それは雨の日の話であった。
ある少女の下校の時の事だ立間、、、、
(つい読書に夢中になって遅くなってしまいましたわ)
雨の上に日も暮れている。
公園の横の道路を通っていると暗がりの中1点の光を見た。
光を凝視して少女は驚いた。
(人…………!?人が燃えている!?)
青い炎に包まれた複数の人間。
そしてその中一人の男が佇んでいた。
その異常な現象を目に少女はすぐにその元凶が彼だと気がついた。
(まさか、あの男の『個性』!?……)
この世界、炎の『個性』を持っている者は少なくない。
しかし、そのどの個性ともそれは違った。
それは
熱くて冷たくて
激しくて静かで
残酷で優しげな
そんな『青い炎』だった…………
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事の始まりは中国の軽慶市『発光する赤児』が生まれたというニュースだった。
以降、各地で超常は発見されその『特異体質』は人口の8割を占めるほどにまで拡散して言った。
『個性』と名付けられたそれは人々の暮らしに定着していた。
しかし、その最初のニュースよりもずっと昔からそれはあった。
『個性』が発見されるよりも前から特別な力を持つ人間は存在した。
ただ、歴史の闇に隠れ巧妙に隠蔽されていただけで
『異能』という形で。
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公園での事件を見た少女・八百万百は直ぐ様、車を降りて現場に直行した。
この世界の人気職業『ヒーロー』はその名の通り人助けをするもの。
彼女もヒーローを目指す一人である。
(この道を曲がったところにある公園!そこで人が燃えている!?)
すると彼女の目の前に黒服を来た男女が現れた。
顔はサングラスでよく見えない。
彼らは『エージェント』と呼ばれるC:Bをサポートする者達。
「申し訳ありません。
ここから先には行けません」
「あなた達!あの男の仲間ですね!?
正体を言いなさい。そして直ぐに投降するのです!」
八百万はファイティングポーズを取り相手を威嚇する。
彼女は子供だが、世界屈指のヒーロー科の学生、ヒーローの卵。
生半可な大人には負けない自信があった。
「あなたには知る必要がないことです。」
そう言うと男は八百万の目の前に手をかざした。
すると八百万を意識が遠退きその場に倒れてしまった。
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「お嬢様!?お嬢様!?」
八百万はいきなり車を飛び出し、走り始めたお嬢様のようすが気になり追いかけて来た運転手によって意識を取り戻した。
「うぅ…………私は一体何を…………」
「それは私の台詞です。
急に走り出して……一体何を見たのですか!?」
八百万は理由を説明しようとしたか、出来なかった。
「…………私は何を見て…………
何をしにここに来たのでしょうか?」
八百万は記憶を消されていた。
こうして『存在しない者』が存在していた痕跡は、被害者の遺体も含め、綺麗に消されたのであった。
事件の方は警察が失踪事件として処理認めヒーローも調査を行わなかった。
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そこはとある街の金融会社の事務所。
その実態は『個性』を悪用する犯罪集団であった。
その日その事務所がたった一人の青年により壊滅した。
最後の生き残りであった厳つい顔したヤクザ風の男がその男に言葉をぶつけた。
「くっ…………テメェ…………
どこのヒーロー事務所の者だ!?
