投稿が遅くなり、申し訳ありませんでした。
それではお楽しみいただけると幸いです。
―お嬢様学校への通学中―
シャロ「今日は、憧れのリゼ先輩にこのプレゼントを渡そうと思うの」
チョコ「綺麗なマグカップね。リゼ先輩ってシャロの憧れのひと、だったっけ」
シャロ「そう。私が兎に襲われそうになった時に、助けてくれたカッコいい先輩なのよ」
チョコ(ラビット・ハウスでココアちゃんチノちゃんとバイトしてる、あの軍人ぽいツインテの方ね)
シャロ「あ〜思い出すだけでも、ドキドキしちゃうわ〜」
チョコ「シャロは本当にリゼ先輩の虜ね〜」
シャロ「そう。でも、いっっつも、先輩の前だと肝心なときにアガっちゃって失敗しちゃうから、悪いけど手伝ってよね、チョコ」
チョコ「わかったよ〜。応援しているよっ 成功するといいねっ」ニコ
シャロ「ありがとう〜チョコ〜。持つべきものは、やっぱり友達だわっ」ニコ
チョコ「えへへ〜 ありがとう、シャロ」テレ
*校内、始業前
シャロ「この校舎の階段をあがって、2階がリゼ先輩の教室よ」
チョコ「うん、前の学校でもそうだけど、上級生の教室って緊張するね…」
シャロ「そうね。でもチョコと一緒だから、心強いわ…」
チョコ「まずは挨拶して、シャロをリゼ先輩に印象づけてもらうのね」
シャロ「そう。一人の時は緊張でどうしようもなかったけど、二人なら…」
チョコ「この教室、だっけ?」
シャロ「そう、行くわよ」
チョコ「教室の扉は開いてるよ」
シャロ「じゃ、中にリゼ先輩がいるから、ここから目線送って、挨拶よっ」
チョコ「ラジャー」
シャロ・チョコ(リゼ先輩、どこかな〜)
リゼ(あれっ、教室の入口にいるの、シャロとチョコじゃないか…)
シャロ・チョコ(リゼ先輩、おはようございます…)ペコ
*リゼがシャロとチョコに会いに、教室の扉付近まで出迎える
リゼ「おはよう、シャロ、チョコ」ニコ
シャロ・チョコ「おはようございます、リゼ先輩」ペコ
リゼ「二人とも、この前はラビット・ハウスであんなに手伝ってもらって、あと服のバーゲンセールも…本当に悪かったな…」
チョコ「大丈夫ですよ」
シャロ「いえいえ、トンでもありません。リゼ先輩のためなら…」カァーッ
リゼ「ああ、みんなバイトで忙しいのに、すまんな…」
シャロ「リゼ先輩のためなら、何でもしますぅ〜」アセアセ
チョコ(いい雰囲気。これなら大丈夫そうねっ)
リゼ「チョコもありがとう」
チョコ「どういたしまして、リゼ先輩!」ニコ
リゼ(ドキ……こ、これは…)カァァ
シャロ「んもう、リゼ先輩、どうしたんですか? 顔、真っ赤ですよ…」
リゼ「あ…ああ、何でもない、ちょっと今日は暑いからな…」
シャロ「そうでしたら、あとで冷たい飲み物でも。リゼ先輩は何がお好きでしたっけ…」ペラペラ…
リゼ「ああ…そうだな」
チョコ(シャロがあれだけ熱心にアプローチしてるのに、何で私を見てるんですか先輩!)
