魔法科高校の魔術使い   作:快晴

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予告通りVSランサー。

書くためにステータスとか調べて思ったけどやっぱり兄貴強え。
そしてエミヤ、お前は毎回そのステータスで頑張ってるのがすげぇ。


第15話

 

大会七日目、新人戦四日目。

 

達也がエンジニアを担当。選手にほのかとスバルという組み合わせで挑んだミラージ・バット。その二人は当然というべきか無事に予選を通過した。

 

特に危なげもなく終えた試合だったが、ミラージ・バットはピリオド間の休憩も合わせると総時間が約一時間にも達する競技。そして競技内容もその試合時間中、絶え間なく空中を飛び回り移動する魔法を使い続ける必要があるためスタミナ面では全競技の中で最も過酷な競技である。

 

それを一日に二試合。いくら危なげなく終わったと言っても選手にかかる負担は大きい。

 

ほのかとスバルを体力回復のためホテルのそれぞれの部屋に戻らせた達也は、自身も万全の体調で決勝をサポートするため自室で仮眠を取ったあと、再び競技会場に戻ってきた。

 

「お兄様!」

 

そんな達也を真っ先に見つけた深雪が達也に駆け寄って来た。その隣には雫の姿もある。

 

「深雪?雫も……エリカ達と一緒じゃなかったのか?」

 

ほのかが起きて来るまで深雪と雫はエリカたちとモノリス・コードを観戦している予定だったはずだ。

 

それが今、ここに居るということは……

 

「何があったんだ?モノリス・コードで事故か?」

 

答えを待たずに達也は質問を重ねる。あえて何があったか聞かなかったのは、競技エリアに戻って来た時から、会場全体が動揺に包まれているのを感じていたからだ。

 

「はい、事故と言いますか……」

「深雪、あれは事故じゃないよ」

 

言い淀む深雪の横から雫が強い口調で口を挟んだ。

 

「あれは明らかに過剰攻撃(オーバーアタック)。故意の明確なルール違反だよ」

 

口調は抑制を保っている雫だが、その目には見間違えようのない憤りが燃えていた。

 

「雫……今の段階であまり滅多になことを言うものじゃないわ。まだ四高の故意と決まったわけじゃないんだから」

「そうですよ、北山さん」

 

深雪の言葉に続くように、二人の後ろから現れた真由美が話に割り込んで来た。

 

そのまま上級生らしく雫をたしなめる真由美を見て「生徒会長は伊達じゃないんだなぁ」と思った達也。……と、そんな達也を半眼で睨みつける真由美。

 

「……何でしょうか」

「……今なにか、とても失礼なことを考えていたでしょう」

 

(す、鋭い!)

 

あまりに的確な洞察に達也は同様を禁じ得ない。とはいえそこは彼も年齢通りの人生経験ではない。

 

「いえ、以前士郎が会長が生徒会長らしくないと言っていたことを思い出しまして、いったい何を思って彼はあんなことを言ったのかと考えていたのですが……?」

「へぇ……士郎くんがそんなことを」

 

友人を売ることでその場を流した。

 

ちなみに、「生徒会長らしくない。どちらかと言えば市原先輩の方がしっくりくる」とは言っていたので全くのデマを言っている訳ではなかった。

 

「それより、怪我の程度はどの程度のものなのですか?」

「今の会話だけで怪我人が出たって分かるのね。……まぁ、怪我に関してはみんな軽症で済んだわ」

 

そのまま深雪が達也に試合の会場や使用された魔法などを詳しく説明した。

 

「選手はよく軽症で済みましたね」

「そうね。出場していたの選手が森崎君だったんだけど、彼が咄嗟に落ちて来る瓦礫から魔法で仲間を庇ってくれたらしいわ」

「そうですか……、それでその森崎は?」

「それが……」

 

言い淀む真由美。それを見てそれほど怪我が酷いのか?と考えた達也だったが遅れてやってきた言葉にその考えも一蹴された。

 

「ほとんど無傷だったの」

「無傷?」

 

先程の真由美の話で森崎は仲間を瓦礫から守ったと言っていた。それなのに瓦礫の直撃を受けたと思われる森崎が無傷なのには当然疑問が浮かぶ。

 

「ええ。小さな瓦礫の衝突で頭から血が出てたりはしたんだけど、大きな瓦礫からは彼を囲むように地面に突き刺さった剣が守っていてくれていたの」

「剣?」

 

