CODE:HERO   作:TubuanBoy

2 / 11
続いて第二話を投稿です。

大神の姿は原作の高校生のままで、クロス補正により幼くイメージしてください。

最終話なんてなかったんや!


第二話

 

 

あの事件を目撃された少女がいるなんて知る由も無い大神は柄にもなく再び学校生活を始めようとしていた。

 

 

学校生活初日の朝。

観察対象者が所属するクラスに急遽編入することになった彼はしれっと自分の席に座り本を読んでいた。

 

教室の前の方では爆発頭と真面目眼鏡が口論していたがあの手の五月蝿い人間はどこにでもいる。

 

腕が6本の奴や頭に何か変な奴がついてる奴、横で重箱の様な弁当を貪っている。

 

流石は日本屈指のヒーロー科がある学校だ『個性豊かな』連中が揃っている。

 

 

 

(しかしまぁ、俺がまた学生生活とはな)

 

昔、似たような任務で学校に潜入した事があるがあの時はまだ年相応であった。

 

本来、大神は学生をやるような年では無い。

学生どころか大半の先生よりも長く生きている。

 

高位異能者は生命力をコントロールし、通常の人間より長く生きれ見た目上は年を取らない。

大神が変装もほとんどなく学校に通えるのはこのおかげだ。

 

「ケロ?……………」

 

本を読んでる大神の顔を覗き込む少女がいた。

彼女は独特の語尾で大きな目を見開いていた。

彼女の名前は蛙吹梅雨その名の通り『蛙』の個性をもつ。

 

 

大神は外面用の口調で答えた。

 

「どうかしましたか?…」

 

「…………ケロ、あなた入試の時にはいなかったわよね?」

 

大神は入試をパスした、言わば裏口入学生だ。エデンという秘密組織のコネを使って入っているため入試を受けていない。

 

「入試には何百人も受けてましたよね。

その中で僕がいたかなんてわかるんですか?」

 

「…………そうね。私も落ちた人達を、一人一人覚えててないわ。

でも、貴方みたいに不思議な雰囲気の人を見逃すわけないと思ってね」

 

その少女はその曇りなき眼で大神の特異性を見抜いているのだろうか。

 

「特待生かしら?」

「……ええ、まあ。そんなところです。」

 

確か、推薦入学者が何人かいたはずだからここではそう通しておけばいいだろう。

 

「それはおかしいですね。

私、試験の時。お会していませんでしたよ。」

 

先程の会話を疑問に思い、八百万が話しかけてきた。

 

八百万には記憶がない。

あの時の男がここで学生をやってるなんて思いもよらないだろう。

 

八百万は考えた。

一般に入試にも特待生入試にも来ていないとすると彼はどうやって入学したのだろうか?

二人は疑問が湧いた。

 

「……え……っと、それはですね。」

 

大神が嘘の事情を話そうとすると始業が始まっていて担任の先生らしき人が前に立っていた。

 

「お友達ごっこしたいなら他所に行け、ここは……ヒーロー科だぞ」

 

見るからに不衛生、髪の毛は伸ばしっぱなしでヒゲも伸びている。目はどんよりしている。

 

ヒーローネーム:イレイザーヘッド(本名:相澤消太)

アングラ系ヒーローと呼ばれるプロのヒーローだ。

この学校では現役のプロヒーローが教鞭に立つ。

 

 

「早速だが、体操着を着てグラウンドに出ろ」

 

 

相澤は入学式もガイダンスもすっ飛ばして初めての授業を開始した。

その内容は『個性把握テスト』本来個性抜きで測定する体力測定を個性ありで行う事で個性の内容とその練度を測定するものだ。

 

「個性を使って記録をだせ、出来なければ退学だ。」

 

 

相澤は今期の新入生をこのテストで見定め、見込みなしは退学処分にするつもりらしい。

 

 

(これならこいつら全員の能力がわかる………あの特別入学者のな………)

 

 

さっきも言ったが、大神はエデンにある特別なコネで入学している。(任務が決まった時には入試か終了していたから)

その真相を知っているのは校長を含めた一部のものだ。

 

一般入試も推薦入学も受けずに特別に急遽、入学が許された謎の多い生徒。

校長に聞いても特別な才能を持った素晴らしい生徒だから スカウトしたと言ってはぐらかされてしまった。

故にそれを不審がった相澤は大神に目をつけていた。

 

