【凍結】剣製の魔法少女戦記 外伝・ツルギのVividな物語   作:炎の剣製

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更新します。


003話『ヴィヴィオの思い』

 

 

 

 

知り合いのみんなに写真を送った後に僕たちは図書館に寄っていた。

 

「でもよ。なんでヴィヴィオってまだデバイス持ってねーの?」

「あ、あははー……それはね」

 

キリヤ君がそんな事を聞いていた。

それに対してヴィヴィオちゃんは少し苦笑いを浮かべながらも、

 

「まだまだ未熟者のわたしにはデバイスなんてまだ早いと思うんだ……」

「ヴィヴィオちゃん……」

 

少し悲しそうな、そんな表情を浮かべるヴィヴィオちゃんに僕はどう言葉をかけようかと悩んでいた。

ヴィヴィオちゃんは自分の過去を思い出しているんだろうね。

オリヴィエさんのクローンとして作られた自身の事を……。

この件に関してはあまり世間には認知されていないのが常である。

今でこそヴィヴィオちゃんはなのはさんの義理の子供として生きているけど、当時は聖王教会で別の引き取り先を探さないかと言われていたらしい。

大人の都合に振り回されそうになったヴィヴィオちゃんだけどなのはさんとユーノさん、オリヴィエさんが引き取ると言って意見を譲らなかったらしい。

だから今でもヴィヴィオちゃんは平穏に暮らせている。

なぜかその件ではシホお姉ちゃんも一枚噛んでいるらしく圧力をかけたとかかけていないとか……。

まぁ、ミッドチルダの英雄であるシホお姉ちゃんには逆らったら色々と怖い破目に合うとか言われていたから大人達もおとなしく引き下がっていったという。

 

「わたしは、なのはママやユーノパパ、優君を守るために強くならないといけないんだ。だからまだ未熟なうちはデバイスなんていらない……」

 

普段の温厚さからは少しかけ離れたそんなヴィヴィオちゃんの様子にみんなも同じく触れてはいけない内容だと思ったのかそれ以上は追及はしなかった。

キリヤ君もヴィヴィオちゃんのタブーに触れたという感じで申し訳なく落ち込んでいるし……。

 

「ヴィヴィオちゃん、そんなに暗くならないで。少しずつでいいから強くなっていけばいいじゃない?」

「そ、そうだね。ごめんね、みんな。変な空気にしちゃって……」

「いいよー。なんかヴィヴィオの触れちゃいけないところみたいだったから今回はアホキリヤが悪い!」

「リオちゃんの言い分はともかくとしてそんなに思いつめないでねヴィヴィオ……」

「うん。ありがと。リオにコロナ」

 

その後にそろそろ解散しようっていう話になって僕はヴィヴィオちゃんと一緒に帰ることにした。

キリヤ君達は少し寄る所があるっていうんで途中で別れたけど。

それからヴィヴィオちゃんと少し公園に寄って

 

「……ツルギ君。少しいいかな?」

「うん。何でも聞いて。ヴィヴィオちゃんの内情を知っている僕だからこそ聞けると思うんだ」

 

キリヤ君達とは違ってヴィヴィオちゃんの件に関しては大体僕は関わっていると思うから話に付き合えるんだよね。

でもその場合大体は暗い話にもなっちゃうんだけどね……。

 

「わたしね……あのスカリエッティと面会した事があるんだ」

「スカリエッティと……」

 

それで僕は少し拳を握る。

四年前のあの事件を想起させて僕も当時悔しい思いをしたからね。

 

「スカリエッティは言ったんだ。本当はあの時、わたしを誘拐するつもりだったって……聖王オリヴィエのクローンとしてゆりかごを動かす装置に組み込む予定だったとも」

「そうなんだ……」

「でも、結局わたしは誘拐されずに代わりにママたちがその役目を押し付けられちゃった。それでママも苦しい思いをしていたのを知っているの……。

思い出すんだ……なのはママとシホさんが戦っている光景を……。とても胸が苦しかったのを覚えている」

「…………」

 