達也と一緒に話を聞いていた深雪と雫。モノリス・コードで事故があったことは知っていたようだが、ここまでの内容は知らなかったのか、思わずといった様子で雫が真由美の言葉を復唱していた。

 

「クレイモアとかツヴァイヘンダーって言うのかしら?とにかく詳しくは分からないけど、特大の剣。私も話を聞いた時はたちの悪い冗談かと思ったけど、実際に自分の目でそれが事実であることを確認したわ」

「……狙撃の次は剣ですか」

 

信じられない。いったいどうなっているんだ。そう外見だけは装って見せる達也。

ただ、もちろん森崎を救ったのが士郎であることに気づいている。

 

深雪も剣というワードを聞いてから、この場から消えた士郎のことを頭に思い浮かべていた。

 

「大会運営はこれからどうするつもりなんですか?」

「大会自体このまま続行。新人戦のモノリス・コードは中止の声も上がったけど……、結局、うちと四高を除く形で予選は続行中。最悪の場合、当校は予選の二試合で棄権でしょうね」

 

真由美の言葉に達也は首を傾げた。

 

「棄権とは、選手は軽症で済んだのでしょう。時間を少し伸ばしてもらえば試合自体は行えるのでは?」

「そうなのだけど、選手自身が今回の大会で試合に出ることに拒否していてね。今は十文字くんが大会委員会本部で折衝中よ」

「はぁ……」

 

渡辺先輩の事故とその時の(士郎)の狙撃。そこに今回の事故と(士郎)の剣が合わさり完全に選手が尻込み。九校戦では予選開始後の選手の入れ替えは認められていないが、相手の不正行為と大会運営側の一連の不手際を理由に特例を認めさせる、ということだろうか。

 

とはいえモノリス・コードのチームは一年男子の実技成績優秀者からの選りすぐりのメンバー。ここから代わりのメンバーを出して勝ち抜くことは難しい。それならモノリス・コードのポイントを全体の集計から外させる方が有利なのではないか。

 

と、達也が腹黒い計算をしていると真由美が少し相談したいことがあると声がかかった。

 

なんでも新人戦のミラージ・バットが終了し次第ミーティング・ルームに来て欲しいとのことだった。

 

嫌な予感がする。

 

達也のその予感は実に正しいものだ。

なぜなら彼は、戦意を喪失した選手たちに代わり、新人戦のモノリス・コードに出場することになるのだから。

 

 

 

 

 

ーーモノリス・コード会場『市街地』ーー

 

一高の事故があったことで新人戦の会場から一時的に除外された市街地。その廃ビルの一室で赤と青、二つの影が交差する。

 

ガキン‼︎ガキン‼︎

 

ぶつかり合うそれぞれの得物。

かなり激しい音を出しているが、士郎が不得手ながらも発動した遮音障壁の魔法のおかげで、隣の廃ビルで進む、森崎たちの救出作業に来た運営に未だその存在が外に気づかれることはなかった。

 

「オラァ‼︎」

「はぁああ‼︎」

 

ギリギリと火花を散らしながら拮抗する槍と剣。

 

「ふっ‼︎」

 

だが筋力で劣る士郎がランサーと真っ向から長時間力で拮抗できる訳もない。じわりと押され始めたその瞬間、わざと一瞬力を緩めることで槍を受け流す。

 

「せいっ‼︎」

 

下から上への切り上げ。

 

流れるように繋げた追撃だが当然のように読んでいたランサーにステップで躱され、そのまま怒涛の反撃をもらう。

 

頭、喉笛、心臓、肺、胃。

針の穴を通す用な的確な刺突が次々と急所に襲いかかる。

 

紙一重で干将と莫耶で防ぐが徐々に槍の速さは上がっていく。どうにかわざと作った隙に攻撃を誘い、そこから反撃に転じることでトップスピードに乗らせてはいないが、このまま続けば自ら隙を作ることさえできなくなるだろう。

 

……十に対し三の反撃。イメージの中ではこちらも五は返せていたのだがな。やはり室内にいるせいで距離をコントロールできないのが痛い。

 

ならば外へ。普段ならばそうしているところだが今は大会委員会がいる。軽率に場を変えて姿を見られる訳にはいかない。

 

それに室内にいることでランサーが自由に槍を振えていないというメリットもある。

 

ここはこのまま押し通る。建物へのダメージが心配だが……ここからは投影も積極的に使わせてもらおう。

 

思考が纏まれば即行動。すぐさま空中。自身とランサーが激しい攻防をしている真上に三本ほど剣を投影し射出する。

 

