かつて、人類は救われた。
人類史に残る7つの分岐点に介入され失われるはずだった"ヒトの歴史"。
すなわち人理は、ある若者の冒険と無数の奇跡によって回避され2016年以降もより強く紡がれている。
人理修復による影響も今では収まり人類が改めて地球で最も栄えた種として君臨、
・・・・・・
する筈だったーーーーーー。
『やぁ、こんな時間にすまないね』
『そう、君を呼び出したのは少し前にお願いした件と関係がある』
『ようやっと国連と教会も重い腰を上げたみたいだ』
『奴らの呼称も決められたようでね。【深海棲艦】、それが新たな脅威の名前だ』
『そして、もう1つだけ決まったことがある』
『今回、私たちは君に手を貸すことは出来ない』
『ふふ、そんな顔をするんじゃない。もちろんバックアップはするとも、天才に不可能はないからね』
『ただ、奴らには魔力を用いた攻撃も通常兵器もほぼ効果が無いことが判明したからね』
『だから、国連と協会、そしてカルデアの総力を結集して新たな戦力を生み出すことにしたのさ』
『君にはそこでマスターとして、いや、違うな。司令官として、活躍して貰いたい』
『そう、英霊とは異なる奇跡。
ーーーーーー艦娘達の指揮官としてね』
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目の前に、ダンボール箱がある。
『みかん』と印刷されている、古ぼけたそれが自分の新たな職場に放置されていた。
思わず廊下へ飛び出し重厚な扉の上部に掛けられた名前を確認するも、確かに執務室と書かれている。
あらかじめ渡された案内図にも間違いはない。
ふと、手紙の裏側を覗いてみると。
『とりあえず仕事ができる程度の準備はしておくから君はすぐに向かうといい。荷物もこちらで手配しておくよ。
追伸、マイルームはシンプルにしておくから頑張って模様替えしてね
天才より』
「やりやがったなダ・ヴィンチちゃん!」
さっきまでこんな文字はなかった筈なのにいきなり現れた文字にニヤニヤと微笑みを忘れない犯人の顔が容易に想像出来る。
(すまない。いたずらを止めることが出来なくて本当にすまない)
「あんた、何者? ここは一般人立ち入り禁止よ」
「え?」
彼が共犯者が誰か考えていると、不意に声が掛けられた。
声の主は少女であった。
頭部に謎のユニットを浮かべた銀髪の彼女は、手に持った独特な形状の槍をこちらに向けたままこちらに鋭い視線を飛ばしている。
「待ってくれ! 怪しいものじゃない!」
「怪しい奴はみんなそう言うわよ」
「本当だって、ほらこれ! 提督が着けるバッジがここに」
少女は男の胸につけられた勲章を確認するとポカンと口を開いた。
「ほ、本当に提督なの? あんたが?」
「そうですよ」
男の頭からつま先までじっくり3回ねめ回した少女は頷いた。
「なんか頼りないわね」
設定でおかしなところがあったらご指摘下さい。
あと、このぐだ夫は結構喋ります。
ご注意下さい。