 

『会長のコネを使って特別に入学させて貰ったのでそれ相応の実力を示してくださいね。』

 

大神は平家の言葉を思い返す。

 

推薦入学試験さえも免除した彼は言わば推薦入学者よりワンランク上の存在。

そんな彼が初日で退学処分になったら笑い物だ、下位は避けたい。しかし

 

(あまり人に見せたい異能じゃないんだがな。

………しかし……………この程度なら…………異能を使うまでもないか)

 

 

50m走 5秒23

 

現存するC:Bは遺伝子レベルで他とは規格が違う。

 

長きに渡る修行と実践経験でそれを引き出せるようになった大神の身体能力は『珍種』にだって引けを取らない。

 

(まぁ、こんなものだろう。……しかし、少しなまってるな……)

 

速さが得意分野である飯田、応用力を見せた爆豪に続いて三番手。

 

実践戦闘におけるスピードならともかく直線的なスピードでは飯田に敵わない。

 

しかし、好成績。

大神は好成績を叩き出していった。

 

 

それを見ていた蛙吹梅雨はぼやく。

 

(かれ、の個性は身体能力向上系かしら?……)

 

 

蛙吹が感じたその違和感。

それが確信に変わっているものもいた。

 

(彼奴……個性無しで……)

 

相澤の個性で個性封じをしても能力に変化はなかった。

彼が個性を使っていないことは明白だ。

 

ちなみに相澤の個性封じは異能も封じられる。

 

この辺の互換性があるのも個性と異能が同種のものであるという証拠になっている。

 

異能という名前を知らない者にとって異能とは発動型の個性と認識されている。

 

異能と個性の違いは使いすぎると死を迎える『コード・エンド』と同じく使いすぎると24時間異能が使えず、人によっては姿形さえ変えてしまう『ロスト』があることであろう。

 

 

 

先生や一部の生徒に違和感を持たれてはいるものの成績的には問題ないライン。

 

心配なのは大神よりも今のワン・フォー・オール保持者だ。

 

(能力の使い方がお粗末過ぎるんじゃないか?…………)

 

入試試験の映像と今の様子を見る限り彼はまだまだ能力の調整が出来ない。

 

能力の負荷に耐えられず肉体が壊れるのを恐れているようだ。

 

(気持ちはわかるがな……)

 

大神も後から能力を得た者(正確には違うが)、異能の負荷に肉体が耐えられず、悲鳴をあげることも多々あった。

 

ロストもしない生命力が枯渇する状態である。あれは地獄だった。

 

しかし、増強型である彼は更に肉体の負荷が大きい。

 

自分に異能をくれた『皇帝』が増強型でなくて本当に良かったと思う。

 

 

 

しかし、だからと言って大神には継承者を助ける気は無かった。

継承者にそれ相応のものを見せてもらうしかないだろう。

 

仮に彼が退学させられたらそこで任務終了。

大神もこの学校から去り、『エデン』には見込みナシと報告するだけだ。

 

(最小限の被害で!!!!)

 

ハンドボール投げを前に八方塞がりの彼が下した決断は指にだけに力を集中させ、被害を最小限にした状態で超絶的な記録を叩き出すことであった。

 

「まだ!動けます!!」

 

壊れた指を握り、泣きながら先生に訴える継承者の姿を見て大神は驚愕した。

 

 

 

 

 

 

(………なんて奴だ………………)

 

骨はボキボギに折れて肉は破裂したかの様にズタボロの指。

 

入試の映像を盗み見たがアレはまだ自分の個性が体にどの様に影響するかわからなかったから出来た芸当だと思っていた。

 

しかし、今回は意識的に故意に使った。

 

いくら後で治せるとわかっても自分の肉体を自らの意思で壊せる人間はいない。

いたとしたら余程の覚悟を持つ人間か異常な精神の持ち主。

 

どっちにしても気狂いだ。

 

大神にも似た様な戦い方をしたことが何回かあった。

特に同胞達との戦いは熾烈を極め、無我の境地にたどり着くほどであった。

骨が折れようが血管が切れようが何がなんでも勝ちたいと言う一心で。

しかし、コレは戦いでもなんでもない。

ただの身体測定であり、ペナルティを受けても退学する程度。

 

