いやーもう忙しくてお勉強にその他もろもろ。
それではどうぞ。(ここに書くのはタメでもいいかな
監査局本部と愉快な仲間たち
鎮守府の監察が終わり智樹と瑞鳳は市ヶ谷にある監査局本部に向かって歩いていた。深海棲艦が発生する前は自衛隊を治める防衛省があった市ヶ谷だが、現在は自衛隊は日本軍となり陸海軍と再編して防衛省の役目は大本営に引き継がれて横須賀に移ってしまった。
無用の長物となった市ヶ谷の元防衛省の建物は解体され更地となっていた。そのまま他の官庁を建てるかもしれないと思われていた。その時、艦娘人権法が制定され監査局が発足して本部を建てることになり、市ヶ谷の更地に白羽の矢が立った。
各地にある鎮守府の赤レンガのようなものではなく五階建ての本部棟ビル、隊員宿舎、整備場、ヘリポートがある。
智樹と瑞鳳は監察
から帰って来ていた。2人は市ヶ谷駅で降りて駅から出ていた。目の前には元防衛省、現監査局本部のビルが見えていた。2人は歩き出す。
智樹が歩きながらポツリと言う。
「いやー帰ってきたねぇ。」
瑞鳳は毎回毎回その言葉を監察終わりに聞いていた。可愛く小首をかしげながら質問する。
「毎回言いますねそれ。なんで言うんですか?」
「んー無事に帰ってきたなぁって意味で言ってる……のかな?」
「のかな?って。それでいいんですか?」
瑞鳳は呆れながらため息をついていた。
その時2人の頭上でヘリコプターの爆音が降り注ぐ。2人とも上を見ると1機のMH-60ブラックホークが飛び去っていき本部のヘリポートに着陸していった。
智樹がヘリ飛び去ってから思い出したかのように言う。
「あー僕達が監察に行った時に強制捜査があったのか。」
「あっ!そうでしたね。大丈夫だったでしょうか?」
瑞鳳も同じく思い出し隊員達を心配する。
信号で止まりぼちぼち通行証を出さなければという感じで智樹がカバンの中やポケットの中をゴソゴソしながら瑞鳳の問に答える。
「あっこの隊員は精鋭だから大丈夫だよ。まず、そこらの雑魚に殺られるぐらいなら“まっしー”が殺すでしょ。」
「プッ、そうですね。あの人と互角なのは副課長ぐらいですもんね」
瑞鳳はその回答で口に手を当てて少し吹き出していた。その顔をまた可愛いなぁと思いつつ智樹は通行証を探しながら一つ訂正を入れる。
「正確には僕と相棒だね。」
「相棒って副課長と勝野大尉の同期の?」
「うん。」
瑞鳳はどんな人なの想像しようと自分の手を顎に当てて探偵のような仕草をして考えた。
そうこう話しているうちに本部の正門にたどり着いた。
だが、
「どこにも通行証がねぇ!!」
「「えぇ!?」」
本部前にいた衛士が驚いた。
しかし、瑞鳳だけはため息をついていた。
「副課長…私が持ってますよ。はいどうぞ。」
瑞鳳は衛士に自分のと一緒に通行証を渡した。
衛士はポカンとしていたがハッとして通行証をスキャンし始める。
智樹はある疑問を瑞鳳に投げかける。
「なんで瑞鳳が持ってんの?」
「副課長言ってたじゃないですか、“僕が持ってると無くしそうだから”って」
智樹は自分の記憶を辿って思い出す。
〜〜〜〜〜〜〜
《瑞鳳ーこれ持ってて。監査行ってから監察課のオフィスにそのまま戻るだろうし僕なら絶対家とかに忘れそう。》
《分かりました。でも、渡したことを忘れないでくださいよ。》
《分かってるよ、んなことわ。》
〜〜〜〜〜〜〜
「あ、ホントだ。渡した渡した!」
記憶が一直線に繋がって喜ぶ智樹。瑞鳳はガクッと首を下に落とした。
そんなことをしているうちに衛士が詰所から出てきて2人に通行証を返す。
「認証しました。おかえりなさい、副課長、瑞鳳さん。」
衛士2人が見事な敬礼で出迎える。
それに返礼しながら智樹と瑞鳳は一緒に言う。
「「ただ今帰ってまいりました!」」
2人が門を通ると五階建てのビルが目の前に出てきた。
これが監査局本部棟である。
この中に監察課、監査課、主計課、情報調査課、尋問課、SIAT作戦本部、突入班、狙撃班、諜報班等が入っている。
他にも隊員宿舎、グラウンド、ヘリポート、整備場、野外訓練場などかある。
2人はそのまま真っ直ぐ歩いて本部棟の中に入った。入ると広いエントランスが広がる。
壁際には受付がありそこを通り過ぎる。その先には衛士が2人いてそこの間にセンサーゲートが3つほど並んでいた。そこに先ほどの通行証をタッチする。すると小気味よい音が鳴り自分の目の前のバーが上がり中に入る。
瑞鳳も隣で通行証をタッチしてゲート内に入った。
