甘兎の千代子さん   作:赤山グリテン

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お待たせいたしました。

途中までは良い雰囲気ですが、途中から流れが変わります。人の欲望が交錯します。

それでは、お楽しみいただけると幸いです。
(今回も短め&途中で終わります。ご了承下さい)


第16羽 Call Me Sister(その3)

きぐみん(in千夜)「悪いけどチョコちゃんは、そちらのロゼさんの介抱をお願いね…」

 

チョコ「うん、わかったよ、千夜ちゃん」

 

チョコ「それではロゼさん、救護スペースまでご案内します」

 

ロゼ「ありがとうございます。貴女、とっても素敵な方ですね」

 

チョコ(なんか恥ずかしい…でも美人できれいなひとだよ)

 

チョコ「それでは、失礼します、お嬢様…」

 

ロゼ(きゃーっ チョコにお姫様抱っこされてる…)

 

チョコ「大丈夫ですか? 頬が赤いようですが」

 

ロゼ「い、いえ、貴女がとっても魅力的な方なので、つい嬉しく…」

 

チョコ「」ボッ

 

ロゼ「まあ、お名前はチョコさん、でしたっけ、チョコさんも顔が赤いですわ」ニコ

 

チョコ「す、すみません。つい・・きれいな方に褒められるのってあんまり無いので…」

 

*救護スペース

 

チョコ「はい、応急処置終わり。履きなれない靴を履いたからだよっ」

 

ロゼ「ごめんなさい、チョコさんにご迷惑をかけてしまいました」

 

チョコ「大丈夫。お安い御用だよ」

 

ロゼ「まあ、心強いわ。チョコさんが迷惑でなければ、私とご一緒にイベント巡りいかがですか?」

 

チョコ「え? 私とですか?」

 

ロゼ「ええ(こ、断られたらどうしよう)」ドキドキ

 

チョコ「ぜ、是非、お願いします。ロゼさん!(さっきも吹き矢部長に騙されそうになったから、いろいろ教えてもらおう)」

 

ロゼ「嬉しい〜」ダキッ

 

チョコ「ちょっ わっ」モフモフ

 

チョコ(ロゼさんいい匂い。彼女の抱き心地、凄くいい。でもこの匂い、どこかで…)カァァ

 

ロゼ(気に入っているみたい。良かった〜)

 

チョコ「では、お嬢様、行きましょうか?」

 

ロゼ「はい!」

 

千夜(それから、チョコちゃんとロゼちゃんは、部活の催し物を一緒に楽しんでます)

 

千夜(まるで、仲の良い姉妹のように…)

 

*調理部

 

部員「それでは、りんご皮むき競争、スタート!」

 

チョコ「それー」シャカシャカシャカッ

 

ロゼ「チョコ速い!」

 

部員「優勝、チョコさん」

 

ロゼ「素敵ですわ、チョコさん!」

 

*バスケットボール部

 

バスケ部員「スリーポイントシュート競争」

 

バスケ部員「優勝、チョコちゃん!」

 

ロゼ「わー」パチパチ

 

チョコ「嬉しい」ニコ

 

ロゼ(いい雰囲気で楽しい。こんな胸がワクワクする思いは初めてだ。このパーティ、出てよかった)

 

チョコ(こんな魅力的な方が私と楽しんでくれてる。この方といると不思議と胸が熱くなる…)

 

 

きぐみん(in千夜)「お楽しみのようね…」

 

ロゼ「はい! 千夜さんのおかげですわ」

 

チョコ「ところで千夜ちゃん、きぐみんはいいとして、お店の宣伝してるの?」

 

ロゼ「きぐみんが甘兎庵のプラカードを持って、お腹と背の前後に広告板を、ひもで両肩から下げてます」

 

チョコ「重くない? 千夜ちゃん」

 

千夜「宣伝よ宣伝。これが今年度の甘兎庵売上を左右するの…」

 

チョコ「千夜ちゃん、私が代わってもいいんだよ。力は自信があるから」

 

千夜「これは経営者たる私の仕事よ。チョコちゃんは気にしないで今日を楽しんでほしいの。ロゼちゃんとともに」

 

チョコ「わかったよ、千夜ちゃん」

 