キーンコーンカーンコーン
チョコ「ホームルームの予鈴が鳴りましたよ」
リゼ「もうそんな時間か。シャロ、チョコ、自分の教室に戻った方がいいんじゃないか?」
シャロ「あっもうそんな時間ですか。そ、そうですね。それでは失礼します。リゼ先輩!」ペコ
チョコ「私も失礼します」ペコ
*シャロ・チョコの教室
シャロ「やったー、ついに第一アタック成功!」
チョコ「よ、良かったね。シャロ」
シャロ「あとは、第二のアタックよ」
チョコ「シャロが買ったあのマグカップを、とうとうリゼ先輩に渡すんだね!」
シャロ「そう、この手紙をつけて。私、アッタマいいー」
チョコ「シャロ、応援してるよっ」
シャロ「それで、悪いんだけど」
チョコ「?」
シャロ「チョコから、それ渡してくれないかな…」
チョコ「えっ シャロからじゃないの?」
シャロ「サプライズよサプライズ! ネットで見たのよ! 誰かに渡してもらうといいって」
チョコ「ネットの情報って正しいとは限らないよ」
シャロ「私とチョコの仲じゃない? お願い!」
チョコ「わ、わかったよ。シャロには世話になりっぱなしだし…」
シャロ「頼んだわよ、チョコ」
チョコ「う、うん」
*放課後
チョコ(シャロったら『わたしバイトあるからっ』って行っちゃった)
チョコ(信用されてるんだか、何だか。うーん、本当に忙しいのね。シャロ…)
チョコ(私は甘兎庵のバイトまではまだ時間あるけど…)
チョコ(リゼ先輩だってラビット・ハウスでバイトがある筈。それまでに渡さなきゃっ)
タッタッタッ
チョコ(あ、リゼ先輩見っけ… 一人で周りも誰もいないし、チャンスだよっ)
チョコ「リゼ先ぱ〜い」
タッタッタッ
リゼ「あ、ああっ。チョコかっ」ポッ
チョコ「はあ、はあ、こ、これ…リゼ先輩に…」
リゼ「!」カアア
リゼ「こ、これは、綺麗なマグカップだな。チ、チョコが選んだのか?」ドキドキ
チョコ「シャロからです! リゼ先輩のために、選んだカップですっ」
リゼ(なんだ、チョコからじゃないのか…)
チョコ「中にシャロの先輩を想う手紙がはいってますっ。受け取って下さい!」
リゼ「ああ、わかった…ありがとな、チョコ」
チョコ「よろしくおねがいしますっ」
リゼ「それはそうと、チョコ、時間はあるか? そ、そのへんでお茶でも」カァァ
チョコ「リゼ先輩ごめんなさい。この後、甘兎庵でバイトがあるので…」
リゼ「そ、そうか。私もラビット・ハウスでバイトがあるからな…」
リゼ「メルアドとSNS、こ、交換してもいいか…チョコ」
チョコ「うん、リゼ先輩なら大歓迎だよっ」ニコ
リゼ「あ、ありがとう、チョコ」
・・・・・・・・・・・・・
―ラビット・ハウス―
*更衣室
リゼ「♪〜」
ココア「あ、リゼちゃん、何か今日機嫌がいいね。なんかいいことあったの?」
リゼ「ああ、そうだな。良い事…だよな」ポッ
ココア「顔が赤いよ〜」ニコ
リゼ「今日は少し暑いよな…」
リゼ(なんか、ココアを見てるとチョコに見えてくる。そっくりなんだから当然なんだが)
ココア「そうかな。寒い気もするけど」
リゼ「そ、それでココア、頼みなんだが、私のお嬢様学校の制服、今着てみてくれないか?」
ココア「え、いいの?」
リゼ「ああ」
ココア「リゼちゃんの制服、うれしいな〜」
ゴソゴソ
ココア「はい、着たよ〜 私も今日からお嬢様〜」クルッ
リゼ「おお、似合うな」
ココア「ほんのちょっと服が大きいけどね…」
リゼ(でも、こうしてみると本当にチョコだ…)
リゼ「そ、それで悪いけど、ココア、私をモフモフしてくれ、頼む」
ココア「え? この格好で? リゼちゃんだって今下着だよ?」
リゼ「頼む、一生のお願いだ…」
ココア「うん、リゼちゃんの頼みなら…」モフモフ
リゼ「ありがとうココア…」モフモフ
リゼ(ココアってチノの言うとおり、本当に小麦粉の匂いがするんだな。これがチョコだったらどうなんだろう?)