2人はポケットに通行証を入れて代わりに監査局手帳を出した。監査局手帳は警察手帳のようなものだ。自分の顔写真、名前、階級、所属している課が上にある。下にはこれも警察手帳と同じエンブレムだが桜が錨に変わっている。POLICEと書いてある所には海軍監査局の英語 Naval Inspector Service が書いてあり、下には海軍監査局と漢字で書かれている。
智樹は監査局手帳を折り曲げて監査局のエンブレムが見えるよう上着のポケットに入れ直す。瑞鳳は監査局手帳を折り曲げてエンブレム見やすようにしてから手帳に付いている紐を首から下げた。
本部棟の中には旧海自の制服の人々が忙しそうに走り回る。監査局の制服は旧海上自衛隊の制服が採用されている。
そのまま2人はエレベーターに乗った。監察課のオフィスは3階にある。3Fのボタンを押し閉めるボタンを押す。エレベーターが上昇し始めて押しつぶされる感覚が襲う。
「ううっ。身長が縮むぅ。」
瑞鳳が小さく呟く。智樹はツッコミたかったがなにか地雷な気がしてやめた。
そんなことを考えていると3階に着きチーンと金を叩いた音が鳴ると同時にドアが開く。
エレベーターから出た瞬間完全装備の男達が目の前をゾロゾロと歩いていた。その中の1人がこちらに気づいて敬礼をしてから話しかけてくる。
「あ、副課長。監査お疲れ様です。」
ハンニバルことジョン・ニコラス中尉であった。その声に続いて残りの隊員達も2人に敬礼する。智樹と瑞鳳は返礼し手を下ろす。それを合図に隊員達は手を下ろして休めの体制になる。訓練されてるなぁと思いつつ話し出す。
「おつかれー。今回のガサどうだった?クソ野郎だったー?」
「えぇ、大概なやつでしたね。艦娘を我々の迎撃まわしてきましたし。
智樹は今回の鎮守府も相当汚職しているブラックだったことに悲しみを覚えつつひとつ大事なことを聞く。
「で、今回の可哀想な提督さんは?」
「えー、現在尋問課が尋問中です。課長がすごい笑顔で引きずっていたんですけど…」
ハンニバルが引き攣った笑顔で報告する。
智樹はその光景が頭に思い浮かんでため息をついてボヤく。
「はぁー、せめて廃人にならない程度に尋問して欲しいなぁ。」
その呟きを苦笑いしながら聞いていたハンニバルが思い出したかのように隊長から智樹への伝言を伝える。
「副課長、多分監察課に班長がいるんですけどなにか話があるそうなので声を掛けて欲しいと言っていました。」
その言葉に少し目を細めた智樹だったが直ぐにいつものように呑気な声で返事をした。
「んーわかった。君らも束の間の休息を楽しみな〜。」
「「「「「「「お疲れ様でした!」」」」」」」
隊員達が休暇に何をするかという話し声を背に智樹は歩き出す。それを瑞鳳が少し小走りで追いかける。
「以上、報告です。」
「お疲れさん。今回も負傷者無しで嬉しいよ。」
監察課課長室の中で中年の男と若い女が話していた。男の方は監査局の制服に身を包んで書類を見て座っていた。その机を挟んで黒い戦闘服を着た女は休めの体制で立っていた。座ってる男の隣には男と同じ制服を着た艦娘が1人立っていた。
中年の男は監察課課長である浦野春樹中佐である。
ここ監査局監察課を創設した張本人であり艦娘が誕生するまで生身で深海棲艦と戦った叩き上げ《バケモノ》である。艦娘が誕生して艦娘が作戦行動ができる人数になってからは憲兵として任務に当たっていたがブラック鎮守府のことを耳にすると1人で大本営に赴きこの監察課を作り上げた。
その隣にいる艦娘は春樹の監察艦である吹雪である。
まだ艦娘の人数が少なく通常部隊と共同作戦をしている時期に作戦に従事して知り合った。その時に吹雪が致命傷を負った時に助けたのが春樹である。以来春樹のことを好きになった。しかし、その作戦以降散り散りになり、春樹の行方が分からなくなった。そのまま吹雪は大本営付きの艦娘となって半年経った時、春樹が大本営に来た。そこで新設される監察課があると聞き、その課長に春樹がなると言われていたので秘書艦になりたいと春樹の所へ嘆願した。
なお、2人の左手薬指には指輪がしてあるがこれはまたいずれか。
向かい側で話しているのは勝野真白大尉である。SIAT突入班班長でありSIAT隊長である。智樹と智樹の相棒との同期である。
春樹が話を切り出す。
「で、今回も主戦派の後ろ楯があるヤツだったかい?」
「それも含めて副課長が来てから話そうかと。」
真白が返答していると、
「ただ今戻りました。」
智樹と瑞鳳が帰って来た。
真白はこれ幸いと言わんばかりに報告を再開させる。
「では、課長と副課長もいる事ですから今回の主戦派との繋がりを報告します。結果から言うと“クロ”。完全に繋がってました。それに関係する書類、資材流用に関する書類も工廠から押収しました。ですが、断片的なものでありこれで立件出来るのは今回の提督だけかと。」