「ちっ」

 

矢避けの加護を持つランサー。本来なら気にする必要もない一手だが相手はこの男(アーチャー)。一瞬の隙からほんの僅かな光を掴む。そんな戦い方を得意とする男だ。

 

この瞬間、一瞬ではあるが意識を逸らしたこの状況で、クロスレンジはまずいと判断し一度距離を離す。

 

距離をとったな。なら少し小細工をさせてもらおう。

 

ーー同調、開始(トレース・オン)

 

魔術回路に魔力を流し大量の無名の剣(宝具)を投影。その全てを自身を中心に室内の全方向に射出する。

 

ズガガガガと室内に突き刺さる無銘の剣たち。当然そのうちの一本もランサーに当たることはない。

 

だが、これでいい。士郎の目的は別にある。

 

(ちっ、距離を開けたのはミスったな)

 

室内の至るところに突き刺さる剣。それを見てランサーは内心で舌打ちする。

 

(ただでさえ室内で槍を振りづれぇってのに……)

 

障害物が増えてさらに動きが制限された。

 

(………だがまあ、やることはかわらねぇ‼︎)

 

直進するのとほぼ同じ勢いで再び距離を詰めるランサー。これに対して士郎は不動。しっかり相手の選択肢を己の心眼で見極める。

 

「そこだ‼︎」

 

イメージに重なるように干将を振るう。

イメージに遅れるようにして、現実のランサーの身体がピタリと刃に重なった。

 

「甘い!」

 

再び室内に響く激しい金属音。士郎の一撃はランサーの朱槍に阻まれそのまま反撃へ。

 

だが、今回は先程までとは違う。一瞬ではあるが突き刺ささった剣たちによってランサーの反撃が遅れて来るのだ。サーヴァントにとってこの一瞬は大きい。

 

「ふっ!」

 

小回りのきく自身の得物の特性を活かして反撃をいなしすぐさま刃を返す。

 

そこから始まる目にも止まらぬ剣と槍の攻撃の応酬。士郎の剣戟がランサーの行動制限によって五分まで上がり、士郎得意の駆け引きにも鋭さが増す。

 

今だ!

 

幾度目になるだろうか。ランサーの槍との衝突で砕け散る干将・莫耶。新たに同じものを自身の手に握るタイミングで士郎が仕掛ける。

 

やや大振りの右下からの斬り上げ。普通なら地面に突き刺ささった剣にぶつかり自身のタイミングが崩れるところ。その瞬間に剣の軌道を阻害する位置にある投影を破棄。ランサーの意表をついた一撃を繰り出す。

 

「くっ⁉︎」

 

槍での防御が間に合わないと判断したランサーはすぐさまバックステップで大きく距離を開いた。

 

「今のは驚いたぜ」

「あれをギリギリかわすとは。全く、これだから英雄とうたわれる連中は嫌になる。私としては深く脇腹から肩まで切り裂いたつもりだったのだかな」

 

ランサーの脇腹に走る一筋の赤い線。それを見て士郎は大袈裟にうんざりした様子を見せた。

 

「舐めんじゃねぇ。これくらいでやられてちゃ英雄なんて名乗れるか」

「流石は大英雄。言うことが違うな」

「ふん。心にも思ってないことを」

 

脇腹から流れる血を指で雑に拭き取ったランサーが低く姿勢を構える。

 

「この分はしっかり返させてもらうぜ」

 

次の瞬間、目の前からランサーが消え、背筋に悪寒が走る。直感的に首を横に捻ると、先程まで自分の頭があった場所を高速で槍が横切った。

 

「何も槍は突くと振るの二択じゃないんだぜ?」

 

下から声が聞こえたかた思ったのも束の間、ランサーの放った蹴りが防御ごと士郎を吹き飛ばし壁に打ち付けた。

 

ぐっ……⁉︎

 

吐き出しそうになる息をグッと堪え、いつのまにか回収した槍で正面からこちらを串刺しにしようとするランサーの攻撃をギリギリ干将と莫耶で防ぐ。

 

「オラオラオラ‼︎」

 

だが反撃しようとした瞬間に距離を取られ、再び槍の投擲を受けた。

 

これもまた同じように防ぐがそこから繋がれる体術のせいでこちらのリズムを掴めない。

 

レーザーのような槍の投擲からのキレのある体術。ランサーらしからぬ戦法ではあったが、士郎に対して最も有効な一手の一つであった。

 

このままではまずい……

 

