メインキャラと同年代じゃないオリジナル主人公は間違っているだろうか?   作:反町龍騎

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七話

 あれ?ここは何処?私は小鳥遊宗二。真っ白な空間に俺はいる訳だが⋯⋯。ホント何処ここ?

 え?何ここ噂に聞くあれ?死後の世界ってやつ?生前に悔いを持って死んだ奴が訪れるというあの?

 てことは奏ちゃんいるの?ハンドソニックを可愛い感じに言って欲しい。ゆりっぺ何処!?ライフルのスコープ覗きながらようこそって言って欲しいんだけども。

 ⋯⋯ん?あそこにいるのは、誰?二人だな。顔は見えないが二人の人物が俺に手を振っている様だ。取り敢えず俺も手を降ってみよう。

 すると二人は手招きをし始めた。こっちに来いという事か?なるほど、行こうじゃないか。

 俺が歩き出すと、ピチャリという音が聞こえた。これは水の音か?ホントにここ何処なの?なんか不安になってきた。

 水辺と思しき場所で歩を進めると、手招きしている二人の顔がぼんやりと見えた。

 

「――え?父さん?母さん?」

 

 なんで?なんでいるの?あなた達死んだ筈よ。

 ⋯⋯なるほど。やはりここは死後の世界。そして今俺が立っている場所は三途の川の中心あたりと考えていいだろう。

 そうか。俺はなのはさんのSLBで死んだのか。そうかそうか。物凄く心残りはあるけど、死んでしまったものは仕方がない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今行くよ!父さん!母さん!」

 

「あ、やっと起きた」

 

「イケメン死すべし慈悲は無し!」

 

「いきなり危ないじゃないか」

 

 くぬぅ。このイケメンは、俺の渾身の右ストレートをニコニコ笑顔で簡単に受け止めやがったよ。

 

「いやぁ、君がなのはちゃんに倒されたと聞いた時はまたかと思ったけど⋯⋯、まさか精神状態のせいで生死の瀬戸際に立たされるなんてね」

 

「そっすか。ハーシャさん、俺が倒れてからどれくらい経ちました?」

 

「んー、小一時間ってところかな」

 

 生死の瀬戸際ってその程度の時間しか経たないの!?と俺が驚愕していると、ハーシャさんが誰かと通信していた。

 

「やあなのはちゃん。宗二君が起きたよ」

 

 なのはさん⋯⋯だと!?

 

「いやあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!!」

 

「ッ!?どっ、どうしたんだ、宗二君!」

 

「なのはさん怖いなのはさん怖いなのはさん怖いなのはさん怖いなのはさん怖いなのはさん怖いなのはさん怖いなのはさん怖いなのはさん怖いなのはさん怖いなのはさん怖いなのはさん怖いなのはさん怖いなのはさん怖いなのはさん怖いなのはさん怖いなのはさん怖い⋯⋯」

 

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯なのはちゃん、何をしたのかは知らないけど、やり過ぎだよ」

 

『ご、ごめんなさい⋯⋯』

 

 ひぇぇっ!なのはさんの声が聞こえたぁ!怖い怖い怖い!なのはさんに殺される!!

 

「宗二君。取り敢えず落ち着こうか。なのはちゃんは、ここに来てくれるかな」

 

 なのはさんの返事は無く、通信が切れる。頷いたのだろう。というより、なのはさんがここに来るのか!

 

「嫌だああああああああぁぁぁぁぁぁぁッ!生死をさまようのはもう嫌だああああぁぁぁぁッッ!!」

 

「落ち着くんだ宗二君。なのはちゃんはここへ来ても君には何もしないし、しようとすれば僕が全力で止めるから」

 

「⋯⋯本当ですか?」

 

「勿論だ」

 

 アニキ!一生ついていきます!

 

 

 

 

 程なくしてなのはさんがやって来る。

 逃げ出したくてたまらない俺はというと、ハーシャさんのバインドによってグルグル巻にされている。

 

「なのはちゃん。君は宗二君に何をしたの?」

 

「えっと⋯⋯。二人で模擬戦をして、その過程で手加減出来なくてゼロ距離SLBを――。えへへっ」

 

 ハーシャさんが大きな溜息を吐き、やれやれと首を振る。

 

「あのねぇなのはちゃん。模擬戦に熱くなるのも分かるけど、それで死者を出したら意味が無いだろう?もし宗二君が芯の弱い人間だったら、すぐに三途の川でも渡っていたかもしれないんだよ?」

 

 ごめんなさい。途中まで渡りました。むしろ渡る気満々でした。てへへっ。

 

「ごめんなさい⋯⋯」

 

 なのはさんが申し訳無さそうに俯いた。

 

「謝る相手は僕じゃない」

 

 ハーシャさんが言うと、なのはさんは俺の方を向き、頭を下げる。

 

「ごめんなさい宗二君。気を付けようとは思ってたんだけど、つい撃っちゃって⋯⋯。本当にごめんなさい!」

 

「⋯⋯⋯⋯カミナのアニキ。この人怖い」

 

「ええっ!」

 

「止めてくれ。僕はそんなに出来た人間じゃ無いよ。あんな男気があれば、医者じゃなく、ガンメンの操縦者になっていたさ」

 

「それはそれで危険ですね。カミナのアニキはすぐに死ぬから」

 

「ネタバレは言っちゃいけない事だと思うよ。まだ見てない人だっているんだから」

 

「ちょっ、二人とも、なんの話ししてるの!?」

 

 と、なのはさんがツッコんだところで脱線した話を戻す。

 

「許しませんよ。なのはさんがデートしてくれるまで」

 

「い、いや、それはちょっと」

 

