桜が可愛かったし作画も丁寧で桜が可愛かったし桜が可愛い。
みんなもいこう(ステマ)
パールヴァティー? 知らない子ですね。
藤丸は明石によって執務室に届けられた椅子に腰を下ろした。
急造品だと言っていたが、椅子も机もちゃんと作り込まれている。
椅子に使われてる革の様な素材は一体なにが使われいるのだろうか。
「ほんとはもっと時間掛けて作りたかったんですけど、使い心地は保証しますよ」
「うん、ありがとう明石さん」
大きな机と椅子があるだけでなんだか偉くなった気がするから不思議だ。
「子供みたいに椅子に座ってくるくる回るんじゃないわよ」
「はーい」
先ほどまで荒ぶっていた事などなかったのか事の様に振る舞う叢雲からカードを受け取る。
紙の様な、それでいてプラスチックで出来ている様な不思議なそのカードには一隻の船が描かれていた。
「これが、艦娘の艤装?」
「を解放する為の『鍵』よ。
私たちの魂に刻まれている軍艦だった頃の力を引き出す、呼び水の様なものね」
「学者さん達は
このカードは艦娘と一体化してしまうから使い回したり出来ないんですよ」
「それで、このカードを使える艦娘さんは?」
「もう呼んであるわ」
せっかちな奴だからすぐに来るだろうという。
(それにしてもこのカード、どう見てもサーヴァントを呼び出すときの奴と同じだよなぁ)
「来たわね、入りなさい」
「はーい、島風入りま〜す」
元気な声と共に現れたのは
「君が、このカードの艦娘?」
「駆逐艦の島風です、速さなら誰にも負けません!」
「よろしく、島風さん。
あとあまり跳ね回らないでね」
このカード、艤装鍵符は提督の許可が無くてはインストール出来ず、また提督の一存で「引き剥がす」事も出来るのだそうだ。
「提督早く艤装ちょうだい、そうすればわたしはもっと速くなれるから」
「島風さんは随分速さに拘るんだね」
「トーゼンでしょー? だって速くないと遅いじゃん!」
「うん? いやまあ、そうだなぁ」
急かされるまま島風にカードを渡すと、彼女の胸に吸い込まれる様に消えた。
光の粒子が島風から溢れ出し、艤装となって顕現する。
それは背中に着いた機関部と魚雷菅であり、
『キュイ?』
「ん?」
3体の小さなロボとして目の前に現れた。
ドラム缶の様な胴体に四角い頭から伸びた二門の砲塔、大きさが異なるが似た様なデザインのものがキョロキョロとしている。
可愛い。
「叢雲さん、このちっこいのは?」
「島風の艤装よ、自律して動く連装砲として使えるわ」
「もし連装砲ちゃんを酷い扱いかたしたら提督でも許さないから」
「わかった、約束するよ」
中サイズの連装砲を抱えた島風にジッと見つめられる。
「島風さん、俺は提督として頼りないかもしれないけど自分にできる事があるなら言ってくれ」
「あんた、それを会う奴みんなに聞くつもり? しまいにゃ身が持たなくなるわよ」
「そうかもしれないけど、もし俺でも力になれるならそうする。
今まではずっともらってばかりだったからね、少しはあげられる様になりたい」
平凡な自分でも誰かの助けになれるなら、自分が背中を眺め続けるだけでは無くて隣に立てるくらいにならないといけない。
そうでなければ、自分は『先輩』として胸を張る事が出来ないだろう。
「? 島風でいいです、さんとか付くと呼び終わるの遅くなるし」
「本当に速さが命なんだね」
「もし、出来るならあたしがもっと速くなれる様にしてください。
誰よりも、敵よりも、風よりも速く」
島風はそれだけ言うと「ちょっと走って来る」とだけ言って出て行った。
子供は風の子と言うが、まさに風の様な艦娘だ。
「艦娘の制服は、君たちの趣味なのか?」
「さすがに島風のはどうかと思うわよ? 私たちのだって」
「あはは、なんでも『艦娘界のダ・ヴィンチ』と呼ばれる人がデザインしたそうですよ」
「ああ、そうなの」
(それ絶対本人だよね)
喉元まで出かかった言葉をなんとか飲み込み、今も雪山の奥地でドヤ顔をしているだろう仲間の事を思い出した。
特に覚えておかなくていい設定
・艤装はシェアリング出来ない
例えば、叢雲Aと叢雲Bという素体があったとする。
この時、艤装が一つしかない場合は同時に2人の叢雲が艤装を扱う事は出来ない。
また、叢雲Aが出現し練度を上げた後に叢雲Bが同じ艤装をインストールしても練度は共有されない。
あくまでも練度とは艦娘本人が身につけた技量である。
そして、同じ鋳型の艦娘が2隻以上同時に出現しようとすると艤装が誤作動を起こす。
ラジコンが同じ波長の電波を受けて勝手に動く様に同じ艦娘の艤装同士はお互いに干渉するためだ。
これは艦娘の魂の波長によるものなので、ゆーちゃんとろーちゃんであっても影響する。