甘兎の千代子さん   作:赤山グリテン

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 チノがひどいココアシックに罹患したため、リゼの救援要請に応え、急遽ラビット・ハウスで仕事をすることになったチョコ。
 ここでも、チョコはがんばります。


 では、お楽しみいただけると幸いです。


第5羽 ラビット・ハウスにて

――――ラビット・ハウス1日目(午後)――――

 

リゼ「悪いな、チョコさん、ココアの代わりに入ってもらって」

 

リゼ「チノのココアシックがひどくて、人手が足りなかったんだ。今日午後と、明日の午前中、よろしくな」

 

ティッピー(午前中も、チノがぼ〜っとしてワシに熱湯を注ごうとして、危うく殺されるところじゃった……)

 

チョコ「リゼさん、チノちゃん、ティッピー、よろしくお願いします」

 

リゼ「なんかココアが敬語で話しているみたいだな・・」

 

チノ「チョコさんのその桜の髪飾り、ココアさんと同じものですね」

 

チョコ「これ、母にもらったんです。小さい頃・・」

 

リゼ「制服はココアのを着てるし、見た目じゃココアと全く区別がつかないな」

 

チノ「それでは、チョコさん、リゼさんと一緒に入ってください」

 

チョコ「わかりました」

 

リゼ「早く一人前になるように、鍛えるからな!」

 

チョコ「はい!」

 

リゼ「上官への返答は、言葉のうしろに「サー」をつけろ!」

 

チョコ「イエス・サー」ビシッ

 

リゼ「よろしい」

 

・・・・・・・・・・

 

チョコ「ちょっと、チノちゃん・・・」

 

チノ「なんですか、チョコさん」

 

チョコ「リゼさんって、女性の格好をしているけど、実は男性なの?」ボソ

 

チノ「はい? どうしてですか」ボソ

 

チョコ「イエス・サーの『サー』をつけるのは男性の上官だけだから、リゼさんは男性?。女性の上官だったら、『マム』じゃないと変なんですよね」

 

チノ「えっ そうなんですか・・・(知らなかった)」

 

ティッピー「確かに、チョコの言うとおり、リゼの場合は女性だから、「イエス・マム」が正しいのじゃ、じゃが・・」

 

チノ「でも、直接誤りとか指摘すると、リゼさんプライドが傷つくし、性別は世間的にも結構ナーバスな問題なので、そのままにしといてあげて下さい・・・」

 

チョコ「イエス・マム!」ビシッ

 

 

―勤務終了後、更衣室にて リゼとチノの会話―

 

リゼ「チノ、チョコはすごいぞ」

 

チノ「リゼさん、どうしたんですか」

 

リゼ「チョコは一度教えたら、完璧に仕事をこなすんだ」

 

チノ「えっ」

 

リゼ「メニューも、値段も、チョコは一発で記憶してしまったし、接客、処理手順は完璧にマスター。お皿も割らないし」

 

チノ「お皿を割るのはココアさんだけです」

 

リゼ「明日は、チョコは即戦力で使えるぞ!」

 

リゼ「私が午前中いなくても、なんとかなりそうだ」

 

チノ(一日目、チョコさんはすこし緊張ぎみでした。そして、翌朝…)

 

 

 

―ラビット・ハウス2日目(午前中のみ、午後からは甘兎庵勤務予定)―

 

 

チョコ「おはようございます、チノちゃん」

 

チノ「おはようございます。チョコさん、今日もよろしくお願いします…」

 

ティッピー(今日も頼んだぞ……)

 

チョコ「うーーーん」

 

チノ「チョコさん、なにやってるんですか」

 

チョコ「いまチューニング中です。う〜ん、テンション上がらない・・ココアちゃん渋滞中です・・」

 

チノ「なんかココアさんの中の人みたいです」

 

チョコ「よしっ チューニング完了!」

 

チョコ「おはよう、チ〜ノちゃん! モフモフさせて〜」モフモフ

 

チノ(いきなりチョコさんがココアさんになった)

 

ティッピー(まったくココアと区別がつかんな・・)

 

チノ「うーん、少しだけですよ(欲求不満でココアさん分が不足してます…)」モフモフ

 

