・深海棲艦は静謐のハサンとメディア・リリィ、そしてナイチンゲールの宝具で苦しむ様子が見られた。
静謐のハサンの夜は長い。
カルデアから遠く離れ極東の国に勤める事になった主人の護衛をする為に影となり着いてきた。
こぞってついて来ようとした英霊たちだったが、様々な外圧によって叶わなかった。
冗談抜きに一騎当千の勇者がわんさかいるのだ、魔術に疎い国連も顔を青くしたという。
そんな中で、特に戦闘能力に秀でた訳でもない自分が選ばれたのには理由がある。
まず、隠密に長けておりいつでも守りにつける事。
流石に狂戦士に連中は護衛に出来ないし、かといってかの騎士王や征服王の様に目立つ存在も好ましくはない。
金ピカ1号? 論外。
もう1つの理由は
と言っても少し動きを鈍くする程度のものだったが、いざという時に自分が海に浸かれば少しは足止めになるだろうから。
「マスター、お夕食を用意しました」
「静謐? 別に身の回りの事までしなくてもいいよ?」
「そうはいきません、昨日みたいなカップ麺ばかりでは体を壊してしまいます」
入浴を終えてタオルを肩のかけたマスターがちゃぶ台についた。
あとで飲みに行こう。
「おぉ、肉じゃがなんて作れたんだ」
「その、アーラシュさんに手伝って頂きまして」
「人が良いにも程があるだろあの大英雄」
手を合わせてから肉じゃがを口にするマスター。
・・・・・・いくら耐性があるからといって自分の体質を知った上で躊躇いなく食べて、しかも無事な者などどれだけいるだろうか。
「うん、美味いね。
ありがとう静謐」
「いえ、
マスターが提督として身に付ける軍服をハンガーに掛けシワを伸ばす、毒を着けてしまわないように気をつけて仕上げた。
制服のマスターも良いが、やはりカルデアの制服が1番似合うと思う。
「そういえばマスター、今日はお勤めの後も明石さんの所で艤装? とやらの整備をしていましたが。
あのような作業までする必要があったのでしょうか?」
「うん。
やっぱりまだ艦娘の事ってよくわかんないから、明石さんに話聞きながら触ってみれば何かわかるかなぁって」
「そうですか、確かに武器に触れていれば何か得るものがあるかもしれません」
長く使う武器には使用者の癖が表れるものだ、武人ではないマスターでも感じ取れるものがあれば良いのだが。
食器を片付けてあくびをするマスターが横にならないよう寝室へと促す。
何を隠そうベッドメイクこそ今日1番の会心の出来を自負する仕事なのだ。
「さぁマスター! これが『ハイパーYESベッド』です! ずずいっと奥へ」
「俺はソファーで寝ます」
「そんなぁ!?」
静謐ちゃんの夜は長い。
静謐「マスターが寝た後は昼間の無礼者を