Aono Canata no For Answer 作:一織
「ねえねえ、イェルネフェルトくん、スポーツとかやってたの?」
「いや、スポーツはこれといって…」
「えー!!陸上とかやってそうー!」
「あまり興味が無かったからな…」
助けてくれジョシュア、なぜこんなにも女子が寄ってくる…私は平和に過ごしたいし、私はフィオナ以外の女性と接するのに抵抗があるんだ…
きっとジョシュアならうまく返すのだろうが私はあまり日常会話が得意ではない…
と言うか、フィオナと居た時は彼女に対する愛おしさしかなかったが、ほかの女性となるとどう接していいかわからん…
「あ、あの!」
「なんだ?」
「空を飛ぶのが趣味って言ってたんですけど、それってFCですか?」
「AC……!?」
「いえ、『えーしー』じゃなくて『えふしー』です…」
「あ、ああ……すまない聞き間違いだ、だがその『えふしー?』とは一体なんだ」
「フライングサーカスの略称です、グラシュを使ったスポーツなんですよ」
「ほう、それは興味があるな………放課後にでもどう言ったものか教えて欲しい、名は?」
「私は
「では放課後にでも聞きに行こう。次の授業がそろそろだ、席に戻った方が良いのでは」
「あっ、はーい!」
「あっそうだ!戻らなきゃ!」
「はい、ではまた放課後に」
グラシュを使ってするスポーツか……私とWhite Glintはどの程度できるだろうか…楽しみだ…
―――――――
ようやく放課後になったか…グラシュを使った競技とは興味深い…早く倉科の元に行かねば
「あ、イェルネフェルトさん!来てくれたんですね」
「ああ、待たせてしまったか?」
私は倉科にそう訪ね謝罪しようとするが、倉科はそれを止める
「いえいえ、そんな事はありませんから!」
「むしろ来てくれて有難いです。」
「そうなのか?俺は倉科さんからグラシュを使うスポーツと聞いて居てもたってもいられなくてな」
私はかなり食い気味に話をしていた。そう、この世界の綺麗な空を飛ぶ、それだけでも楽しいというのに、そのグラシュを平和に活用しているスポーツがあるという事に憧れと言うのだろうか?きっと楽しいのだろうと思いを馳せていた
「あ、明日香先輩……と……隣の方は……?」
「む、初めまして、俺は2年に転入してきた、ミナセ・イェルネフェルトだ」
「は、初めまして…一年の
「それで、ええと…イェルネフェルト先輩と明日香先輩は一体どういった経緯で?」
一年だと恐らくは後輩であろう有坂が質問をしてくるので私が答える
「ああ、FCとやらが気になってしまって倉科さんに頼んだら見せてくれると言うので来たのだが……女子用の競技だったかな…?」
「いや!そんな事はないぞ!!」
「む、貴方は…?」
「俺はFC部の部長
「青柳先輩ですね。俺はミナセ・イェルネフェルトと言います。」
「ミナセ君か、いい名前だ!!そして中々に筋肉だな!」
中々に筋肉とは一体なんだろうか……私は“あの頃”の姿よりは若い……大体“レイヴン”として生きていた頃くらいの見た目だろうかその頃は傭兵だったので鍛えていたから筋肉はついている方だと思うが……
「FC部の部長と言うことは、男女共にある部活なんですね、俺はFCがどんなものか気になって、見させて欲しいと倉科さんに頼んだんです。」
「ほう!FCに興味が!!気に入って入部してくれたら嬉しいんだが!!」
なんだか妙に力説してくる先輩だな……まあ良いか、少なくとも女子よりは話しやすい…
「部長、一体どうしたんですか?もしかして無理矢理勧誘とか?」
そんな声がしたので私は誤解を解くように先に口を開く
「いえ、違いますよ、むしろ入部したい位ですよ。」
私がそう言うと、そういった男……恐らくは同い年の生徒はそれは悪かったです部長と、青柳先輩に誤り
私に自己紹介をしてくる
「俺はFC部の部員兼コーチの