 この後に及んでもまだ断るかね。ならば仕方ない。大人が子供になるのであれば、子供が大人になろうじゃないか。

 

「ならせめて、なのはさんのお友達紹介してくださいよ。魔導師じゃなくて普通の人。なのはさんの故郷のお友達とか」

 

「うん!それならいいよ」

 

 あ。この人友達売るタイプだ。

 

「すずかちゃんとアリサちゃんって言うんだけど」

 

 言いながら、なのはさんは俺にその二人が映った画像を見せてくれる。右の藍色の長い髪の人が月村すずかさんで左の金髪ロングの人がアリサ・バニングスさんだという事だ。なるほど。

 

「二人ともいい声ですね」

 

「聴いたこと無いよね?」

 

 そこは気にしない。時間や時空の歪み何ていう都合のいいものを使う作者なんていくらでもいるさ。

 取り敢えず、その二人の連絡先を教えてもらい、俺は今日初めてなのはさんに会った時に言われた事を思い出す。

 

「あ、そうだなのはさん。確かお子さんの練習相手になって欲しいって言ってましたよね」

 

「ああ、うん!お願いできるかな?」

 

「勿論ですよ。なのでお子さんの名前と学校名と学年を教えて下さい」

 

「は〜い」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 という訳で、俺は今St.ヒルデ魔法学院に来ていた。

 取り敢えず、ここに入る為には入校証というのがいるらしいので、それを貰いに事務室に行く。

 

「すみません。入校証が欲しいのですが」

 

「はい。本日はどのようなご要件で?」

 

「初等科四年の高町ヴィヴィオさんに用があって来ました」

 

「⋯⋯失礼ですが、身分証はお持ちですか?」

 

 ふむ。ヴィヴィオちゃんなる子に用があると言うと警戒心が強くなった。噂によれば一度攫われているらしいから、警戒するのも頷ける。俺は事務室のお姉さんに言われるまま、身分証を出す。管理局嘱託魔導師としての身分証だ。

 

「っ!失礼しました。管理局の方とは知らず」

 

「いえ、いいんですよ」

 

「それでは、それが入校証になります。良く見えるように、首にかけておいて下さい」

 

「分かりました。ありがとうございます」

 

 お姉さんから入校証を受け取り、事務室を出る。

 

 

 

 と、ここがヴィヴィオちゃんなる子がいる教室だな。流石に昼休みとなると、生徒達で廊下がごった返してやがる。

 名前などは教えて貰ったが、写真までは見せて貰ってないので、教室から出てきた一人の生徒に声を掛ける。

 

「ねぇ君。高町ヴィヴィオちゃんってどの子?」

 

「ヴィヴィオちゃんですか?その子ならあそこに居ますよ」

 

 少女が指差した先、そこには楽しそうに談笑している女生徒が三人。オッドアイって言ってたからあの子だな。

 俺は三人に近づき、声を掛ける。

 

「君が高町ヴィヴィオちゃん?」

 

「え?はい、そうですけ⋯⋯ど。――ッ!」

 

 俺の顔を見た瞬間、ヴィヴィオちゃんの可愛い顔が驚愕に染まる。え?俺そんなに驚く顔してる?

 

「た、た、たた⋯⋯、小鳥遊宗二選手!?」

 

 ヴィヴィオちゃんが叫んだ事によって、周りがざわつきだす。

 

「ん?俺の事知ってるの?」

 

「も、勿論ですよ!今まで出場した回数は五回。都市本戦常連選手でしかもその戦績の中で、世界戦優勝を果たした事もある、超有名選手じゃないですか!!」

 

「そうですよ!同じ都市本戦常連のミカヤ選手と同じ純粋な剣士でありながら、熟練者であるミカヤ選手すら圧倒してしまう程の実力者!」

 

「そんな凄い人、インターミドルを目指す人が知らない訳無いですよ!」

 

「お、おう」

 

 熱い!熱量が半端なくて熱い!ていうかヴィヴィオちゃんだけじゃなくて栗色ツインの子や黒髪ショートの八重歯っ子も知ってるんだ。しかも、八重歯っ子の言い方だと、自分もインターミドルを目指してるのん?

 

「そ、それで、そんな凄い人が、私なんかに何の用なんですか?」

 

「ああ、君のお母さんに、練習相手になって欲しいって頼まれてね」

 

「え!?なのはママに!?」

 

 ヴィヴィオちゃんは驚くと、どうして頼んでくれたんだろう、と顎に手をやりながら考えている。うん。動作の一つ一つが可愛いな。

 

「あ、あの時の事かな!でもあんなの冗談で言っただけだし⋯⋯」

 

 この子表情がコロコロ変わるな。可愛い。

 

「あーっと、迷惑だったり?」

 

「え!?いや、そんな事無いですよ!凄く嬉しいです!むしろこちらから行かなければならないのに」

 

「ああ、そんな事はいいよ。それより今からやらないか?練習」

 

「え?今からですか?そんな場所ありましたっけ?」

 

「大丈夫。教員に頼んで用意してもらった。場所は体育館だ」

 

 俺が言うと、八重歯っ子がヴィヴィオちゃんに話しかけた。

 

「ええー。いいないいな。ヴィヴィオだけズルいよぉ〜」

 

「へっへーん、いいでしょぉ」

 

「あの、もし宜しければ、私達にもお相手して頂いて宜しいですか?」

 

「ああ、いいよ。ま、取り敢えず、体育館に行こうか」

 

「「「おー!」」」

 

 三人が拳を掲げ、返事をした。なんだろう、やっちゃいけないって分かってるのに、違う扉を開けてしまいそうな自分がいる。耐えろ俺よ!この子達に手を出したら、本当になのはさんに殺される。


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