貴女の隣に立つ為に   作:ウルタールの猫

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はじめまして、初めて二次小説を書く若輩者ですが何卒よろしくお願いします。


:オリジン

僕は常に怯えていた。

自分達とは違う、と少年を排斥しようとする周囲の脆い子供たちに

狂気を誘う容姿に怯え、迫害を加えようとする脆弱な大ヒト達に

僕の独特なビジュアルから御輿として担ぎ上げようとするおかしなヒト達に

 

そして何よりも、それら一切合切を肉片へと変えてしまうことが可能な僕自身の個性に。

 

個性『伸縮自在』

全身、もしくは身体の一部を巨大化、もしくは縮小することのできる個性。

大きな物にはそれだけの質量が存在し、質量の大きなものがぶつかると大きな衝撃を産む。

 

即ち大きい生物とは強い生物につながる。

蟻が犬を仲間外れにしたところで何も感じない。

子猿が像に物を投げたところで傷付かない。

ヒトが神に祈りを捧げてもその声は届かない。

 

けど、僕は多分優しすぎたんだろう。

 

蟻の行列を見付ければ踏まぬ様に気をつける。

子猿が互いに毛繕いをしていれば心暖まる。

ヒトに頼られると、どうにかしてあげたい。

 

けど、祈りに応えてもらったヒトの欲望は加速し、肥大していった。

次第に祈りは、希望は、欲望はエスカレートしていき僕のやりたくない事も要求してくるようになった。

そんなヒトに自身の身の危険を感じ、個性を使った。

5歳の時だった。

 

覚えているのは血溜まりとヒトだったモノ。

鉄錆びの香りと断末魔を出しそびれた音。

僕の力をヒトには受ける事はできない。

幼いながら僕はそう想った。

 

以来、僕はヒト里離れた施設に預けられた。

僕の個性が起こした惨事を恐れた大ヒト達は近寄らず

子供達は異質な僕を遠巻きにしている。

 

それでいい。

僕はヒトを簡単に潰してしまう。

この身体は見るものに恐怖を与える。

そう思って日々を孤独に過ごしていた。

 

 

 

けれど孤独な日々は唐突に終わった。

齢15歳の春、僕は、液晶画面を通じて。

運命を見付けた。

 

 

 

その女性は強かった。

超常社会にて大手を振って個性を用い、悪を断つヒーローだった。

 

 

 

その女性は美しかった。

多くのファンがその近くに侍り自身が触れ合える時を今か、今かと待ちわびていた。

 

 

 

その女性は大きかった。

全長2063cm

大きい生物は強いという結論を出した僕からすれば、絶対的に強い。

 

 

 

僕は考えた。

どうすればあの女性にこの思いを伝えることができるのだろう?

 

 

 

僕は想像した。

 

ファンとのふれ合いイベントで?

他の有象無象の叫びにこの想いは埋もれてしまう。

 

一ヒトの男性として友好関係を結ぶ?

そんなツテ、コネがあるのであれば苦労なんてない。

 

 

 

案を浮かべては否定していく。

朝、学校への登校中

日中、簡単に理解できる授業そっちのけで

夜、夢の中で

 

告白するときにはこう言いたい、第一印象優しく、紳士的に。

理想ばかりが膨れ上がり、現実的なプランが思い浮かばない日々が続く。

ーーーーー

ーーー

 

義兄弟姉妹達がテレビの前で騒がしい。

モニターには雄英体育祭が放映されており、プロヒーローで雄英高校の教師であるプレゼントマイクの威勢良い実況の声が聞こえてくる。

 

 

 

その時、僕は閃いた。

 

ヒーローになれば良いんだ!

 

同業者としてあの女性と出会い。

 

対等な立場で切磋琢磨し。

 

同じ苦難に立ち向かい。

 

仕事振りを認められ。

 

互いに意識しあって。

 

デートを重ねて。

 

最終的に業界のヒト達に祝福されてゴールイン!

 

これしかない!

僕の脳内では著名なヒーロー達に囲まれてヴァージンロードを歩く僕とあの女性の姿が想い描かれる。

 

 

ヒーローとなるのであれば、この学歴社会に生きる者として、出身校は良いだけ好印象だろう。

北海道の田舎高校出身よりも東京の優秀な高校出身だ。

 

今現在、ヒーロー業界で有名でいて巨大な学閥が形成されている学校は東の雄英か西の士傑。

 

関東で活動しているあの女性と少しでも接点がありそうなのは同じく関東に校舎がある雄英高校。

 

数多くのトップヒーローを排出してきたマンモス高校雄英。

ここで優秀な成績を修めた上で卒業できれば、サイドキックとして鳴り物入りでヒーローデビューできるだろう。

 

 

Mt.レディ、あなたの隣に立てるようになるために僕は頑張ります。




名前:工藤 流歩
個性:伸縮自在?
年齢:15歳
ヒーローを目指す動機:Mt.レディとお近づきになる。

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