スキルも無いのに隠密を看破されたら初代様に首を切られちゃいそうなのでやめました。
エジプト王sと山の翁sはマジでブラック過ぎて笑えません。
「提督、もしかして寝不足ですか? クマが凄いですよ」
「いやー、ちょっと夜更かししちゃって」
藤丸はいつものように間宮で朝食を摂っていた。
間宮に指摘された目の下を揉みほぐす。
「体調管理も仕事のうちよ、もし執務中に寝たらぶっ叩くからね?」
「間宮さーん、秘書艦が怖いよー」
「あらあら、でしたらおかずを増やしておきますから元気出して下さい」
「あまり甘やかしちゃダメよ、こいつこう見えて結構図太い神経してるんだから」
「あははー、提督って絶対尻に敷かれるタイプだよねー」
カウンターになっている席の左側、叢雲の反対に座る川内がカラカラと笑う。
昨日の夜、と言うか今日の明朝まで川内の話を聞いていたせいで自分は寝不足なのに
「それにしても珍しいですね? 提督さんが叢雲さん以外と一緒に来るなんて初めてですよね」
「そういえば、本舎の前で私が合流した時も一緒だったわね」
「そりゃそーっしょ、だってあたし提督の部屋に泊まったて一緒に来たんだもん」
「川内さん帰れっつっても言う事聞かなかったじゃん」
「提督だって(夜戦に)興味しんしんだったくせにー」
「だからって朝までずっと(夜戦の話)するなんて聞いてなかったぞ」
「途中からガツガツ(質問)するから時間かかったんじゃんか」
「だからってあんなにされたら体がもたないっての」
ガチャン、と何かが落ちる音がした。
振り向くと川内と同じ制服を着て青ざめている艦娘の足元で取り落とされた食器が転がっている。
「ね、姉さん? 昨日の夜、帰らないと思ったらまさかそんな、提督と大人の階段を上るような事をしてたんですか!?」
「は? 大人の階段?」
どう言う事かと間宮に聞こうとするが、顔を赤くして目を背けられてしまった。
叢雲の方を向くと、
「あんた、たった今の自分らの発言を振り返ってみなさい」
「自分の発言を?」
腕を組んで思い出す。
夜に男女が興味しんしんで朝までガツガツして寝不足になる。
「ヤベェ、大人の階段登ってそうに聞こえる」
「やっぱりそうなんですか提督!?」
「違うからね神通! 提督も納得してないで説明しようよ!」
周囲を見れば一部の艦娘は気まずそうにしながらも誰一人として退席せずに耳を傾けていた。
暁だけは響が耳を塞いでいでいたが。
「神通さん落ち着いて、やましい事も如何わしい事も何もしてないよ!」
「そうだよ! それに提督は別にタイプじゃないから大丈夫だって!」
「はああぁぁぁぁ? じゃあ何で『添い寝してあげよっか』とか言ったんですか? 男心を弄んだってことですか!?」
「えええええなんで提督が爆弾発言ぶち込んで来るのさ!?」
「姉さんどう言う事ですか!?」
神通の矛先をなんとか川内に集中させて湯呑みに手を伸ばす。
「あの提督? 本当に何もしてないんですか?」
「そんなに心配しなくても本当に何もありませんよ間宮さん。
俺はソファーで寝ましたし、指一本も触れませんでしたから」
「秘書艦としては同意さえあれば好きにしてくれて良いけどね、艦隊の志気が下がらないようにして欲しいわね」
「いやもうぶっちゃけ眠すぎてそういう気にはならなかったし、あいつ俺より早く起きてるしなんなのあの夜戦バカ」
間宮にお茶のお代わりを貰い眠気を覚ます為に飲み込む。
隣で説教を受ける川内が助けを求めるようにこちらを見て来るのでにこやかに手を振って返すと嬉しそうに絶望していた。
「川内さんっていつもこんな感じなの?」
「そうよ? ほら、そこで『ゴシップ厳禁!』の看板を抱えてるのが三女の那珂よ」
「川内ちゃん女の子なんだから夜更かしはダメだよ! お肌荒れちゃうよ!」
「そもそも男性の部屋に泊まるなんて破廉恥すぎます!」
「わかったからそんな責めないでよー!」
どうやら川内の深夜訓練は有名だったようで、騒がしくする度にああして怒られているらしい。
「仲いいんだねぇ」
「なにいい話に纏めようとしてんのよ、夜更かしの件であんたも説教するから」
「間宮さーん! 助けて!」
「提督はもっと発言に気を付けた方がいいと思います、しっかり絞られたら美味しいお昼をご用意しますね」
肩に添えられた叢雲の指が絶対に逃がさんとばかりに食い込んで来た。
提督はソファーを使って寝てる間に、川内は藤丸の布団を使って寝てました。
静謐はそれを見て膝から崩れ落ちただろうなぁ、などと思ってます。
若しくは、普段から(勝手に)潜り込んでいるから毒がないかハラハラしたり?