甘兎の千代子さん   作:赤山グリテン

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この拙いお話をご選択いただきまして、ありがとうございます。
ごちうさで、そっくり物ってありそうでなかったので、書いてみました。
それでは、お楽しみいただけると幸いです。
物語のスタートです。

☆オリキャラ説明☆
相須 千代子(あいす ちよこ):通称チョコ。リゼやシャロの通うお嬢様学校に姉妹校から転入してきた、ココアに外見そっくりな高校生。声はあやねるのココアボイスだが、ココアよりはおっとりした口調、雰囲気で喋ります。テンションが上がっていると、口調も早くなりココアと区別がつかなくなります。

相須 萌夏(あいす もか):チョコの妹。(ココアの姉のモカとは別人です)




第1羽 その娘はやってきた

−プロローグ−

 

千夜「シャロちゃんと甘兎で一緒に働けたら・・」

 

シャロ「私、甘兎庵で働く気はないわよ」

 

千夜「そんな・・・・ぐすっ…」

 

千夜祖母(お祖母様)「…………………」

 

 

 

−甘兎庵−

 

千夜「ひとりラビット・ハウスごっこ〜」

 

千夜「そーれそーれ」

 

千夜「お姉ちゃんにまかせなさ〜い」

 

千夜「食い逃げだ! 発砲許可! あたまを狙え!」

 

千夜「・・・・・・・寂しい」シュン

 

千夜「ねえ、あんこ。なんで私は一人ぼっちなの?」

 

千夜「ココアちゃんは親友だけど、ラビット・ハウスがあるから、無理に来てもらえないし。」

 

あんこ「・・(微動だにせず直立不動)・・」

 

千夜「私のどこが悪いんだろう・・何が悪いんだろう・・・・あ、涙が」ゴシゴシ

 

お祖母様「・・・・・(見ちゃおれんわい。何とかならないもんかねぇ……)」

 

※固定電話「ピロピロ(呼び出し音)・・・」

 

千夜「涙をふいて・・・受話器を取らなきゃ」

 

千夜「はい、甘兎庵です。・・・祖母ですか、少々お待ちください」

 

千夜「おばあちゃん、電話です。」

 

お祖母様「はいもしもし、あぁあんたか。え? あんたの娘をウチで働かせて欲しい? そりゃ、

ウチは常時従業員募集中だから大歓迎だけど、いいのかい?」

 

千夜「!」

 

お祖母様「細かいことは後で。あんたんとこは遠いんだから、きちんと約束ごと決めないとねえ、じゃまた・・」

 

お祖母様「千夜、うちで一人雇うかも知れないよ。いつでも入れるように準備しときな。」

 

千夜「(甘兎にも仲間が来るかも・・)」パァァ

 

 

 

−数日後、甘兎庵−

 

お祖母様「というわけで、その娘は桐間(シャロ)家に下宿する契約だそうだ。お金はすでに(シャロの)ご両親に渡したとさ」

 

千夜「うちに下宿するんじゃないんですか?」

 

お祖母様「その娘の親にはそれを勧めたんだけどねえ、お金がないんだとさ。それと桐間家と知り合いで、格安でなんとかしたとか」

 

千夜「学校は?」

 

お祖母様「桐間さん(シャロ)とこと同じ学校で、同じ学年に転入だそうな。その娘、その姉妹校の特待生で、こっちでも特待生として転校するんだと」

 

千夜「ということは、私とも同い年なのね。そしてシャロちゃんと同じお嬢様学校で同い年・・」

 

お祖母様「それで、それだけだと生活費が大変なので、ウチでアルバイトさせてほしいって電話だったのさ。ウチなら桐間家のすぐ隣だからってさ」

 

お祖母様「その娘がうちで働くのはもう決まったから、千夜、くれぐれも粗相(そそう)するんじゃないよ!」

 

千夜「はい! おばあちゃん」ニコッ

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

−シャロの家−

 

シャロ「ああ忙しい忙しい」

 

千夜「こんにちはシャロちゃん、忙しそうね。」

 

シャロ「そりゃそうよ。ルームシェアの同居人が来るんだもん。準備が〜」

 

千夜「(でも、嬉しそうね)」

 

シャロ「ああ、ベッドまで間に合わない〜机もどうしよう〜」

 

千夜「準備ができるまで、ウチで下宿させてもいいのよ」

 

シャロ「結構よ。千夜の家に泊まらせたあと、ウチの物置じゃその娘、嫌がっちゃうから」

 

千夜「冗談よ(ほほえま〜)。シャロちゃん、私も手伝うわ」

 

シャロ「ありがとう千夜。その娘、甘兎で働くのよね。くれぐれも大事にしてね」

 

千夜「はいはい」ニコッ

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

−駅ホームにて−

 

千夜「お互いの写真が間に合わなかったので、駅まで迎えに行くようお祖母様にいわれたの。この街迷いやすいし」

 

千夜「あとその娘にわかるように、目印に緑のスカーフを巻くよう言われたわ。」

 

シャロ「そんで、私が黄色のスカーフ? 目立つわね。」

 

千夜「目立たなければ、目印の意味がないわ」

 

シャロ「そりゃ、そうだけど・・・」

 

※放送スピーカー「まもなく、1番ホームに当駅止まりの列車が到着します。黄色い点字ブロックまでお下がり下さい。なお、この列車は車庫に入ります。ご乗車になれませんのでご注意下さい。」

 

千夜「いよいよだわ。」

 

シャロ「うう〜緊張する〜」

 

千夜「列車がホームに入ってきたわ」

 

シャロ「結構長い編成ね」

 

千夜「この列車、ずいぶん混んでるわね」

 