どうにか状況を打開せねば。

とはいえ士郎に打てる手段は現状ほとんどない。そもそもこちらから仕掛けた戦闘ではあったが、戦闘能力では圧倒的にあちらが優っているのだ。

 

………

 

数秒にも満たない思考。

士郎は次の一手を決断した。

 

飛んでくる槍。それを躱すとランサーが士郎の懐に潜り込むように肉薄してくる。先程よりリズムに乗っているため迎え撃つ事は出来そうにない。

 

ならば……

 

腹に向けて打ち込まれる拳を両腕でガード。

拳がぶつかるタイミングに合わせて少し身体を浮かせてわざと吹き飛ばさせる。

 

「ここは引かせてもらう」

 

吹き飛ばさせる途中に投影した煙幕を張り、士郎は吹き飛ばされた勢いを利用して割れていたビルの窓からそのまま外に逃走した。

 

………

 

ビルに一人残されたランサー。

すでに士郎が投影していた無数の剣は消え、突き刺ささっていた痕跡だけがその場に残っている。

 

追撃するかとも考えたが、ランサーのもともとの仕事は士郎の抹殺ではない。放っておけばマスターの障害になるのは明らかだったが、ランサー自身あんな男の思惑など知ったことではない。どうせやるなら思い切り戦れる場所で。そう考え槍を一振りし、着いた血を落とした後肩に担ぐ。

 

(何をしているランサー)

 

そんなランサーの頭の中に声が聞こえた。

 

(マスターか、ちょいとばかし面倒な相手に絡まれてな。まあ、もう解決した。今から撤収する)

(ほう……、お前に面倒だと思わせる相手に遭遇したのか)

 

自分たちの作戦の障害になる人物の情報が入ったと言うのに、その声はどこか嬉しそうだ。

いや、ランサーのマスター、言峰綺礼はランサーが遭遇した人物が誰なのかわかっているからこそ、その悦びが声に漏れてきているのだろう。

 

(……まあいい。それよりお前に追加の仕事だ)

(内容は?)

(何、たいしたことではない。今夜、先程の試合に出ていた第一高校の選手、その全員のCAD、予備を含めて全て破壊しろ)

(……了解)

 

今一度、戦闘痕が残る室内を見渡したランサーは霊体化しその場を去った。

 

「追撃は……、ないみたいだな」

 

ランサーの追撃がないことを確認した士郎は、市街地を抜けた木陰でゆっくりと腰を下ろした。

 

一年振りになるサーヴァントとの戦闘。

環境が恵まれていたこともあって違和感なく戦闘を行えたが………

 

「受肉したことも原因だろうが、疲労が想像以上だな」

 

ドッと押し寄せてくる疲れに目を閉じ天を仰ぐ。

 

自ら戦闘を行ったにも関わらずそこからさらに得られる情報は無し。この疲労感の認識やサーヴァントを相手にした上での継続的な魔法と魔術の発動など得られたものがゼロという訳ではないが、………割に合わないな。

 

しばらくその場で息を整えた後、周囲に誰もいないことを確認してから、いつもの赤い外套姿から第一高校の制服を投影して着替えて、一般の道路に出る。

 

試合中ということもあり周りに人はおらず、道路脇から現れた士郎を怪しむ人物は誰もいなかった。

 

だがその場でじっとしているわけにもいかない。とりあえず士郎はスタジアムに向かう。

目的は森崎の一件で確実に出ているであろう変更部分と、ランサーと戦闘を行なっている間に追加の被害が出ていないかの確認だ。

 

「急がないとな……」

 

時間は待ってはくれない。

自分に言い聞かせるように小さく呟いた士郎は、身体強化の魔術を使いその場から駆け出した。

 

 

 

 

 

翌日。新人戦五日目。

前日のモノリス・コードで、選手の戦意喪失による試合続行不能状態に陥った第一高校チーム。通常ならばそのまま残りの二試合が不戦敗になるところ、大会本部の裁定により代理チームの出場による試合の順延が認められることになった。

 

そう。代理チームの出場が認められることになったのだ。

 

あの後、代理チームの出場が決まったという情報までは掴んでいた士郎。だが、その後の情報、チームのメンバーまでは第一高校からの提出が遅かったため掴めずにいた。

 

「……いったい何をしてるんだ彼らは」

 

だからこそ。士郎は出場して来た選手を見て頭を抱えた。

 

達也、幹比古、レオ。

 

見間違いと思いたかったが、残念ながら士郎のその優秀な目はそれが見間違いではないと確実に認識していた。

 