彼にとってこの学園を追い出されるのはそれに相応する重大さなのだろう。

 

 

「入試の時にも見たが自分も怪我をするのか。おかしな個性だ。」

 

 

眼鏡の真面目君が冷静に継承者の能力の感想を言った。

 

(『おかしな?』…………

それで片付けるのかよ。

今の若い奴らは…………)

 

超常が当たり前の世代からしたら継承者の異常性も通常なのかもしれない。

 

とはいえこれでまともな成績が継承者に出た。

後は先生の気まぐれに託すだけだ。

 

 

 

 

テストが終わり、結果が発表された。

 

大神 零 3位

 

緑谷 出久 最下位

 

これは見るも無残。

下位何人が退学かはわからないが、継承者が残り、大神が落ちることはないだろう。

 

「今回の能力把握テスト、脱落者は一人だけだ。」

 

一人と聞いた瞬間、皆が継承者の事だと考えた。

 

「脱落者は大神零、お前だけだ。」

 

(はぁ?…………)

 

大神は一瞬、戸惑いながらも何時もの感覚で反論した。

 

「……理由を聞かせてもらってもいいですか?」

 

相澤は怒る様に大神に答えた。

 

「俺は個性を使って記録をだせと言った。

それなのに個性を使わないとかウチも舐められたものだ。」

 

クラスの全員が騒ついた。

無個性であれだけの成績を出せる人間がいる事に。

 

(しまったな。異能を隠したことが裏目に……

今、思い出した。奴は確かに個性を消す個性を持っていたな。)

 

「僕の個性はこう言う競技に向かないんですよ。」

 

嘘ではない。

 

 

 

 

「だったら最後のチャンスだ。」

 

相澤は首に巻くマフラーを武器の様に振るい大神を拘束した。

 

 

「俺と戦え…………

ヒーローにはそれ相応の戦闘力が不可欠だ。

競技にも応用できない、対人にも使えない個性なら早めに諦めた方がましだ。」

 

「くっ…………」

 

 

別に大神はヒーローになりたいわけではない。

任務だから仕方なく来たに過ぎない。

だが、この学園を追い出されても困る。

 

(切れない……

このマフラー……ただの布じゃない……)

 

炭素繊維に特殊合金を編み込んだ捕縛武器。

力では切れるわけがない。

 

(くっ……)

 

 

 

 

ボッ……

 

 

 

大神の右手が一瞬、青光りしたかと思ったら光は大神を拘束した布を包み瞬く間に炎上した。

 

 

「青い炎…………」

 

見覚えのある炎八百万は言葉を漏らした。

 

 

 

 

あの時、見た青い炎。

八百万の中に封印された記憶が蘇る。

 

 

あの時の人がまるでゴミの様に燃え散る様がフラッシュバックした。

 

 

 

 

「逃げてください!先生!」

 

 

あの炎の危険性を感づいて八百万は声をあげた。

 

 

 

 

 

炎は布を伝い、相澤に向かっていく。

相澤は異常を感じていた。

 

(耐火性に優れた捕縛武器が炎上している!?ただの炎じゃないな)

 

相澤は反射的に武器を手放す。

 

青き炎は武器を全て飲み込み、燃え散らせた。

 

 

(不自然な燃え広がり方……

しかも炭化じゃなくて消滅してるみたいだ)

 

八百万百と同じ推薦入学者である轟焦凍もその特殊性に気づいた。

 

自分も炎を使う個性だからわかる。

焦凍もあの武器を燃やすことはできるだろう。

しかし、あんな少量の炎で跡形もなく燃やすことは出来ない。

物凄い熱量であると言う証拠だ。

 

 

「わかりましたか?僕の個性は人でさえ簡単に殺すことができます。

一応、コントロールは出来ますが、不用意に使わない様に多少体を鍛えてるんです。」

 

 

触れたものを問答無用に燃え散らす。

強力過ぎるために救助や捕縛に向かない。

 

大神以上にC:Bの役割を体現したものはいない。

大神の説明に納得してしまった相澤は大神の退学を取り消す事にした。

 

「理由はわかった。

お前の退学をとり消そう」

 

