CODE:HERO   作:TubuanBoy

6 / 11
だいぶ久しぶりです!
忙しさと他の誘惑が多くてなかなか書き進められなかったのですがようやく次話投稿です。


第六話

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

雄英生徒・八百万百は窮地に立たされていた。

 

「ウヘヘヘッ……餓鬼のくせにいい身体してんじゃねぇか姉ちゃん」

 

八百万は触手のような物で拘束されて動けないでいた。

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

事の始まりは今日の終礼後。

大神の携帯が鳴ったことから始まった。

 

大神は八百万の監視対象だ。

クラスの誰よりもよく見ているつもりだ。

 

八百万は大神のこれ以上の殺人を望まない。

こっそり後ろから覗き込み双眼鏡をクリエイトして画面を覗いた。

 

 

 

内容は要約すると個性を使い、悪事を働く悪を抹殺する事だ。

 

生安角手(はやすかくて)

大神はこれからこの男を殺しに行く。

 

その現実を知ってしまった八百万は困惑してしまった。

 

(ついに…来てしまいました……

 

……どうしましょう、おそらく警察に言っても意味はないですし……

 

先生方プロヒーローに相談を?)

 

大神が実力を出しきっていない事を視野に入れてもこの学園にいる人気ランキング上位のヒーローにはそう簡単に手は出せないと考えた。

 

『君は先輩の気まぐれでギリギリ生かされている事を忘れない方が良いよ』

 

この間、渋谷に言われた事を思い出した。

 

(……いや、かれは真実を知るものすべてを燃やすと言っていました。

 

それにもし、外部に漏れればその人だけではなく、周りの人まで……)

 

相手が大神だけならいくらでも手はあるのだが、今のギリギリの均衡を崩すのなら必ずエデンという秘密組織が絡んでくる。

 

彼らの隠蔽能力は警察や国家にまで影響力がある。

 

『俺たちは法で裁けぬ悪を裁く』

 

大神の言葉を思い出す。

ルールに守られている限り警察もヒーローも手は出せない。

 

(でも、何かやらないと……)

 

名前しか知らない人を救うことなんて出来るはずがない。

素直に大神に聞いても教えるはずがないし、彼自身を止めるなんてもっと無理だ。

 

己の無力さを痛感し、廊下を歩いていると異様な光景が目に入った。

 

白髪の男性が洋式の椅子とテーブルを構えて紅茶を嗜んでいた。

 

(か……官能小説…………)

 

事もあろうに彼は官能小説を片手間に読んでいた。

 

「お困りの様ですね。お嬢さん」

「えぇ……まぁ」

 

(学校関係者ですよね?でないとここには来れませんし……

変わった人だから私の知らないプロヒーローでしょうか)

 

プロヒーローには変な人が多い、それにこの学園の先生は全員現役ヒーローだ。

 

その男は八百万の顔を見ると見透かしたの様に

 

「ご学友の悪業を止めたいのだけど自分には力が無いと…

それは辛いですね」

 

「えぇ!?そうですが何故それを!」

 

男はその問いに答えた。

 

「私はエデンの在り方に疑問を感じている者……と言ったところでしょうか」

 

「エデンを!コードブレイカーを知っているのですか!?」

「ええ、もちろん

1-Aの大神くんと渋谷くんがそれだという事もね。」

 

良かった!

流石は雄英の教師、エデンの存在に気づいている先生がいても不思議では無い。

これで1人、秘密と悩みを分かち合える人に会えたと八百万は思った。

 

「先程、彼に暗殺の依頼が!

早く止めないと!!」

「知っています」

 

男はUSBメモリーを取り出した。

 

「ここに、彼が標的にするであろう法で裁けぬ悪のデータが記憶してあります。

 

…貴方にこれを上げましょう。」

 

そこには主な潜伏場所など、八百万の望む情報が入っていた。

 

「本当ですか!?」

 

 

「しかし、あなたにはありますか?

彼らを止める覚悟と信念が………」

 

自分の行いが悪である事を自覚しながらも突き進む彼らの行動には信念がある。

 

信念ある者の行動を止めるのには同じく信念と責任を持たなければならない。

それは善悪を超えた道理である。

 

しかし、八百万には問いの内容は届いていなかった。

八百万はすぐさま男の手からUSBメモリーを取り立ち去って行った。

 

「…………………

 

減点ですね。人の話は最後まで聞きましょう。」

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

裏路地に追い詰められる1人の成人。

それを追い詰めるCB達。

 

 

「許してくれぇ!!

