艦これ-Grand Order-   作:炭酸飲料

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お久しぶりの投稿です。
今年のクリスマスは『仮面ライダー鉄血のアークフレンズ』にならずに済みましたね。

私のクリスマスプレゼントはヘラクレスとの絆礼装でした。


悪いユメは私が食べてしまおう。

《これは夢だ》

 

視界が開き黒い海原を認めた瞬間に、暁は自覚した。

明晰夢というやつだろう、いつか響が言っていたことがある。

 

そして、夢の内容は

 

 

『Aaaaaaaaaーーーーーーーーーーーー』

 

奴の目の前に自分が取り残されている場面であった。

 

「ひっ、いや! 来ないで、こないでぇ!!」

 

恐怖が身を竦ませる、自分の身体のすぐそばに砲弾が落ち濡れ鼠となりながら相手を見る。

 

『Aaaaーーーーーーーー』

 

尻餅をついて逃げ出そうとする自分、しかしタールのような水が纏わりつき異形のル級に張り付いたひし形の瞳がこちらを見据える。

 

ル級の構える主砲がブラックホールのそこのように暗くて深い、深海のように思えた。

 

これは夢である、そう理解していているはずなのに明確な死の脅威をヒリヒリと押し付けてくる。

 

《まぁ、落ち着きたまえよ》

 

そのとき、まるで花びらのようにふわりとした男の声がした。

 

《ほら、よく見てごらん暁。

手も足も泥なんかなくて艤装が付いているはずだ、急げば避けられるんじゃないかな?》

 

謎の男の声に従うように水面を蹴りつけて横飛びに逃げ出せば敵主砲によって爆発した波にさらわれながらも受け身をとって起き上がる。

 

(逃げなきゃ)

 

こんな怪物を相手にしていられない、早く避難しなければ。

 

《残念ながらそれは無理だ。

君は自分の後ろに誰がいるのかを忘れてやしないかな?》

 

そうだ、自分の背後には姉妹達が居る。

見捨てるなんてありえない、「絶対に全員で鎮守府に帰還」するためには目の前の邪魔者を排除するしかない。

 

《もう一度言おう暁、これは夢だ。

君自身がすでに乗り越えている事件の残りカスに過ぎない、それでももし君が恐れるなら》

 

砲弾を装填し、機関部を唸らせる。

 

《そんな悪夢(ユメ)は私が食べてしまおう、だから安心するといい。

君たちは最高の指揮官と、ちょっとお節介な英雄達がいつでも見守っているのだから》

 

 

 

@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

 

「うわぁ、まだやってたんですか?」

「うぅ、大井ぃ、北上ぃ助けてよぉ」

 

軽巡洋艦待機艦娘である大井は間宮の食堂の一角で行われている姉妹のケンカ(と言うよりも説教)が朝から続けられていたことを想像してげんなりとした。

 

時計は既に正午を回っており、その間ずっと叱り叱られもう1人はそれを眺めていたと言うわけだ。

 

台所の奥で困ったように微笑んでいる間宮もこの3人を叩き出せばいいのに、そうしないのは彼女の優しさ故か。

 

「しかしまー、よく説教のネタが尽きないもんだよねー」

「それが違うんだよ大井ちゃん! せっかく朝帰りの説教が終わろうとしてるタイミングで川内ちゃんが居眠り始めちゃって」

「それで新しい火山がドッカーンと?」

「もうちょっと我慢すればよかったのにねぇ」

 

「それはそもそもキチンと夜に部屋まで戻ればいいだけの話ではないんですか?」

 

そう言っておきながら、それで大人しくなるならそもそも「夜戦バカ」などと呼ばれるわけも無いのだからどうしようもない。

 

「あ、そうだ。

川内さーてーとくとなんか話とかしてたの? 一晩も話し込むなんて面白い事?」

「北上さん、この話題に混ざるんですか?」

「だって気になるじゃーん? 大井っちだって、いきなりやってきた経歴不明の提督の事知りたくない?」

「それは気になりますけど、北上さんが他人のこと気にされるなんて珍しい」

 

大井は自分も含めた姉妹達はどうにも他人に対して関心が薄いものが多い。

特に問題だと思ったことはないが、それだけにこの北上の発言には驚いた。

 

「うーん? こないだ青葉んをこちょぐりまわして完成前の新聞をのぞいて見たら面白い事書いてたからねぇ」

「そうなんですか姉さん? 一体どんなお話をされたんですか」

「えぇ、さんざ叱られた後にその話しなきゃいけないの?」

「いーじゃんかさーあ、どんな会話があったのか詳しく教えてよ」

 

川内の隣に座って肩を組む北上。

説教してた神通も興味深そうに姉へと目を向けていた。

 

「なんていうか提督は鎮守府を学校みたいにしたいらしいよ?」

「「「学校?」」」

「養成所!?」

 

1人だけアホみたいな事を言ってたが無視する。

 

「今の私たちって普通に人間の軍人とおんなじ訓練してんじゃん? でも提督的にはもっと人間らしい生活をした上で訓練させたいらしいんだよね」

「人間らしい生活? ってどういうことです?」

「んーっとね、美味しいご飯食べて勉強して遊んでそれが出来る上で艦娘になって貰いたいんだって」

 

なんともまあ欲張りな事だ、艦娘を兵器として運用しながらも人間として成長させようなどとは。

どんな計算があっての事なのか。

 

「那珂ちゃんさんせーい!! やっぱ戦うだけじゃなくてさ! もっとキラキラヒラヒラ踊ったりしたいもん!」

「私は反対です、美味しい食事と言うのは全体の士気向上として理解出来ますがそれ以外は無駄だと思います」

 

川内型の中で意見が割れて議論される姿を見て北上も何か考えているようだった。

 

「川内っちさー、提督がアタシらの教官になる人を外から呼ぶって言ってたじゃん?

それって本当にそれだけの実力がある人なの?」

「提督はそのつもりだったケド?」

「ふーんそっか、ならいいんだけど」

 

そう言った北上がちろりと唇を舐めるのを見た大井は内心で思い出した、そういえば北上は見た目以上に「肉食系」だったと言う事を。




そして、1年越しに登場してくれたエレちゃんのスキルを絶賛上げまくり中です。
無意味な暴力がエネミーを襲う!!

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