貴女の隣に立つ為に   作:ウルタールの猫

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スクールカースト上位のコミュニケーション能力

登校2日目。

教室の扉の前で深く息を吸う。

 

今日は、クラスメイトと馴染むべく朝一のトイレへは寄らない。

 

昨日の個性把握テストの結果、僕は2位。

つまりはクラス内で、できる男。

できる男はスクールカーストにて上位に立つ。

そして、スクールカースト上位はコミュニケーションを図るには絶好の立ち位置。

 

昨日はモサモサの子の良い表情に満足して書類に目を通して足早に帰ってしまった。

 

けど、今日は違う。

同年代の人物とコミュニケーションを取るのだ。

昨日は一言もクラスメイトと話せていない。

このままではコミュニケーション能力の欠如で、あの女性と会話すらままならない可能性すら出てくる。

 

それに話題に乏しい男性が女性の気を惹くよりも話題豊富な男性が女性の気を惹く方が確実にハードルが低い。

 

つまらない男と一緒に居てくれる程、できる女は暇じゃない。

 

タイトルは忘れたけど、そんな一文が僕の脳裏に過った。

故に高校生活の中でコミュニケーション能力を改善する。

思考がまとまったところで教室の扉を開け放つ。

 

朝早い時間帯という事で、教室内にはまだ一人しか来ていない。

 

亀のような頭をしたつぶらな瞳の少年だ。

出席番号が隣通しということもありちょうど席も前後で良い。

『おはよう』と声をかければビックリしたようにこちらを見る。

 

向こうもおはよう、と返してくれた。

シャイなのか少し恥ずかしそうにしている。

...会話が止まってしまった。

...今日はこのぐらいで勘弁しておいてやろう。

 

鞄から教科書、ノートを取り出してざっと昨晩予習した内容を読み返しながら朝のHRの時間まで過ごした。

 

 

 

雄英高校の魅力として挙げられているプロヒーロー達による授業を受けて。

ランチラッシュが切り盛りする食堂で食事をとり。

いよいよ午後から、ヒーロー基礎学に臨む。

 

普通科にはないヒーロー科独特の授業。

単位数も最も多く、ヒーローとして基本的な落とせない内容ばかりだ。

傷病者の応急措置やトリアージ、避難時の一般市民の誘導など人命救助に直結したものから、ヴィランとの戦闘を前提とした個性を用いた戦闘訓練まで多岐に渡る。

 

授業初日からもう始まるようでみんな楽しみにしているみたいだ。

 

メディアで聞き覚えのある雄々しい声でオールマイトが自己主張をしながら登場した。

 

映像でしか見たことがなかった国内No.1ヒーロー。

『平和の象徴』『ナチュラルボーンヒーロー』彼を讃える声は多く、ヒーロー史に燦然とその名を刻んでいる。

そんな人物が教壇にたったことでクラスメイト達のテンションはMAX。

 

プレゼントマイクの英語の授業の時とは大きく違う。

 

初っぱなのヒーロー基礎学では戦闘訓練を行うとの事。

それに併せて、入学前に提出した『個性届け』と『戦闘服要望書』にそってサポート会社が制作した『戦闘服』の配布。

オールマイトの言葉と合わさり教室のボルテージが高まる。

 

戦闘服に着替えた後、市街地演習場に集合と指示を受けて更衣室へ向かう。

 

僕のコスチュームは言ってしまえば全身タイツと伸縮性の強いブーツ。

深緑を基調に黄色でアクセントをが入っている。

身体を伸縮させる上で課題になるのは服の伸縮性。

肥大化したときに弾け飛ぶのは当然困るし、縮小したときにダボダボになって邪魔なのも頂けない。

 

人間らしい造形じゃないとはいえ、巨大化したときの衣服がないのを触腕で毎回隠すのも締まらない画になるし...

 

タイツとブーツの繊維はMt.レディ御用達のスーツと同様の伸縮性を誇る。

約13倍の大きさになっても破れない驚異の素材だ。

頭部も同じ素材のレスラーマスクを着用。

 

夜空に浮かぶ星空をモチーフにしており我ながら良い塩梅だと思う。

見ていると、スッと頭が冴え渡る気がしてくる。

細かく要望書に書いて良かった点だ。

 

身に纏い、いざ演習場へ。

 

オールマイトの言葉通り格好から入ることも大事なんだろう。

この身の猛りはそういう事なんだと思う。

あの女性と同じく、ヒーローになるんだ。


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