俺が何したって言うんだ!!」

 

CBがひとり、大神零が言い、渋谷が続いた。

 

「そう言って何度、罪を逃れた……」

「強盗、恐喝、強制猥褻etc………犯罪のオンパレードだね」

 

 

「……そ、そんなの………何処に証拠が……」

 

 

「パパに頼んでもみ消してもらったんだろ?」

 

彼の親父は警察官僚にも顔が効く国の役人だ。

 

「じゃぁ、てめぇも俺には手を出せないぜ。ヒーローさんよ

証拠もないに手を出したら犯罪者だ」

 

 

「残念、僕たちはヒーローじゃないし罪で裁かれない存在なんだよね」

 

彼らはCB、たとえ人殺しをしても裁かれない存在。

 

「なんだよ!意味わかんねぇよ!!」

 

ガシッ

 

耳障りな言葉を遮るかのように生安の首を掴む大神。

 

「もう、いい……

 

燃え散…「させませーん!!」っ!!!」

 

突如現れたのは八百万。

データを読み取り現場に急行。

するとまさに裁きが下る瞬間だった為大神の腕を蹴り上げ拘束を取り払うとバイクを創造して生安を後ろに乗せて走り去った。

 

 

「……………」

「今の八百万さんだよね?…

なんでここに来れたのかな……」

 

八百万が謎の男から標的の情報を聞き出し現場に駆けつけたことに渋谷は驚いていた。

 

(なんだが、昔にも似たようなことがあったな…)

 

「早く追いかけましょう!」

「おぅ。」

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

バイクでの移動も路地裏では限界があり、走って逃げる二人。

 

「はぁはぁはぁ……」

「はぁはぁはぁ……

おい!もう、追って来ないんじゃ無いか?」

 

「いえ、そんなはずはありませんが、少し休みましょう。」

 

少し落ち着いたところで男は八百万を怒鳴りつけた。

 

「なんだよ、アイツら!

意味わかんねぇよ!」

 

「私だって説明できるほど彼らを知りません。

私も本当だったらあなたなんか助けたくありませんが、どんな犯罪者でも死に行く人を見捨てることはできません。」

 

八百万は謎の男から受け取ったデータで彼がどんな罪を犯していたかを知っていた。

知った上で助けていた。

 

「表通りに出て助けを求めようぜ!

警察に匿ってもらってもいい!!」

 

たしかに常套手段ではあるが、八百万は以前の経験からそれがダメな事に気がついていた。

 

「無駄です。

彼らは任務を遂行するために他人を巻き込むことに躊躇がありません。

被害が広がるだけ。

 

そして警察も無駄です。

おそらく近隣の警察には彼らの手が回っているでしょうし。」

 

まさに八方塞がりである。

 

男は最後の手段だと携帯を取り出し、連絡をとる。

対象は勿論数多の犯罪の証拠をもみ消したり示談に持ち込ませた彼の父親のところであった。

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

所変わって彼の父親が働くオフィス。

やはり、官職が使う個室のようだ。

 

息子から電話がかかっていることに気がつく。

いつものわがままだろと思っていたが、自体は思ったより深刻であった。

 

『助けてくれ!親父!

コード・ブレイカーとか言うヤバい奴らに追われてるんだ!!』

 

彼は自体の深刻さに一瞬で気付く。

彼も曲がりなりにも政府の要職、政府の裏の顔もその手足であるエデンの存在も知っていた。

 

彼は何も答えずに息子の電話を切った。

彼は自分のやっていることがC:Bの粛清対象になると知っていた。

息子の犯罪の隠蔽なんていう微罪ではない。

彼の本性は人身売買、特殊な個性を持つものを社会的に死んだことにしてとある非合法組織に売り渡す行為だ。

 

(息子は見せしめか?警告か?………まだ、決定的な証拠は掴まれていないはず。

………とにかく急いで隠さなければ!!そうしなければ次は私が殺される!)

 

すでに彼の脳内には息子に対する心配ではなく自己保身で一杯であった。

 

(証拠を隠したらしばらく身を隠さないと………あのお方(・・・・)の所へ!)

 

すぐさま行動にかかろうとしたいた彼の前に一人の青年が立っていた。

 

「いやいや、息子がクズなら親もクズか…」

 

ここには関係者以外は入れない。

彼はすぐに青年が只者じゃないと気がついた。

 

「誰だ!貴様ぁ!!」

 

焦る彼は青年を怒鳴りつける。

 

C:B(コード・ブレーカー)………って言えばわかるよな?」

 

彼は唾を飲んだ。

すでに自分の元にまでエデンの手が迫っていたのだと。

 

「息子よりも自分を心配するクズ親じゃあ息子がグレるのもわかる気がするがな」

青年はまるで心当たりがある様に語る。

 

「あんたの悪事は全て掴んでるだよネ。

 

…だからさー、死ねよ。」

 

 

死の宣告、しかし彼は覚悟をしていたのか、冷静に状況を見ていた。

部屋には青年一人、ならば隙をつけば逃げられなくもない。

 

「そうだな…………だが、死ぬ前に………死ぬ前に…………

 

 

 

死ぬのは貴様だぁぁぁぁぁ!!!!」

 

