CODE:HIRO 9話
敵連合の襲撃事件はオールマイトの活躍と駆けつけた先生方により収束した。
大神の殺したヴィランは例の如くチリ一つ残らず燃え尽きたので証拠は残らず、目撃した八百万も揉み消されるのがわかっている為、何も言わなかった。
怪我人は継承者と渋谷、それと大神だが、渋谷と大神は生命力が高いのと応急処置が 適切なお陰でリカバリーガールのその場の治療で完治した。
皆が撤収中の中、渋谷と大神はまだ座り込んでいた。
「ほら、お二人とも帰りますわよ。」
中々動き出さない二人に八百万は副委員長として声をかけた。
「………」
「どうしたんですか?
渋谷さんまで、たしかに主犯格を取り逃したのは残念ですがお二人のおかげで生徒の皆さんが無事だったんですよ。」
二人にとって大事なのは主犯格でも雑魚の殲滅でも無い、最初に介入した正体不明のフード姿の二人であった。
そして渋谷にはうち一人の異能に心当たりがあり、大神にはもう一人の異質な力の使い手に心当たりがあった。
二人が想いに老けていると突然二人に話しかけてきたものがいた。
「二人とも、ご苦労様です。」
それはかつて八百万に助言した学園の先生らしき人物であった。
「あ…あなたは…」
「平家…」
「
「え!?」
八百万は当然驚く。
そして、聞き返した。
「じゃあ、この人は…」
それに答えるのはもちろん渋谷。
「この人はC:B02平家将臣。
C:Bの元締、僕らをこの学園に呼び寄せた張本人さ。」
確かに変わった人だとは思ったがまさか大神の関係者だとは思わなかった八百万。
そして会話の中で八百万は違和感に気がつく。
「え?02なのに?」
「大神さんが僕らのエースであることに変わりないですが、2番先輩にはもう一つの顔がありますから。」
彼にはC:Bの裁きが正しく遂行されているか監視するジャッジの役割がある。
「渋谷くん35点、大神くん5点。」
エデンのジャッジは点数式の様だ。
しかし、活躍した大神が5点で何もできなかった渋谷が35点は驚きだ。
「えっ…なんで先輩が5点なんですか?」
「研修生の君と違って01のコードを持つものとしては不十分なんですよ。」
入ったばかりでバイトの様な立場の渋谷と歴戦のC:Bの中でもトップに位置する大神との立場が違うのは当然だ。
「でも、思った以上に彼らは得体の知れない力を内包している様です。
これは呼ぶしかないですね。」
「何をですか?」
八百万が平家に尋ねたが後の二人は言わなくてもわかっている様だった。
「残り三人のコードブレーカーを…」
この学園に在籍するトップクラスのプロヒーローを比べても遜色ない、寧ろ上回っている部分さえ有ると見える大神と肩を並べる残る三人のコードブレーカーが集まればそれはすごい戦力になる。
八百万は武者震いをした。
「チィ……」
逆に大神は悔しそうにし、その場から立ち去った。
昔と違って他のC:Bと協力してことにあたることに抵抗はないが、自分の失態が招いての事となると頼りたくはない。
特に弱みを見せたくない奴がメンバーに一人いるから尚更だ。
大神の機嫌を感じ取った八百万だったが、あえて大神を追いかけるのであった。
その姿を見た平家は懐かしく感じた。
「懐かしい光景ですね。」
その昔、ああして大神を追いかける女性を平家は知っていた。
「なんの話ですか?」
「昔話ですよ、昔のね…」
「先輩の過去ですか?差し支えなければ教えてくださいよ。」
「………まあ、概要だけなら…」
プライバシーもパーソナルスペースも気にせず踏み込んでくるC:Bは珍しいが、珍種であり
ただ、主に官能小説を愛読し、普段の会話もアレな平家の解説が、言える内容が少ないことも合間って多くの誤解を生む事となる。
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「大神さん!!」
大神に追いついた八百万。
呼び止められても止まる気配が無い大神に対し、八百万は正面に回り込み思っていることを口にした。
「大神さん!」
なんのことかわからない大神は不機嫌そうに答えた。