ココア「リゼちゃん?」
リゼ「しばらくこのままでいてくれ、ココア…」
ココア「うん」
リゼ(チョコに抱かれている気分になってきた…なんか気持ちい…)カアア
ガチャ(ドアの開く音)
チノ「リゼさん、ココアさん、お店始まっちゃいますよ。急いで下さい」
リゼ「チノ!」
ココア「チノちゃん」
チノ「リ、リゼさん! こ、これはどういうことですかっ」
リゼ「いや、あの」
チノ「そういう卑怯なやり方で、ココアさんを誘惑して私から取らないで下さい!」
リゼ「誤解だ、チノ!」
ココア「リゼちゃんの頼みで、寂しそうだったから、私がもふもふ…」
チノ「ココアさんは黙ってて下さい!」
ココア「はい」
チノ「私に無くて、リゼさんにあるものをココアさんに見せつけて、モフモフさせるなんて最低です!」
リゼ「いや、そんなつもりは…」
チノ「今日から3日間、おやつは抜きです!」
バタン(扉を閉める音)
タッタッタッ
リゼ「あ、ちょっとチノ〜、説明するから待ってくれ〜」トタトタ…
ココア「リゼちゃん、下着のままだよ……あ、チノちゃん追いかけて出てっちゃった」
ココア(チノちゃんはその後、数日間、リゼちゃんは勿論、私にも口をきいてくれませんでした)
・・・・・・・・・・・・・・・
―リゼの部屋―
リゼ(チョコと会いたい、と思っても、この前のように無理をすると、友達関係にヒビが入ってしまう)
リゼ(私のわがままなのに、好意で協力してくれたココアに、悪いことをしてしまった)
リゼ(チノは許してくれたが、次はそうは行かないだろう。直接チョコを先輩風吹かせて誘っても、シャロとの関係が悪くなる…)
リゼ(なあ、どうしたらいい? ワイルド・ギース)
ワイルド・ギース(…人形のため無言)
リゼ(夢は結局、夢で終わるか…)
リゼ(いや、夢なら、あの手があったか…なんで気づかなかったんだろ、私)
リゼ(早速準備だっ)
・・・・・・・・・・・・・・・・
―甘兎庵―
チョコ「リゼ先輩、私、なんか別人みたいです〜」
リゼ「とっても似合ってるぞ、チョコ」
千夜「とってもお似合いね」
チョコ「男装、じゃないけど、結構ボーイッシュな格好ですよね。いつもの私じゃないみたい」
千夜「でもあくまで女性よ。こざっぱりした感覚にコーディネートしたの」
リゼ「シャロは、『どてらを着てパーティーには出れない。バイトもあるし』って誘えなかったんだ」
チョコ「そうだったんですね。確かに、シャロは今フルールでバイト中です」
千夜「シャロちゃんも出ればいいのに…」
リゼ「チョコは、転入生だし、早くこの学校の感覚に慣れたほうがいいと思って、無理に誘ったんだ」
千夜「衣装は甘兎演劇のストックだから、無料よ」
チョコ「いいの? 千夜ちゃん、こんな高そうなの」
千夜「経営者たるもの、従業員を慮らないと!、な〜んて、ね。いつまでもチョコちゃんにはウチにいてほしいの」
チョコ「千夜ちゃん…」
千夜「チョコちゃんには、甘兎庵で仕事してよかった、楽しかったって言ってもらえるよう、がんばるわっ」
チョコ「ありがとう! でもこの格好、まるで仮装パーティーみたいだね」
リゼ「ああ、名前は進級記念パーティーとか銘打ってるけど、中身はストレス解消、仮装お祭り大会だぞ」
チョコ「そうなんですか。楽しみ〜」ニコ
今回ココアは被害者でした。チノが更衣室ドアをノックしなかったのは、前から扉越しにリゼとココアのやりとりを聞いてて、怪しい行為の様子を確認したかったからです。
それと短めで続き物になってしまいました。ご勘弁下さい
今回もこの拙いssをお読み下さいまして、ありがとうございました。