チョコ「チノちゃん分補給〜 千夜ちゃんに『こうしたら、チノちゃん喜ぶわ』と言われて、昨晩、集中特訓してきたんだよ!」

 

チノ「千夜さんはまたヘンなことを……でも悪くないです」

 

チノ(ココアさんと違って、チョコさんからは小麦粉の匂いはしません……)

 

チノ(でもお料理のいい匂い、お洗濯のいい匂いがします。・・お母さんみたいで抱かれると落ち着きます)

 

チノ「チョコさんは、本当にしょうがないチョコさんですね……」モフモフ

 

チョコ「えへへ〜 (チノちゃん可愛すぎる)」ドキドキ

 

チノ(安心できる匂いが、またひとつ増えました・・)

 

・・・・・・・・・・・

 

チョコ「ところで、ここに置いてある大きい袋は、なあに?」

 

チノ「それは、コーヒー豆の袋です。重いので私やココアさんでは持ち上げられないので、午後、リゼさんに運んでもらおうと思ってます。」

 

チョコ「それくらい、私でも大丈夫。どこに運べばいいの?」

 

チノ「重たいですよ」

 

チョコ「大丈夫!」

 

チョコ「お姉ちゃんにまかせなさ〜い!」グッ

 

ピカアアアアアアーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!

 

チノ(うわっ、モカさん(ココアの姉)に劣らない凄い姉オーラです! まぶしい、直視できません!)

 

ティッピー(まるでモカの姉オーラを見てるようじゃ…)

 

チノ(見た目はココアさんなのに、何故かココアさんのオーラが茶番に見えます…)

 

チョコ「さっそく、持ちあげるね! どこに運べばいいの? チノちゃん」ヒョイッ

 

チノ「(本当に軽々と・・すごい) は、はい。こっちの倉庫にお願いします」

 

ティッピー「ココアとはだいぶ違うのう……」

 

※倉庫の中

 

チノ「この戸棚の上にお願いします」

 

チョコ「うん、じゃ、ここに置くね」ザッ

 

チノ(軽々と置いてしまいました。リゼさんでも、ここでは少し大変そうな素振りをみせるのに)

 

ティッピー(リゼはホントは平気なんじゃが、怪力そうに見えて恥ずかしいから、ここでは重そうに演技しとるのう……)

 

チョコ「他に運ぶ物あるかな? チノちゃん」

 

チノ「いいえ、これで全部です。ありがとうございましたチョコさん」

 

チョコ「どういたしまして」ニコ

 

チノ「ドキッ・・・(コ、ココアさんの笑顔……。反則です)」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

チノ「ところで、チョコさんには妹さんがいるって聞いてましたが」

 

チョコ「萌夏(もか)ね。この前の駅でのココアちゃんとの自撮りをメールで送ったら、ビックリしてたよ」

 

チョコ「『お姉ちゃんが二人いる〜』なんて驚いてね。私にとってかわいい妹だよ」

 

チノ「そうなんですか。仲いいんですね」

 

チョコ「天然で喧嘩も良くするけど、歌が上手くて手品が得意で、元気で活発でまわりを盛り上げちゃう……」

 

チノ「楽しそうですね」

 

チョコ「萌夏の写真あるけど、チノちゃん、見る?」

 

チノ「ぜひ見たいです」ワクワク

 

チョコ「このスマホに出すからね・・・これが萌夏だよ」ニコ

 

チノ「ちょっとごめんなさ……………(えっ…う…嘘ですよね)」

 

ティッピー(信じられん、何ということじゃ………)

 

チノ(母とそっくりです………特に母の若い時とは瓜二つです)

 

ティッピー(あやつ(チノの母)の生き写しじゃ……)

 

チョコ「かわいいでしょう〜 あ…勿論チノちゃんも可愛いけど…」

 

チョコ「あれ、どうしたの? チノちゃん、驚いた顔して……。私とは似てないから、ビックリしちゃったかな?」

 

チノ「い……いえ、なんでもないです。萌夏さん、かわいいですね」

 

チョコ「ありがとう、チノちゃん」

 

ティッピー(チノ………………………)

 

 




 チノのココアシックは、ココアが母のぎっくり腰のため急に帰郷したのと、そもそも予定事象ではなかったため、症状は重めになっています。


 拙いこのSSをお読みいただき、ありがとうございました。

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