僕はただヴィヴィオちゃんの胸のうちを吐き出してくれるまでじっと黙って聞いてあげていた。

ヴィヴィオちゃんはこうして話す相手がいなかったらずっと溜め込んじゃうと思うから。

 

「だから思ったんだ。わたしが誘拐されていればって……」

「ヴィヴィオちゃん、その考えだけはいけない……そしたらきっとなのはさん達は余計に悲しんだと思う」

「うん……だからこの話はママ達には言っていないんだ。ツルギ君だから話せるんだよ?」

「うん……」

 

ヴィヴィオちゃんはなのはさん達にも相談できずに僕だけに話してくれる。

それだけ信用されているという気持ちにもなるけど、それだけまだなのはさん達とは少しだけ壁があるんだなとも思う。

 

「四年前の事件から結局わたしはなのはママたちの所に引き取られて、今は幸せな暮らしをおくれている。だけどまたふとした事でなのはママに危険な事が起きるとも限らない……優君っていう弟も生まれてより一層そう思うようになったんだ」

「そっか……」

「だからね。わたしは強くならないといけないんだ……!」

 

そう言ってヴィヴィオちゃんは拳を強く握る。

 

「もうなのはママの足かせになりたくない……ママ達にも危険な目に合ってほしくない。子供のわがままだって言われようとその考えだけはわたしの思いなんだ。

だから強くなりたいって心から思っているんだ」

「だからなんだね……士郎パパによく特訓を受けているのは」

「うん。士郎さんにもなのはママ達には内緒って事で通しているんだ。魔法に関してもアインスさんに教わっているし」

 

そう、ヴィヴィオちゃんはよくうちで士郎パパとアインスママに特訓を受けている。

最近では体術をよく学んでいて、少し力が弱いヴィヴィオちゃんは縮地法とか浸透剄をマスターしている。

特訓中のヴィヴィオちゃんはそれはそれは鬼気迫る感じでやっている。

きっと焦っているんだなぁ……。

追いつけない高みになのはさんがいようともいつか追いついて横に並び立ちたいっていう思いがヴィヴィオちゃんの心の内には存在している。

同時にそれが焦りを生んでいるから僕はヴィヴィオちゃんがいつか体を壊さないかという心配になっている。

まぁ、そこら辺は事情を知っているシホお姉ちゃんも協力的で昔になのはさんに教え込んだ教えをまたヴィヴィオちゃんに教えているという。

だからきっと大丈夫……。

それにもしヴィヴィオちゃんが無茶をしそうになったら僕が無理やりにでもして止めて上げられればいいんだ。

ヴィヴィオちゃんの気持ちが痛いほど分かる僕にはそれしかできないから……。

 

「もちろんノーヴェにも師事している事は変わらないからストライクアーツも学んでいるんだけどね。最近はストライクアーツと士郎さん、シホさんに教わっている武術を合わせた動きもしているんだよ?」

「うん。それは一緒に士郎パパ達に教わっている僕は知っているよ」

 

先程までの真剣な表情からはもう変化していたのかヴィヴィオちゃんはいつもの明るい表情に戻っていた。

よかった……僕個人としてもいつまでもあんな表情を浮かべているヴィヴィオちゃんはあまり好きじゃない。

ヴィヴィオちゃんは笑顔を浮かべている方がよっぽどお似合いなんだ。

 

「よし! もう暗い話はなし! それじゃツルギ君、今日もうちに帰る前にツルギ君の家に寄らせてもらうね」

「うん、わかったよ」

 

それで僕とヴィヴィオちゃんは昔からの二人のやりとりで手を繋ぎながら一緒に帰っていくのであった。

今日も特訓を頑張らないとね!

 

 

 




ヴィヴィオの方向性を原作で言う昔のなのはみたいにしてみました。
ただ心の内を言える人がいるだけでスッキリだけはできますけどね。

それにしてもvivid原作一話がまだ終わらないってどういう事……?
次回は士郎達とのやりとりを予定していますし。



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