ロゼ(すまん、千夜)

 

・・・・・・・・・・・・

 

会場スタッフ「宇治松様、ご伝言があるのですが、今よろしいしょうか?」

 

きぐみん(in千夜)「はい、大丈夫です。どうぞ」

 

会場スタッフ「ホテルフロントから電話が入っています。宇治松様の連絡があったお客様が今、フロントにいらっしゃると」

 

きぐみん(in千夜)「わかったわ。フロントに事前に連絡した通り、楽屋部屋の場所を案内してもらって、そこの入口ドア前で待つよう、その方に伝えてもらえますか。私もすぐ行きます」

 

会場スタッフ「了解いたしました。そのようにお伝えします」

 

きぐみん(in千夜)「ありがとう」

 

 

*楽屋部屋の前

 

メグ(ドキドキ…)

 

千夜「お待たせ、メグちゃん」

 

メグ「千夜さん、こんばんは。着ぐるみ着て大変そう〜」

 

千夜「大丈夫、これはお店の宣伝よ。ところでメグちゃんは正面玄関まで送ってもらったの?」

 

メグ「うん、お母さんに車で送って貰ったの〜 帰りも迎えに来るって」

 

千夜「そう。お母様公認でありがたいわ。じゃメグちゃん、この部屋の中へ…」

 

 

*楽屋部屋室内

 

※千夜はきぐるみを脱いで、私服に。

 

メグ「凄いシティホテル〜。お嬢様学校ってこんな会場借りるんだね〜」

 

千夜「そう、この学校のパーティーは凄いわよ。お母様から『ウチの娘の志望校なので、事前に是非体験させて欲しい』って依頼うけてたの」

 

メグ「うん、お嬢様学校へ行くように私、家族から勧められてるの〜 それで、私からお母さん通してお願いしてたの〜」

 

千夜「甘兎庵が関与してるパーティーだから特別許可が下りて良かったわ。これ以外のパーティーは部活主催の自主運営だから、たぶんダメだったと思うの」

 

メグ「ありがとう、千夜さん〜」

 

千夜「それと、メグちゃんが進学して高校生になったら、是非甘兎庵をご贔屓(ひいき)にね…」

 

メグ「私に甘兎庵でアルバイトしてって、誘ってるの? 千夜さん」

 

千夜「そうよ。チョコちゃんとも一緒よ。私、メグちゃんなら大歓迎だわ」

 

メグ「うん、するする〜。千夜さんの頼みだし、チョコちゃんとバイトなんてうれしー」ニコッ

 

千夜「私も嬉しいわ。是非お願い」ニコ

 

メグ「今回はチョコちゃんにメールして、パーティー出るって教えてもらったから、私も体験したくなっちゃった〜」

 

千夜(メグちゃんのお目当てはチョコちゃんね…)

 

千夜「それじゃ、衣装は準備してあるから、早速…」

 

メグ「はーい」

 

*ドレッサー前

 

メグ「なんか別人みたい〜 お姫様〜」

 

千夜「そうよ、メグちゃんにはこれが一番よ」

 

メグ「トルネードのくせ毛が全部ストレートになってる〜。魔法のよう」ワクワク

 

千夜(あんこ(うさぎ)用の整髪料使ったんだけど、言わないほうがいいわね…)

 

千夜「衣装も、甘兎演劇のだけど、どう?」

 

メグ「とっても素敵―。千夜さんありがとう」ニコ

 

千夜「どういたしまして」ニコ

 

メグ「あ、千夜さん、多分そろそろ来るよ〜」

 

千夜「メグちゃんが言ってた以心伝心の相方ね。よくわかるわね」

 

ピロピロ…(部屋の内線電話の音)

 

千夜「(受話器を取り)はい、楽屋部屋です」

 

ホテルフロント『宇治松様、打ち合わせに無かった条河 麻耶さんという方が、宇治松様と先ほどお見えになった方に、ご用件があるとフロントで話されてますが』

 

千夜「わかりました。同じくこの部屋をご案内していただけますか」

 

ホテルフロント『かしこまりました』

 

※内線電話を切る

 

千夜「メグちゃん、お見事ね」

 

メグ「えへへ〜、今日も以心伝心、感度良好〜」

 