シャロ「うわ〜、通路やデッキまでギュウギュウで満員だわ〜」

 

千夜「ここまで来るの、大変だったのね」

 

シャロ「止まったわよ。何だかドキドキする〜」

 

※放送スピーカー「ご乗車おつかれさまでした、「木組みの街中央」終点です。どなた様も車内にお手回り品、お忘れ物・落し物なさいませんよう、ご注意下さい。」

 

シャロ「大量の人・人・人が、列車から吐き出されて〜」

 

千夜「ものすごい群衆が、歩いてくるわ。見落とさないように。」

 

シャロ「う〜ん、それっぽい娘がいるかな〜」

 

ガヤガヤ

 

シャロ「千夜〜、人多すぎ〜 目が回りそう〜」

 

千夜「私も〜」

 

ガヤガヤ

 

???「桐間さんと、宇治松さん、ですか?」

 

千夜・シャロ「!?」

 

シャロ「何冗談言ってるのよココア。他人行儀でからかうのやめて」

 

千夜「そうよココアちゃん、悪い冗談だわ。」

 

???「ココアさんって、誰ですか? 私は桐間さんが黄色いスカーフ、宇治松さんが緑のスカーフを巻いてると母から教えられたので。」

 

千夜・シャロ「えっ」

 

シャロ「ちょっとココア、私達を騙そうったってそうはいかないわよ。」

 

シャロ「こっちは人と合う約束で忙しいんだから、馬鹿言うのはやめて欲しいんだけど」

 

???「なんのことでしょう?」

 

千夜「ちょっと待ってシャロちゃん、この娘はココアちゃんじゃないわ。よく似てるけど」

 

シャロ「千夜、なんでわかるのよ」

 

千夜「ココアちゃんより、ほんの少し小さいわ。それと、ココアちゃんより少し細身よ」

 

シャロ「全然わかんない。私にはココアにしか見えないわ」

 

千夜「毎日ココアちゃんと学校で会っているのよ。それくらいわかるわ。」

 

シャロ「う〜」

 

千夜「それと、ココアちゃんには駅で会う約束とか、目印のことも含めて何も話していないから、このことを知らないはずよ」

 

シャロ「それもそうだわね・・・」

 

???「初めまして、私は、皆様のところに今日からお世話になる相須 千代子(あいす ちよこ)と申します。よろしくお願いします」ペコリ

 

千夜・シャロ(でもココア(ちゃん)と瓜二つ・・・そっくりすぎる)

 

シャロ「は、初めまして。桐間紗路です。今日から私の家に同居するんですよね。」

 

シャロ「(うう〜。まだココアに騙されてる気分・・・)シャロって呼んでね。こ、こちらこそ よ、よろしく〜」

 

千夜「私は宇治松千夜、千夜って呼んでね。お話は聞いてると思うけど、甘兎庵の一人娘よ。私と一緒に働いてくれるなんて、嬉しいわ。よろしくね。」

 

シャロ「千代子さんなんて、古風なお名前ね」

 

???「私は周りの皆さんから、「チョコ」と呼ばれてましたので、「チョコ」と呼んでいただけるとうれしいです。」ニコ

 

千夜「チョコさんね。わかったわ。これからが楽しみ〜」

 

シャロ「チョコさん、一緒にがんばりましょうね」

 

チョコ「シャロさん、千夜さん、ですね。みなさんの足手まといにならないよう、がんばります。」

 

千夜(確かに笑顔も、声もココアちゃんだけど・・)

 

シャロ(ココアよりも、落ち着いておっとりした感じね。)

 

千夜「さて、甘兎庵へ案内するわね。となりがシャロさんの家よ」

 

チョコ「はい、ありがとうございます。」

 

千夜「では、改札口へ向かいましょう」

 

ドタドタ ワー

 

シャロ「向こうからなんか騒がしいのが」

 

ココア「わー、乗り遅れる〜」ドタドタ

 

チノ「ココアさん、待って下さい、ココアさ〜ん!」ドタドタ

 

千夜「本物のココアちゃんとチノちゃんだわ」

 

シャロ(うわー チョコさん、ほんとに別人なのね。ココアが2人いるみたい〜)

 

シャロ「ちょっと、ココア!、これ回送よ!、乗っちゃダメ!」

 

ココア「えっ!」

 

※回送列車、発車

 

ココア「シャロちゃん、ありがとう。危うく車庫へ連れて行かれるところだったよ」

 

シャロ「本当にココアはそそっかしいんだから〜」

 

ココア「ヘヘ〜。千夜ちゃんもこんにちは〜」

 

千夜「ココアちゃんの行き先の列車なら、向こう側のホームから15分後よ。」

 

シャロ「くし型の行き止まりホームだから、一旦改札通路へ引き返して向こう側のホームに回らないと」

 

千夜「ココアちゃんの乗る列車まで一緒にいきましょう。見送るわ」

 

ココア「みんな、ありがとう」

 

チノ「千夜さん、シャロさん、こんにちは。お二人がいて助かりました」

 

千夜・シャロ「チノちゃん、こんにちは」

 

シャロ「ところで、ココアが帰るって話、聞いて無いけど、どうしたの」

 

ココア「お母さんが今朝、ぎっくり腰で動けないから、モカお姉ちゃんからパン屋を手伝ってほしいって急に電話が」

 

チノ「それで急遽、春休みってこともあって帰郷することになったんです」

 

千夜「そうだったの・・お大事にしてね」

 

シャロ「そうよ。たった一人のお母さんだもの」

 

ココア「みんな、ありがとう」

 




千夜ちゃんがいつも孤独なので、こういう娘がきたらどうなるだろう、と書いてみました。仕事が忙しいので不定期更新になりますが、どうぞご容赦下さい。

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