甘兎の千代子さん   作:赤山グリテン

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 時間はココアが帰郷した時に戻ります。そこではベーカリー保登で、ギックリ腰になった母に変わり、ココアが大活躍します。
 その後、またチョコのラビット・ハウスのお手伝い後の時点に再度進めて、萌夏が明日、木組みの街に来ることを知り、翌日、千夜と駅に迎えに行きます。

※ここでは「もか」さんが2人出てきますので注意して下さい。
・カタカナの「モカ」……ココアの姉。映画でもお馴染み原作キャラです。
・漢字で「萌夏」…………チョコの妹。当作品のオリキャラです。

では、お楽しみいただけると幸いです。


第6羽 ベーカリー保登にて

※時はココアが列車に乗った日に戻ります……

 

―――帰郷の道中にて―――

 

※ココアが木組みの街中央駅から、特急に乗り実家最寄り駅で下車、バスに乗り、海を遠くに望む丘沿いの道にある、バス停で降りる。徒歩でベーカリー保登へ帰郷の道中…

 

てくてく

 

ココア(お母さん、ギックリ腰大丈夫かな……)

 

ザワザワ

 

ココア(何?この行列…)

 

モー2ジカンモマッテル・・・・・

ドウシタンダゼンゼンススマナイジャナイカ・・・ガヤガヤ

 

ココア(ウチの実家へ続いている・・もしや・・)

 

 

―ベーカリー保登、店舗前―

 

ココア(やっぱりウチの行列だ、(モカ)お姉ちゃん、どうしちゃったんだろ)ダッ

 

ココア「ごめんなさい、通りま〜す(行列をかき分けて、店内に入る・・)」

 

ココア「お姉ちゃんただいま!、どうなってるのこれ?、大丈夫?」

 

モカ「コ…ココア! き…来てくれたのね。早く手伝って…、へるぷ〜」

 

ココア「もう、しょうがないモカお姉ちゃんだね。じゃ、いっくよ〜」

 

※ココアはベーカリ―の制服に着替えて、モカを手伝い始めた。

 

モカ「袋詰めは、今回は一人につき2.5秒が目標ね…」

 

ココア「了解!、前回は3秒だけど、早くしないとダメなんだね!」

 

モカ「ありがとうございました〜、いらっしゃいませ、お待たせしてすみません」

 

ココア「いらっしゃいませー」

 

お客(行列が進み始めた、ああ、ココアちゃんが来たからね〜)

お客(店主はギックリ腰だとよ。娘は大変だね〜)

 

ココア「おりゃーっ」シュバババ

 

モカ(ココア、ありがとう…)ウルウル

 

※本日の営業終了

 

モカ「全部品切れになったから、今日はこれで営業終了するわ。明日もあるから」

 

ココア「今日はどうしちゃったの、お姉ちゃん」

 

モカ「午前の大行列はなんとか一人で(さば)いたんだけど、お昼の部からなぜかお客が増えてて、ココアが来た時までずっと行列になってたのよ」

 

ココア「やはり一人だときつい?」

 

モカ「お客さん増えちゃったからね。通常はお手伝いの人もいるので大丈夫なんだけど、たまたま今日から3日はシフトの穴が空いちゃってて、ココアしか頼めなくって」

 

ココア「春休み中だから、大丈夫だよ!」

 

モカ「心強いわね」ニコ

 

※ココア、モカの母の部屋

 

ココア「お母さん、ただいま… (動けないから、やっぱりベッドで休んでる……)」

 

母「おかえり、ココア。長旅で疲れてない?」

 

ココア「大丈夫。でも帰り道で、ウチへのすごい行列が続いてて、びっくりしちゃった」

 

モカ「その午後の行列を捌くのに、ココアが来たらすぐ店の仕事に入ってもらったの」

 

モカ「だからごめんなさい。お母さんにココアを会わせるのが、こんな時間になっちゃって」

 

母「いいのよ。お客さんの方が大事だから」

 

モカ「もう、お母さんと私とココアで『三姉妹』なんてお母さん自称してたけど、やっぱり年には…」

 

母「モカ、それを言わないで・・イタタタ・・ぎっくり腰が」

 

モカ「今日は、本当に私ダメかと思ったもん。でも、その時ココアが来てくれて助かったわ」

 

ココア「お姉ちゃん、私、活躍できた?」

 

モカ「ええ、正義の味方が現れたくらい、超大活躍よ。ありがとう、ココア」モフモフ

 

ココア「わーい」モフモフ

 

母「私もココアにもふもふ・・・イタタタタ」

 

モカ「お母さん、動いたらまた再発するよ」

 

ココア「じゃ、私からモフモフ」モフモフ

 

母「ありがとう、ココア・・(ここまで成長したのね。うれしい)」モフモフ

 

ココア「ところで今日来るときにね、木組みの街中央駅で、私とそっくりな娘に会っちゃった」

 

モカ「へえ〜 ココアと?」

 

ココア「その娘、千夜ちゃんとこの甘兎庵でアルバイトすることになって、シャロちゃんの家に下宿するんだって」

 

ココア「写真もあるよ、デジカメで撮ったから・・・・・この娘だよ。私と一緒に写ってる」ピッ

 

モカ「あら、本当にココアが2人いるみたい」

 

母「世の中には似た人が3人いるっていうけど、区別がつかないわね」

 

ココア「でっしょう〜。今度木組みの街に戻ったら、甘兎庵へその娘に会いに行くの」

 

モカ「そうなの。楽しみね」

 

ココア「うん、それと名前はねえ、千代子さんっていうんだよ。通称は『チョコちゃん』って呼んでる」

 

モカ「へえ〜、古風なかわいいお名前ね」

 

母「イタタタ・・・またぎっくり腰がひどく・・・」

 