「ありがとうございます」

 

(食えない奴だ。

……だが、確かに校長が言った通りの別格と言った風だな。)

 

 

 

こうしてA-1の初授業が終わった。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

初日を無事に終え、家に帰ろうとする大神は大きなスクランブル交差点に入る前に足が止まった。

 

「いつまで付いて来るつもりですか?……」

 

教室と同じ様に丁寧語で話しかけられた。

 

 

 

建物の陰から出てきたのは八百万百。

彼女は先日に見たあの惨状が本当であるかを問うた。

 

「三ヶ月前、公園で不良たちを殺したのはあなたですね!?」

 

 

(報告にあった目撃者だな。

……消した記憶が異能を見たショックで蘇った……と)

「僕が殺しましたけど、それが何か?」

「何を言っ……!?」

 

「仕事なんですよ。

ゴミどもを殺して何が悪いんです?」

 

なんと言う言い分、人の命を何だと思っているのか。

 

「彼らが貴方に殺されるだけの何をしたんですか!?」

 

「……強盗、恐喝、暴行……

わかっているだけで20件か……裏で暴力団が手を引いていた」

 

「そんな……嘘です。

そんなのヒーローが黙っているわけない」

 

 

「『記憶を消す個性』『声を変える個性』、昨今の個性社会のおかげで犯罪の証拠は隠したい放題だ。

警察は個性に頼らないし、ヒーローはもっと目立つ事件にしか目がいかない。

……あなたたちが言うヒーローなんてただの人気商売ですよ。」

 

 

自分たちの目指すヒーローを侮辱されて頭に血が上った八百万は反論した。

 

「だから悪人を殺すのですか!?

自分こそが本当のヒーローとでも!?「……悪ですよ。僕は誰よりも……」はあ?」

 

答えた大神の姿はどこか寂しそうであった。

 

「なら、自首してください!罪を償うのです!……きっと情状酌量の余地が!?」

 

「罪を償う……ですか、あなたは『あの人』と同じことを言うんですね。」

 

 

「あの人?……」

 

 

 

「だが、誰も俺を法で裁くことは出来ない。」

 

明らかに口調が変わった。

教室とは明らかに違う。

 

「例え、この大勢の人間ごとお前を燃やしても俺は決して裁かれない。

法で裁けぬ悪を裁く悪。

それがオレたち内閣直轄非公開組織『|楽園(エデン)』が所有する実働部隊『CODE:BREAKER』」

 

彼が何を言っているのか八百万にはわけがわからない。

 

「何を言って……」

 

 

そして八百万が困惑しているうちに大神は右手で八百万の顔を掴んだ。

 

「燃え散れ…」

 

三ヶ月前の記憶と先程の先生との戦いから青い炎がフラッシュバックした。

 

恐怖

 

 

八百万には大神が先程使った青い炎を防ぐ手立てがない。

 

このまま骨も残らず燃え散る運命なのかと。

 

「やめてっ!!」

 

とっさに手に持ったままの鞄を使い大神の拘束を解いて走り出した。

 

捕まれば殺される。

人混みに紛れ、全力で走る。

 

 

しかし、気づくと八百万の手は大神の右手に掴まれていた。

 

「右手の握手はサヨナラの握手。

さようなら、八百万百さん……」

 

掴んだ右手が光り輝く。

八百万は覚悟を決めた。

 

「なーんてね。」

 

 

 

 

 

大神の顔は教室で見せたにこやかな物に戻っていた。

 

「あなたもこの人達も悪じゃない。

だから不用意には殺しませんよ。」

 

 

昔の大神なら躊躇なく八百万と一緒に人々を殺していただろう。

 

 

「安心してください。

あの学校には誰かを消しに来たわけではありません。別の任務です。

…………ただし、あなたがこのことを他人に話した場合、あなたと其奴……そしてその周りの人も一人残らず処分する」

 

 

大神のさっきに蹴落とされた八百万はその場にぺたりと尻餅をつき、しばらく動けなくなってしまったのであった。





前半はヒロアカ後半はC:Bのエピソードで構成しました。
C:Bのエピソードは差込めるだけ差し込まないとダダのチート能力を持つ主人公の二次創作になってしまいますからねwww

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。