彼は引き出しから拳銃を取り出し発砲した。

 

 

部屋に響き渡る一発の銃声。

 

 

しかし、それに続くはずの音が聞こえて来なかった。

それは着弾音。

青年に当たるなり避けて壁にぶつかるなりすれば確実に音が聞こえるはずだ。

 

「ザンネンデシター……」

 

銃弾は彼の目の前でまるで時間が止まるかのように止まっていた。

彼にとって腐る程こなしたシュチュエーション。

余裕はあれど隙はなかった。

 

「返すよ。……コレ」

 

「やっ…やめろ!助けてくれ!」

 

彼の命乞いも虚しく弾は彼を貫いた。

 

「目には目を……歯には歯を……

 

悪には正義の鉄槌を…」

 

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

一方、父親に見捨てられた息子の側というと。

 

「クソっ!!電話切りやがった!!」

 

 

(親にまで見捨てられましたか………)

八百万の手に入れたデータには父親のことは詳しく書かれてはいなかった。

しかし、自体の状況的にいつものように彼の父親の力で なんとかなるとも思えなかった。

 

「もうダメだ……御仕舞いだ…」

親にまで見捨てられた彼は絶望していた。

 

「生きることを諦めないでください。

生きて罪を償うのです…」

 

八百万の言葉に彼の思考が思わぬ方向に進む。

 

「そうだよ……どうせ死ぬんだし、生きてたってこのままじゃかったりー務所生活が待ってんだ……

 

だったら最後まで好き勝手生きてやるよ!!」

 

「え!!」

 

彼は自身の個性を発動させた。

 

生安角手(はやすかくて)彼の個性は視界に映る無機物から感覚がリンクしている触手的な物を生やすことができる。

 

そして、話は冒頭に戻る。

 

 

「ウヘヘヘッ……餓鬼のくせにいい身体してんじゃねぇか姉ちゃん」

 

彼の犯罪の大半は婦女暴行。

父親はその度に被害者に大金を積み立て事件そのものをなかったことにしていた。

 

彼は最後の時間に自分が最も満たされる行為に投じた。

それも仕方ないのかもしれない。

極限の状況下に彼の目の前に極上の素材な転がっているのだから。

 

八百万の抵抗も虚しく服を剥がれて行く。

(くっ…こんなはずでは……)

 

まさか助けた相手に襲われるとは八百万は思っていなかった。

表の世界でのうのうと生きていた八百万には。

 

「残念時間切れだよ、お兄さん。」

 

追いかけてきた渋谷が触手を掴んだ。

感覚リンクしている触手は渋谷が掴むと生命力が抜け、彼はみるみるうちに立てなくなった。

 

「ちくしょう!!

……最後ぐらい……最後ぐらい……」

「そうだな。本当に最後だ。」

同じく追いついた大神は倒れた彼に手を置いた。

 

彼は無表情を貫きながらも助けた人にまで手を出す外道っぷりを目の当たりにした大神はハラワタが煮えくり返っていた。

 

「目には目を歯には歯を悪には悪を

 

燃え散れぇ……」

 

「ギャァァァァ!!」

この世のものとは思えぬほどの断末魔をあげて彼は灰も残さず燃え尽きた。

 

 

 

「大神さん……」

八百万は大神の人殺しを止めれなかった事に無力感を感じていた。

しかし、今回ばかりはそれだけでは済まなかった。

 

精神的に弱ってる八百万にさらなる追い討ちをかける。

 

大神は八百万の首を掴み壁に叩きつける。

 

「アガッ!……いぎが……」

壁に押し付けられた衝撃と呼吸困難で激痛が八百万を襲う。

 

「一歩間違えればこうなっていた…わかるな?」

 

さらに強くなら握力。

痛みですでに身動きさえ取れないが、八百万は気を失うばかりか逆に意識がはっきりとしていた。

 

故に刻まれる。

痛みとともに恐怖が。

 

「悪に人道を求めるな…

アイツらにも……俺たちにも……」

 

 

もう何度目になるか、当然だがその度に警告が強くなる。

 

大神は八百万の首をパッと離した。

そして上着を脱いで八百万に被せると、ゆっくり立ち去った。

 

そんな大神の後ろを渋谷がついて歩いた。

 

「なんか、先輩のこと、少しわかった気がします。」

「なんの話だ?」

「邪魔者は排除してでも任務を成功させる先輩が八百万さんだけは例外的に警告だけで終わらせてる。

 

……なんででしょう?それだけあなたにとって大切な人なんですか?」

 

渋谷の言葉は適切じゃない。

特別なのは八百万ではなく八百万と同じことをかつて行った人だ。

大神は別の道を歩む事になったその人とダブらせているのかもしれない。

 

「気のせいだろ…」

 

大神はその思考を否定し、帰路につく。

彼の頭の中にはなぜ八百万があの場を特定できたかが気になっていた。

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。