こんなことしてただで済むと思っているのかぁ!?」
この時代『個性』を悪用した犯罪が増加する代わり『個性』を使い人助けをする職業が注目を集めていた。
『ヒーロー』と言う職業が。
しかし、そんなヒーローでも手が出せないものがあった。
それはこの組織のように犯罪の証拠を隠蔽して善良なる一般市民を装っているもの達だ。
悪事の証拠さえでなければ自分たちは法に守られる立場。
例え、ヒーローであろうと手を出せば逆に犯罪者として罰せられる。
「ヒーロー?……違うな…………」
男は否定した。
「じゃあ!一体なんなんだよ!!」
「悪さ…………」
「は?…………」
「お前たち悪を裁くのは法じゃない…………」
青年は動けなくなっている男の顔を掴んで言った。
「目には目を、歯には歯を、悪には悪を……」
男は青き炎に包まれ塵一つ残さずこの世から消滅した。
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近隣で違法薬物をばら撒くヤンキー集団を始末し、その元締めのヤクザ組織を壊滅させた彼はCODE:BREAKERと呼ばれる存在である。
CODE:BREAKER(以後C:B)それは法で裁けぬ悪を裁く事を許された『異能』を持つ『存在しないもの』達。
裁きを含めたあらゆる特権と引き換えに全ての個人情報が抹消されている存在。
『異能』とは一部の人間が持つ特殊能力であり、非常に強力な力を持つ彼らは全て内閣総理大臣直下の非公認組織『エデン』によって管理さている。
管理されていると言ってもC:B以外の異能者の大半は『個性』蔓延るこの世間に馴染み定期的な監視のみである。
これも
『個性』は『異能』から派生して生まれたものだ。
どちらも人の持つ特殊能力で異能は個性より強力だがリスクを伴うだけだ。
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TELLLLLL!TELLLLLL!
任務を終え、隠れ家的住居に戻った青年は自分の携帯電話が鳴っていることに気がつく。
「もしもし…………」
「お久しぶりです!大神くん。」
芝居掛かったハキハキした声が青年の耳に入る。
「平家か?次の仕事か?」
「相変わらずのクール&ワーカーホリックですね。
そんな大神くんにぴったりな仕事をお願いしに来ました。」
青年を大神と呼ぶのは平家将臣。
青年と同じくC:Bの一人で現在のエデンを実質的に牛耳っている存在だ。
大神とは彼が持つ偽名の一つで同僚にはこの名で通している。
大神零、彼をよく知る者はそう呼ぶ。
「ある人物の監視と観察のため、身分を偽って学園に潜入にして欲しいのです。」
平家がわざわざ仕事を持ってくるのだ、ただの仕事だとは思っていない。
しかし、監視と観察という話ならおそらく対象は異能者、本来ならエージェントの仕事だ。
それをあえてC:Bに依頼するのだから訳ありだと大神は勘づいた。
「訳ありか?………」
「ええ……『ワン・フォー・オール』及び『オール・フォー・ワン』がらみの依頼ですよ。」
その名を聞いてピクッと反応を見せた大神。
その名はエデンにっとって、そして大神にとって因縁のある言葉だった。
オール・フォー・ワン、それは個性が一般に馴染もうとしていた時期、超常黎明期に生まれた特異な個性持ちだ。
彼は当時からその個性を悪用し、犯罪を繰り返す悪だった。
だが、エデンはそれ以上にその能力を危険視していた。
その能力とは個性を奪い、与える能力であった。
本来、個性や異能の力は譲渡ができない。
それを可能としたものが嘗て一つだけあった。
『パンドラの箱』12月32日に生まれた絶対に開けてはいけない禁忌の箱。
その昔、C:B総出で破壊に成功したが、今度はそれが人の形をして現れたのなら放って置くわけにはいかない。
ワン・フォー・オールはオール・フォー・ワンから生まれたオール・フォー・ワンを打倒する力。
5年前、ワン・フォー・オールを影でサポートしオール・フォー・ワンを打倒することができたがC:Bは知っていた。
オール・フォー・ワンは死んでなんかいない、今もどこかで息を潜めていると。
「ワン・フォー・オールの力が衰えて、次の世代に移ろうとしています。
大神くんには新しい継承者の観察と護衛をお願いしたいのです。」
「…………」
ワン・フォー・オールあるところにオール・フォー・ワンの影がある。
宿敵が弱っている時に手を出さない理由はないだろう。
観察ついでにそれを餌に出来れば都合がいい。
「大神くんには生徒として彼が春から通う学園に入学してもらいます。」
「観察………学生……………」
「懐かしいフレーズですね。」
大神は過去にある学園に学生として入学した時のことを思い出していた。
プロローグですから少し短め、一話は直ぐに投稿します。