「どうしたんですか、八百万さん
正直、今は…」
「大神さんは間違ってはいません!」
「はい?」
八百万は大神の気持ちを汲み取ったかの様に話を始めた。
「身を隠さないといけない立場にもかかわらず、大神さんは皆んなを守ってくださいました。
その所為で敵に遅れをとったことは残念ですが、大神さんは間違っていないと思います!」
八百万は大神が悔やんでいるのは皆を守るために力を使ったことを後悔しているのだと思い励ました。
大神はいつもの能面ではなく、素の笑顔が溢れた表情で返した。
「そんなことを言いに来たんですか。
でも、ありがとうございます。
気持ちが少し楽になりました。」
大神はポンっと八百万の頭をたたいて、お礼を言うと再び八百万を置いて去っていった。
しかし、その後ろ姿には先程の様な不機嫌さは無くなっていた。
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二人のそんな様子を眺める二つの影。
「1番、楽しそうやな。」
「あいつのあんな姿、みるの久しぶりだな…
ちょっくらからかいに行くか。」
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平家から昔話を聞いた後、分かれた渋谷と平家はそれぞれ、今回の事件で思うところがあった。
平家はとある人に今回の件を報告していた。
TELLLLLLL!
「会長、ご無沙汰してます。」
『やあやあ、平家くん』
「例の件ですが、相手側に彼が着いているのは確実の様ですね。」
『はやり、そうか』
「それで、例の計画を復活させたいのですが…」
『例のって…あれは自分や『捜し者』さえ、途中断念した者だしね。
大神くんも以前の修行では基礎さえ習得できなかった代物だよ?』
「しかし、彼が動くなら必要な力の筈です。
現状、習得できる可能性があるのは大神君だけですから。」
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同じく渋谷もお世話になっている人に電話をかけていた。
TELLLLLLL!
「あっ、桜子おば……おねえさん
ちょっと調べて欲しいことがあるんですけどいいですか?
…えぇ、そうです。
まだ、確信は持てないですが少し『思い出した』ことがありまして。
あっ、はい。
それでは情報はいつものルートで…」
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所変わり、平家の連絡をもらった者は以前、根津校長と話していた着ぐるみの男であり、その日も偶然、校長に会いにきていた。
この男はエデン関係者からは『渋谷会長』の名で慕われ…てはいないが関係者の皆が一目置く存在であった。
「やはり、彼らも動き出しましたか…」
根津校長は渋谷会長に問う。
「はい…
古の力…神話の存在と謳われた者たちが…」
渋谷会長は答えた。
個性が発見される前から超常な力を持つものは存在していた…『異能』という形で。
しかし裏社会でのみ知られていたとはいえ存在し、研究されていた『異能』が根源であると誰が証明できたであろうか。
今でこそ御伽話や神話、民話の中の存在であるとされているが超常の力を持つ者は存在した。
人々から『鬼』と恐れられ、『神』として崇められたそれは人としての規格を優に越していた。
彼らは生き残り再び暴れられるこの時代を待っていた。超常が日常化したこの時代を。
「お互いに本腰を入れましょう。『継承』のために。」
『異能』の代表者である『エデン』と『個性』の代表者ともいえる現代の『政府』は手を組んだ。
『異能』が過去からの脅威に対抗するために。
『個性』が年々、複雑化し強力になる個性の暴走を止めるために。
『継承』それが彼らの課題であった。
ヒロアカの設定を『X-MAN』に当てはめるならこの作品のC:Bはファーストジェネレーションの世代で敵がアポカリプスの敵といった感じでしょうか。
お気づきの人も多いでしょうが、クロスオーバー作品を一つ増やします。