「森崎はいったいどうしたんだ……」

 

選手の戦意喪失と言っても少なくともあの男だけは残り、そこに他のメンバーがプラスされると士郎は考えていた。

 

当然、生徒会メンバーもそのつもりでいた。

 

だが前日の夜、ひとまず達也の選手追加が決まったところでその知らせが届いた。

 

新人戦男子モノリス・コードで使用するCADの予備を含めた全てが破壊されている。

 

現場に向かった生徒会メンバーと達也、森崎。

 

到着した彼らを待っていたのは串刺しにされ砕け散ったCADの残骸だった。

 

この騒動が起きている時、士郎は改めて試合会場の巡回を行っていた。

 

だが試合で使用するCADを前日に破壊させるというこれほどの騒動。普通なら巡回が終わり拠点とするホテルに戻って来た士郎の耳に入ってきてもおかしくない。

 

しかし、それが士郎の耳に入ってこなかったのは、一高がこのことを大会本部に伝えていなかったからだ。

 

その理由はこれ以上選手に不安を与えないため。

 

摩利の狙撃、モノリス・コードの過剰攻撃(オーバーアタック)、それに続いてCADの破壊とまでくれば、流石に他の選手たちが不安に耐えきれなくなってしまう。そう考えた生徒会がこのことを公にしないよう現場にいた全員に口止めしたのだ。

 

仕方がない。詳しい追求は後だ。今は目の前のことに集中する。

 

 

 

達也たち一高チームは順調に勝利を重ね、決勝トーナメントの出場が決まった。

 

途中二試合目の二高との試合。そこで市街地ステージが選択され、さらにはモノリスをビルの三階に置くという到底信じられないこともあったが、昨日のような事故もなく無事に試合を終えた。

 

当然、試合の裏では士郎が動いていたが、相手側は一高の試合出場を完全に不可能にしたと思い込んでいたため、事前の妨害策を建てることが出来ずただただ傍観するしかなかった。

 

「いったいどういうことだ‼︎」

 

携帯の相手からの怒号。これに対して電話を受ける男、言峰綺礼は実に冷静だった。

 

「はて、どういうこととは?」

「ふざけるな!どうして第一高校がモノリス・コード出場している‼︎私たちはお前にCADの破壊を命令したはずだぞ!」

「何をおっしゃるかと思えば、CADの破壊、その命令は完遂し、そちらに証拠の写真も送った筈ですが」

「なら今の状況はなんだ!第一高校は決勝トーナメントの出場を決めたぞ!」

「さあ?」

「っつ⁉︎」

 

その予想もしない返答に相手は言葉を失った。

 

「私たちは第一高校を出場不能にしろとの命令は受けていない」

「き、貴様⁉︎」

「ふ、冗談ですよ。本音でもありますが。

まあともかく、そちらが私たちの仕事に不満があったというのならそれに応えましょう」

 

そういうと言峰は相手の返答も待たずに電話を切った。

 

「……いいのかよ」

 

会話を聞いていたランサーが霊体化を解いて言峰の後ろに現れる。

 

「問題ない。所詮は仮初の主人だ」

 

(……何が仮初だ。テメェに主人なんていねぇくせに)

 

言峰綺礼の答えに内心で唾を吐きなかがらランサーは「そうかよ」と答えた。

 

「んで、今度は何をすりゃいいんだ?」

「いや、お前は必要ない。今回はアサシンを使う」

 

その言葉の後、言峰たちが身を潜める倉庫の闇から影が現れた。

 

「ご命令を」

 

言峰の前に跪く影。その顔は髑髏を模した仮面に覆われ、体は黒い布で包まれている。アサシンのサーヴァント、ハサン・サッバーハ。それが言峰が選んだ次の駒であった。

 

「次の試合。そこで第一高校の選手を再起不能にしろ」

「承知しました」

 

命令を受けアサシンがその場から消える。

 

「おい、今の命令ーー「なにか問題でも?」」

 

(この野郎……、相変わらず気にくわねぇ)

 

「さぁ、少年よ。再び悪は動き始めた。自らの願いのため、友のため、この運命に抗ってみせたまえ」

 

湧き上がる悦。邪悪な笑みを浮かべた言峰は倉庫を後にしスタジアムに足を向けた。




ここまで書いといてあれですが、やっぱりどちらの知識も浅い。
もう少し頑張らないと。

あ、次回はVSアサシンです。あーあ、こっからどうもっていこうか…

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