コンコン(※ドアをノックする音)

 

マヤ「千夜〜 マヤだよ〜早くドアを開けてくれ〜」コンコン

 

千夜「いま鍵を開けるわ、マヤちゃん…」

 

ガチャ※ドアが開く音

 

マヤ「やっほ〜 メグ〜、千夜〜、こんばんは〜」

 

メグ「マヤちゃん…」

 

マヤ「以心伝心だよー メグのことでわからないことはないのだ」エヘン

 

千夜「マヤちゃん、いらっしゃい」

 

マヤ「千夜、私もこのパーティーに混ぜてくれ〜。メグだけずるい〜」

 

千夜「あれ? マヤちゃんの志望校ってお嬢様学校じゃなかったような」

 

マヤ「うん。私お嬢様じゃないし、あの雰囲気、イーってなっちゃう」

(注:マヤはこの時点は、お嬢様学校志望ではありませんでした)

 

千夜「そうなのね。ならどうして」

 

マヤ「メグからお嬢様学校のパーティーを体験するって、以心伝心で私に伝わってきて」

 

メグ「相変わらず感度良好だね〜マヤちゃん」

 

マヤ「シャロにメールで尋ねたらリゼとチョコが出るっていうし、楽しそうだからメグと一緒に出たくなって、『出たければ現地に千夜を尋ねれば?』ってアドバイス貰って」

 

メグ「それが今度は、私に伝わってきて〜」

 

マヤ・メグ「現在に至る〜」

 

千夜「すごい能力ね。二人共…」

 

千夜「ともかくマヤちゃん、メグちゃんが事前に教えてくれてたから、衣装は用意してあるわよ」

 

マヤ「さすが千夜、そうこなくっちゃ」

 

千夜「じゃ、早速着替えてきてね…マヤちゃん」

 

マヤ「イエス マム!」

 

*更衣室で着替え

 

マヤ「千夜〜 本当にこの格好でいいのか〜?」

 

千夜「良くお似合いよ。黄色い帽子、頭からかぶる水色スモック、黄色い肩掛けかばん、胸のチューリップの名札…」

 

メグ「すごくかわいい〜。抱っこしていい?」クスッ

 

マヤ「幼稚園児のコスプレじゃねーか、これ!」

 

メグ「マヤちゃんとってもお似合い〜。あまりの可愛さにスマホで撮っちゃった〜」

 

マヤ「ちっとも嬉しくなーい」

 

千夜「甘兎演劇の衣装の一つなんだけど」

 

マヤ「こんな格好じゃ、リゼに笑われるだろー?、他にないのかよ千夜!」

 

千夜(マヤちゃんは、リゼちゃんがお目当てなのね…)

 

千夜「あるわよ。じゃ、更衣室に置いといたから着替えてね…」

 

マヤ「今度は大丈夫だよな、千夜」

 

*更衣室で着替え

 

マヤ「これなら、まあ」

 

メグ「ボーイッシュな格好だけど、男の子ってわけじゃない…」

 

千夜「これなら、イケるわよ」

 

メグ「マヤちゃんカッコイイ…」ウルウル

 

千夜(甘兎演劇の小学校中学年用の衣装だってこと、黙っていよう)

 

マヤ「でも、リゼとキャラかぶらないか?」

 

千夜「リゼちゃんも変装してイメージが変わってるから、大丈夫よ」

 

マヤ「そう? なら良かった。ありがとう、千夜」

 

千夜「どういたしまして」

 

マヤ「さて、衣装は整えたところで、パーティー会場へ突撃〜」

 

メグ「おぉ〜」

 

千夜(さあ、舞台は第2幕の開幕よ)




 途中まではチョコとロゼ(=リゼ)のいい雰囲気だったのですが、マメが乱入してしまいました(まだ準備段階ですが)。
 期せずして千マメ隊(?)の会話になりました。どうなることやら…
マヤは元気ですね〜
 それと、メグが17年のクリスマス(サプライズサンタ)の時、いきなり甘兎庵でアルバイトって言ったのは、千夜がこういうアプローチを裏でしていたから、と妄想してみました。

今回も拙いこのssをお読み下さいまして、ありがとうございました。


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