貴女の隣に立つ為に   作:ウルタールの猫

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燃焼式ジャーマンスープレックス

 

 

 

 

 

噴水前広場へ到着した僕らが見たのは脳ミソ丸出しのマッチョに相澤先生が取り押さえられているところだった。

 

ミノル君は恐怖に震えている。

ツユちゃんは冷静に気配を隠して気付かれないように観察している。

僕は不意討ちを食らわせる為に飛翔していた。

 

無造作に腕を掴もうとしている脳ミソヴィランの筋力は相澤先生が押さえられない素の産物。

きっと並大抵のものではないだろう。

それでも相澤先生を組み敷いて油断しているはずだ。

ヒトは獲物を仕留めた瞬間が一番気が抜けるらしい。

 

だからこそ、死角である上空から奇襲を仕掛ける。

食腕を二本伸ばして左右から。

 

掌を顔にくっつけたヴィランがこっちに気付いた。

警告の声が掌ヴィランから脳ミソヴィランへ。

 

二本の触腕を巻き付ける。

反応が早かったので片腕を自由にさせてしまった。

 

そのままこちらへ触腕を掴み手繰り寄せようと引っ張られる。

 

力が強い。

僕は空中で滑空中なので自由に動けない。

 

凧のように振り回される。

地面に叩き付けられる寸前に身体を捻りなんとか着地。

 

これで踏ん張れる。

触腕に力を込めてやりかえそうとしても拮抗する。

 

このサイズだと筋肉が不足しているみたいだ。

すごいパワーの持ち主だからか、思いっきり絞めても潰れる事はない。

 

足を止め、お互いに全霊の力を込める。

時折、緩急を付けて何とか釣り合いが取れる。

 

 

 

どれぐらいの間、力比べを続けただろうか。

5秒?

30秒?

1分?

時間の間隔がない。

油断すると触腕を振りほどかれそうだ。

 

身体を大きくして力を強くするにもその隙に周りの雑魚に隙を与え兼ねない。

そして解放してしまったら、もう一度捕まえれる自信がない。

 

触腕を殴られ続けて地味に痛い。

ボディや頭なんかには絶対にごめん被る威力。

 

今のところお互いがアグレッシブに動き回っているので、その余波で雑魚ヴィランの介入を防いではいる。

 

掌ヴィランもこないが、動きを止めたら雪崩うって殺到されるだろう。

 

 

現に今も掌ヴィランがチートだなんだと喚いている。

そしてこのタイミングで紛らわしいヴィランも合流。

 

この流れはまずい。

脳ミソヴィランで手一杯なのに、後の二人プラスアルファの相手なんて無理、無茶、無謀。

多対1は意識が追い付かない。

 

 

 

これはちょっとシャレにならない、と思っていたらゲートがいきなり吹き飛んだ。

 

オールマイトだ。

目にも止まらぬ早業で周囲の雑魚を一掃してくれた。

そして、倒れ伏せた相澤先生を戦闘区域から避難させた。

 

 

 

そして、何故か掌ヴィランのテンションが急上昇。

脳ミソヴィランへ指示を出しているがここが魅せ場。

 

意地でも離さない。

雑魚の邪魔はもう入らないので3m程に巨大化する。

 

これで溜まった鬱憤を晴らせる。

 

触腕を強引に持ち上げ、ブリッジ。脳天から真後ろに振り落とすジャーマンスープレックスの変形型。

受け身を取れたかは確認しない。

 

腕に力を込めてスプリング。

触腕を起点に宙返り。

 

 

 

何度か繰り返し、移動しつつダメージの蓄積を試みる。

触腕の中のもがく力は衰えない。

 

とりあえず、オールマイトの邪魔にならないところまで行ってしまおう。

制止するかのような声が聞こえた気もするが、きっと気のせいだ。

 

全力で戦える滅多にない機会、身体が鈍らないようにしっかり運動をしなくては。


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