真白はそう言いきると悔しそうな表情をした。
だが、春樹は手を叩きながら真白を褒める。
「いや、これでも十分成果だよ。断片的でもこれが多く集まれば最大の武器にもなる。それにこの事件を立件したら主戦派の奴らも慌てて何かボロを出すかもしれん。そのことを諜報班と情報調査課に伝えといてくれ。」
そこへ黙っていた智樹が真白に質問する。
「今回の心理セラピー必要者及び艦娘の負傷者は?」
「負傷者は数名だ。だが、精神的にやられている艦娘が多数いる。」
智樹は歯噛みする。そして何故自分はそんな時にいなかったかと後悔する。その表情を読み取った真白がフォローする。
「副課長、そんなに悔しがるな。今回は仕事もあったんだから仕方がない。」
「だが!」
智樹が反論しようとしたところで春樹が割って入る。
「まぁまぁその悔しさを次の仕事の時に発揮してくれ。ところで、畑中君。君にはまた監査に行ってもらおうと思う。と言っても監査はしなくていい。」
智樹が首を傾げる。監査なのに監査はなし?何が言いたいのだと言わんばかりに質問する。
「課長…仰っている意味が理解できないのですが。」
「今回の鎮守府は先日ガサに入った《舞鶴》鎮守府だ。」
智樹は春樹の言葉で理解する。
だがこの仕事にはひとつ重大な問題がひとつある。
それは
「課長、今回も治安武器の使用許可を。」
監察課員、新人提督の負傷率が5割以上であることだ。
艦娘は艤装をつけている時はヒトより何倍も強くなる。
しかし、つけていない通常時ではヒトよりも少し打たれ強いだけである。
それでも艦娘は艦娘でヒトよりは強い。
そのため監察課は治安武器(簡易式盾や非致死性ゴム弾使用拳銃など)を携帯し新人提督を守る。
そんな危ない場所だが課長が驚きの言葉を発する。
「わかってるよ。でも、今回は使わないかもね。」
「は?」
智樹が驚く。しかし、春樹は淡々と続きを話す。
「後任の提督は畑中君も勝野君もよく知ってる人だよ。これを見たら今回の武器使用の件も分かるだろう。」
そう言って春樹は公認提督書類を机の上に置く。2人はそれを覗き込むとこう書いてあった。
〜〜〜〜〜〜
発 海軍大臣直轄部隊海軍監査局監察課
宛 海軍北部航空方面隊第2航空団第203航空隊所属 中川 総一 少佐
日本海軍舞鶴鎮守府提督の任及び海軍鎮守府付属航空団第66航空隊を編成し指揮を命ずる
以上
平成●●年●月●●日
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「「あ〜〜…」」
それはかつての旧友、そして智樹の相棒であり、格闘であればヒトより少し強いぐらいの人間であった。
春樹が微笑みながら言う。
「監査は来週。それまでに書類等の準備をよろしく。勝野君は突入班の休暇が終え訓練再開で、以上。」
「「「了解!失礼します!」」」
智樹、瑞鳳、真白が敬礼をして返答し、退出する。
部屋を出た後に智樹と真白は同時にため息を吐き言葉を漏らす。
「「まあ、あいつなら何とかなるか(でしょ)」」
その近くで瑞鳳が呟く。
「副課長の昔話が聞けるかも。」
瑞鳳も大概タフである。
そこから3人は並んでエレベーターホールまで歩き始める。歩きながら智樹が話す。
「しっかし、よりによってあいつか。妥当な判断だが。」
「そうだね。でも大丈夫かな?」
真白も腕を組みながら心配をする。
瑞鳳は少し安堵した顔で話に割って入る。
「でも、何だかんだ言ってその副課長の相棒の人を心配するんですね。」
しかし、2人は瑞鳳の顔を見て同じように顔を傾げた。
「「え?いつあいつの心配した?」」
「え?」
驚き顔で聞き返す。そんな瑞鳳に向かって智樹は平然と言う。
「あいつより艦娘が危ないよ。何しでかすか。」
そんな会話をしているころ…
周りの山には雪が残っている所が見える場所で同じ紙を持った男がいた。そこでは時折、何百人ものを載せて運ぶ旅客機が飛び立っていた。飛び立ったあと直ぐに旅客機が着陸するといったように慌ただしい空港でその男は立っていた。その男は今は亡き航空自衛隊と同じフライトスーツを着ていて、胸の所にはウイングマークが付いており名前の部分には“S. NAKAGAWA”の文字。
その男、中川総一は自分の所に届いた辞令をもう一度眺めて叫んだ。
「いきなり召集されるとは聞いていたが提督の他になんで航空隊までやらないかんのだーーーーーーーーーーー!」
その叫び声は航空隊の
ここにある名前は実在すら人物にはなんら関係ございやせん。誤字、感想ありましたらご気軽に
4/28 航空団名変更