CODE:HIRO
USJ襲撃事件から数日がたったある日、1-A組は近々体育祭が雄英で行われることを知らされた。
USJ事件で目立ってしまったA組は隣のB組だけではなく、クラス替えを目指す一般科の生徒からもライバル視されていた。
テレビ中継がされ、プロヒーローも注目する為、雄英生徒にとって意味のある催し物であった。
各生徒、体育祭にかける意気込みが違うため、八百万はC:Bの二人に尋ねた。
「渋谷さんもよかったですね。
体育祭には腕が完治しそうで。」
リカバリーガールの力を持ってしても完治には日数が必要であったが、流石は『生命力』の個性の渋谷の回復力は段違いであった。
「いえ、僕も先輩もこの間の事件の怪我を理由に体育祭は不参加でいこうと思います。」
その回答に戸惑う八百万。
「何でですか!?大神さん!」
ヒーローを目指す自分たちからしたらあり得ないことだけに驚きに怒りが混ざる。
「
「……あぁ、そうですね……」
「学級委員の時みたいにまともな学園生活させて更生させようとか考えないでくださいね。
そういう手は懲りてるんですから。」
「………(もったいない話ですわね…)」
******************
そんな話を廊下でした後、教室に入った三人は、いつもと違う人が教室にいることに気がつく。
「へぇ〜、大神くんの友達なんだ。」
「友達っつうか、仕事仲間だよ。
アイツがバイトって言ってるやつ」
その青年は大神の話を芦戸を含むクラスの面々に話していた。
「もしかして、大神みたいに強かったりするのか?」
「当たり前じゃん。だってオレ、大神に勝ったことあるシ」
その言葉に指定に近い関係性の轟とライバル視している爆豪が遠くで反応した。
そして、話の本人である大神が後ろに立つ。
「刻…テメェ…何でここに…」
彼はC:B04 刻、チャライ感じの容姿・言動が目立つが、
「おぉ〜大神クン、丁度よかった。
今から、俺たちが出会った時の話をしようと思ってたんだ。」
刻と大神は出会った時に大喧嘩し、大神は大敗を期した経緯があったが、それは彼がまだ弱い頃であり、何百年も前の話である。
「昔話が過ぎるの…
今のオレには勝つ自信が無いからか?…」
「調子に乗るなよ。元・
二人は殺気を高める。
一見仲が悪そうでもあり、何処か信頼関係がある様にも見える二人の関係はライバル、宿敵、戦友と言った言葉では足りない何かがあった。
「先ぱ…刻さん、どうしてここにいるんですか?」
「そうだぞ、刻。ここは関係者以外立ち入り禁止だ。早く帰れ。」
「あれっ?聞いてないのかよ。
オレたち、隣のクラスに転向してきたからよ。」
「転校!?」
「達……」
渋谷は驚き、大神は『また、平家の仕業か』と考え頭を抑えた。
「アレ?遊騎はどこ行った?…」
大神と八百万が見渡すと耳郎の前に男子が立っていることに気がついた。
じぃ〜〜〜〜
「な、何だよ…」
その男は高い身長で座ってる耳郎を見下ろしていた。
「めっちゃいい音が聞こえるねん…」
「え…?」
「今まであった人の中で一番ええ心音がきこえるねん」
「んん〜?」
遊騎自身、かなりのイケメンである上に、あまり、そう言った男性に慣れていない耳郎は少し照れながら皆に助けを求めた。
「これは新手のナンパか何か?」
「耳郎さん、心音が個性の源だから『良い個性だね』って意味じゃない?
となると彼も耳郎さんと同じ『音』に関する個性なんじゃない?」
彼はC:B03天宝院遊騎
出会った時よりも背も伸び、子供らしい雰囲気が無くなっていたが相変わらずネジが抜けた様な言動が残る。
「二人ともちょっとこい…」
「おいおい、早々に真面目キャラが崩れてるぜ、仮面優等生。」
「お〜大神、久しぶりやな〜」
天真爛漫な遊騎に自慢話が大好きな刻がいたのではまともな会話ができないと踏んで大神は二人を人気のない場所に連れ出そうとした。
二人は引っ張られて行った。
八百万は二人が大神のバイト仲間となればC:Bだと当然気づく。
八百万が思うところある顔をしているとC:Bの会話に参加させてもらえなかった渋谷が八百万に話しかけた。
「さっ、盗み聞きに行きますか。」
「え"えっ!?」
「ハブられた腹いせに先輩達の会話を八百万さんに聞かせてやろってね。」
******************
「どう言うつもりだ、刻。」
「つもりも何もお前が失敗はするほどの仕事に戦力を追加投入するのは当然だろ?」
「だかといってこの時期は…」
「『雄英祭』があるんだろう?
尚更、ちょうど良い。」
「……何を企んでる?」
「俺は企んでないヨ
今回の件、敵が予想外の戦力を保有していたことを踏まえてもお前の不甲斐なさが目についた。
だからエデンが体育祭の場を利用して他のC:Bと比較させて、必要とあれば番号交代だってさ」
「公衆の面前で本気を出すつもりか?」
「今のご時世、能力秘匿の必要性は低い。
むしろ、俺たちがC:Bである事を知られてる方がまずいだろ。」
八百万の事は平家が知っているのだから刻が知っていてもおかしくはない。
不味い相手に知られてしまったとかすかに苦い顔をする大神。
「俺も今更、01の番号に興味ないんだが…
お前と本気でやりあえるんならわるくないかなってネ」
二人の殺気が高まる。
「やってみろ」「上等だ」と言葉にしなくても二人の喧嘩のふっかけ合いが側からでもわかる。
「それよりも、聞かれてるで。」
「あぁ、わかってる。」
大神は突然の遊騎の忠告に答える。
「おそらく、渋谷と八百万さんでしょう。
また、渋谷の奴が余計な…」
ため息と共に大神の顔からわずかに笑顔が漏れる。
「お前、いま昔と同じ顔をしてるぜ。」
「何のことだよ。」
「…にしても似てるよな。
八百万って子。桜ちゃんにサ」
『(サクラ?……)』
その名に隠れて聞いていた八百万も気になった。
「何を急に…
全然似てませんよ…」
「そんなことないぜ。
正義感が強くて…」
「ヒーロー科だからな。」
「良い所の出だし」
「そんな人いくらでもいる」
「何より、お前の人殺しを止めようと必死な所…」
「…………」
何も言えなくなった大神はあからさまに話題を変える。
刻達も深入りする気はないようだ。
「転校の理由は分かったが、邪魔だけはするなよ。
タダでさえヒヨッコの面倒で手がいっぱいなんだから。」
「アイツも、中々面白いやつだよな。
C:Bに向いてるとは思えないがな。」
「ワイは好きやでー
しばらく、そんな話をして三人は解散した。
三人が解散したところを確認した八百万と渋谷は会話の内容を確認しながら帰路に着いた。
「サクラさんってどなたですの?」
「ボクも詳しくは知らないけど昔、大神先輩を変えた人って平家先輩に聞いた。
その人にあってから大分丸くなったらしいよ。」
「あれで?」
普段の大神の態度を見て昔はどんなんだったんだと考える八百万であった。
「その人も大神先輩を完全には変えられ無かったらしいからね」
「どんな人なのか気になりますね。」
「詳しく知っていそうな人に心当たりがあるから聞いておくよ。」
彼の出生に関わる人物が実はこの話の主要人物であったりする。
2人もその後解散した。