「ああ、噂になっているらしい…ミナセ・イェルネフェルトだ」
「早速で悪いんだがFCがどんなものか見たいのだが……」
「お、噂の転入生さんがFC部にきているとわねー!」
「む、貴女は確か…」
私が振り向くと、黒髪で腰のあたりまで髪を伸ばした女子がいた。
「同じクラスの
「あ、ごめんなさい!委員会がちょっと長引いて…あ、イェルネフェルトさんこんにちは。」
「えーっと確か同じクラスの委員長の…」
「
同じ苗字と言うからにはと思っていたがどうやら正解のようだ。
「ああ、部長さんの妹か…」
「あ、はい。と言うことはFC部に…?」
私は9割入部を決めていたので頷く
「ああ、興味があって見学をさせて欲しいと倉科さんに頼んだ。青柳さんも選手を?」
私がそう聞くと、彼女は首を横にふり、
「私は部員なんですけど、マネージャーなんです。」
と否定された。
「じゃあ…基本的なFCのルールを説明した後に実際に見てもらった方が良さそうなんで、ルールの説明と、用語の説明を」
「有難い。」
私はFCの歴史とルール、用語について学ぶ。
タイプが三つに別れており、
スピーダー
高速飛行でブイタッチによる得点を狙う、初速が遅く、最高速度が高い
ファイター
ドッグファイトによって相手の背中にタッチすることで得点することを狙う、加速を抑え、最高速を犠牲にする代わりに初速を上げている。
オールラウンダー
「スピーダー」対しては「ファイター」の様に、ドッグファイトでの得点を狙い、「ファイター」に対しては「スピーダー」の様に、スピード勝負でブイタッチを狙うといったように、相手によって柔軟にプレイスタイルを変化させることが出来る。
そしてどうやら日向の役割は“セコンド”と言うらしい。
ヘッドセットを用いて地上で選手に指示を出す役割。初期の頃のFCで相手の姿を見失い、一方的な試合となってしまう事態が多発したため、導入された制度だとか。
なんだか、オペレーターの役割のように感じてしまう。
ファイターもスピーダーもオールラウンダーも捨て難いが、私は“White Glint”を使いたかった。
日向に教わった事だが、一般的なグラシュは普通の靴と同じ見た目をしているらしい。私のWhite Glintは特徴的な形なので恐らくは競技用だろうと思う。
「さて、日向さん、このグラシュはどのタイプだ?」
私は自分の“White Glint”を日向に見せる
「うーん……これは……っ!!?」
私のグラシュのデータを見た瞬間に驚愕の顔を浮かべる
「こんなのを使って飛んでいたのか!?ミナセ君は!?」
「どうしたんですか?コーチ?」
「このグラシュ…バランサーカットしてあるグラシュの状態だぞ」
「ふむ…バランサーってなんだ?」
私がそう言うと、FC部全員がずっこけた。
「いやいや!イェルネフェルトくん凄すぎますよ!!」
倉科はキラキラした目で私を見つめながらそう行ってくる。
「幾ら何でもおかしいって気付こうよ…」
呆れた目で見てくる鳶沢と
「バランサーを入れ忘れて飛んだら私くるくる回るだけすよ!?」
「まさかそんな状態のグラシュで飛んでいたなんて…」
驚愕する有坂と日向
私は一体なにか特別なことをしていたのだろうか?
「良いか?バランサーを入れないで飛ぶというのは普通の人、一般的なスカイウォーカーには不可能なんだ、バランサーカットは調整をする時に“グラシュを出荷状態に戻す”という作業の一つで、バランサーを入れないで履くと真白みたいな事になる。」
ふむ……
だが私の出した答えはこうだ
「これで飛べてるんだ。これを使ってやってみる。」
私はまだ知らない。
私自身が“彼の機体と同じ異名”を持つ事を
普通のグラシュをノーマルACとするなら、主人公のグラシュはNEXTACの性能位の違いがあるよって言うのがうまく伝わってるといいなあ…