ココア「お母さん、今日はゆっくり休んで早く治してね。お姉ちゃんと私で頑張るから」

 

モカ「お母さんはゆっくり寝てて。心配してるココアを、一日も早く安心させてね」

 

母「モカ、ココア、ありがとう。そうするわ…」

 

モカ「ココア、明日は四時起きだから、覚悟しといてね。パン屋の朝は早いわよ」

 

ココア「ラジャー、ベーカリー保登の一員として、がんばりますっ」ビシッ

 

モカ「夕飯食べて、今日は早く寝ましょう。いつも(注:ココアが帰るときは歓迎メニューで豪華)と違って(まかな)いメニューだけど、我慢してね」

 

ココア「うん!」ニコ

 

 

 

 

 

―――萌夏が木組みの街に―――

 

※時はチョコのラビット・ハウスお手伝い終了後に、再び進みます。

 

――甘兎庵――

 

チョコ「ただいま帰りました」

 

千夜「ラビット・ハウスの助っ人、お疲れ様。チョコちゃん、どうだった?」

 

チョコ「楽しかったです。千夜ちゃんの昨晩の特訓が役に立ちました。お陰でチノちゃんも喜んでいました」ニコッ

 

千夜「そう、良かったわ」

 

(チョコのメール着信)ヤアヤアバンビーナ♪

 

チョコ「萌夏(もか)からメール・・なにかあったのかな。千夜ちゃん、ちょっと見てもいいですか?」

 

チョコ「なんだろう?」ピッ

 

――――――――――――――――――――

from:萌夏

to:お姉ちゃん

subject:お姉ちゃんに会いにいくよ!

 

チョコお姉ちゃん、こんにちは。

嬉しい知らせがあります。

木組みの街に行けることになりました!

お母さんに何とか許可をもらいました。

もう一人のお姉ちゃんにもひと目会いたいです。

 

いま木組みの街中央行きの列車に乗ってます。

お姉ちゃんが乗ったのと同じ列車だよ。

でも、この列車、今の時間もこんなにお客がいるんだね。

デッキまでぎゅーぎゅー。

木組みの街中央に着いたら、迎えに来てね。

 

楽しみにしててね!私も楽しみ!

 

ps:お客が多いので通話は禁止みたい。

  連絡はメールかSNSでお願い!

 

萌夏

 

(注:デコレーション(装飾文字)は省略)

―――――――――――――――――――――

 

 

チョコ「萌夏がいま木組みの街に向かって列車に乗ってる・・」

 

千夜「おやおや、アグレッシブな妹さんね」

 

チョコ「こんな混んでる時期にあわてて来なくても……」

 

千夜「チョコちゃんに会いたいのよ。やはり…」

 

チョコ「私が乗ったのと同じ、一昼夜走る夜行急行だから、木組みの街中央駅に着くのは、明日の朝になります」

 

千夜「明日はお店が休みだから、ちょうどいいわ。明日、一緒に駅まで迎えに行きましょう」

 

チョコ「ありがとう千夜ちゃん。シャロにも伝えますね」

 

千夜「うん。(妹がいるって、いいわね…)」

 

 

※翌日

 

――木組みの街中央駅――

 

千夜「シャロちゃんと一緒に、チョコちゃんを迎えに行った時を思い出したわ」

 

チョコ「そのシャロがバイトのシフトが入っていて来れないので、『ごめん、姉妹で仲良く楽しんできてね。千夜にも謝っといて』と言ってました」

 

千夜「残念ね。シャロちゃんと一緒じゃなくて」

 

チョコ「うん」

 

放送スピーカー「まもなく、1番ホームに当駅止まりの列車が到着します・・」

 

千夜「いよいよだわ」

 

チョコ「列車が入ってきました…」

 

千夜「相変わらずギュギュウね…」

 

チョコ「私が乗ってた列車より混んでますね。萌夏大丈夫かな……」

 

千夜「本当、デッキまで人が(あふ)れているわね。あ、止まったわ…」

 

放送スピーカー「ご乗車ありがとうございました、木組みの街中央、木組みの街中央、終点です…」

 

ガヤガヤ

 

??「おねーちゃーん、おねーちゃーん」ダダダ

 

チョコ「萌夏!」

 

萌夏「おねーちゃーん、もふもふ〜」ダキッ

 

チョコ「もう、萌夏は本当にしょうがない萌夏ですね〜」モフモフ

 

萌夏「えへへ〜 お姉ちゃん分補給〜」モフモフ

 

千夜(ほほえま〜)

 

チョコ「千夜ちゃん、紹介します。この娘が萌夏、私の妹です」

 

萌夏「初めまして、相須 萌夏(あいす もか)です。姉がいつもお世話になってます。よろしくお願いします。」

 

チョコ「萌夏、こちらは千夜ちゃん、私の勤め先の若社長よ」

 

千夜「私は宇治松 千夜よ。チョコちゃんが甘兎庵で働いてくれるので、チョコちゃんにはお世話になりっぱなしよ」

 

チョコ「萌夏、千夜ちゃんはとっても優しい方です。良くしてくれるのよ」

 

萌夏「千夜さんは和風美人さんだね!」

 

千夜「まあ、お上手ね… あと、私を呼ぶときには『千夜ちゃん』でいいわよ、萌夏ちゃん」

 

萌夏「ありがとう、千夜ちゃん」

 

千夜「よろしくね、萌夏ちゃん」

 

チョコ「では、改札へ行きましょう」

 

てくてく・・・・

 

 




原作やアニメを読んでも、ベーカリー保登は、いつも人手不足感がすごいですね。ココアがモカを助ける、いつもと逆のパターンになってしまいました。


拙いこのSSをお読みいただき、ありがとうございました。

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