起不能。それだけならば舌を切り、目を潰し、四肢を無くしてしまえば事足りるだろうが……、相手は只人ではなく魔法師。このような予想外も起きる。

ならば………、これで終いにしよう」

 

アサシンの纏う雰囲気が変わった。

 

 

 

「魂なぞ飴細工よ……」

 

 

 

アサシンが軽やかにその場から駆ける。

先程までのように投擲剣(ダーク)を投げることはなくただただ離された距離を詰める。

 

 

 

「苦悶を零せ」

 

 

 

そしてとうとう追いつき、追い抜き、達也の前に立ちはだかる。

 

 

 

ーー『妄想心音(ザバーニーヤ)

 

 

 

悪魔の右腕の封が解かれた。

 

 

 

妄想心音(ザバーニーヤ)

 

その言葉が鍵となりアサシンの右腕があらわになり、その禍々しい圧に達也の全身に悪寒が走り冷や汗が吹き出した。

 

なんだあれは……

 

赤く、長く、不気味なその腕は人のものとは思えない。いや、まさしくその腕は人のものではなく悪魔のそれなのだが、達也がそれを理解することはできない。

 

達也の存在認識の眼からそれは、もはや風除けの加護による靄というレベルではなく、ノイズの塊がそこにあるように見えていた。

 

まずい……

 

頭の中で警鐘が鳴り響く。

 

今すぐこの場から離れなければ間違いなく命を落とす。

 

それを理解しながらもうまく身体が動かない。

 

そんな達也に向けてアサシンの右腕が伸びた。

 

滑るようにこちらに向かう腕。ここでようやく達也も硬直から抜け出し全力で後退する。

目を離すのはまずいと本能的に感じバックステップでの後退。当然腕と自身の距離は確実に近づく。

 

そして、その手が達也の身体に触れる。

 

そう思われた時、達也が懐から、拾っていたアサシンが投げていたナイフを取り出し腕を切りつける。

 

アサシンは腕を伸ばしきった状態。人間の身体の構造から考えれば確実に当たるはずのその一撃は、ぬるりと。まるで蛇が這うようにかわすと、達也の胸。正確には心臓のある位置をトンと叩き離れていく。

 

なんだ⁉︎いったい何をされた⁉︎

 

身体の情報を確認してみるが異常はない。

だが今まで以上に嫌な予感がする。

 

アサシンの様子を確認すると、その不気味な右手が何かを握っていた。

 

「まさか……」

 

水色の、一定のリズムを刻むそれは、達也の目には心臓に見えた。それも、今も身体の中で動き続けている自身の心臓に。

 

 

「終いだ」

 

 

達也に次の行動は許されなかった。

 

体を動かすよりも早くアサシンの右手が偽の心臓を握り潰した。

 

「ゴフッ」

 

口から血を吐き出しその場に倒れる達也。

 

勝負は決した。

 

霊体化でその場を後にするアサシン。

 

その刹那。アサシンは確かに感じた。

自身を捉えた狩人の殺気を。

 

咄嗟に頭を横に傾けるがやや遅い。

耳と頬を抉り取り矢が地面に突き刺さる。

 

そして、続け様に霧の中から矢がアサシン目掛けて飛んでくる。

 

その場から飛び退き矢をかわし、辺りに目をやり敵を確認するが姿は見えない。

 

「誰を探している?」

 

振り向く間もなくアサシンの後頭部に強烈な蹴りが叩き込まれた。

 

「ガハッ‼︎」

 

達也が倒れる隣まで吹き飛ばされたアサシンがヨロヨロと身体を起こし顔を上げると、霧の中、その何もない空間から、顔のない王(緑のマント)を纏った士郎が現れた。

 




やっちまった。
オリジナルの魔法とか作るつもりなかったのに。
しかもよりにもよってあのえげつない魔法の劣化版。
でもなー、これなー、この時の達也が使える魔法でサーヴァントにダメージ与えられる魔法が自分の脳みそではこれくらいしかなかったんですよ。ちなみに本物のえげつないやつ、普段でもやろうと思えばできるらしいですね。今回は視界がないとはいえ場所が場所というわけで使いませんでしたが。

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